【死刑判決】川崎アパート3人殺害事件「津田寿美年」とは

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川崎アパート3人殺害事件


川崎市幸区中幸町1-54のアパート「幸栄荘(写真)」で

大家の男性と弟夫婦の3人を刺殺した殺人事件。

幸署によると、殺人容疑で現行犯逮捕された

無職・津田寿美年(57・写真)は

平成21年5月30日午前6時50分頃、

アパート「幸栄荘」隣に住む大家の柴田昭仁さん(73)と

同アパートに住む弟の嘉晃さん(71)、

嘉晃さんの妻・敏子さん(68)の3人を柳刃包丁で刺した疑い。


同容疑者は逮捕時、泥酔状態で自室の畳に凶器とみられる

刃渡り約20センチの包丁を突き刺して座っていた。


嘉晃さんと敏子さんはそれぞれ窓際で横向きになって倒れ、

昭仁さんはアパート前であおむけで倒れていた。


昭仁さんの次女(39)が3人が刺されているの発見し、

110番。3人は搬送先の病院で死亡が確認された。


津田寿美年は、昭仁さんの自宅に隣接するアパート1階の

家賃3万円の角部屋に5年前から入居。


同じ1階の2部屋に嘉晃さん夫妻が住んでいた。

同署によると、津田容疑者は

「柴田さん一家に長年の恨みがあったので刺した」と容疑を認めている。


同署や近隣住民によると、

津田容疑者は隣室に住む嘉晃さん夫妻について数か月前から

「未明から洗濯機を回してうるさい。

不眠症になっている。洗濯機に穴を開けてやる」

「ドアを閉める音がうるさい」などと不満を漏らしていた。


階段の上り下りなどの生活音をめぐって

夫妻と口論になることも多かった。


さらに「アパートの家賃を滞納して(昭仁さんに)注意された」

「小言を言われてうるさい」とも話していた。


「嘉晃さんから『(自分が)大家の弟ってことを忘れているだろ』

と言われて怒っていた」との証言もある。


「右腕に入れ墨があるから、近所でも怖がられていた」(商店街の住民)

という津田容疑者は酒に酔ってトラブルを起こすこともあったようで

ある男性は「知り合いが頭突きされたことがある。

近寄りがたい感じだった」と話す。


前日29日夜も行きつけの飲食店で昭仁さんらへの不満を漏らしていたという。

出典:簡単ホームページ作成サービス(無料) - Yahoo!ジオシティーズ

	

時系列


【2009】

05/30午前6時50分頃、川崎市幸区中幸町のアパート1階で、男が、大家の73歳男性と、アパートに住む大家の弟の71歳男性、その妻の68歳女性の3人を包丁で次々と刺した。3人は搬送先の病院で死亡を確認。

被害者の39歳次女が3人が刺されているのを発見、110番通報。

神奈川県警幸署は、1階に住む無職の57歳男を殺人未遂容疑で現行犯逮捕。その後、容疑を殺人に切り替え。

容疑者は「一家に長年の恨みがあったので刺した」。「ドアの開け閉めや洗濯機の音がうるさくて我慢できなかった。殺すつもりはなかった」と供述


05/31無職の57歳容疑者を殺人容疑で横浜地検川崎支部に送検


06/02神奈川県警幸署は、司法解剖の結果、3人の死因は胸などを刺されたことによる失血死と発表


06/15横浜地検川崎支部は、57歳容疑者について、本格的な精神鑑定を実施するため横浜地裁川崎支部に鑑定留置を請求、裁判所は請求を認める。(期間:6月16日~9月15日)


09/1257歳容疑者の精神鑑定を行った医師が「精神病には当たらない」と診断し、横浜地検に報告したことが分かる。


09/17横浜地検は、大家の男性ら3人対する殺人罪で無職の57歳男を起訴


【2010】


07/15公判前整理手続き 第1回協議 2度目の精神鑑定の実施を医師に依頼


【2011】


03/25公判前整理手続き協議 公判日程を決定

争点整理の結果、被告の刑事責任能力の有無は争われないことに


06/02第一審 初公判


06/10第一審 論告求刑公判 検察側は、被告に対して死刑を求刑


06/17第一審 判決公判 横浜地裁(秋山敬裁判長)は被告に対して求刑通り死刑を言い渡し


06/29被告の弁護団は、判決を不服として東京高裁に控訴


07/04被告が控訴を取下げ、死刑判決確定

出典:裁判員裁判 川崎3人刺殺事件

	

