太地町の妨害を密着ルポ 集う黒い活動家 SNS駆使し、全世界にアピール デンマークでの活動参加組も集結
追い込みイルカ漁が行われている和歌山県太地町に、反捕鯨団体シー・シェパード(SS)の活動家が集結し、漁師らへの嫌がらせを続けている。黒いドクロマーク入りのパーカーに双眼鏡、そして彼らが「武器」と称する高性能カメラ…。町を自由に歩き回る活動家らは格好でSSの一員であることを誇示し、ソーシャルメディアを駆使して、連日、漁の様子を報告している。SSが同じように妨害を行うデンマーク・フェロー諸島で、逮捕歴のあるリーダー格の女性活動家も太地町を訪れていることもわかった。
【シー・シェパード】太地町の妨害を密着ルポ 集う黒い活動家 SNS駆使し、全世界にアピール デンマークでの活動参加組も集結(2/10ページ) - 産経ニュース
http://www.sankei.com/world/news/151128/wor1511280010-n2.html
11月24日に太地町を訪れ、早朝からSSの活動家らの行動を取材した。SSが、イルカ漁が行われる時期に活動家を太地町に常駐させ、本格的な妨害活動を始めてから今年で…
訪日シー・シェパード活動家の正体 どんな嫌がらせをしているのか
河野邦夫(ライター)訪問者の5割以上は女性
イルカの追い込み漁が行われている和歌山県太地町に、シー・シェパード(SS)の活動家が訪れ、漁師らに悪質な嫌がらせを続けている。SSは、太地町を舞台にした『ザ・コーヴ』が米アカデミー賞を受賞した2010年から、活動家チームを常駐させるようになった。活動家のことを「コーヴ・ガーディアンズ」(入り江の見張り人)と名づけ、太地町のキャンペーンを全世界にアピールし、資金を寄付するよう呼びかけている。
SSのキャンペーンは今年で6年目に入ったが、これまで参加した人数を数えると、他の団体メンバーやリピーターを含め、通算で述べ700名近い活動家が太地町を訪れている。
読者の方々は驚くかも知れないが、訪問者の5割以上が女性であり、ほとんどが余暇を利用してキャンペーンに加わった一般人であるものの、それを反イルカ漁などの活動を生業とする一部の「プロフェッショナル」の職業活動家が統率している。
彼らは最新の撮影機器やネット技術を活用しており、嫌がらせの手法も年々進化している。さらに、太地町へのキャンペーン参加は、活動家としての出世の階段をあがっていく登竜門としての役割も持ち合わせていることも判明した。
私はそうした活動家ら1人1人の素性や動向を追跡してきたが、これまでの調査から、活動家とはいったいどんな人たちなのか、彼らは太地町でどんな嫌がらせを行っているのかといった実態が浮かび上がってきた。
手元に持つデータをもとに、太地を訪れる「シー・シェパード活動家の正体」を解き明かしたいと思う。
SSは昨年度からデンマークのフェロー諸島でも、太地町と同じような反捕鯨キャンペーンを行っている。デンマークでの活動家は欧州出身者が目立っているが、太地町に来ている活動家は割合としては米国人とオーストラリア人が多い。
これは地理的な理由が働いているだけでなく、コーヴ・ガーディアンズが米国のSS本部が主体となったキャンペーンである点と、南極海での調査捕鯨妨害活動でイニシアティブを取っているオーストラリアのSS支部が、日本のイルカ漁にも活動することに高い関心を持っていることなどが挙げられる。
太地町に活動家が殺到するようになった直接のきっかけはやはり『ザ・コーヴ』だったのだが、1年目の宣伝効果をふまえ、キャンペーンを継続するかどうかについては、現在、パリに逃亡している創始者のポール・ワトソン容疑者(64)が最終判断を下したようだ。
太地町の反イルカ漁キャンペーンは「可愛くて頭の良い動物が殺される」という人間の感情論に訴えるものであり、ワトソン容疑者の頭の中には、他のキャンペーンに比べても集客力があるとの認識があったようだ。
キャンペーン自体にショー的な要素も強く、太地での活動は当初からSSの最重要キャンペーンの一つとして、位置付けられている。3年目ごろからは米豪以外にも、欧州など他の地域の活動家も目立つようになった。
もう1つのSSの重要キャンペーンである南極海の調査捕鯨妨害キャンペーンに比べると、インフラや生活環境の整い、安全で快適に滞在できる日本国内でのキャンペーンは、体力的なハードルも低い。統計でみれば、参加した活動家の54%が女性だった。また女性は、可愛らしいイルカを守りたいという気持ちが男性よりも強いのかも知れない。
キャリアアップになる太地での運動
