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古典落語「六尺棒(ろくしゃくぼう)」

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古典落語「六尺棒(ろくしゃくぼう)」

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起承転結起承転結
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Update date:2018年08月21日
古典落語「六尺棒(ろくしゃくぼう)」

登場人物

 こうたろう(道楽者)
 親父(こうたろうの父、商売人)
 六尺棒(樫材の約180cmの棒、いわゆる防犯グッズのひとつ)

帰宅(起)

 床屋に行って来ると家族に告げて家を出た放蕩息子のこうたろう、向かった先は吉原。気の済むまで長居したのち10日ぶりに実家へと帰宅する。すっかり日も暮れてしまい、家業の店舗はすでに一日の仕事を終え店じまいを済ませていて、当然玄関は戸締まりされている。戸口を叩いて「あけておくれ!」と中に向かって叫ぶこうたろうに、親父が気づいて扉ごしに対応を始める。「申し訳ございません、営業時間はすでに終えております。お買い物でしたらあらためて明朝お願い致します。」と息子に対し終始事務的な口調でこたえる。「買い物ではなく息子だよ」と言うこうたろうに、「息子のこうたろうのお知り合いの方ですか、飲む打つ買うばかりのあのような道楽息子は勘当致しました。本人に会ったらそのようにお伝えくださいますようお願い申し上げます。」とあくまで他人行儀にとぼける父。扉を閉ざしたまま、会話のキャッチボールすらまるで受け付けない様子。

口論(承)

 父親の態度から今回ばかりはただ事ではないと察する息子、少しずつ焦り始める。「勘当するだなんて、跡取りは一体どうするつもりだ?」「産んでくれとこっちから頼んだわけじゃない、自殺してやるぞ」と揺さぶりをかけ相手の出方を待つもこれといって手応えなし。しまいには「そもそも育て方が悪いから招いた結果だ」などと言い放ち、逆ギレ気味に反論を展開させる。最初は黙って聞いていた親父も、次第に頭に血が上って「よそのせがれは出来がよくて気立てもいい、それに比べてお前は〜」と堪忍袋の緒が切れる。息子に対する日頃の鬱憤が次から次へと口から出て、小言の嵐。扉の外に立ち往生したまま日々の行いを咎められる事となるこうたろう、為す術なし。本気で養子を迎え入れて商売を任せてしまいそうな親父の口ぶりに、諦めと同時に怒りの感情を抱え始める。

着火(転)

 打開策が見えず追い詰められたこうたろう、ついにはマッチを取り出し火をつけながら「赤の他人の手に渡るくらいならこんな家なんか燃やしてやる」と脅す。口だけの冗談かと思いつつ様子をうかがっていた親父、息子の手に握られた火のついたマッチをみて驚きを隠せない。本当に家事になったら大変だ、何より身内が放火犯というのは非常にまずいと、あわてて六尺棒を手にして玄関扉を開けて外にいる息子に向かって飛び出していく。夜分に自宅の外周をグルグルと追われるこうたろう、追いかけ回す親父。逃げ惑いながら、親父が飛び出て来た時に開け放してそのままになっている扉に気づき、中に入り鍵をかけるこうたろう。息子は敷地の中、親父は扉の外、つい先程までとはうって変わって立場が真逆となる。棒を片手に施錠された扉の前に立ち尽くす親父…。

仕返し(結)

 扉の外側から「鍵を開けて中に入れろ」と指図する親父の言葉を耳にして「どちら様でございますか?」としらばっくれるこうたろう。「この家の主人だぞ」と親父が言うと、「親父ですか、あれは朝から晩までくそ真面目に働いてばかりですので、残念ながら勘当致しました。」と続ける。悪運を味方につけ有利な立場を手に入れたこうたろう、反省の色を見せる素振りはまったくない。そればかりか調子にのって「よその親父は懐が深くて気前がいい、それに比べてウチの父親は〜」と、ここぞとばかりに先ほどの借りを返し始める。屋敷の外の親父は呆れながら、「俺の真似ばかりしやがって…そんなに真似がしたいんなら六尺棒をもって追いかけて来い」と途方に暮れる。

※参考

「尺(しゃく)」
長さの単位。1尺がおよそ30cm。

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起承転結

古典落語の大まかなあらすじを覚え書きとしてまとめていきます。ネタバレ有り、オチ記載有りなので注意されたし。