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古典落語「締め込み(しめこみ)」

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古典落語「締め込み(しめこみ)」

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起承転結起承転結
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古典落語「締め込み(しめこみ)」

登場人物

 泥棒(新人)
 旦那さん
 奥さん

留守を探して(起)

 まだまだ駆け出しで慣れない仕事ぶりの泥棒、自分の力量でも盗みに入れそうな家はないものかと物色をしている。なにせきっちりと戸締まりしている家の扉を破るほどの度胸も技術もない、たやすい都合のいい家はないものか。「こんにちはー」と手頃な家に声をかけ「はいどうも、何か御用ですかね?」と返事が聞こえたら「…いい天気ですね、また留守にお邪魔します」といった有り様で、狙える家を絞り込んでいく。「いくら戸が空いていても、人がいちゃあ仕事にならない…うまい具合に不用心な住人はいないものかな」と言いながら、一軒の長屋にたどり着く。中をのぞいてみると誰もいない、しかし台所にはヤカンが火にかかっていて湯が沸いている。「住人は出かけているが、この様子だと遠くへは行っていないな…サッサと仕事を済ませてしまうか。」とそそくさと風呂敷を広げ、金になりそうな物を探し始める。金目の物と言ってもしょせんは長屋の住人、大した財産がみつかるはずもない。仕方なく使えそうな衣類をまとめて背中に背負い、出口へ向かおうとすると「ただいまー、帰ったぞぉ」と主人らしき男が帰ってくる。「これはまずい」と慌てた泥棒…風呂敷包みを放り出して、板を剥がして床下へと隠れる。

疑心暗鬼(承)

 帰宅するなり「…なんだ誰もいないのかい、カミさんは風呂にでも行ったかな。湯を沸かしっぱなしで、だらしがねえなあ」とご主人。「旦那ぐらい出迎えて欲しいもんだよな」とぼやきながら、足元に転がっている風呂敷包みに気づく。「なんだってこんな所に散らかしてあるんだ?」と不思議に感じつつも、どうせよそからの預かり物か何かだろうと気にもとめずに持ち上げてみると、風呂敷のすき間から嫁さんの着物が見えるのに気づく。「おや…なんだ、これは。まさか旦那を放ったらかして、よその男と夜逃げでもするつもりかな?」と不信感を募らせる。風呂敷に包まれた着物を手に、旦那が疑念と怒りと悲しみに包まれていく。そこへ「遅くなってごめんないさいね」と嫁さんが帰ってくる。「寝酒を買って来ましたよ」という奥さんに向かって「…お前とは離縁だ、出て行け」と告げるご主人。状況が飲み込めない奥さん、様子がおかしい主人に驚く。「一体何があったって言うの??」と問いかけても「自分の胸に手をあてて聞いてみやがれ!」と言われる始末。

夫婦喧嘩(転)

 「なんだこれは?」と風呂敷包みを見せて問い詰めるご主人。「この浮気者が!荷造りして、間男と逃げるつもりだったんだろう!」と言われ困惑する奥さん、「こんなもの知らない。あんたの方こそ女でもできて私の着物を質入れして、金でも作ろうとしたんでしょ!」と反論を始める。身に覚えのない言いがかりをつけられて頭にきた奥さん、「あんたが、一日でもお前に会わないと千日会わなかったくらいにつまらないと言うから一緒になってやったのに!」と二人の馴れ初めから普段の生活の苦労話まであげつらって旦那を責める。どちらも頭に血がのぼってしまい、一触即発の大喧嘩へと発展する。カッとなったご主人、湯の入ったヤカンを持って床に投げつける。叩きつけられたヤカンからこぼれ出た熱湯が床に広がり、床下の泥棒のところへもポタポタと垂れ流れる。「あちちちちっ!熱い!」と叫びながら飛び出してくる泥棒。「なんだい誰だいお前は?」とビックリするご主人に「…だめだよ旦那、乱暴な事しちゃ!…落ち着いて…落ち着いて」ととりなす。「お前が間男か!」と睨まれ「違いますよ、そんな怪しい者とは違います…旦那さんも悪くない奥さんも悪くない。荷造りして拝借したのは私です。」と恐る恐る自身の窃盗を白状する。

和解の宴(結)

 互いに勘違いをしていただけだったという事がわかり、無事に夫婦の危機は去る。「なんだ単なる泥棒だったのか、よくぞ名乗り出てくれた」と思わぬ歓迎をされてしまい戸惑う泥棒。「あんたが出てきてくれて夫婦が別れずに済んだんだ、酒でも一杯呑んでいってくれよ」と誘われ「それじゃあ…お言葉に甘えまして」とご馳走してもらう事となる。酒を酌み交わしながらご機嫌になり「これをご縁にまた伺ってもいいですかね?」などと軽口を叩く泥棒に「そんなに頻繁に盗みに入られてたまるかよ!」と返すご主人。酒がまわってすっかり心地よくなって眠ってしまった泥棒を見て、夜も更けたから自分達もそろそろ寝ようとする夫婦。「今日の事もあるから不用心はいけねえ、戸締まりは済んだか?」と声をかけるご主人に「泥棒はもう家の中にいますよ」と言う奥さん。それを聞いて「たしかにそうだな…しかたねえ、外側から心張り棒をしておけ」とつぶやく。

※参考

間男(まおとこ)
既婚者の女性が浮気する事、またその浮気相手の男の事。

心張り棒(しんばりぼう)
扉が開かないように押さえるつっかい棒。引き戸が横にずらされて侵入されるのを防ぐ目的で、通常は内側から設置される。

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著者プロフィール
起承転結

古典落語の大まかなあらすじを覚え書きとしてまとめていきます。ネタバレ有り、オチ記載有りなので注意されたし。