活動家は大まかには2種類あり、1つはそれぞれの国で本職を持ち余暇を利用して太地町を訪れるアマチュア活動家、もう一つは日本で長期滞在が出来る、定職を持たない「プロ」の活動家である。
太地での運動に参加することは、プロの活動家にとって、キャリアアップの位置づけにもなっているようだ。
欧米やオーストラリアのメディアは、イルカ漁をやめさせるためにわざわざ太地まで訪れた活動家のことを記事に取り上げる傾向にある。ワトソン容疑者をはじめ活動家がTV出演を果たすケースもある。そうして、SSの顔として内外から認められるようになり、幹部としての階段を上がるのだ。
2003年にSS活動家として初めて太地町を訪れ、逮捕された人物がいる。ワトソン容疑者の右腕であり、側近中の側近、オランダ出身のアレックス・コーネリソンだ。
現在はSSグローバルのディレクターという肩書きを持ち、団体の事実上のトップ。太地の後に最重要幹部までのぼりつめた出世頭である。
コーヴ・ガーディアンズの1年目のリーダーを務めた米国人の活動家、スコット・ウェストと2年目のリーダー、南アフリカ出身の女性活動家、ロージー・クネケ、そして、その後を引き継いだ米国人女性活動家、メリッサ・セーガルも太地での実績が認められ、SS内で確固たる地位を得た。
スコット・ウェストは米国環境保護局(EPA)の元主任捜査官で、50歳で退職してからSSに加わった。団体内でキャリアを積んだ活動家とは異なり、犯罪捜査員としての実績をかわれ、最初から団体内ではVIP扱いだった。
太地のキャンペーン以外にも米オレゴン州で行われたダム関連のキャンペーン、さらには昨年度のデンマークのフェロー諸島のキャンペーンでもリーダーを歴任しており、ワトソン容疑者からの信頼が厚いのはこのことからもわかる。
ウェストは太地町以外の場所でも日本で活動場所を広げようとしていた。1年目のキャンペーン終了後、岩手県大槌町のイシイルカ漁をターゲットにしようと現地を訪問。その矢先に東日本大震災の津波に遭遇して、命からがら帰国した経緯を持つ。
SSと距離を取る活動家も
2012年度以降、法務省はSSのリーダー格を入国拒否にする措置を取っている。これまでの対象者は15人程度に上るという。
入国拒否により太地町に来ることができなくなった活動家は他のキャンペーンに派遣されることも明らかになってきた。
SS南アフリカ支部を立ち上げたロージー・クネケは、祖国の金融機関でマネージャーを辞めた後に、SSに加わったインテリだ。太地の後、南極海での調査捕鯨妨害活動に加わり、 デンマーク・フェロー諸島でのキャンペーンでリーダー格を務めている。今年7月には現地で過激な妨害行為を働いたとして逮捕され、筋金入りの職業活動家の道を突き進んでいる。
こうした動きとは相反して、太地の後に、SSと距離を取る活動家もいる。2011年度から2年半太地町のキャンペーンリーダーを務めたメリッサ・セーガルのケースがこれにあてはまる。
彼女は太地への長期滞在を5回繰り返した。本来の法務省のSS対策から推察すると、極めて例外的なケースと言えるのだが、ついに昨年12月に入国拒否措置を受けた。
彼女は元々、米国で最大の動物愛護団体「PeTA」に所属していたが、30代になってSSに転身、太地でのキャンペーン統率も大過なくこなし、団体内でも信頼が厚かった。
しかし、先頃、セーガルはフェイスブック上でSSから脱退した事を明かした。彼女は「真のアクティビズムとは一人の人物のエゴよりも大きな大義に取り組む事。私はもはや組織や力関係には関わらない」と書き記し、SSが数少ない人物の方針で運営されていることを暴露した。
SSのような巨大組織は徹底したヒエラルキーと管理システムがあり、それに不満を持って去るメンバーが多いとは聞くが、セーガルもその一人となったようだ。
強い信念を持つアマチュア活動家
芸能人や著名人が太地町のチームに迎え入れられ中継に出演したり、帰国後にメディアに出演するなど、コーヴ・ガーディアンズの広告塔として活動をしている。
日本でも人気の「ビバリーヒルズ高校白書」に出演した経歴を持つ米女優、シャナン・ドハーティー、米国の人気テレビシリーズ「ザ・シンプソンズ」の共同ブロデューサーであるサム・サイモン、米テレビタレントのシモーネ・レイエスらがシー・シェパードの活動に賛同し、太地町を訪れている。
サム・サイモン(2015年3月没)はSSの大口支援者であり、ワトソン容疑者はその献身的な行為に経緯を示し、彼の名をSS船の名称にしている。
