エボラ出血熱のような症状が出る「人食いバクテリア」何処にでもいる細菌みたいだから気をつけて
エボラに関するニュースがたくさん報じられ、この病気に対し恐怖を感じている人も多いと思います。エボラは大変致死性の高い感染症ですが、同様に致死性の高い“人食いバクテリア”と呼ばれる細菌の感染症が、日本でも増えていることをご存知ですか?
人食いバクテリアとは?
主な原因菌の「A群溶血性レンサ球菌」は特別な細菌ではない。へんとう炎やとびひ、皮膚炎などを起こすが、通常は抗菌薬で治療できる。症状がないまま、のどなどに保菌している子どももいる。
人食いバクテリアとは、劇症型溶血性レンサ球菌感染症を引き起こす溶連菌(溶血性レンサ球菌)という菌(バクテリア)のことを指します。顕微鏡でみると、だんごのように丸い球状の菌が連鎖してつながってみえることから、レンサ球菌といいます。
どんな症状が起こるの?
はじめは発熱や、さむけといった風邪のような症状がでて、手足の痛みや腫れ、傷の部分が赤くなったり腫れたりします。感染が悪化していくと症状は急激に進み、筋肉やそのまわりの組織が壊死(えし)してしまいます。また、さまざまな臓器がうまく働かなくなったり、血圧が下がるなどして、発病してから数十時間で亡くなることもあります。症状の進行が急激で、さらに身体の壊死を引き起こして死にも至らしめることから、“人食いバクテリア”と呼ばれるのです。致死率は、約30%といわれています。エボラウイルス病の致死率は平均して約50%であり、どちらも高い致死性を持つ感染症であることがわかります。
感染経路はどこから?
生の魚介類から感染し手足が壊死して死に至る
生の魚介類から感染し、数時間~数日で手足が壊死して死に至る人喰いバクテリア症を起こす細菌『ビブリオ・ブルニフィカス』で今年もまた被害者が出たことが24日、分かった。先月、千葉県の男性が死亡し、大阪と九州でも今月、重症者が出ている。
肝硬変など重い肝臓障害のある人が罹りやすい、という特徴がある。専門家は「猛暑が予想されている今夏は海水温が上がり、菌が広い範囲で増えて昨年より被害が広がる恐れがある。肝臓病の人は生魚を避け、火を通して食べるなどの注意が必要だ」と警告する。
A群溶血性レンサ球菌が傷口から入るとヤバい
傷口などから細菌が体に入ると、まれに劇症化することがある。初期症状は手足の痛みや腫れ、発熱などだが、病気の進行は極めて速い。細菌が急激に増殖し、通常は細菌のいない筋肉や筋膜を壊死させたり、血流に乗って全身に回って多臓器不全などを引き起こしたりする。発症して数十時間以内にショック状態で死亡することもあり死亡率は30〜50%に達する。
劇症化すると手がつけられない
厄介なのは、抗菌薬の効果が菌の増殖スピードに追いつかない場合もあることだ。東京女子医大の菊池賢教授(感染症学)によると、「足が痛い」と訴えて来院した患者を診察した際、壊死して皮膚が紫色に変色した部分が見る間に広がっていった例もあった。菊池教授は「体内で免疫機構が全く機能せず、細菌が自由に増殖していくのを見ているようだった。どんどん壊死が広がる場合は切断して止めるしかない」と話す。
感染者数は2014年が273人、2015年は8月9日までで既に279人
国立感染症研究所のデータによると、感染者数は2014年が273人だったのに対し、2015年は8月9日までで既に279人にのぼり、調査を始めた1999年以降、最多となった。都道府県別に見ると、東京都が44人で最多。大阪府(28人)、神奈川県(20人)、千葉県と兵庫県(それぞれ15人)などが続いた。
出典:http://www.huffingtonpost.jp/2015/08/18/streptococcus-pyogenes_n_8002614.html
人食いバクテリアの脅威から守る対策は?
肝硬変などの人は、“夏場は魚介類を生で食べないように
ビブリオ・ブルニフィカス感染症は恐ろしい病気だが、原因(汚染された生の魚介類)と、危険因子(肝臓病)がハッキリしているから対策はむしろとりやすい。肝硬変など重い肝臓病を患う人には、主治医が“夏場は魚介類を生で食べないように”と食事指導すれば、感染を防ぐことが出来るはずだ。
菊池教授は「手足の傷や水虫にかかっている場所から感染しやすい。特に糖尿病などの持病のある人や高齢者は、傷が化膿(かのう)したらすぐに受診してほしい」と呼び掛ける。発症してしまった場合は、「とにかく早く検査して菌を見つけ、広がる前に対処することが重要」と、秋山室長は指摘する。
予防策では、通常の感染症対策と同様に手洗いやうがいが大事だといい、感染研の砂川富正室長は「特に高齢者で、手足や傷が急激に腫れあがったり悪化したりするようなことがあれば、すぐに病院に行ってほしい」としている。