チェーンの代わりにひもで動く革命的な自転車「ストリングバイク」
チェーンに代えて高密度ポリエチレンのストリング(ひも)の往復運動で後輪を駆動するユニークな自転車「STRINGBIKE」(ストリングバイク)がハンガリーで誕生した。踏み込むときに力が入りやすく、チェーンオイルによる油汚れの心配もない画期的な機構を搭載しており、ヨーロッパでは2013年から販売されている。
チェーンの代わりに超高分子量ポリエチレンのひもが動力で動く
ストリングバイクは従来のチェーン、ギア、変速機構を完全に覆す革命的な自転車です。耐久性と柔軟性を兼ね備えた新時代のケーブルがストリングバイク核心部に使われています。
ストリング自体は文字通りの「ひも」で、両端にストッパーが付けられただけの簡単な構造だ。傷ついてしまって交換したり、別の色のストリングにしたくなったりする際には、工具不要で取り替えることができる。ストリングが触れる部分には潤滑油が一切使用されていないので、交換作業で手を汚す心配はない。高密度ポリエチレンは広く使われている素材で、交換用のストリングも数百円レベルと安価だという。
ひもで動く利点
・静かで優しい乗り心地・10,000km走っても大丈夫
・チェーンのように緩んだりしないので、メンテナンスが容易
・オイルが必要ないので、汚れないだけでなく、環境にも優しい
・外れる心配がないので、ギアチェンジが気軽にできる
チェーンと比較して、上記のような利点があるとのこと。掃除が容易というのが一番の魅力ではないでしょうか。シーズンオフにのオーバーホールから解放されるのなら最高です。
ギアチェンジは驚異の19段変速
19段変速で、通常のハンドグリップ式のギアシフトを操作すると、Dyneemaのひもとスイングアームの固定ポイントが移動する。
20年近い開発が製品に結実
さまざまな試作品が作られては捨てられ、現在のストリングバイクの元となるアイデアが形作られた。こうして実に20年近い開発が続けられた結果、2010年に会社を設立してプロトタイプを発表。2013年に製品の販売を開始し、現在はハンガリー以外にドイツ、イギリス、オーストラリア、韓国でも市場に投入されている。製品版の自転車は、ハンガリーで戦前より自転車製造を手がけるチェペル社と協力体制を結び、フレームなどの部分はチェペルが製造。シティバイクにとどまらず、クロスバイク、トライアスロンバイクといったラインナップまで販売されている。いずれも19段変速で、カーボンフレームのトライアスロンバイクは、重量7kg台と軽量だという。現在はまだ販売台数が少なく、クロスバイクでも30~35万円程度と高価だが、将来的には各国のライセンシーのもとで安価に製造したいと考えているという。
この自転車は、斬新なデザインを愛する人、そして乗り味は通常の自転車とほとんど変わらなくとも、よくできた工学技術が現状を常に乗り越えていく世界の気配を感じられるような物なら中古自動車が買えるほどの金額を支払ってもかまわない、という人たちのための物だ。