【生き地獄】タコ部屋からの生還【衝撃の実話】

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タコ部屋とは?

タコ部屋労働(タコべやろうどう)とは、主に戦前の北海道で、労働者をかなりの期間身体的に拘束して行われた非人間的環境下における過酷な肉体労働である。タコ労働ともよばれる。

タコ部屋労働で使役された労働者をタコと呼び、タコを監禁したいわゆる土工部屋はタコ部屋・監獄部屋・人夫部屋ともよばれた[1]。タコ部屋はタコ部屋労働環境そのものを意味することもあった。類似した状況は九州の炭田地帯にも見られ、納屋制度と呼ばれていた。強制労働の一種であり、現代の日本では労働基準法第5条によりタコ部屋労働は禁止されている。

出典:タコ部屋労働 - Wikipedia

	
2chに投稿されたものです。

じぶん、タコ部屋から逃亡してきました。

安い賃金で無理矢理強制労働をさせて、言う事を聞かないと殴る蹴るの暴行……

そこで、当時の事を再現して書きます。

私が上野でブラブラしてた時の事です(当時無職)

1: 私事ですが名無しです:04/05/14 23:18 ID:VMeBdeLZ
おじさんがニコニコ笑いながら「君仕事してるのか?」と話しかけてきました。


「してませんが……」


「良い仕事があるんだけどどうかな?軽作業だよ。給料は三月契約で100万だすよ。但し住み込みが条件だけど」


「お願いします」


「明日の十四時に北千住の駅に迎えに行くから」


この後に地獄が待って居るとは、誰が想像できただろう。

北千住で落合った後は、おじさんが家で美味い者を御馳走するとの事でした。


飲んで食べた後に猛烈な眠気に……


気がついたら車の中でした。


「何処まで行くのですか?」


「心配いらないよ。住み込む仕事場に直行してるんだ。まあ、コーヒーでも飲めよ」


今思えばコーヒーになんらかの薬が……気が付くのが遅過ぎた……


もうここまできたら仕方ないので流れのままに。


再び眠りから覚めると、見た事も無いような、山の中に。


案内されたところは、重機が置いてある工事現場だった。


まず監督と現場責任者を紹介される。


……どこから見てもヤクザだ。


監督「おまえら明日から仕事だが、能率が悪いやつは鉄拳制裁だからな。その前に、おまえらが今日から寝泊りする所を案内する」


寮という所を見て愕然とした。


半分腐りかけた家で、斜めに傾いてるし、床の隙間から不気味な虫が這いずり回る。


気がつくとトイレが無いので聞いてみたが……


監督「トイレは外に穴を掘ってるだろ。それと布団だ」


……布団は半分腐りかけみたいに真っ黒で、異臭がした……


監督「おまえら明日は四時三十分起床だからゆっくり寝ろ」


十帖程のほったて小屋に六人のおじさん達が居た。


僕はこれからどうなるんだろう?やがて不安は現実に……


次の日にそれは起こった。


監督に案内されて連れて行かれた部屋には、見たこともないような機材が沢山あり、床には何かの計画書のようなものがあった。


目に付いた物を拾って見てみようとしたのですが、監督に止められました。


なんかあまり眠れないままに朝の四時三十分になりました。

突然ドアを蹴る音が……

「おまえら何時まで寝てるんだ。早く仕度しろ!」


怒号と共に頑強な男が三人玄関に、手には金属バットを持ってます。


「おまえらついて来い!もたもたするな」


暫らく歩くと、結構小奇麗な小屋の前に到着。


「中に入れ!もたもたするな」


そこには朝食らしき物が用意されていた。


タイ米と麦をミックスしたみたいな不味いご飯。


大根の葉っぱが入ってる薄い味噌汁と、得体の知れない魚の身。


「食事の時間は十五分とする。おまえらは日没まで働くから食え」


そして、現場に到着した。


主な仕事は、穴を掘ったり、木を伐採したい、石を運ぶ重労働だ(体が心配だ)


仕事は休み無く午後二時まで続けられた……


そしてまたヤクザの怒号が響きわたる。


「おいお前ら、食事の時間だ」


食事をみて愕然とする。


なにも入ってないパンとお碗にスープみたいな物が透明なスープに、その辺で生えてるような草が入ってる。


一口飲んでみた。


ペッ!塩辛くて飲めた代物ではない。


どうやら海水を素のまま温めたみたいだ(海の近くみたいだ)


変な物を飲んだら無性に喉が渇いて仕方がない。


「すいません……お水貰えますか」


小林というチンピラ風の男が言う。


「あんちゃん水か?水は一杯500円だ。饅頭もあるぞ2000円だ。タバコ、酒、ティッシュなどオール1000円だ」


「それって高いですね」


「これは買物手数料込みだ。文句あるか」


仕方ないので水を一杯頼んで飲んだ。


そして作業は日没まで続いて行く。辺りが見えなくなると終了です。


夕食はカレーらしい?


カレー粉を溶かしたヤツに山菜と魚の切り身が入ってる。


一口食べてみたが、不味くて食えた代物じゃない。


でも、生延びる為に食べるしかないのか……


そうだ。回りのおじさんに話しを聞いてみるか。


「すいませんが聞きたい事があります」


「なんだね」


「ここはどんな所なんですか?」


「……」


「教えてくださいよ」


「ここはタコ部屋じゃよ」


「タコ部屋ってなんですか?」


「知らない事が幸福な時もある」


聞きたい事は山程あるけど、聞いても無駄みたいだ。


そして僕は辺りを見回した。


みんな死んだみたいに動かない。


疲れ果てて動けないのか?


その中で一人の男が唸ってた。


見てみると顔面が血だらけだ。(田島さん)


作業の途中に逃亡未遂で半殺しにされたみたいだ。


突然ドアを蹴る音と共に、例の小林が現れた。


「お前ら、仕事さぼったり逃亡すると、そこのヤツみたいになるぞ」


「おい田島!忘れ物だ」


投げ捨てた物を見てみると、なんと歯が三本だった。


大変な場所に連れてこられたみたいだ。とりあえず横になるが、不安と絶望でなかなか寝れない……


横になってると猛烈に腹痛が。昼間食べた物が悪いのか?


仕方ないのでトイレに行く事にする。


そうだ、トイレに行く序に辺りを探検するか。


外に出てみたが、回りは木が生い茂り回り、なにも見えない。


そうしたら僕の後ろで一人の男が声をかけてきた。


「夜中に出歩くと野犬に襲われるぞ。それにヤツ等に見つかると半殺しにされる。俺も逃亡経路を探ってみたんだが、北は崖、南は藪の中、東は見張りが居る時がある。唯一西はなにも無いが、鉄線が張り巡らしてるぞ。ここで生延びるには、決められた期間我慢する事だ。まぁ給料は期待しない方が良いぞ。給料がマイナスになるヤツがほとんどだからな」


今夜は仕方なく寝るとするか……


部屋に戻ると、田島さんが苦しそうに唸ってる。


でも、僕にはどうする事もできない。


部屋に戻り三十分程経過した頃だろうか、突然ドアを激しく蹴る音が。


小林だ。


「おい!おまえら、酒とタバコと色本だ。酒とタバコ等は1000円。色本は3000円だ。それとカップラーメンもあるぞ。2000円だ」


カップラーメン……唯一まともな食事だ。


栄養価値も高いし、生延びるには必要かもしれない。


でも、2000円……迷う……


そのうちの二人が酒を購入した。ラーメンも一人。


僕も辛抱できないで、ラーメンと水を購入した。


これで本日の出費は3000円か……どうなる事だろう。


そして深い眠りについた。このまま永遠に眠りたい気分だ。


みんなは起床したのだが、田島さんがまだ起きてこない。


小林が田島さんの方へ歩み寄り、頭をガンガン蹴る。


「こらお前、何時まで寝てるんだ。蹴り殺されたいのか」


そして食事の為に、別室に連行される僕達。


今日の朝ご飯はワカメの味噌汁とタマゴだった。


口の中が切れて食事をまともに食べれない田島さんに、容赦なく蹴りが入る。


泣いて謝る田島さん。


そして仕事開始だ……


仕事を始めたのは良いけれど、午後二時までの時間が長い。


結構暑いので喉が渇き、水を二杯購入した。


高いけれど大ジョッキ位あるのが救いだ。


過酷な仕事をなんとかこなして、そして午後二時に。


お昼の食事はカツみたいだ。なんのカツだろうか?


