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古典落語「死ぬなら今(しぬならいま)」

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古典落語「死ぬなら今(しぬならいま)」

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起承転結起承転結
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古典落語「死ぬなら今(しぬならいま)」

登場人物

 ケチ兵衛(寿命いくばくもない資産家)
 ケチ兵衛の息子
 親戚
 閻魔大王

遺言(起)

 仕事仲間からも吝い(しわい)と評判のケチ兵衛、他人などかえりみずに商売に励み一代で財産を成す。ひたすらに金儲けに励んだ人生も晩年を迎え、いまや床に伏せっている。自分の命もこれまでかと弱気になったのか息子を呼び、語りかけるケチ兵衛。「自分はもう長くない…あちこちから恨みを買うような人生を送ってきたから地獄行きは間違いないだろう。地獄の沙汰も金次第と言うから、棺桶に入ったら自分に小判を持たしてくれないか。」と息子に願いを託す。三途の川の渡し賃でも六文と言われているというのに、あろうことか小判を持参するつもりのケチ兵衛。息子は他ならぬ父親の頼みという事で「承知しました。万が一の事があった時には、百両でも二百両でも喜んで入れて差し上げます。」と約束をする。息子が快く承諾したのを聞いて安心するケチ兵衛。

三百両(承)

 ほどなくして亡くなるケチ兵衛、親戚一同を集めて葬儀が開かれる事となる。白装束となったケチ兵衛を前に、お線香をあげる参列者。肉親の不幸に悲しみに暮れる息子、生前に約束をしたからと三百両もの小判を用意する。その三百両をケチ兵衛に持たせようと準備を始めていると親戚から一体何事かと問われる、「…遺言だって?バカなことを言っちゃいけない、もったいない。通貨を死人と一緒に埋めてしまうなんて、そんな事したらあんたも地獄行きになるよ。」と止められる。「そうは言っても遺言は遺言、なんとか形だけでも成し遂げてあげられないだろうか?」と頭を抱える息子。「先日歌舞伎の芝居を見に行ったら、小道具の小判がえらく立派だった。ちょっと今から行ってあれを譲り受けてくるから、親父さんの遺言に使ったらどうかな。」と親戚から提案される。無事に芝居の小道具の偽小判、これを持たせてケチ兵衛を旅立たせる事となり葬儀を終える。

買収(転)

 あの世にてケチ兵衛、閻魔大王の前に連れてこられ今後の処遇を言い渡される事となる。鬼が「参考資料でございます」と言い、ケチ兵衛の過去の所業を映像で流す。そこには生き馬の目を抜くようなケチ兵衛の生き様が散見され、走馬灯と呼ぶにはなかなかにハードな内容がてんこ盛り。閻魔大王の顔も険しくなり「地獄行…」と言いかけたところで、閻魔の袖に小判を放り込むケチ兵衛。ケチ兵衛も閻魔大王もそれが偽の小判とは気づかず、互いにニッコリと微笑む。「…一代にして財産を成すというのも、耐え難い地獄の苦しみが既にあったであろう事は想像できる。」と一転してケチ兵衛の極楽行きが決定する。「ここでみた事はすべて忘れろ」と、口封じの為にその場に居合わせた者達にも小判を配るケチ兵衛。まさしく地獄の沙汰も金次第と言わんばかりの振る舞いをみせる。

取り締まり(結)

 ケチ兵衛の配った偽小判のおかげで地獄はインフレし好景気となる。鬼達もニコニコ顔で酒を酌み交わし、はたしてここが本当に地獄だったのかどうかわからなくなるほどの事態。しかし偽物が生んだ景気など長くは続かない、人の手を渡り多くの目にさらされるうちに小判が偽物だと気づかれてしまう。「偽小判は一体どこから??」と警察が偽通貨の根っこをたどっていくと、閻魔大王へと行き着く。通貨偽造、収賄…善人と悪人を裁く立場の閻魔大王に、なんと逮捕状が出る始末。閻魔大王の側近達も共犯者として芋づる式に検挙される展開となる。「偽小判の回収が終わるまで、地獄はしばらく好景気が続くだろうな。現世の方がよほど地獄だろう。」と噂がたつ。「地獄は逮捕者続出で開店休業状態ですから、消去法で極楽行きは確定しているようなもの、死ぬなら今ですね。」

※参考

吝い(しわい)
必要な出費を出し惜しむ様、ひと言であらわすとケチである。

生き馬の目を抜く(いきうまのめをぬく)
すばやく油断ならない様、悪知恵が働き非情である様子。

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起承転結

古典落語の大まかなあらすじを覚え書きとしてまとめていきます。ネタバレ有り、オチ記載有りなので注意されたし。