「国連国内避難民に関する指導原則」で守られるべき福島原発事故や豪雨災害の避難者

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この指導原則をご存知でしょうか。20年前に国連総会で承認された国内で起きた自然災害や過酷事故による避難者の命と人権を守るために定められたものだが、公式に和訳もされず、あまり知られてもいないので守られず、多くの国内避難民の苦しみは続く。

 無職の男性(81)は夜中に目が覚めて眠れなくなるという症状で医師から睡眠導入剤を処方してもらった。被災する前は、焼酎の水割りを少しだけ飲むのが日課だったが、避難所では酒は飲んでいない。男性は「他の被災者の目もある。ただ、これまでと違う環境で、精神的にしんどくなっている」と語る。

 避難所の救護所を運営する日本赤十字社の担当者によると、被災当初は避難の際の外傷で受診する患者が多かった。しかし、この数日で精神的ストレスによる不眠を訴える人も多くなっている。担当者は「環境改善にも力を入れたい」と語る。

 「風呂に毎日入れないのはつらい」。避難所で生活する石井忠仁さん(75)は疲れた表情で笑った。浸水被害に遭った自宅に止めていた車2台は水没。14日には朝から自宅で片付けをして、夕方戻ってきた時には、はいていたズボンは泥だらけに。離れた場所にある仮設の入浴施設までの送迎バスは定員が限られる上、夕方の2便しかなく、この日の出発時間は過ぎていた。石井さんは「車がないと移動手段に困る。きょうは体を拭くだけです」。

出典:避難所生活、心身にズシリ ストレスで不眠/毎日の入浴困難...

	
■環境改善、一歩ずつ 段ボールベッド・間仕切り・炊き出し…支援の輪

 避難所の住環境や食生活については、依然不自由な状態ながらも、様々な支援で少しずつ、改善してきている。

 15~16日には、市が配給した段ボールベッドのほか、世界的建築家の坂茂(ばんしげる)さんから無償提供を受けたプライバシー確保のための紙管と布でできた間仕切りが設置された。6日に避難所が開設されて以降、多くの人が体育館や教室の床に各自でマットを敷いて居場所を作り、雑魚寝をしたり、食事をしたりしていた。

 小学6年と1年の2人の娘とともに避難所で過ごす女性(41)は周囲の視線が気になり、肌の露出が少ない長袖や長ズボンを着せていた。「完全ではないが、ある程度プライバシーも守られる」と喜ぶ。

出典:

	

指導原則では「1人当たり3.5平方メートル以上の居住面積の確保」が定められているというが、間仕切りは全ての避難所にはない。

で避難している人たちは、誰も文句のつけようがない、間違いなく「国内避難民」の立場の人たちだよね?
日本政府は、彼らを含む被災者に対して「国内避難民」に対する国際基準の待遇を提供する義務があるはずだよ。1人当たり3.5平方メートル以上の居住面積の確保、とかね。

	

国連人権理事会で加盟国から福島原発事故による自主避難者に対しても住宅支援の継続などの指導原則の適用を厳しく求められた日本政府。慌てて日本語に翻訳すると言明。

国連人権理事会の日本への勧告でポルトガル政府が「国連国内避難民に関する指導原則」の適用を求めた。

出典: 国連人権理事会福島勧告で一歩前進! 

国際環境NGOグリ...
国会でいち早く福島勧告についてとりあげた山崎誠衆議院議員が冒頭にあいさつしました。

「日本がこれ(勧告)をきちんと受け止めるかどうかが、日本の外交にも大切。福島の問題は解決しておらず、状況は悪化している。いろんなかたちで支援していきたい」

次に、外務省が「国内避難民に関する指導原則」について説明しました。

「国内避難民の問題は、世界でも大きな課題となっている。国内避難民に関する指導原則は国内避難民のニーズに応えるためにつくられた規範文書。30の原則からなる。日本はこの指導原則を重要な枠組みとして認知している。日本への適用については、原則を尊重し、日本政府としても対応していかなければならないと考えている。今回、みなさんの関心が高まり、山崎誠議員からの指摘も受け、日本語訳は外務省として翻訳作業を始めた」


国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ事務局長の伊藤和子弁護士が国連人権保障システムと東電福島原発事故についてお話ししました。

