珍しい?心臓にはなぜガンができにくい?
人間の多くの臓器にはガンができるのに、心臓ガンはほぼない理由を解説。
心臓ガンのない理由
人間の多くの臓器を蝕み、現代の死因の1位にも挙がるほどの病気、ガンですが、不思議と心臓ガンは聞きませんし、実際、発生することもごく稀です。その理由を紹介・検証。
ガンは高温に弱いから
頭のてっぺんから足の先まで、どこにでも発生する可能性がある、ガン。しかし、心臓にはガンができません。一体なぜでしょうか? その秘密は、心臓の「温度」にありました。心臓は、私たちの体の中でもっとも体温が高いところであり、心臓が生み出す熱の量は、体全体の約11%にもなると言われています。ガン細胞は35度の環境でもっとも繁殖しやすいと言われますが、高熱には弱い性質を持っており、温度が40度以上ある心臓の熱には勝てず、死滅してしまうそうです。
心臓が高温のため、心臓は体全体が発生する熱の10%以上をつくり出しており、常に40度近くの高温になっている。ガンは熱にとても弱く体温が40度以上になるとガン細胞は死滅してしまうことが知られている。
心臓の大部分は細胞分裂を起こさないから
細胞ガンは、分裂し増えることで力を発揮します。制御不能に繁殖し、すべてを支配し始めると、大きな問題となる細胞ガン。通常細胞というものは、DNAから出される指示に従って増殖をやめるタイミングを心得ています。しかし、ガン細胞はその指示を気にもとめず、勝手に増え続けてしまうのです。ただ、心臓は体内の他の器官と違って、人間がまだ胎児の間に分裂を終えます。
一人の子供としてこの世に生を受けると、心臓の細胞は分裂しなくなります。子宮にいる間に発達しかけたガン細胞も、このタイミングで成長がとまるのです。これは、心臓の大部分で筋細胞でできているため。筋細胞は身体と比例して発達するのですが、増殖方法が他の体内器官とは異なります。
心臓ガンとは呼ばない
そもそも、悪性腫瘍では、上皮細胞にできたものをガン、それ以外を肉腫と呼んで分別していて、心臓の主な構成要素は間葉系細胞で、上皮細胞が存在しないため、たとえ限りなく低い確率で肉腫ができることはあっても、「心臓ガン」という分類になりません。そうしたことから心臓ガンは存在しない、とも言えるかと思われます。