津田寿美年


津田寿美年

事件当時年齢 57歳

犯行日時 2009年5月30日

罪 状 殺人

事件名 川崎アパート3人殺害事件お気に入り詳細を見る 修正

裁判での様子

午前10時過ぎ。同じアパートに住む夫婦ら3人を殺害したとして、殺人罪に問われた無職の津田寿美年(すみとし)被告(59)は上下黒のスポーツウエア姿、サンダル履きで入廷した。検察官が起訴内容を読み終わるまで後ろで手を組んで耳を傾けた。秋山敬裁判長が「事実は認めるということですね」と尋ねると、はっきりと「はい」と答えた。

 検察側冒頭陳述が始まると、被告人席で目を閉じて聴き入り、午後5時前まで続いた公判中、ほとんど表情を崩すことなく、法廷のモニターに映し出される現場写真などを見たり、前を向いていた。


 裁判員に選ばれた男性5人、女性1人はいずれも厳しい面持ちで入廷した。被害者の遺体の写真が裁判員の前に設置されたモニターに映し出されると、男性裁判員が険しい表情で画面を見つめていた。

出典:川崎、3人殺害事件 冒頭陳述: 裁判員Blue

	

裁判焦点


裁判員裁判。公判前整理手続きで、争点は殺意の発生時期と量刑に絞られた。

 弁護側は起訴後に精神鑑定を再度実施することを求めており、公判前整理手続きの第1回で横浜地裁は実施を決めた。その鑑定結果により、被告に刑事責任を問うための責任能力があることに、検察、弁護側の双方で争いはない。

 2011年6月2日の初公判で、津田寿美年被告は起訴事実について「(間違いは)ないです」と認めた。

 検察側冒頭陳述によると、津田被告は以前から被害者の部屋の戸の開け閉めの音に不満を抱いており、事件当日、酒を飲んで帰宅後、怒りが限界に達して殺害を決意したとされる。弁護側は冒頭陳述で、脅すつもりで被害者の部屋に入ったが、もみ合ううちに夫を刺し、その後に殺意を覚えたと主張した。

 冒頭陳述で検察側は、津田被告が隣室に住んでいた男性のドアの開閉音に不満を抱き、怒りを爆発させて殺害を決意したとし、「殺傷能力がある刃渡り約20cmの包丁で、最初から強い殺意をもって刺した」と主張した。

 これに対し弁護側は、「男性を脅そうとしただけ」として、最初から殺意を抱いてはいなかったと主張。「男性ともみ合いになって、包丁が胸に刺さった」とし、その後は異常な興奮状態に陥って、妻と兄を刺したと訴えた。ドアの開閉音については、「わざとうるさくする嫌がらせだった。4年以上続き、精神的に極限まで追いつめられていた」と述べた。

 7日の公判で津田被告は、最初に男性を刺した際の状況について「分からない」と語った。一方、妻については「(男性殺害後)目と目が合ったから追いかけた」と話し、駆け付けた兄に関しては「目が合い何か言われ突進して刺した」と明かした。そして「命で償うしかない。拘置所に入った時点で死刑囚と思って生活している」と心境を明かした。また、「やってはいけないことをやってしまった。申し訳ございません」と頭を下げ、公判で初めて遺族に謝罪した。

 8日の公判で津田被告を精神鑑定した大学教授は、教授は津田被告の責任能力を認めたものの「被告には性格の偏りが著しい『非社会性パーソナリティー障害』が見られるものの、精神病の状態ではない。違法性の認識は十分にあったが、障害で(自分を)抑えられなかった」と述べた。犯行時に酒に酔っていたことについては、「軽度の二日酔い程度」とした。津田被告は教授にも、犯行の直接のきっかけについては話していないといい、教授は「動機は(隣室の)男性との積年の確執により形成され、衝動的に犯行に及んだ。妻と兄については、男性を殺害した直後の興奮状態の勢いから、半ば偶発的な犯行と推察できる」と述べた。


