日野OL不倫放火殺人事件の「北村有紀恵」とは
日野OL不倫放火殺人事件
日野OL不倫放火殺人事件(ひのOLふりんほうかさつじんじけん)とは1993年12月14日、東京都日野市で発生した日本電気(NEC)府中事業場共通ソフトウエア事業部ネットワーク開発部員、北村有紀恵による放火殺人事件であり、不倫相手の上司の幼児2人が焼殺された事件である。
物件概要
事件概要
1993年、東京。12月14日、午前6時20分。頬に冷気の吹き付ける早朝、
5階建てアパートの階段を息を切らしながら上っていく女がいた。
両手には満タンのポリタンクと、ガソリンを口まで詰めたペットボトルが5本。
彼女は4階のある一室の前で足を止めると、合鍵でドアを開けた。
そして居間に上がりこむと、ポリタンクとペットボトルの中身をそっくり床にぶちまけた。
その部屋の世帯主である原田幸広さんは、妻の運転で通勤駅へ向かっているところだった。
夫を下ろしたあと、妻はアパートに戻り、子供たちを起こして朝食を食べさせる、
というのがこの家の習慣であった。つまり、今この家には2人の子供しかいないのである。
女は撒いたガソリンに、ライターで着火した。
その途端、揮発ガソリンに引火したことによる爆発が起こった。
爆風で女は玄関まで吹き飛ばされ、背中から叩きつけられた。
一瞬気を失ったものの、すぐにはっと意識をとり戻し、そのままあとも見ずに家を出て階段を駆けおりる。
炎のまわりは早かった。のちに焼け跡からは2人の幼児の死体が発見される。
6歳の長女は頭蓋が割れて大脳が露出し、さらに両腕を焼失していた。
また1歳の長男は両腕と膝から下が消失していた。
犯人の女はアパートへ帰り、薬局で市販の傷あてシートを買い、自分で手当てした。
その後、川崎市の病院へ通院。この通院記録がもとで、彼女への警察の容疑が固まった。
捜査の手がせまっていることをうすうす感じた女は、2月6日、父親に連れられて自首した。
彼女は焼け落ちた部屋の世帯主、原田さんの元部下だった北村有紀恵(27歳)であった。
出典:日野OL不倫放火殺人事件
1966年(昭和41年)8月7日、北村有紀恵は東京の下町で生まれた。父親は自宅を仕事場に印刷業を営んでいた。有紀恵は小学校時代から成績は抜群で近所からは「有紀恵ちゃんはかわいくって、頭のいい子だね」とうらやましがられていた。また、踊りや習字、ピアノ、お茶とひと通りの習い事を身につけた。中学、高校は山脇学園に進んだ。成績は優秀で、ストレートで東京都立大学(現・首都大学東京)理学部数学科に合格した。大学の同級生らによると、有紀恵は頭脳明晰で多くの男子学生から注目され、性格は明るく、几帳面で、何事にもまじめに取り組むタイプだったという。数学科に在籍する女子学生はわずかで、それだけに有紀恵に交際を迫る男子学生はいたが、有紀恵にその意志がなく、彼氏と呼べる男はいなかったらしい。
北村有紀恵は大学を卒業して就職するまで特定の男性と恋愛関係になった経験は無く、男性と性関係を持った経験も無かった。
1989年(平成元年)、有紀恵は日本電気(NEC)に入社した。技術系総合職としての採用だった。数ヶ月の研修を終え、8月下旬から東京都府中市にある工場にソフトウエア事業部ネットワーク開発部員として配属され、SE(システム・エンジニア)として働いた。そこで、同じ職場で働く原田からコンピュータ技術のイロハを学んだ。7歳年上の原田は身長が180センチ近く、「ハンサム」なスポーツマンで社内の女性の注目の的だった。原田は鹿児島県の農家で6人兄弟の末っ子として生まれた。地元の商業高校を卒業後、上京して日本電気ソフトウエアに就職、SEとして働いていた。2人は最初は上司と部下の付き合いだったが、やがて「師匠」「キャッシー」と呼び合うようになり、次第に親密になっていき、デートを重ねる関係になった。
北村有紀恵は、原田幸広に妻子がいることを知りながら積極的に不倫関係になり、避妊や出産の選択をせず、二度の中絶を自分の意思で経験する。不倫を良く思わない同僚の忠告などにも耳をかさず、自分の人生を修復する決断をできなかった。
北村有紀恵は原田幸広の妻・京子に不倫関係が発覚し、原田京子から繰り返し不倫をやめるように言われたことに対して、両親に相談し、弁護士を依頼して、問題を訴訟で解決しようとしていたが、自分こそが被害者だと思い込んでいたのに、裁判の中で京子に対して自分が慰謝料を支払わないといけない加害者の立場だと知り、その後は一週間で体重が激減、その後放火殺人という暴挙にでた。
