過食嘔吐がやめられない時、身を守る方法

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摂食障害・過食嘔吐、どうしても辞められない時は、自分を責めずに少しでも身体をまもることを考えて…

摂食障害は、「中枢性摂食異常症」とも呼ばれ、厚生労働省の難治性疾患(難病)に指定されているほど治るのが難しい病気です。

患者数は?

極端に食事を制限したり、逆に食べ続けたりする「摂食障害」。

日本国内には、どれぐらいの患者がいるのでしょうか?


はっきりした実態は分かっていませんが、厚生労働省研究班の調査で、約2万4500人という推計があります。


病院に行って受診してない場合はこの数に含まれていないため、実際には、もっと多くの患者数になります。


摂食障害=過食嘔吐?

摂食障害の患者さんすべての人が嘔吐するわけではありません。

食べることを拒否する「拒食」の人もいれば、食べることをとめられない「過食」の人もいます。


過食の中で、食べた後に吐いてしまう人=「過食嘔吐」は、くせになりやすく、長期的にやめられなくなる人が多いです。


拒食と過食、または拒食と過食嘔吐を繰り返すこともあります。

原因の追究よりも…

摂食障害の病因は

・やせていることに価値があるという社会文化的要因

・太っていることが悪い事という社会文化的要因

・大人になることへの拒否(成熟拒否)や自己否定などの心理的要因

・満腹中枢の異常、脳機能の異常などの身体的要因


心理学要因としては

・親との関係

・愛情不足

・女性性の拒否

・太ることへの恐れ

・体重減少の喜び(ハイになった状態)

・ストレス

などが原因と言われています。


…が、原因の追究よりも 今の状態を把握し、自分を受け入れ、これ以上からだと心に負担をかけないことを考えることを優先すべきです。


対処方法① 食べても良いと思えるものを食べる

過食嘔吐は罪悪感があるものですが、まったく食べないよりは食べたほうが良いです。

病院でも「まずは、吐いても良いので食べるように」と指導されます。


吐いても、なるべく少しはお腹の中に残すように意識しましょう。

苦しくない程度、自分で許せる程度から始めましょう。


これには、食べるものの種類も重要です。

自分が許せるもの、例えば、野菜やお豆腐、海藻やこんにゃく、ヨーグルトなど。

「これなら食べても太らないよね」って思える食品を選びましょう。

血糖値の急上昇・急降下を防ぐ

過食する際は、普段がまんしているもの、ケーキやお菓子、ごはんやパン、アイスクリームや甘いドリンクなどが食べたくなりますが、糖分の多いものは血糖値も急上昇。

それを一気に吐いたら、今度は急降下。 


・意識が遠のく

・不安感に襲われる

・ソワソワと落ち着かない

・イライラする

・だるい

・眠気

・動悸

・手足が震える

…なんてことになります。


それを防ぐために、いきなり甘いものを食べるのはやめましょう。

ケーキ、菓子パン、スイーツを食べるなら、先に糖質の吸収を妨げるものを食べましょう。


食物繊維の多いお野菜、海藻、きのこなど、

サラダや具沢山のお味噌汁を先に食べてください。

自分で作る余裕がなければ、コンビニやスーパーで売っている千切りキャベツや浅漬けでもOKです。


そして、ドリンク類には特に気を付けて!

缶コーヒー、清涼飲料水などに含まれる「ぶとう糖果糖液糖」「果糖ブドウ糖液糖」などの糖類は液状なので吸収もとても速いです。いくら甘いものが欲しくてもあまいドリンク類は避けましょう。



吐いても苦しくないものを選ぶ

吐くときに、「ウエッ」「ゲッ」ってなると涙も鼻水も出て、唾液腺も腫れて とっても苦しみます。目の血管が切れて、目が真っ赤になることも。かたいものだと、喉が切れて血が出ることもあります。

からだに負担をかけないためにも吐きやすいものを選んで食べましょう。

ごはんや、かたい野菜、パンなどは、いっしょに水分をたくさんとったり、よく噛んでから食べないと苦しいです。


おすすめは

・ヨーグルトのようになめらかなもの

・スープ類、水分の多いもの

・納豆や山芋などネバネバしたもの


とくにネバネバ系は最初に食べておくと糖質の吸収も抑えられるし、後でごはんとか食べても比較的楽に嘔吐できます。


刺激物は控える

過食嘔吐が続くときは、口の中、喉、胃腸の粘膜に負担がかかっています。

なるべく辛いものなどの刺激物は控えましょう。


・唐辛子

・一味、七味

・ラー油

・タバスコ

・わさび、からし  など


生の野菜やにんにくも粘膜に刺激をあたえるので注意。

サラダを食べる時は、玉ねぎは水にさらし、大根は分厚く皮をむくこと。

自分を責めない

過食嘔吐は、罪悪感をともないます。

「食物やお金を無駄にしている」「やめたいのにやめられない」。


自分でも痛いほどわかっているのに、周りの人や家族からもそんなことを言われれば、更に傷つき、自分を責めてしまいます。


摂食障害は、「ぜいたく」や「わがまま」ではありません。

今、過食嘔吐がやめられないのは、今までに何かを我慢し、耐え続け、頑張ってきたからです。

過食嘔吐することで自分をかろうじて維持できているなら、それを責めることはありません。


依存症と呼ばれるものは世の中にたくさんあります。

たばこ、お酒、薬物、ギャンブル、買い物、セックス、ゲーム、万引き、盗癖、ネット、携帯、浮気、DV、借金、ストーカー、男性依存、女性依存…


程度の差はありますが、多くの人が何らかに依存しているのではないでしょうか。

タバコがやめられない人、お酒がやめられない人、食べて吐くことがやめられない人…

いろいろありますけれども、良いところもたくさんあるはずです。

悪い部分に意識が行きがちですが、それがその人の全てではないのです。

(私は過食嘔吐が悪い事とは思いませんが…)


食品添加物や砂糖たっぷり、油脂たっぷりの不自然な食べ物が溢れる中、そういったものを嘔吐するのは、ある意味健康維持かもしれないと考えることもできます。


とにかく、自分を責めて落ち込んだって治るものではありません。(悪化することはあります)

ずっと最悪の状態が続くわけでもありません。

自分を責めずに、いたわることを考えましょう。


最後に

この記事は、過食嘔吐を推奨するものではありません。

今、過食嘔吐で苦しんでいる人の自責の念が少しでも軽くなればと思い書きました。


私自身、26年間ほど過食嘔吐の経験がありますが、健康診断ではひっかっかたこともなく、いつ血液検査をしても、とても良い数値が出ています。

体調不良も、吐きだこも、唾液腺の腫れもありません。


摂食障害になってから10年くらいは、本当に辛かったです。体の面もお金の面も。

苦しくて苦しくて、自殺未遂もしました。


しかし、自分をいくら責めても絶対に治るものではありません。辛いだけです。

過食嘔吐は完璧に治そうと思うと難しいので、「マシになればいいや」くらいで良いです。

目標を過食嘔吐をやめることではなく、「体がしんどくないこと」「健康でいること」にすると身体も楽になりますし、気持ちも楽になります。


著者プロフィール
Sharetube