10日の論告で検察側は、遺族の厳しい処罰感情や残虐性を強調。3人に心臓に達する傷を負わせたことから「強い殺意」があったと指摘した。男性のドアの開け閉めの音が不満で事件を起こしたとして、「引っ越すなどの方法があった。短絡的で身勝手。(殺害前にも)男性を殴って失明させるなど耐えていたわけではなく、酌量すべき点はない」と批判。「男性の寝起きを襲い、包丁を3回突き刺すなど、卑劣で執拗な行為」と指摘した。駆け付けた男性の妻や大家については「目が合っただけで敵と考え躊躇せず殺害した」などと述べ、「3人殺害に相応した刑を受けなければならない。3人の命を奪っても命で償うほどではないという人命軽視のメッセージを社会に送るわけにはいかない」と永山基準に照らしても、死刑が相当とした。

 同日の最終弁論で弁護側は「津田被告は県営住宅への申し込みを検討し、男性と顔を合わせないように、近くの公園やスナックに出かけるなど、トラブル回避のため必死に努力していた。大きな音をたててドアを閉める(男性の)いやがらせが約4年間続き、(被告の)ストレスが極限まで蓄積され、爆発した」と情状酌量の余地があると指摘した。脅すつもりで男性の部屋に入り、もみ合う中で偶然包丁が刺さり、異常な興奮状態だったとして、「計画性は全くない」と主張した。そして「衝動的な犯行で深く反省もしている。社会的影響や反省状況も永山基準を満たさない。無期懲役が相当。現在59歳で、無期懲役刑となっても社会復帰は事実上あり得ない」と述べた。

 被害者参加制度に基づき、遺族の代理人弁護士が「反省の形跡がなく、公判前よりも強く極刑を望んでいる」とする求刑意見を読み上げた。

 最終意見陳述で津田被告は「極刑は自分で覚悟してますので。それだけです」と述べた。

 秋山裁判長は判決で、被告はアパートの隣室に住む男性が開け閉めするドアの音に一方的な不満を募らせ、悪感情を爆発させ殺害したと認定。音自体悪質ではなく、どこにでもある騒音トラブルとし、「主たる要因は、粗暴で人命を軽視するような身勝手な被告の人格にある」と批判した。また「刃物を胸に向けた時に殺意があったのは明らか」と殺意を認定し、弁護側の主張を退けた。そして現場にいた大家と妻の殺害については「動機らしい動機もなく、経緯に酌むべき余地はない。無防備な人を次々と突き刺し、執拗かつ残虐」と厳しく非難した。そして「全くためらいなく、次々と3人を殺害した執拗で残虐な犯行。3人が受けた恐怖や苦痛は想像を絶する。死刑に処するのはやむを得ない」と述べた。


 弁護団は判決当時と6月28日に津田被告と接見。津田被告は一審判決後、「(死刑判決を)受け入れたい」と控訴しない意向を示していたが、弁護団が「一審の弁護人として控訴する。(控訴審を通じて)ほかの弁護士と判決を検討する時間があってもいいのでは」と話すと、同被告は「分かりました」と述べたと。そして6月29日、津田被告の弁護団が東京高裁へ控訴した。弁護団は「量刑や犯行に至る経緯の事実認定で、主張が受けいれられなかったため」と控訴理由を説明した。

 津田被告は7月4日付で東京高裁への控訴を取り下げ。死刑判決が確定した。

出典:tsudas"

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遺族


Sさん夫婦の長女と、Sさんの妻、長女が被害者参加制度に基づき公判に臨んだ。津田被告や傍聴席から見えないように、検察官席の後ろに設けられたついたての後ろで、3人は被告や検察官の言葉に耳を傾けた。検察官が被害者が刺された傷の位置や深さなどをモニター画面を使って説明すると、遺族のおえつが法廷に静かに響いた。検察官は「命で償ってもらうしかない」「死刑にしてください」といった遺族の調書を読み上げ、処罰感情が強いことを強調した。

出典:川崎、3人殺害事件 冒頭陳述: 裁判員Blue

	

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