原田幸広のホラ
裁判の経過・結果
裁判において北村有紀恵の弁護人は、この事件は、犯罪的・暴力的・破壊的な性格・感受性・考え方の傾向が全く無かった北村有紀恵が、北村有紀恵を性欲の対象としてもてあそぶことしか考えない原田幸広に、虚言により騙されて心と体を傷つけられたことが原因だと主張し、被告人は犯行当時は心神耗弱だったと主張し、情状酌量による減刑を主張した。地裁・高裁・最高裁のいずれも、原田幸広が北村有紀恵を性欲の発散の対象としか考えず、北村有紀恵の尊厳を侵害し、北村有紀恵に対する思いやりが無く、北村有紀恵を虚言で騙し、北村有紀恵の心と体をもてあそび、結果として北村有紀恵の心と体を傷つけたことを認定し、原田幸広を人道・道徳・倫理の観点から非難はしたが、法的な観点から原田幸広の責任を問う事はなく、この事件の犯行の根本的な原因・責任は、北村有紀恵の性格・感受性・考え方の短所・欠点が現象形態として作用したと認識する検察官の主張を認定し、北村有紀恵はBの虚言による騙し、原田幸広により心と体をもてあそばれ、心と体を傷つけられた被害者で犯行時は心神耗弱状態だったから、減刑が適切であるという弁護人の主張は認定しなかった。
◆1995年(平成7年)11月、原田夫妻は有紀恵に対して、1億1300万円を求める民事訴訟を起こした。京子は「彼女に支払い能力があるとかないとか、金銭の問題じゃない。世間が彼女のことを可哀相な女と言っても、私だけは許さない」と言いきった。
◆1996年1月19日、東京地裁は北村に対して、検察の主張を全面的に認定して、検察の求刑どおり無期懲役の判決をした。被告人と弁護人は、裁判所が検察の主張を全面的に認定し、被告人が原田幸広の虚言に騙され、もてあそばれて心と体を傷つけられた被害を考慮せず、量刑が重過ぎると言う理由で6日後に控訴した。
◆1996年6月、有紀恵の両親は被災住民9世帯に200万円を支払って示談を成立させ、同様に団地を管理する住宅・都市整備公団とも示談にこぎつけた。
◆1997年10月2日、東京高裁は地裁の判決を維持し、被告人・弁護人の控訴を棄却した。被告人と弁護人は、裁判所が検察官の主張を全面的に認定し、被告人が原田幸広の虚言に騙され、もてあそばれて心と体を傷つけられた被害を考慮せず、量刑が重過ぎると言う理由で上告した。
◆2001年7月17日、最高裁は地裁の判決を維持し、被告人・弁護人の上告を棄却し、北村有紀恵の無期懲役刑が確定した。
◆原田夫妻が子供2人を殺害されたことに関して、北村に損害賠償を求めた裁判では、北村有紀恵の両親が原田夫妻に1500万円を賠償金として支払ったことに加えて、北村有紀恵が原田夫妻に3000万円の賠償金を支払うことで和解が成立した。
『八日目の蝉』は、この事件を題材にされたフィクション?
『八日目の蝉』は、この事件を題材にされたフィクションだと言われてます。
【類似点】・主人公が同じ職場の男と不倫していた。
・不倫相手の男は妻と別れて結婚すると言って、主人公を弄んだ。
・主人公が不倫相手の男の子供を妊娠し、中絶させられた。(実際の事件では2回中絶している)
・不倫相手の男の妻が主人公と同時期に妊娠し、出産した。
・主人公が不倫相手の男の妻から罵倒された。
・罵倒された内容が、主人公が中絶したことに対して『掻き出す』という表現を使っている。
・主人公が原因で不倫相手の家が火事になる。
・ドラマの事件の現場が多摩市で、実際の事件があった日野市と非常に近い。
(実際の事件の被害者の焼殺された6歳の長女は多摩市の幼稚園に通っていた)
・主人公の事件当時の年齢設定が29歳、不倫相手の男が32歳、妻が31歳で、実際の事件と近い。
(実際の事件の犯人は当時27歳、不倫相手の男が34歳、妻が33歳で、全員2歳差である)
【相違点】
・実際の事件は不倫相手の子供2人を放火殺人しているが、ドラマの主人公はしていない。
・ドラマの主人公は不倫相手の子供を誘拐しているが、実際の事件ではしていない。
・ドラマの主人公は逃亡しているが、実際の事件では逃亡していない。
・ドラマの主人公は過失で火事を起こしているが放火ではない。(ドラマは小火程度)
・ドラマの被害者宅は一戸建てだが、実際の事件は5階建て団地の4階である。
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