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古典落語「町内の若い衆(ちょうないのわかいしゅう)」

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古典落語「町内の若い衆(ちょうないのわかいしゅう)」

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起承転結起承転結
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古典落語「町内の若い衆(ちょうないのわかいしゅう)」

登場人物

 兄貴分の奥さん
 職人
 職人の嫁さん(妊娠中)
 友人

おかげさまで(起)

 しばらくの間ご無沙汰したままになっている兄貴分に挨拶をしようと、自宅まで足を運ぶ職人。「あら、よく来てくださいましたね。」と奥さんがお茶を出してくれたはいいものの、残念な事に兄貴分は用事があって不在。「無理もないですよね、兄貴は働き者ですから…」なんて世間話をしている横で、敷地内に業者が出入りして作業をしている。何事ですかとたずねると、自宅の増築工事をしている真っ最中だと聞かされる。「行き届いた奥さんをもらって、このご時世に建て増しまでするだなんて、さすがだなあ。」と旦那を褒められると奥さん、「いえいえ、町内の若い衆が寄り集まって出来上がったようなものです。皆さんが支えてくれたからこそ今があるんです、亭主ひとりの力なんかじゃありませんよ。」と謙遜をする。兄貴の甲斐性と奥さんの振る舞いを目にして、「ウチの嫁さんとは大違いだな」と感心しながら家路につく職人。

よそにならって(承)

 家に帰って来るなり、嫁さんに今日あった一部始終を語って聞かせる職人。さんざんよその奥さんを絶賛した挙げ句に「亭主を褒められても、感謝の言葉で返せるような女でいなくちゃな」と言われカチンと来た嫁さん。臨月のせいもあってかイライラした様子で「まずはよそから褒められるような亭主になって見せなよ、いくらでもその程度の事口にしてやるさ。たとえば建て増しとかしてくれればね。」と吐き捨てる。身の丈を思い知らされたのか、返り討ちにあって落ち込む職人は返す言葉も出て来ない。仕方がなく「…湯に行ってくる」と告げて自宅を後にする。銭湯へと向かう道中でばったり友人と出くわして「お前も風呂か?」と声をかけられる職人、「おぅいいところに来たな、悪いけどちょっと頼まれてくれないか?」とひとつ提案をする。

風呂のついでに(転)

 「風呂に行く前にちょっと回り道して俺のウチに寄ってさ、嫁さんの様子を見て来て欲しいんだよ」と頼まれ「…いいけど、なんでそんな事を?」と返す友人。「嫁さんに向かって"おたくの大将は偉い"って褒めてくれよ、なんでもいい、どこでもいいから褒めてやってくれ。アイツがどんな反応するか知りたいんだよ。」と言い出す職人に、「大将って誰…まさかお前の事かよ」と呆れた様子を見せる。酒でもおごってくれるなら引き受けると渋々の承諾を得て「風呂屋で待ってるから」と歩きはじめる職人。「やれやれ…何か褒めるようなところあったっけかなぁ?」と難問を抱えながら職人の家へと向かう友人。職人宅に到着するなり「…邪魔するよ、大将はいるかい?」と声をかけると、驚いた顔の嫁さんが「…大将?」と困惑した様子で出てくる。

偉い旦那だね(結)

 「…ウチの亭主なら湯に行ったけど、大将かい?…あれが??」との返事に「留守か、留守なら仕方がねえな…」と家の中を見渡す友人。家具らしい家具もろくに見当たらず、天井には蜘蛛の巣がはっている有り様を目にして面食らうも、何とかして褒めてやろうと言葉を絞り出す。「大将んとこは広々としていていいね、さすがだよ。物で溢れかえってるような家だとせま苦しくてしょうがないからね。」と言われ「広いというか何も無いだけなんだけどね、子供が生まれたらどうやってもせまくなるけど」と返す嫁さん。大きくなったお腹を見て「やっぱり大将は働き者だね、このご時世に子供を作るんだから大したもんだ。」と絶賛する友人、それを聞いて嫁さんは謙遜しながら言う、「亭主の働きばかりじゃありませんよ…言ってみれば、町内の若い衆が作ってくれたようなもんです。」

※参考

町内の若い衆(ちょうないのわかいしゅう)
 原典は古く、1690年の笑話本「枝珊瑚珠(えださんごしゅ)」の中の「人の情」という話。古典の中でも内容がほとんど変わらずに愛され続けている珍しい話。

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起承転結

古典落語の大まかなあらすじを覚え書きとしてまとめていきます。ネタバレ有り、オチ記載有りなので注意されたし。