<Floret>2月の花・ウメ熱海梅園・カタクリ深大寺野草園・ザルツカンマーグート

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★「新しい」

新しい年が始まり、

新鮮な気分を持続している人がいれば、

年末年始や正月も関係なく、

淡々と変わりなく生活する人もいる。

人、様々だ。


「新しい」という言葉は、

例えば「ニュータウン」のように

オールドタウンにも使われたままで

時として曖昧に使われることも多いが、

「新しい」から心が変化し、

活力が溢れれば、

それに越したことはないだろう。


身の回りのものを新調したくなる時がある。

ネットで探し求めて、

やっと届いた物には後悔することの方が多い。

物が溢れんばかりの街々を歩き廻ってみても、

なかなか好みの物が見つからない。

一日歩き廻って

家に持って帰ってきたのは、

食料品と本と沢山の疲れだけ。

情けない。

今日見た物を購入しようと決心し、

再度、店を訪れても同じ物がない事もある。


私にとっては、

物に限らず「新しい」は、魅力的。

すぐに古くなるのだが。

★花暦「ウメ 梅」

2月の花・ウメ

			
春告草、風待草、初名草、鳥梅、宇梅、ムメ・・・

これらは全て、ウメの異名。


多くの名で呼ばれ、観賞用としてだけではなく、

梅干し、梅酒、梅酢など食生活や

精神的な面でも人々を魅き付けてきた梅。

中国から薬用植物として渡来した梅の加工品は、

鳥梅(うめい)と呼ばれます。

青い実を燻製にした物で、

熱冷まし、咳止め等の薬効があります。

また染色の際には、紅紫の発色剤としても使われていたようです。

中国では、

国花として、花の中の王とされる梅ですが、

日本でも、桜と国花の座を争ったという話もあります。

菅原道真との関係も深く、天神様の神紋も梅鉢です。


梅の木に生える苔をアルコールで発酵させると、

目の覚めるような桃色の染液を抽出することが出来ます。

季節ごとに、梅を見、香りを嗅ぐと

その染液で糸を染めて見せてくれた人や

その頃の日々も甦ってきます。

熱海梅園

★花暦「カタクリ 片栗」

カタクリ 片栗

			
まだ寒い早春、

紫斑のある葉の元から伸びる花茎に、

まるで踊っているかのようにも見える花を咲かすカタクリ。

カタクリは、

江戸でブンダイユリ、京ではハツユリと呼ばれていました。


うつむき加減に咲く姿は確かに百合に似ており、ユリ科に属します。

カタクリの名前の由来は、

万葉時代に使われていた「堅香子(かたかご)」が転じたとか、

花をつける前に地表に現れる一枚の葉が、

栗の子葉に似ているからといった説などがあります。


片栗粉は、

元来、カタクリの地下の鱗茎から採るデンプンですが、

量産が不可能なため、現在は片栗粉=ジャガイモ粉となっています。


大伴家持は万葉集の中で、

カタクリの花が咲く情景を詠っています。

もののふの 八十娘子らが 汲みまがふ 寺井の上の 堅香子の花

(巻19—4143)

泉に水を汲みに集まった娘らの初々しさと、

傍らに咲くカタクリの姿を重ね合わせたのでしょうか。

娘らの賑やかなおしゃべりに耳を傾けているかのような花姿も浮かんできます。

花言葉は、「淋しさに耐える」

深大寺野草園

プリムラ ポリアンサ