油が多過ぎで美味しくない。食べた事がある味だから少し安心。


スープといえば昨日の海水みたいなスープだ。辺りを見回してそっと捨てた。


重労働のせいか喉が渇く。仕方ないので水を購入した。水二杯で1000円也。


甘い物を食べないと体がもたないので、饅頭も購入した。


嬉しい事に饅頭は二個セットだったので助かる。


この計算なら一日4000円位の出費だ。


100万を三ヶ月で割ると充分にお釣りがくる計算だが……


その計算方法が大誤算だったと言う事が給料日にわかる。


※これは後ほど書きたいと思う。


さて、食事も終了した事だし、仕事再開だが、アクシデント発生。


田島さんが倒れたのだ。


駆け寄る監督。


監督「なにさぼってんだ。お、殴られたいのか」


暫らくの沈黙の後に「おまえらちょっと来いよ」と怒号が


監督「このおっさんを運ぶから手伝え」


顔面蒼白の田島さんの顔が、ハアハア肩で呼吸してる。


監督「死なれたら金にならねぇしな、保険もかけてないし」


監督が小林に田島さんを引き渡す。


無事なら良いけど、人が死ぬ所なんて見たくないものだ。


やがて日没になり仕事も終わりに……


寮に帰ると田島さんが寝てた。昼間の時に比べたら大分良いみたいだ。


「田島さんどうですか?」


僕が側に行くと、「お願があるんだが、痛みで寝れないので、酒を御馳走してくれ」と言う。


酒か……1000円の出費だけど……一瞬考えこんだ僕だけど


「うん、良いですよ。飲んで早く元気になってくださいね」


田島さんの目から涙がぼろぼろとこぼれる。


やがてドアを蹴る音がした(なにも蹴る事ないのにと心で思う)


小林「おまえら飯の時間だ。今日の飯は鍋だ。喜べ」


水と、具が入ってる袋を投げ捨てる。


「鍋は押入れの中にあるだろ」


押入れの中から鍋を取り出すと、黒い変な物体がこびり付いてた。


「鍋は洗うところないのですか?」


「食えるだけ有難いと思え ぶっ殺すぞ」


仕方なく水を少し入れて鍋を濯いだ。


袋を開けて見ると、春菊、蓬などと見た事もない野菜が(全部青物だ)


一応肉が入っていたけれど、よくトラックで運搬してる油脂に使うような油だらけの肉だ。それに臭い。それでも生きる為に食べないといけないのか……


なんか自分が情けなくなり、泣きたくなってきた。


無性に怒りが込み上げてきたが、今更どうする事もできない。


行方不明のほとんどは、こんな飯場に連行されたり女性なら外国へ売られたりすると聞いた事がある。


単なる都市伝説かもしれないが、有り得ない事はないと思った。


アメリカ辺りは日常茶飯事だし、日本でも迷宮入りの死体も……


食事も終わりゆったりしてるところに、またドアを蹴る音が。


今度はドンドンドンドンと激しく蹴り続けてる。


あわててドアを開けると小林がいた。


「俺様が来てるのに早くドア開けろや!ボンクラ共。おまえら買物の時間だ。好きな物買えよ」


「すいません酒を一つ貰えますか」


「おっ、あんちゃん酒飲めるのか?わははははは」


「十本でも百本でも買えよ 今日はツマミもあるぞ」


「いえ、酒だけで結構ですよ」


小林「遠慮するなよ がはははは、他になんか買えや」


僕「では、水をお願いします」


小林「あんちゃん。ケチ臭い事言うなよ、ツマミ2000円を1000円にするから買え」


断ると機嫌が悪くなりそうなので、仕方なくツマミを購入。


パチンコの余りの景品みたいな、ツマミだった。


そろそろ食べ物は悲惨さとか充分伝わったみたいなので、省略して次に話しを進めたいと思います。

次の日の仕事

田島さんはまだ無理そうだが、どうなるのだろう。朝からまた小林はドアを蹴りまくりやって来た。


また、だるい一日が続くと思うと気が重い。


田島さんは今日は仕事に出ないみたいだ(出れないのかも?)


そして次の日も田島さんは休みに。


田島さんは連続で休みなのか?これで体が完治してくれたら。


僕はさりげなく他の人に尋ねてみた。


名前は山ちゃんと呼ばれてるらしい。


「二日休んで良く無事ですね」


「ああ、休みたいなら休ませてくれるぞ」


「本当ですか?僕も明日休みたいな」


「お前知らないのか?休むとどうなるのか」


「ハァ?どうなるんですか」


「早退は、マイナス5万円。欠勤はマイナス10万円だぞ。給料はマイナスになるぞ。マイナスには利子が付くからな」

翌日田島さんが消えた・・・。

後から聞いた話だが、小林と話し合ったらしい。


それを再現してみるとする(あくまでも予想だけど)


小林「おう田島!お前この仕事に向いてないよな」


田島「そうかもしれません。力仕事は苦手なんです」


小林「お前さ、身元はしっかりしてるのかよ」


田島「身元と言うと?なんですか」


小林「住民票とかあるのか?」


田島「はい。あります」


小林「お前の給料はマイナス50万に膨れ上がったぞ」


田島「はい。頑張ります」


小林「お前さ、結婚してるのか?」


田島「独身ですが」


小林「お前中国とか行く気ないか」


と、こんな感じ。(詳しい事はわかりませんが)


つまり、外国人と偽結婚して戸籍を売られる。腎臓を片方売られるなど……


一応聞いたのですよ小林に。


田島は旅行の仕事に飛ばした、と。


話しの途中ですが、田島さんは死んだと思う人もいますね。


普通に予想すればそうですが……


田島さんは、顔面血だらけで、歯が三本程折れました。


殴られて確かにダメージはあるのですが、死に至るまでのダメージではない。


もしも、余力を貯める為に、死んだふりしてたとしたら……


仮病を使い、昼間だれも居なくなるのを待って逃亡したとしたら……


本当の所は、僕もわからないのですよ。


でも、旅行の仕事に出たと言うのが、負け惜しみかも……そんな可能性もあります。


小林がその後に言ってた言葉が思いだされます。


「おまえら、もしも逃亡が発覚したら、足の親指切断するぞ。教えてやるよ。足の親指を切断したらバランスが取れなくて走っても転ぶぞ」


本当のところは、田島さんはどうなったのか知らないが、何処かで生きていると信じたい。


そして相変わらずの日々が続く……そして……


明日は待ちに待った給料日だが、ほとんど期待はしてないけど、マイナスがないように祈るばかりだ。


そして日没で仕事も終わる。


何時ものようにドアをドンドンと蹴る音がする。


何時もは大嫌いな音も期待と不安が入り混じる。


小林「お~し、おまえら、今日は楽しい日だ。そして明日休みにする」


寮の中から歓声があがる。小林は袋の中から封筒を取り出す。


「おまえらの給料だ。順番に取りに来い」


話しの前に給料の明細をお知らせします。


給料330,000円

税金10%マイナス33,000=297,000円

部屋代2,000×30=60,000円

食事代2,000×30=60,000円

作業道具及び作業着レンタル500×26=13,000

寮雑費10,000円

購入費105,000円

給料残 49,000円


意外に残ってるので驚いた。同時に安堵感が。


でも、僕はまだ良い方だが、酒を飲んでる鈴木さんはマイナス60,000円の給料だった。


給料がある人間は現金で貰い、マイナスの人間は借用書を書かされる。


マイナスの人間は利子が付いて十日で一割だそうだ。


それだけで月にマイナス18,000円になる。恐ろしいシステムだ。

それでは話しを戻します。

今日は何故か?小林は機嫌が大変良いみたいだ。


小林「君達い~給料がマイナスの人間も居るが、諦めるな。今日は楽しい日だ。俺も鬼じゃないからな、わはは。君達の為に、特上のカルビと生ビールを用意した。女も用意してるぞ料金は全部込みで四万円だ」


