<Floret>4月の花・サクラ桜・ソメイヨシノ染井吉野・シシングハースト

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★虹

真剣に虹を追いかけたり、虹の橋を渡った夢を見たことありませんか?

空に、ある日ある時突然、

幻想的な美しい光の現象を目にすることがある。

大気中に浮遊する水滴によるのは、虹やコロナなど。

氷晶によるのは太陽柱、幻日など、

蜃気楼(ようきろう)や逃げ水は、地面付近と地表面の温度差によって発生する。

オーロラは、夜側の宇宙で加速された電子が、

大気の分子に衝突して空気を光らせる現象だという。


虹は雨上がりや天気雨の時によく見られる現象で

自分の後ろが晴れていて、

前方の水滴に太陽光線が当たり水滴の中で光が屈折され、

その光が特に強くなる時だけ虹になる。


一回だけ光が屈折した虹は、主虹(しゅこう)、

二回屈折した虹は、副虹(ふくこう)と呼ばれます。

虹の色は、

赤・橙・黄・緑・青・藍・紫の七色で、

主虹の場合は、赤が一番外側。

副虹は紫が一番外側になり、色の配列が違う二本の虹が見える時もある。


虹は、噴水などでも見られますが、簡単に自分で作ることもできます。

天気のいい日に、太陽を背にして霧吹きで作ったり、

洗面器などに鏡を入れ、壁などに映すと平らな虹も楽しめます。

いずれも小さな虹ですが、

その美しさとともに昔見た虹やその時に一緒に見た人たちの記憶が戻ってきます。


4つのクリスタルガラスを窓際の外や内に吊るしている。

晴れた日にはアチコチに移動する。

太陽が差す時間に、室内で虹と遊ぶ至福の時間。

虹を見た時の、あの幸せな気分は今も全く変わらない。

★花暦「桜 サクラ」

			
「日本の花」と言われて、桜を思い浮かべる人や

「好きな花は」と聞かれれば、桜と答える人は多い。

花冷え、花雪洞(ぼんぼり)、花篝(かがり)‥

花はすべて桜のことです。

桜月夜は、桜の咲く朧月夜(おぼろづきよ)のこと。

夜の花見は、ライトアップされた桜の下で騒ぐのも楽しいですが、

おぼろげな月の光に照らされる桜の観賞もいいものです。


日本人にとっての桜は、

時代背景とともに変遷を辿り、現在に至ります。

古代の人々は山に咲く桜の花の咲き方に、その年の稲の実りの豊凶を占い、

武士や軍国主義の時代には、生命に対する考え方の象徴として、人々の前に掲げられたといいます。


「散りゆく瞬間に無常を思う」

散り際や散りゆく様、散った花びらも美しいと感じる桜。

その情景に思いを重ねる日本人独特の感性は、平安時代からとされ、

心に刻まれ続け、現代の日本人の根底に宿ったのかもしれません。


やっと咲き始めた時、落葉、花も葉もない枝も愛おしい桜です。

★静岡県の桜

静岡県の魅力のひとつは「桜」。

沢山の種類の桜を見ることができるし、静岡県内の地名などのついた桜も多い。

ソメイヨシノ染井吉野が静岡県で生まれたのも、ほぼ確実。だと思う。

あちこちに名所はあるが、最高峰は三島市の国立遺伝学研究所。

構内には260種余りの桜の品種が集められていて、毎年4月上旬の1日だけ一般公開している。

ソメイヨシノがオオシマザクラとエドヒガンの交雑からできた桜であると解明した竹中要博士は、当時国立遺伝学研究所部長であった。

これだけの桜が集まっている所は、世界中でここだけ。だと思う。

三島市の国立遺伝学研究所

桜は、日本には100種以上、世界では500種以上あると言われる。

見分けるのは難しい。


●ソメイヨシノ(染井吉野)

徳川末期、江戸染井の植木屋が、オオシマザクラとエドヒガンが自生している伊豆半島からサクラを持ち帰って、「吉野桜」の名で売り出し、明治33年に「染井吉野」と名を改めたとされる。

また、竹中要博士によるオオシマザクラとエドヒガンの交雑種の他、他の桜も関わっているという説や雑種ではないといった説もあったが、静岡大学や千葉大学の研究により、「オオシマザクラとコマツオトメのようなエドヒガン系品種との交配でソメイヨシノが出来た」とされる。やっぱり一番目立つ。


●カンヒザクラ(寒緋桜)

寒緋桜は、濃い紅色の釣り鐘状の花で、1月から咲き始める。


●カワヅザクラ(川津桜)

早春に伊豆で咲く川津桜は、花色がピンク色で寒桜の仲間。


●オオシマザクラ(大島桜)

白い花と同時に緑色の葉を展開する。

若葉を塩漬けにしたものが桜餅などに使われたり、数々の園芸品種の親株や他のサクラの接ぎ木の台木にもされる。オオシマザクラはヤマザクラ群。


●ヤマザクラ(山桜)

花と同時に赤茶けた色の葉を展開する。

花色は一般的には白や淡いピンク色だが、濃い色や先端の色が濃いものなど変化も見られる。山地に広く自生し、樹齢500年を越えるものもある。

奈良県の吉野山は昔からヤマザクラの名所として有名で、約3万本が植えられている。静岡県富士宮市には、日本最古級で特別天然記念物指定ヤマザクラの狩宿の下馬ザクラが有名。


●フジザクラ(富士桜)/ハコネザクラ(箱根桜)/マメザクラ(豆桜)

富士山や箱根、伊豆半島、本州の中部などに自生している。

花は1〜2cmで小さく、樹高は他の桜に比べて低い。

花色は白からピンク色で、下に向いて咲く。濃い目のピンクの花色種が多い。


「日本五大桜」

・狩宿の下馬ザクラ(静岡県富士宮市)

・山高神代桜(山梨県北杜市)

・石戸蒲ザクラ(埼玉県北本市)

・根尾谷の淡墨桜(岐阜県本巣市)

・三春の滝桜(福島県田村郡三春町)

★海を越えて

イギリスの庭園は恋人たちのもの「イギリス・シシングハースト」

Sissinghurst Castle Garden

ロンドンから南下するとケント州の緩やかな丘陵に田園地帯が広がる。

シシングハースト・カースル・ガーデンは、

そんな風景の畑の中にポッカリ現れるオアシスだ。

クレマチスの紫の壁、カモマイルの香るベンチ、タイムが織り成す絨毯、

ワイルドフラワーの散歩道、果樹園、高い生垣で仕切られた白い花だけの

ホワイトガーデン、ローズガーデン、コテージガーデンetc.

花たちが究極の美を奏でる。


イギリスでは小規模の庭園だが、入場者数は多く、

現在は、ナショナル・トラストが所有・管理している。


一組の夫婦のことを忘れてはなるまい。

庭を設計した夫サー・ハロルド・ジョージ・ニコルソンと、

植栽を担当した妻ヴィタ・サックヴィル=ウェストだ。

二人は、1930年代に荒れ放題だったここを買い取り、庭を完成させた。

二人の物語は小説や映画にもなっている。

現在は、ヴィタとハロルドの孫のアダム・ニコルソンと妻のサラ・レイヴンに引き継がれている。


〜イギリスの庭は、恋人たちのために作られた〜という。

Sissinghurst Castle Garden シシングハースト・カースル・ガーデン