「原発事故後、7年以上経過したが、健康に対する権利、居住に対する権利、子どもの成長発達に関する権利、環境に対する権利、避難者が国内避難民として保障される権利など、さまざまな人権保障が十分でない。国連社会権規約でも、食料、衣料、居住の権利が定められている。ところが年間20ミリシーベルトを下回る地域の住民への住宅支援が打ち切られている。日本政府は、2012年「健康に対する権利」国連特別報告者、2014年の国連自由権規約委員会からの勧告、また2016年の女性差別撤廃委員会からの指摘などについて対応してこなかった。今回対日人権審査(UPR)の4つの福島関連勧告をすべて受け入れた。ポルトガルの勧告は国連国内避難民に関する指導原則の適用というもの。原則は国内避難民であることによって差別を受けてはならない、危険を感じる場所への強制送還や再定住から保護される、再定住においての住民参画などを定めている。日本でも適用していくということで非常に期待している」

グリーンピースから、2018年6月から7月にかけて行われた第38回国連人権理事会での福島原発事故関連の動きについて報告。今年は「国連国内避難民に関する指導原則」がつくられてから20周年ということで、国内避難民に関するパネルディスカッションが行われ、政策への当事者の参画の重要性が指摘されました。(スライドは国連WEBサイトの画像にコメントを追加したもの)

また、「In Their Own Words」(当事者の言葉で)というサイドイベントが開かれ、南スーダン、ナイジェリア、メキシコの「国内避難民」と並んで、東電福島原発事故被害者の園田さんが、避難指示区域外の避難民の数が日本政府によって把握されていないこと(よって対策の検討が困難)、避難者政策への当事者参画がない実情を話しました。

 

第37回国連人権理事会でスピーチをした東日本大震災避難者の会(サンドリ)代表の森松明希子さん(上写真)、と副代表の車田麻美さんが、国連参加報告と実情について報告。

「この7年間、ずっと人権侵害の状況が続いている。避難民が日本全国ばらばらに散らばっており、とくに避難指示区域外の避難者の実情が把握できておらず、そのため効果的な支援ができていない。国際的な原則が守られておらず、差別もおきている。また、帰還する人への支援が厚く、帰還しない人への支援が打ち切られている。避難続けたい人が続けられる施策をお願いしたい」(森松さん)

「元の住まいは福島県須賀川市だが、原発が爆発したときに三春町にいた。三春町の住民に安定ヨウ素剤が配られたが、自分と子どもには三春町の住民でないということで安定ヨウ素剤が配られなかった。いまでも子どもに申し訳ない。大阪府で供与されたアパートに入ったが、ハザードマップで赤いところだったので、自主的に別のアパートに移った。場所は高槻市で先日の地震でそのアパートは今のアパートよりより大きい被害があった。ただ、現在の住まいにも被害があり、現在避難生活をしている」(車田さん)

出典: 国連人権理事会福島勧告で一歩前進! 

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グリーンピースから、2018年6月から7月にかけて行われた第38回国連人権理事会での福島原発事故関連の動きについて報告。今年は「国連国内避難民に関する指導原則」がつくられてから20周年ということで、国内避難民に関するパネルディスカッションが行われ、政策への当事者の参画の重要性が指摘されました。(スライドは国連WEBサイトの画像にコメントを追加したもの)

出典: 国連人権理事会福島勧告で一歩前進! 

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国連人権理事会が日本政府に求めた福島原発事故被災者および住民に関するその他の勧告


モシニャガ・アンナ氏(国際連合大学サステイナビリティ高等研究所主任研究員)

国際的にみると、複合被災により大規模な人口移動となった福島の原発避難者は、国内避難民の一例と認識することできる。現在の国際法上、「国内避難民」という法的地位は存在しないものの、国連の「国内強制移動に関する指導原則」が存在し、国内避難民の保護ための重要な国際的な枠組みとみなされている。指導原則に法的拘束力はないが、国内避難民に関する支援を行う際の指針となってきた。国連の指導原則は国内避難民が、その避難状況の「恒久的解決」(つまり避難状況の解消)に対して権利を持っていると明記。福島の原発避難者も国内避難民として認識することで、日本でも政府・行政は最小限において避難者に対して:避難元への帰還、避難先での現地統合、違うところへの移住という3つの選択肢を制度上可能にすることが重要になる。

応急仮設住宅や緊急雇用創出事業などの救済策が段階的に撤廃されている状況下で、避難者ひとりひとりにとって帰還・現地統合・移住のいずれかが、持続的な選択肢になるまでは、継続的な状況把握と、避難者自らがそれぞれの状況に応じて暫定的な解決策を見出せるための支援が必要である。また、支援団体は、数字では測れない現場の生の声を行政や人びとに広く伝えていくことが重要だとのことでした。

出典:福島緊急アピール -今起きていること・できること-|国際協...

	

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Sharetube