僕は嫌な予感がするので、丁重に断るが、小林の顔色が変化。みるみる怒りの顔になった。


「聞えない。もう一度言え!殺されたいなら」


僕は回りの人間の事も考慮して、しぶしぶお金を払う。鈴木さんとか給料マイナスの為に借用書を書いていた。


肉はそこそこの肉だが、ビールは缶入りの生だった。


「おまえらの為に女を用意した。好きにしろ。そして、明後日からまた仕事に励め!以上」


そこで鈴木さんが口を開く。


「俺はもう人生捨ててるわい。好きな酒を飲めて月に一度女を抱けれたら思い残す事はない」


月に一度酒を飲めて、肉と女……これだけでこの地に踏みとどまるヤツが居るみたいだ。信じられない話しだが。


そして女が登場する。


この後僕は絶句する事になる。


年の頃は四〇代後半から五〇才位だろうか?もっと行ってるかもしれない。自分の母親よりも上かもしれない。


そんな事は夢にも考えられない。悪夢をみてるみたいだ。


僕はたまらず絶句した。しかもガリガリに痩せて(40キロ無いかも)目だけが異常にギラギラとしてる。


意味不明な言葉を口にして、ニヤリと笑う。


笑った口元を見ると歯がボロボロで黒い。しかも顔に無数のイボみたいな物が


女が口を開く……


「あんた達……極楽浄土にいきんしゃい」


どこの方言だろうか?かなりの鈍りだ。


「若い兄ちゃん……あんたから」


「あ、あの僕は腹痛でトイレに行ってきます」


「遠慮せんと、ほらほら」


手をぐいぐい引張られます。


「ほ、本当に腹が痛いのです」


なんとかごまかすが、そこで一人の志願者が現れた。


鈴木「わしがお先にお願いします」


とりあえず助かったみたいだ。鈴木さんに感謝する。


鈴木「お前達、気をきかせて外にでろ」


これからおこるであろう地獄の様な光景を想像すると……


それはそうだ。自分の母より年の女の人と経験する人なんて。


鈴木さんに続いて他の人達も次々と……


一時間位経過しただろうか、女の人は部屋からでてきた。


部屋に一歩足を踏み入れたら、この世の物とも思えない異臭が……


僕はえずくのを我慢して外に飛び出した。


来月もこんな事が続くのであろうか、僕の精神は破壊寸前だった。


みんなが酔って寝てる間に、付近を探索してみるか。


逃亡するにしても、付近の事を知らないとどうにもならないし。


みんなが寝静まった頃に、付近を探索してみた。


辺りは暗くてなにも見えない。


手探りで少し歩いてみたけど、ただ一面の森みたいな感じだ。


一時間程探索したがなにも成果がない。


明日は休みなのでゆっくり寝るとするか。

そして翌朝

……ここからまた地獄が始まるとは。


今日は休みのはずなのにドアを激しく蹴る音がした。


小林「おい。おまえら起きろ」


山ちゃん「なんですか?今日は仕事休みのはずです」


小林「おまえら退屈だろ、今日は休みだから金を増やす方法を伝授だ」


山ちゃん「はぁ……またですか……もう勘弁してくださいよ」


小林「あ?なんだ。その口のきき方は、半殺しにされたいのか」


山ちゃん「もう博打は勘弁してくださいよ」


小林「おまえら根性がないな、金を増やしたくないのか」


庄田「あんたの博打はおかしいよ」


小林「うるせぇ黙ってろよ!」


そして小林はサイコロを……


みんな同じ条件なのに小林がサイコロを振るとよくピンゾロとかでる。


小林「がははは、今日も俺の一人勝ちだな、おまえら弱いよ実際」


庄田「そりゃインチキサイコロだから強いはずだ」


小林「てめぇ!もう一度言ってみろよ」


小林は側にあったビール瓶で、庄田さんの頭を殴る。(小林は朝からビールを飲んでいた。もちろん僕たちは無い)


グェ~と転げ回る庄田さん、むふおぐご~(意味不明の雄叫びをあげる庄田さん)


庄田さんは狂ったように小林に殴りかかる。


ボコボコに殴られる小林。


しかし小林が持ってきた鉄パイプで一撃を食らう。


結局、庄田さんはボコボコにされた……


小林「庄田!てめぇ覚悟しとけよ!首洗って待ってろ」


そして一時間後……


180cm100キロはある男と再び部屋に、青ざめて震えてる庄田さん。


小林「よ~し、これから余興の始まりだ。今後の為におまえらもよ~く見てろ」


庄田さんの手をヒモみたいな物で縛る小林。


小林「おまえらついてこい」


みんなは外へ出る。大きな男は手にロープみたいな物を持ってる。これからなにが起こるのだろう?まさか……


そして大きな木の前でロープを解く。


庄田さんは手を後にされて木に括り付けられた。


内心ほっとした。もしかして首吊りを想像してたからだ。


そして足は揃えたままで、グルグル巻きにされる庄田さん。


小林は笑いながらバックの中をごぞごそと、ナイフを取り出す。


そして庄田さんの服を切る。


小林「お前の粗末な物を切り落とすか……ははは」


庄田「そ それだけは許してください。なんでもします」


小林「なんでもするのか、ならこれを耐えろ」


小林はバックからチャッカマンを取り出すと、笑いながら庄田さんの陰毛と脇毛を燃やす。


庄田「あちちち 助けてください」


小林「お前なんでもするんだろ これくらい耐えろよ」


小林「熱いか なら止めてやるよ 火あぶりはな」


庄田「あうううう~もう止めろ」


そして……


小林「こんな物で済むと思うなよ 俺様に手をあげた罪は大きいぞ」


今度はバックからペンチを取り出した。


小林「俺は親切な男だ。お前に虫歯があるから俺が抜いてやる」


そしてそのペンチで庄田さんの前歯を抜く。


グェェェェ~~庄田さんの叫びがあたり一面に響く。


庄田さんは失禁して、気絶した。


小林「おまえら誰か 風呂に貯めてる水をバケツでもってこい」


それを庄田さんにぶっかける。庄田さんは目を覚ました。


今度はバックから味醂と蜂蜜を取り出した。


みりん……一体なんに使うのだろう?


季節は言ってなかったが、今は初夏だ。


小林は笑いながら味醂を庄田さんにぶっかけて、蜂蜜を下半身に垂らした。


小林「おまえら三時間後に集合 面白い物がみれるぞ」


そして三時間後……


目の前に信じられない光景が、そこにはこの世の地獄のような光景が。


庄田さんの全身を這い回る無数の虫が、どうしてこんなに虫がくるのだろう?


あっそうだ。味醂だ。味醂と蜂蜜の甘い香りに誘われてきたのだ。


そして……


今日は日曜日だ。小林の親方も暇つぶしと称してやってきた。


親方「おい。なんだこの光景は」


小林「はい。こいつが生意気にも俺を殴ったからみせしめに」


親方「お前素人に殴られたのかよ」


小林「つい油断してました」


親方は持っていたステッキで小林をバンバン殴る。


ひたすら謝る小林


親方「お前やり過ぎだ。怪我させたら使い物にならなくなるだろ」


小林「すいません、すいません」


親方「こいつ等は商品なんだぞ 商品になるべく傷つけるな」


親方「それと、人が少なくなったから、二人程手配するように言え」


そして……


開放された庄田さんですが、その状態は悲惨なものでした。


水をかけられたら、ほとんどの虫は逃げましたが、体にへばり付いてる虫も、雀蜂に刺されないだけ良かったのかも。


蚊の大群と蜂 おまけに百足みたいな虫に刺されて全身ブツブツで、目なんて開けれない状態でした。


開放されてからの庄田さんの様子が少しおかしい?


ぶつぶつ言ってみたり、突然笑い、泣いたり。


人は極限状態に追い詰められると、精神に異常をきたすらしい。


話しを戻す前に、少し説明すると_どうして、庄田さんは小林に殴りかかったのか?


普通に考えると無謀な事かもしれないが、現場で働く人は以外と、無謀な人が多いかもしれない。


普段は大人しいのに、酒が入ると暴れたりする人も。


なにをりも博打になると、後先考えないで暴走する人も居る。


イカサマで自分の金を巻き上げられたら、殴りたい気持もわかるが……


それにしても酷い仕打ちだ。同じ人間と思えない。


でも最近の事件は、笑いながら殺したり、自分の子供までも殺す事件が本当に痛ましい世の中だ。


やってる人間は感覚が麻痺してるのだろうか?


やってる方の人間は、同じ事をされたらどうするんだろう。


話しは少し横道に反れましたが、でも庄田さんには悪いが、得たものは大きい。


それは小林が結構弱いと言う事実が。


これだけでも大きい収穫。


庄田さんは160cmあるかないか、結構痩せ型で弱そうな雰囲気。


実際には肉体労働で鍛えてるから、そこそこ強いのかも?


その庄田さんに一瞬でも、のされた小林。


鉄パイプがないと形勢的に、庄田さんの勝利だったかもしれない。


そして……


庄田さんが唸ってる。僕はそっと庄田さんを見てみた。


全身を掻きむしり、体から水みたいな物が出てた。


一応小林は、虫刺されの軟膏みたいな物を置いて行く。


時間が短時間なのがせめてもの救いだろう。もしも半日放置してたら……


翌日、庄田さんは全身痒くて仕事はできないと言う。


そして朝……いつものようにドアを激しく蹴る音が。


小林「おまえら仕度したのかよ ちんたらするなよ」


庄田「すいません すいません 今日は痒くて仕事無理です」


小林は庄田さんを睨み、ペッと唾を吐いた。


小林「休むのは勝手だが5万円と、軟膏代1万円払えよ」


なんと言う鬼畜だろう。自分で原因作ったのに軟膏代はないだろう。


あまりにも庄田さんが可哀相なので、みんなで5千円ずつカンパする提案を。


僕「みんなで庄田さんの為に寄付しませんか」


山ちゃん「ああええよ」


六人目の男「いいさ」


鈴木「わしは嫌だ。自分の事で精一杯だ。人に寄付する金があるなら酒を飲む」


この人になにを言っても無駄だろう。放っとく事にした。

これは余談だが……

なんか 鈴木さんが困った顔をしてる。


「陰部がなんか変なんだわ」


「変って?どうしたんですか」


「よくわからないが、痛痒いんだわ」


僕は絶対に見たくないと思ったけれど、仕方なく見た。


赤くただれて、白いボツボツが陰部に多数ある。

僕「それは病気ですよ」


「はぁん?病気……」


恐らく極楽浄土の女の人に貰ったんだろう。他の人はゴムを購入してたから大丈夫みたいだ。


鈴木さんはそんな金を払うなら酒を飲むと言ってた。


鈴木さんは自分勝手で、本当に頼りにならない人だ。


この時点で脱走を企てたらどうなるんだろうか?シュミレートしてみる。


まず 庄田さん 結構頼りになると思うが、心の傷が問題。


鈴木さん……まるで頼りにならない。問題外だ。


山ちゃん……小心者でとても脱走の話しなど持ち掛けられない。


六人目の男……居るのか居ないのかわからない存在感の人。期待できない。


脱走を決行するにしても、情報が少な過ぎる。


でも行動を起さないと、一生こんな所で埋もれる理由にいかない。


結局単独行動か、庄田さんの回復待ちになる。


鈴木さんは頼りになるどころか要注意人物かもしれない。


田島さんの脱走を密告したのも彼らしい(のちに酒を三本貰ったらしい)


山ちゃんがそんな事を呟いていた。


そして……


田島さんの穴を埋めるべく。あらたに二人が。


一人は一週間後にきたが、これが全く使えない。


現状を理解しないで、帰りたい帰りたいの繰り帰しだ。


結構お金持ちのぼんぼんみたいな感じがする。


連絡しないとママが心配するよ。お金払うから帰れないかと呟く。


その一部のやりとりを再現すると


「ごめんなさい。もうう体が動きません 帰してください」


「はぁ?お前なに寝ぼけた事を言ってんだ」


「家は金持ちだから、お金は払います」


「そんな問題じゃねぇよ 一人を帰したら士気が下がるだろ」


「今日は調子が悪いので、休みに」


「そうか わかった。お前は金持ちだろ マイナス15万だな」


「そんなの聞いてませんよ」


「うるせぇぶっ殺すぞ つべこべ言うな」


青木さんはその場で叩きのめされた。


そして唾をペッと吐かれて、驚くことに小林は、叩きのめされて地面にうずくまる青木さんに頭から小便をかけた。


「俺はお前みたいな野郎が、一番嫌いなんだよ」


そして全ての虐めの対象は、青木さんに移る。


誰かがストレス発散の犠牲になる。それが青木さんに。


不謹慎だと思うが、内心喜んだ(自分に矛先が向かないので)


人間としていけない事かもしれないが、誰でも心にあると。


そう言って無理に自分を納得させたが……


そしてもう一人、一週間後にやってきた。


結構使えそうな人物だ(後に脱走のキーマンになる男)名前は川口さんだ。


青木さんは二〇代後半、川口さんは三〇前半みたいだ。


川口さんはありとあらゆる薬を経験して、普通の薬は効かないそうだ。


出された物を飲んだら、変な薬と気がついたと言う。僕は熟睡したけど、川口さんは半分寝たふりをしてたらしい。


川口さんの場合は借金が100万あり、三月働けばチャラにすると言われて来た。


川口さんは色んな飯場とか経験済みみたいで、なんとも心強い。


送迎人から(引き渡す人)小林二人組に引き渡し、そのままここに直行したらしい。都合が良い事に、今日は休みの日だ。


僕の場合は監督の所に直接案内され荷物検査を受けたからだ。


川口さんは到着してから、直ぐにトイレと外に出た。


重要な荷物を隠す為に(なんと頭がきれる人だろう)


「川口さん 半分起きてたんですか?」


「寝てたけど途中で目が覚めて、寝たふりしてたよ」


「そうなんですか 一つ質問して良いですか?」


「ああ なんだ」


「ここは海の近くでしょうか」


「ん?海ではないぞ 多分な、潮の香りはしないし」


「どこなんですかね」


「俺の予想だと、南関東辺りだな」


「南関東って何処の辺りですか?」


「長野 山梨 静岡辺りだろ」


「ありがとうございます」


僕は何処か海の近くだと思ってたが、どうやら違うらしい。


では、あの生臭い海水みたいなスープは、あのワカメと魚はなんだろう。


もしかして、海の近くに居るみたいな偽造工作なのか?


南関東……そう遠くはないな、南関東なら以外と簡単に脱出できるかも。僕は関東だからと楽観してたが……


聞いた話では相当厳しいらしい。まず冬は絶対山越えは無理らしい。


話しを聞いたら決断が鈍る……


「正直脱出の可能性はどれくらいですか 難しいのでしょうか」


「簡単と言えば簡単だ。難しいと言えば難しい」


「ハァ?どう言う事ですか」


「道に沿って迷わないで辿りついたら直ぐだ」


「しかし……」


「しかし?なんですか」


「例えばここが静岡とか長野だとする。道を間違わないなら良いが方向を少しでも間違うと死に直結するんだ。なぜかと言えば、山は本当に怖い所だ。よく遭難とか聞くだろ 山を登って下れば町に出ると思ったら大間違いだ。


登って下ってもまた山が果てしなく続く。景色も同じだし 険しくて方向転換を余儀なくされる。富士の樹海に迷いこんだら、出てなくなるのと同じだ。それに蛇に噛まれたり、怪我をする可能生もあるんだ。


夜になればもっと危険だ。最低限たいまつと、食糧 寝袋は必要だ。それとサバイバルを生き抜く道具と、精神力だ。生半可な気持で山を下りるなら、野垂れ死にする」


「ありがとうございます 勉強になりました」


本当にこの人はすごい。僕は何度か脱出を考えたけれど、もしも聞いてなければこの世にいないかもしれない。

それでは話しを戻すと……

庄田さんは一命は取りとめたみたいだ。でも精神的におかしい。


一応山の中なので、虫はたまに飛んでくるが、虫を見ると庄田さんは叫び声をあげて、部屋の片隅で震える。


可哀相だけど、夜中に何度も叫び声をあげられたらたまらないが、庄田さんの全身の腫れも大分引いたみたいだが、かさぶたになり後は残るみたいだ。これからの人生は大変みたいだ。


そして次の朝が……


相変わらず小林はドアをドンドンと叩く。


「おまえら仕度はできたのかよ」


「庄田 今日は大丈夫だろうな、それと青木 ちょっとこっち来い」


「なんですか?」


「お前この前トイレに行って、十五分も帰って来なかったそうだな」


「あれは腹が痛くて」


「いいわけするな、今度からトイレは五分以内にしろ」


「そ、それは無理ですよ」


「うるせぇ言われた事を黙って実行しろ」


青木さんに、小林の往復ビンタと蹴りが飛ぶ。


と、川口さんが口を開く。


「おいおい。その辺にしといてやれよ」


「あ?てめえはなんだよ 俺に意見するのか」


「そうじゃない。やり過ぎなんだよボケ」


「お前殴られたいのか ぶっ殺すぞ」


「やれるもんなら、やってみろよ」


「俺は天涯孤独の身だ。生きるも死ぬも関係ない」


「失う物など何も無い。お前と刺し違えて死んでやるさ」


「……」


そして翌日から小林は、金属バットを常に携帯するようになる。


なんという小心者なんだろう。道具がないとなにも出来ないのかそれとも、川口さんを怖がってるのだろうか


暫らく一触即発の状態が続いたが、何事もなく過ぎていく。


なんか青木さんが妙にウキウキしてる。どうしたんだろう?


そうだ。今日は給料日だ。(青木さんは給料の実体をまだ知らない)


「青木さん 妙に浮かれてますね」


「そりゃそうだ。今日で借金がチャラになるから帰れる」


「一ヶ月の約束だからね お前も精々頑張れよ」


青木さんは帰れると思ってるのだろうか?


それでは、どうして青木さんが、この飯場に来たのか経緯を書こう。


みなさんは驚くかもしれないが、裏の世界では当たり前のような話しだ。


青木さんは三十三歳。今まで仕事の経験は全くないそうだ。


なんでも親が金持ちで、毎日小遣いを貰ってふらふらしてるらしい。


3万円持ってパチンコに行ったそうだが、一時間足らずでマイナス2万円。


自称パチプロ&マージャンプロ。


このマイナスはマージャンで取り戻すと、雀荘へ行く青木さん。


何気に入った雀荘は、人の良さそうなおじさん達が……


雀荘のおじさん「おっ君 いまここが空くからどうぞ」


しかし1万円は二十分足らずで消えることになる。


青木「もう持ち合わせがないから帰ります」


男「折角来たんだからツケでも、なんなら俺が貸してやる」


青木「えっ!? 良いんですか 助かります」


しかし青木さんはマイナス10万の負債を背負う事になる。


青木「すいません お金を取りに戻ってきます」


男「君の家は近くなのかい」


青木「いえ 結構遠いです」


男「そんなのは何時でも良いよ 折角親しくなれたんだから」


青木「ありがとうございます 明日持ってきます」


青木さんは家に10万円を取りに帰る。


生憎親は、海外旅行に行ってたが息子の為に半月分のお金を10万円残してた。


青木「これを全部払ったら明日からキツイな、でも仕方ないな」


そして男達が待つ雀荘へ向う青木さん


青木「すいません 約束の10万を持ってきました」


男「ついでの時で良いのに…………」


そして10万円返却する青木さん。


男「どうせ勝った金だから、半分返すから遊んでいくかい」


青木「半分って5万円ですか」


男「勿論だよ」


青木さんは、この前はついてなかったから挽回のチャンスかもと思った。


そして半日が過ぎた……


イカサマでもしてるのだろうか?青木さんの負けは再び15万の負け。


手持ちの5万と合わせて15万の負けだ。


青木「すいません 今手持ちがないから一週間程待って貰えますか」


男「あ、一週間とはなんだよ そんなに待てないな」


青木「なら明日中に持ってきます」


男「だめだめ 今日中に持って来い。十一時まで待つから」


今はもう夜の九時だ。勿論サラ金も銀行も閉ってる。友達に借りるにしても、二時間では不可能だ。


青木「そんなの無理ですよ。だって何時でも良いと言ってたじゃないですか」


男「お前が一週間とか言うからだ。ずうずうしいにも程がある。俺が待ってやると言えば別だがな。おう。お前なめとんのか!とりあえず借用書を書けや」


なんと青木さんは、脅されて借用書を書いたらしい。


男「この借用書を何処に回すかな、場合によっては、お前腎臓を一つ取られるぞ」


青木「そんな勘弁してくださいよ」


男「なら俺の知合いの所で一月働けや。借金はチャラでプラス20万だ」


そんな理由で青木さんは来たのだった。

そしてパーティが始まる……

なんと今日は寿司と焼酎を持ってきたらしい(あてにはしてないが)


そして、驚く事に女性は二〇代の女性が来るそうだ。


極楽浄土おばさんで痛い目にあったので、信用できないが……


聞く所によるとエフカップだそうだ。


聞いてはないが小林が勝手に喋る。


エフカップと聞いたらみんなの目の色が違う。やっぱりみんな男なんだな。


そして小林と女が登場。


みんな一同におお~と歓喜をあげる。


そこには、今くるよを二十歳位若くした女が立っていた。


みんなの目はFカップに釘つけだ。


僕は思ったがFで若いならなんでも良いのだろうか。


そして……


小林が吐き捨てる。おまえ等高級寿司だ。感謝しろよ。


でも、寿司を見れば、変色した回る寿司よりお粗末な代物だ。


でもみんな、久々の御馳走に心が踊るみたいでした。


ここで事件発生。


ウニとイクラが三個ずつあったのだが、鈴木さんがウニを二個一気に食べた。


そして鈴木さんがイクラに手をかけた瞬間。


山ちゃん「おい鈴木 お前だけ美味しい物を食べるな」


鈴木「ば~か 早いもの勝ちだ。遅いくせにガタガタ言うなよ」


山ちゃんが、飲んでた焼酎を鈴木さんにぶっ掛ける。


鈴木「山!お前表に出ろ」


川口「おまえら、いい加減にしろよ 今日は楽しい宴会だろ」


川口さんの一言でみんな大人しくなる。宴も後半に突入した。飲んだ後の次の感心は女だ。


鈴木さんが先陣を切ったのですが……五分後


女「きゃ~なにこれ あんたダメダメできないよ」


鈴木「そんな事言うな、付けるから」


女「ダメなものはダメ 気持悪い」


鈴木「なんだと、気持悪いだと……」


女「誰か来てよ」


僕が行ってみると、陰部を丸出しにした鈴木さんが……


その陰部を見て天を仰いだ……おおぉなんと言う事だ。


その陰部を見てみると、紅天狗茸とマイタケをミックスしたみたいな代物が……


その後にみんなにボロクソに。


一同「お前病気 無理 お前やったら俺達まで移るだろ」


そして宴は過ぎていく。


そして……


久々の女にみんな獣のように雄叫びを……


流石に若い女だ。みんなは秒殺された。


青木さんは侵入の前に暴発したみたいだ。


みんなが秒殺されたので女は、此方の方へ。


女「お兄さんも来てよ」


僕「ぼ、僕は遠慮します」


女「あら、どうして、好きにしていいのよ」


うう……好きにしてといわれても、動揺を隠せない僕。


平常を装ってたが、目の前でプルプルとたわわに揺れるのを見ていたら、僕は心の中でこれは緊急非難だから……と、心に言い聞かせる。


これこからの事はご想像にまかせるが……


行為の前と、その時は良いのだが、後ですごい後悔が残るし、覚める。これは男の永遠の課題だろう。


宴は終了したが、庄田さんが元気ない。二〇代の女も抱かなかったみたいだ。


山ちゃんに聞い話しだと、この前のパーティは極楽浄土おばさんと二回戦頑張ったそうだ。


部類の女好きだった庄田さんが、何故?


そう言えば最近、突然笑い出したり、ボソボソ一人事を言う。そして夜中に、絶対許さんと、寝言を。


僕は気になったので直接聞いてみる事にした。


「庄田さん どうしたんですか?女も抱かなったそうですね」


「ああ」


「聞かせてもらえませんか 力になれるかも」


庄田さんは半泣きの顔になり、語りはじめた。


「この体を見てくれ これで女が抱けるか?気持悪いと言われるだけだ」


見てみると無数に刺された傷跡がある。普通は月日が経過すると消える筈なんだが?


稀に消えない体質の人……刺された虫により消えない事もあるのか?


「笑ってくれよ こんな体に、もう俺の人生は終わりだろ だから俺は、毎日復讐をするのを楽しみに生きている。近じか小林を殺る。その時はおまえさんも自由だ」


その方法を庄田さんは熱く語りはじめた。


「ボウガンみないな物を作るんだ」


「はぁ?なんですかそれ」


「引きがねを引くと刺さるヤツ 竹とゴムで作るんだ。それであいつの股間を狙う。見事に命中したら玉が潰れる。それがダメならば もう一つの方法を考えてる」


「もう一つですか」


「今度鍋を要望する。有料だが餅も頼む」


「はぁ?餅を頼んでどうするんですか」


一体何を考えてるんだろうか?餅をなんに使う。さっきのボウガンも無理な話だ。


「鍋を始めたら、鈴木が暴れてる等と、適当な事を言って小林を呼ぶ 小林が入ってきたと同時に、この鍋を小林の頭からぶっ掛ける。ヤツはまともに目も開けられない筈だ。溶けた餅は熱を含んで、体に張りつく。

怯んだところで鉄パイプでメッタ打ちだ。その後で木に括る。そして油をかけて火をつけるんだ。ははははは、丸焼きだぞ 丸焼き くくくっ」


なんと言う恐ろしい事を。人間は復讐の為なら鬼になれるのか。


庄田さんは、小林を殴ってこんな事態になったのだが、あれだけの事をされたのだから、気持はわかるが……


現場で働く人間は気が荒い。犯罪に手を染めるのも珍しくない。よく現場で刃傷沙汰が多いのも実態だ。

その後……

川口さんが来てから少し待遇が良くなった気がする。


以前は塩湯に葉っぱを入れただけのスープも、普通の味噌汁に。


どうして塩湯なのか?飯場では塩分補強の必要があるからだそうだ。


本当に塩だけの湯は勘弁して欲しい。すごく不味い。


どんな味なのか?試してみて欲しい。


女も極楽みたいなおばさんではないし、なにかがかわりつつある。


極楽おばさんは倒れたらしい。聞いた話では。


僕は川口さんに意見を求めてみる。


「最近待遇が、少し良くなったみたいなんですよ」


「その他に変化はあるか?」


「そう言えば100キロの男はみないし 監督も交代しました。以前はヤクザ風の男だったが、普通のおじさんみたいな人です」


なにかがかわる……


「そうか人が代り、そして居なくなるのか それは上層部変化があるのかもしれないな」

「上層部に変化ですか?」


「そうだ。多分組織の勢力が弱くなってるのかも知れない」


聞いた話だと、上の組の引退とか 破門で力は弱くなるらしい。


丁度この頃に、バブル崩壊、暴対法ができたみたいだ。


その頃はそんな話とか知らないが、今思えば納得できる。


「出るなら今か 最低でも十月の半ば頃までに決行しないとな」


「そうですね 冬がくる前になんとかしたいです」


明日休みと言う事もあり、川口さんと語り明かした。


そして休みの日だ……


一日寝ていたい所だが、朝から小林がやってきた。


「おまえら、変な相談してるんじゃねえぞ 今後変な動きをしたら、おまえらの小屋の前に監視所を作る。勿論おまえらが、日曜日に制作する」


もう限界です。


川口「くっ無駄な事をさせるんだな、俺等が逃げるとでも言うのか」


小林「文句を言うな、お前態度悪いから、よし今から作れ 午後にくる」


川口「仕方ねぇ おまえ等はまず木を伐採してくれ それと、鈴木はどうした?」


山ちゃん「あの糞馬鹿 飲んだくれて寝てるぞ」


第6の男「奴さんはいい気なもんさ 小林から酒を貰ってたし 二人でニコニコ話してたからな」


川口「俺達の事をチクリ入れたのはヤツだろう」


山ちゃん「俺もそう思う」


川口「今日ヤキを入れるか」


山ちゃん「俺も手伝うぞ」


みんなもピンときてるみたいだ。鈴木さんだ。間違いない。


最近まわりの人とも喋らないし毎日酒を貰ってる。お金が無い鈴木さんがどうして酒を毎日?


密告の報酬として毎日酒を二十本貰ってるらしい。


この人は酒二十本で、仲間を売るのか 常識と人間性が欠落してる。

そして午後……

小林「おう。おまえら、もう小屋は作らないでいいぞ もう必要ないからな、クククッ」


川口「どうしてだ。わざわざ木まで伐採させてるのに」


小林「それは来週になればわかる。クククッ」


人にこんな作業をさせていきなり中止とは、しかも来週になれば?


なんの事だろうか?理解に苦しむが、どうせろくな事じゃないだろう。そして夜……


川口さんに起された。


川口「今から鈴木を吊るしあげるぞ おい。鈴木起きろ」


鈴木「なんか用か?」


川口「とぼけるなよ お前俺達の事を密告しただろ」


鈴木「さぁ?なんの事だか」


川口「その酒はどうしたんだ」


鈴木「買ったんだ。文句あるか」


川口「お前にそんな金ないだろう」


鈴木「大きなお世話だ」


川口「お前知らないと言うのか」


鈴木「ああ 知らんね」


川口さんが鈴木さんの金玉をガッシリ掴む。


鈴木「痛い痛い止めてくれ」


川口「正直に話せば止めてやる」


鈴木「お、俺が密告した」


山ちゃんが飛んできて、鈴木さんの顔に唾を吐いた。


山ちゃん「お前ただじゃ済まんぞ 覚悟しろよ」


鼻を摘んで口を無理矢理開けさせた。そしてタオルを口にねじ込む。


僕「どうしてタオルを?」


川口「声が出せないようにさ」


川口さんが前からみぞおちを殴る。山ちゃんが後から腎臓の所を殴る。なんと、壮絶なリンチなんだろう。


気持はわかるが、ここまでする必要があるのか。僕が心で思ってたら、川口さんが


「二度と変な気持を起さないように、徹底的にやる。中途半端に終らしたら、また密告するからな」


僕はここが飯場なんだと痛感した。


鈴木「わ わかった。もう許してくれ」


川口「お前の為に、木の伐採までやらされたのに、お前は寝てただろ」


鈴木「あれは調子が悪くて寝てた」


山ちゃん「嘘つけ お前が酒を飲む所を見てた。こいつを朝までいたぶるか 庄田もこいよ」


庄田「俺はめんどくさいからいいよ」


山ちゃんは、鈴木さんに相当な怨みを抱いていたみたいだ。


そして、壮絶なリンチは続いた。


寝てたら、体の上を歩く。タオルで鼻と口を塞ぐ。寝てる側から頭を蹴るなど、山ちゃんが執拗にからむ。


鈴木「いい加減にしてくれよ」


山ちゃん「なにを~お前待ってろ」


山ちゃんが外に出て、濡れたタオルを持ってきた。


そのタオルで鈴木さんをパシパシと叩く。


部屋の中で悲鳴がこだまする。よくこんな事を考え付くもんだ。


所で外に水はないはずなんだが?


僕もやられた経験があるが、濡れたタオルで叩かれるとめちゃくちゃ痛い。


制裁は明け方迄も続く。一般の社会ならもう終ってるだろうが


あれから鈴木さんは大人しくなったみたいだ。


まだ色々反抗的な態度だったが、川口さんの一言が効いたみたいだ。


「おい鈴木 お前明日の朝は永遠に目覚めないかもな」

そして翌日の仕事が……

今日は鈴木さんの朝までリンチ事件で、みんな寝不足みたいだ。


仕事に精彩がなくて、小林が苛立ってる。


相変わらず青木さんが殴られてる。


ほとんど殴られ役の青木さん。気の毒だが、みんな心の中で感謝してるであろう。


殴られ続けて、どちらかと言えば大木凡人似だった青木さんの顔が、瞼が腫れてすごい強面の顔になってる(前歯が無いのも怖い)


多分普通に道を歩いてたら、誰も寄りつかないだろう。と言うか避けて歩くと思う。


その後は事件もらしい事件はない……


そしてまた一週間が過ぎようとしてる。


飯は相変わらず豚のエサ以下だ。


仕事と言えば相変わらずキツイ。本格的に暑くて大変。


本来なら水代がバカにならないのだが、こっそり水を補給する方法を見つけた。


水道みたいなものは有るのだが、捻る所に鍵を入れないと出ない。


その鍵は小林が所有してるが、以外と単純な構造なので、水を出す事ができた。


これも川口さんの知恵だ。川口さんが居ないと本当に地獄だったかもしれない。


水は良いのだが、甘い物と、塩分をとらないとまずい。


小林から購入すると高い。でも仕方ないので購入する。


今日は掘りだし物の茹で玉子が500円(塩付け放題が嬉しい)


500円は痛い出費だが、塩湯を飲む事を考えたらマシだ。


そして週末になり、待望の日曜日が来たけれど……


また朝から小林がくるのか、最近日曜日は必ずくる。


嫌な予感は的中した。それどころか最悪の日曜日に。朝の八時位にお約束のドンドンドアを叩く音(最近あまり蹴らないが)


「おまえらに楽しいお知らせが有ります この前の小屋作り中止に関係がある。楽しみに待ってたよいこも居るかな」


完全に人をバカにしたみたいな喋りだが、すぐに生意気口調にかわり


「おい。おまえら付いて来い。もたもたするな」


「それでは新しい管理人さんを紹介する。岡さんと前田君だ。岡さんと、前田君がおまえらの新しい管理人様だ。とくに前田君は狂暴変な動きしたら、喉元を食い千切る」


はぁ?言ってる意味がわからない???


「それでは、部屋の中に入れ 前田君の機嫌を損うなよ」


部屋に入ってみたら、六十才位のしょぼくれたじいさんと、犬。


どこで拾ってきたのだろうか……犬の名前はわからないがドーベルマンみたいな犬だ。


もしかして前田君は犬か?


「前田君と言う名前は冗談だ。謙太君だ。おまえら忠誠を誓え あっそれと、俺は四日程留守にするから、岡さんと謙太君の言う事を聞けよ 謙太君は人を一撃で噛み殺せるからな」


なんと言う事だろう。どうして犬に忠誠を誓わないといけないんだ。


そこでじいさんが立ちあがる。


岡「謙太エサだ」


目の前に肉を放りなげる。唸りながら上等そうな肉を食らう。隣りで第6の男が吐き捨てるみたいに呟く。


第6の男「人間様より、良い物を食べやがって」


小林「おまえらもこの肉の様になりたくないなら、変な考えは持つな」


第6の男「100キロの男を見ないと思ったら、補充で犬とおっさんか」


山ちゃん「逃げ出さないように監視のつもりか」


第6の男「この飯場ももう終りだな」


そして……ふと隣りを見ると青木さんがカタガタ震えてる。


青木「うわ~怖いよ 助けて」


小林「ん?どうした。さては犬が怖いのか」


青木「…………」


小林は岡の所に駈け寄り、なにやら耳元でボソボソと


「はっはは、そりゃいいな」


そして岡が言葉を放つ


「謙太、ゴー」


岡が言葉を放つと、犬はすごい勢いで僕達の方へ飛び掛ってきた。


「謙太、レスト」


寸前の所で犬は止まるが、青木さんの様子が変だ。


青木さんは半分気絶して、尿を漏らす。


「こいつ汚ねぇな、漏らしてやがる。俺様の部屋の中で、許せねえ」


小林は二度三度と青木さんを蹴り上げた。


その一発が青木さんのお腹に炸裂。途端にブリブリっと音がした。


「お前は本当に最低なヤツだな、もう殴る気も起きない。誰かこいつを風呂場へ連れていけ 臭くてかなわん さて、俺は出掛けるから、おまえらよい子にしてろよ 帰ってきたら、楽しいお知らせがあるかもしれないからな」


楽しいお知らせ?なんだろうか。どうせ変な事だろう。


「じゃぁ岡さん よろしく頼むわ 岡さんの好きにしていいから」


「おう。気をつけてな、こいつ等と遊ばして貰うよ」


そして小林は、車に乗り、出掛けたのだが……


「俺様の名前を呼ぶ時は、様つけで呼べよ 言っとくが俺は空手の達人だ。謙太は人を食い殺した事がある。死体を埋めるのは大変だっだぞ ぐはははは」


絶対にはったりに決まってると思うが。


「あと、おまえらの自己紹介はいらないぞ タコの名前なんて覚えたくもないからな」


なんか頭が痛くなってきた。このじいさんは完全にイカれてる。身長は160cmあるかないか、体重は45キロ位だろうか。


いざとなったら余裕で勝てそうだけど、犬が問題だ。


「おまえら、はよ、いね。タコが長く部屋に居たら、臭くてかなわんからな」


なんと言う傲慢な男だろうか。仕方ないので小屋に戻る事にする。


今日は休みなので、川口、俺、庄田、山ちゃんの四人でミーティングを開く事に。弟6の男、青木、鈴木は参加せず。


川口「今後の事について話をしたいと思う。誰か意見とかあるか」


山ちゃん「ジジーは良いが、あの犬をどうするかだな」


庄田「関係ねぇ殺っちまえ 人間様に勝てるかよ」


川口「しかしな、噛みつかれたら面倒な事になるぞ」


庄田「……くくくっ」


庄田さんが意味不明な笑いを その目を見たら背筋が凍りそうだった。

そして翌日……

今日は小林が不在なので、岡が来る予定だ。


何時もより一時間も早く来た(年寄は早起きで困る)


ステッキみたいな物でドアを叩く音と、犬の雄叫びで目が覚めた。


「おい。おまえら何時まで寝てるんだ。目が腐るぞ」


「すいません まだ四時前なんですが……」


「すいませんじゃないだろう。岡様だろうが、飯の仕度してるから、直ぐに来い」


そして部屋に入る。


「今日は、岡特製チャーハンだ。美味いぞ」


相変わらずの葉っぱと、ひとかけらの肉が入ってる。


一つは葉っぱが少なくて、肉が半分以上だ。なぜ一つだけ?


そして一つはドックフードが一つ並んでる。


「早く定位置につけよ」


鈴木さんが一番肉が多い所に座るが


「バカ野郎 そこはお前の席じゃない。この肉の大盛りは謙太の分だ」


ドックフードは誰のですか?


「うんこ漏らしに決まってるだろ ドックフードも勿体無いわい」


青木さんは泣きながら食べてた。


そして……

三日目の夜に、事件は起きた。

「ぎゃー助けて」


夜中に突然の悲鳴が聞えた。


みんなは飛び起き辺りを見回す。


山ちゃん「おい。青木が居ないぞ」


外に出てみると、犬に襲われてる青木さんがいる。


川口「あのジジー 放し飼いにしてるのか」


山ちゃん「俺達が逃げ出さないように放し飼いだろ」


それにしても青木さん どうして夜中に外にでたのだろうか?


川口さんは鉄パイプと、タオルを二枚。山ちゃんは鍋を持って青木さんの元へ。


どうして山ちゃんは鍋を?


犬は青木さんの足に食いついてる(幸い長靴みたいなのを履いてるが)


その上からでも相当な痛さだろう。川口さんが蹴ったけど、放す気配はない。


川口さんはタオル二枚を左手にグルグル巻きにした。


そして犬を激しく蹴る。犬は川口さんのタオルを巻いた手に噛みつく。


そこで山ちゃんが鍋で殴る。ドラの音色みたいな音がした。


川口「おい。そこの鉄パイプで犬を殴れ 思いっきりだぞ」


僕「え 僕がですか」


川口「早くしろ かみ殺されるぞ」


僕はおもいっきり鉄パイプを振り下ろす。


犬はギャンギャンと泣き声をあげて、右に左に転げ回る。


川口「そんなんじゃ効かない。貸せ」


鉄パイプで犬を滅多打ちの川口さん 横から庄田さんが大きな石で頭を殴る。


しばらくするとピクピクと痙攣してる。犬は半分目の玉が飛び出て絶命した。


川口「この犬をどう処理するか」


山ちゃん「穴を掘って埋めるしかないだろ それは良いが、岡が騒ぐぞ」


川口「みんなしらを切りとうすんだ」


犬の事件は終ったけれど、青木さんが噛まれた傷が酷いみたいだ。


傷口はかなり深い。このままでは足は役にたたないかも。


川口「青木 お前の足をこの鉄パイプを熱して焼くからな」


青木「嫌だ嫌だ。許してください」


川口「お前 足が腐って落ちても良いのかよ」


青木「それは困るけど、熱いのとか痛いのはちょっと」


川口「男なら我慢するんだ。その我慢が将来につながる」


青木「どうしても焼かないとダメですか」


川口「このままでは、足が腐るし ここは山の中だ。当然虫とか蝿も多い。卵を植付けられたなら、足に蛆が涌くぞ」


青木「わかりました」


川口「山ちゃん 青木の口にタオルを噛ませろ」


押し殺した叫び声が小屋中に響き渡る。そして人間を焼く匂いが、辺り一面に漂う。


僕は外にでて、えずきまくった。


これは番外の話しですが、僕は今でも青木さんから連絡がくる。


結局青木さんは、足を引き摺るようになる。そして精神が不安定で未だに入院と退院を繰り返してます。


入院中に親が亡くなり『親に結構財産があったのですが』入院中に姉と話しをして1000万で財産放棄のサインをした。


その1000万も三年位で使いきり、障害認定を獲得。今は生活保護で細々と暮してる。


あれから十年以上歳月が流れたが、未だに就職経験は無い。


翌日、岡がもの凄い剣幕で聞きにきた。


「おまえら謙太君を知らないか?」


「さあ 散歩でも出てるんじゃないのか それとも熊でも食われたのか 鎖は付けてなかったのかよ」


「うるせぇ そんな理由ないだろうが 正直に答えないとおまえらをぶっ殺す」


「しらねぇよ やれるもんならやってみろや ここは今 俺達しか居ないんだぞ」


「ちっ覚えてろよ」


意外にも岡はあっさり退散した。

そして翌日……

犬が居なくなった岡はどんな対処するのだろうか?


翌日の岡の様子


「おい。おまえ等開けろ 俺は手が離せないから」


無視してみたが……しつこくドアを叩く。


仕方ないので開けると、なんと手に日本刀を持ってる。


「俺に逆らうヤツはぶった切るからな 俺はこれでも元剣道部だ。試合で優勝した事も」


どこまでハッタリじいさんなんだろうか、前は空手の達人と言っていたが……


山ちゃん「ほぅ 剣道も達人なのか 少林寺拳法もだよな」


岡「おう。そうだ少林寺拳法3段だ」


理由わからないじいさんだ。少林寺じゃなく空手と言ってたような……


もうボケが来てるのかと、山ちゃんが小声で言う。とにかく切られでもしたら大変なので、みんな大人しくなった。


岡とは気まずい状態が続いたが、なんとか収まる。そして翌日になり小林が戻る。


小林「おまえら、本当に犬は知らないんだろうな まさか鍋にして食べたのか ぎゃはは タコはなんでも食べるからな、飢えたらクソでも食うだろ ははは」


庄田「あの~ 鍋の事考えてくれましたか」


小林「ああ 餅は3000円な」


庄田「……」


今度の日曜日にするそうだが、みんな3000円取られた。

そして鍋パーティ当日。

庄田さんがなにやら、そわそわしてる。あの作戦を決行するのだろうか。


鍋も煮えてきた。餅も程よく溶けている。


庄田「悪いけど小林を呼んできてくれ」


僕「わかりました」


しばらくするとドアを激しく蹴る音がする。


小林「なんの用だ。とっとと開けろ」


庄田「用意はいいぞ」


庄田さんは目で合図をする。僕はドアを開けたが、小林は入り口の1メートル手前に居て、中に入らない。


悪い事に岡まで一緒に同行してる。岡の手には日本刀 小林の手には金属バットが。


犬を殺された事で相当警戒してるみたいだ。


中に入らない事には、鍋をぶっ掛ける事も不可能だ。


小林「用件を早く言え おまえらと違い忙しいんだぞ」


庄田「あの~ポン酢ありますか」


小林「そんな物あるかよ 用件はそれだけか」


危険を察知したのだろうか、用心深いヤツだ。


仕方ないが、庄田さんの作戦は失敗に終る可能性が大きい。


庄田「はぁ……」


僕「庄田さん元気を出してくださいよ またチャンス有りますよ」


庄田「そうだな……」

いよいよ待望の?給料日だ。

そして最後の宴でもある。


水とか節約できたので、なんとかプラマイゼロくらいになりそう。


今日は焼肉パーティだそうだ。ビールは飲み放題とうれしい事を言う。


驚く事に、普通の肉だ(前はなんの理由わからない肉)


焼いて食べてみたが、実に美味い(ちゃんとタレ付き)


女の子は素人っぽい三十才前後の女。スタイルも普通。


久々のヒットにみんなの顔も緩みっぱなしだ。


庄田「俺は今回チャレンジするぞ がははは」


庄田さんの場合、傷も大分目立たなくなってきたから。


でも鈴木さんの場合は、もう役にたたない状況に追いこまれてる。


多分病気を放置してるからか?本当に病気は怖いものだ。


あれだけブツブツとボコボコなら、血液の循環も悪くなるのだろうか。


どんな状態になるのか?参考をアップする事も検討したが、止めておく。


宴の途中で小林から、重大な知らせがあると告げられた。


小林「おまえらに嬉しいお知らせがあります ここの現場は、卒業する事になります」


山ちゃん「はぁ?卒業って言い方変だろ」


小林「みなさんに労いの意味を込めて、焼肉及び女です 楽しいひとときを堪能してください」


川口「なんだそりゃ 俺達は自由って事か」


山ちゃん「そうだそうだ。俺達は自由だろ」


小林「話しは最後迄聞けよ」


小林「みなさんはリゾート開発プロジェクトに選ばれました。

自然とふれあい。動物とふれあう事ができる島です。

島のみなさんはとってもやさしいし 食べ物も美味しい。

開発に役にたつ事で、島のみなさんも美味しい差入れをする事でしょう。

休みはのんびりと釣りでもできる。全て自由に……

勿論 休みの日は女性をチャーターできる。勿論格安で酒も日用雑貨も半額にする予定です。更に、島民が住宅を提供してくれるので、寮費もほとんど無料に近い」


鈴木「うひょ~これで酒飲み放題か 楽しみだ」


本当にそんな事があると思うのか?鈴木さんは相当のバカかも。


あれこれ考えても仕方ないので、今夜は宴で盛りあがるとするか。

そして翌日……

川口「小林が言ってたリゾートは相当怪しいな」


山ちゃん「俺もそう思う。そんなに待遇が良い理由ないわな」


僕「島って八丈島とかですか?」


川口「それはわからないが、生きて島を出れないな、島なら簡単に逃げ出せないし 泳ぐのも無理だろう。とにかく。移動する前になんとかしないとな」


山ちゃん「やさしい島民とか女なんて嘘だろうな」


僕「それこそ 毎日塩汁を飲まされますよ」


山ちゃん「今は100キロの男が居ないから、なんとかなるかもな」


庄田「どさくさに紛れて、殺してやるさ」


川口「相手は小林、岡、監督のおっさんの三人だな」


山ちゃん「鈴木、青木は使えないけどな、第6の男は微妙だ」


川口「3対3になると思うが」


山ちゃん「青木になにかやらせるか」


僕「気を引くというか おとりになるかも」


川口「このまま山を下りても危険だから、移動中がチャンスだな、ある程度走った所で決行するしかない」


山ちゃん「そうだな、島に行ったらニ度と戻れないからな」


川口「どっちにしても動かないと始まらないぞ 危険を犯して自由を勝ち取るか それとも死ぬまで島で暮すか」


山ちゃん「作戦を練らないとな」


川口「青木 おまえ移動中にクソを漏らせ もしくはクソが漏れそうだと言えよ」


山ちゃん「お前なら、ヤツ等も安心して外に出すと思う」


川口「そして逃げろ ヤツ等の誰かが追いかける。そうしたらヤツ等は二人だけだ」


僕「一人は運転してるとして、後の二人は武装してるかも」


川口「そうかもな、最悪の場合は車を横転させる」


みんなで協議の結果 全員が協力するとの事だ。

そして【脱出】

小型のマイクロバスで移動開始だ。


後の席では監督が金属バット、前は岡が日本刀を持ってる。一時間か二時間位走行しただろうか。


ここで作戦を決行する事に、川口さんが青木に目で合図を送る。


青木「すいません うんこ漏れそうなんですが」


小林「しるかよ 漏らせ」


監督「漏らされたら臭くてかなわんぞ」


岡「そんなクソ お前が食べろ」


青木「うるせぇクソジジー」


岡が後の席の青木に、すごい勢いで飛んできて殴る。チャンスは一瞬、岡が前に居ない。

川口さんが立ちあがり、小林の頭を蹴り上げる。


車は軌道を外れ林の中に突っ込む


立ってた岡はバランスを崩して倒れる。日本刀を落とした。


そこで庄田さんが岡の日本刀を取り、小林に切りつける。


小林の左腕をザックリと、さらに死ねと日本刀を振り上げた。


助けてくれ~と、絶叫する小林。


川口「もうその辺で良いだろう。殺人者になるぞ」


庄田「お願いだから殺させてください。もう俺はどうなっても構わない」


川口「そんなバカを殺してから、刑務所に入るのもくだらないだろう」


庄田「わかりました。我慢します」


次に岡を殴ったら、呆れるほど弱い。川口さんが頭を蹴ると気絶した。


僕は監督の所に行く。そして蹴ったり殴ったりしたが……


これが以外に強い。僕は吹き飛ばされてしまう。(僕は結構体格が良い方で、あまりやられた経験は無いのだが)


次に山ちゃんが飛び掛るが、山ちゃんも呆気なくダウンした。


山ちゃんにマウントポジションで殴りまくる監督。


そこで川口さんが来て、後から後頭部を蹴る。


監督は立ちあがりパンチを。


川口さんも倒れこんだ。最大のピンチだ。このままやられてしまうのか。


そこに第6の男が、監督の尻に日本刀を突き刺す。


監督「ぐわわわわ~おまえ等卑怯だぞ」


川口「命がかかってるのに、卑怯も糞もあるかよ」


怯んだ所でみんなで袋叩きに、勿論小林と岡も、十分程経過しただろうか、三人を縛り付けて、さあ脱出だ。


道沿いを三時間~五時間程歩いただろうか……町みたいなのが見えてきた。


僕等を見た町の人は、驚いたような顔をしてる。


そりゃそうだ。汚い姿をしたおっさんとかが集団で歩いてるから。


どうやらここは長野県みたいだ。そこで温泉に入り、服を買う。


最後にみんなで連絡先を教えあうけれど、みんなは帰る所は無いと言う。


青木さんの連絡先だけだった。川口さんに僕の連絡先を教えて解散する。


後日、どうしても腹の虫が納まらなくて、北千住に行く決心をするが僕は一応護身の為にナイフを購入した。


そして当日。朝からドアをノックするが人が居る気配が全くない。


仕方ないので出直しだ。また翌日に……


まだ応答がない。電気のメーターも回ってないか。そこに半日ほど居ると(座りこんでた)


おばさん「あんた昨日からいるわね」


僕「ここの人はどうしましたか?」


おばさん「それがね~あんた聞いて頂戴よ 強盗かなんかわからないけど、金属の棒みたいな物で、メッタ打ちにされたのよ 救急車がきたわよ。たぶん死んでると思うわ 物騒な世の中よね~まったく」


僕「どんな人ですか?」


おばさん「五十才位かな、私も見たわけじゃないからね」


僕「それはひょっとして田島さんかもしれない」


他にも恨んでる人も多いみたいだし、真相はわからないが……


きっと田島さんが復讐の為に……


あの頃は復讐を考えてたが、今になり、思う。


復讐とか憎しみからは、なにもうまれないと言う事を。


三年位前かな?西東京の公園でホームレスが殺された事件があった。


その人の名前が、同姓同名だったのだか、たんに同じ名前だけかもしれないが、他の人の消息はわからないけれど、どこかで生きてるのかな。


あの逆境を乗り越えたのだから、立派に生きてると信じたい。


辛いときも苦しい時も人間には、有ります。


でも現状に甘んじてたら、なにもかわりません。


思い立ったら行動を起す事が大事なのです。


僕もあのまま島に行ってたら、ここでネットしてないかも。


少しの勇気を振り絞ったら、なにかがかわるかもしれません。


ここを見てる人達は、若い人も多いと思いますが、自分自身の未来の為に頑張ってください。


自分を不幸と思う方も居ると思いますが、挫けずにこんな世界もあると言う事を 伝えたかったので書きました。


この物語は実話を元に構成しました。


(了)

著者プロフィール
Sharetube