一方、彼らの大多数は普段はシー・シェパードの各国の支部で週末にチャリティやボランティア活動に参加している一般人の「アマチュア活動家」であり、それぞれの滞在期間は数日から2週間程度と比較的短い。
こういった短期滞在の活動家が入れ替わり立ち代わりやって来て、毎年6ヶ月もの間、太地町に「監視」の名目で滞在する。時には同時に20名の大人数が太地漁港やイルカ漁が行われる畠尻湾で威圧的に振る舞う。
これら一般人の活動家はそれぞれの祖国に帰った後もそれぞれの支部が催す反イルカ漁デモに加わるなどしている。
「アマチュア活動家」でも太地町には比較的長期滞在する活動家もいる。彼らの職業を見ると、中小企業の経営者やフリーランス系の仕事など長期休暇が取り易い職種についている。女性活動家には、主婦も多いのも特徴だ。
こういった経営者の業種を見ると、SMS送信サービス企業、動物病院、整体クリニック、ヨガスタジオ、ダイビング業、自然食品メーカー、工務店、車アクセサリーメーカー、アパレル系通販、ステージライティング業、情報技術リサーチ企業など分野は様々である。
しかし、どのアマチュア活動家も、シー・シェパードの活動を正義として捉え、太地町を訪れることに強い信念を持っているようであり、日本への渡航費用も自費である。中には、会社ぐるみで活動家のサポート体制をとっているようなケースもある。
また、シー・シェパードの活動に触発されて、祖国で務めていた仕事をやめて、プロとしての職業活動家の道に入るケースもみられる。
例えば昨年度のコーヴ・ガーディアンズのリーダーとして、3カ月近く滞在したノルウェー人女性活動家のカレン・ハーゲンは元々、幼稚園教師だったのだが、SSの幹部として認められたが故に、日本政府からにらまれ、入国が不可能になってしまった。
連日のサイバーハラスメント
過去5年のキャンペーン形態の変化といえば、最も大きいのがテクノロジーの進歩による発信媒体の変遷である。
彼らは連日のように、早朝から太地町を訪れ、この日、追い込み漁が行われるかどうかを現場から報告し、漁が行われれば人間を大量虐殺するホロコーストかのように実況する。
初期のころはブログでの太地レポートという日誌的な情報発信だったのが、2012年度からはフェイスブックやツイッターなどを活用して、リアルタイムで漁の微に入り細に入りを報告していく傾向が顕著になった。
漁の中止を求める横断幕を掲げる外国人の活動家たち=2015年9月1日朝、和歌山県太地町
イルカ漁が行われれば、ネット上で活動家が湾にカメラを向けて生中継を行う。そうして、「たった今イルカが湾に追い込まれている」「たった今殺されている」とナレーションを入れ、臨場感たっぷりに目の前で行われることを伝えるのである。活動家たちは、視聴者の感情に訴え、SSへの支持を広げているのだ。
現在のように警察や海保の特別チームが配備されていなかった初期のころ、活動家たちは、漁協関係者にカメラを近付けて集団で取り囲んだり、町民のトラックの前に座り込んで進路妨害するなどの実力行使の嫌がらせも行っていた。
英国人のサウンドエンジニアで、マーティン・スチュワートという活動家がいた。現地の全てを敵視し、現地では漁師以外の一般住民まで嫌がらせのターゲットにするなど好き放題を働いた。その横暴ぶりはSS幹部のスコット・ウェストに「腐ったリンゴ」とも言われるほどだった。
さらには日本に入り、諜報活動のようなことをしていたフランス人のトマ・ゲナール、津波被害の後に被災地で記念撮影するなど場違いな行動をとったカナダ人のタラ・ミレン。その後、治安当局の監視が厳しくなり、彼らのような破天荒な活動家は入国できなくなった。
そうした一方で、活動家が運び込む撮影・中継機器が年々高性能になっていることも特徴だ。
昨年度からはライブストリーム用に60倍以上のズーム撮影のできる最新のHDカメラが導入された。そうして、中継中に扇情的な煽りや罵詈雑言を撒き散らし、漁協や水族館関係者を勝手に撮影しネットにばらまくというサイバーハラスメントが中心的手法となってきている。
今後のコーヴ・ガーディアンズの展望を予想すると、SS幹部が相次いで入国拒否になっていることから、どうなるかわからない不透明な情勢になっている。昨年度以降は、長期滞在出来るという理由だけで、「アマチュア活動家」がリーダーとなるなどSS中枢の幹部がいない中での反イルカ漁キャンペーンが今年も行われている。
活動を継続させるためには寄付金と活動家集めが不可欠であり、リピーターの入国が難しくなって来た今、シー・シェパードがどのようにして新人活動家のリクルートを行うかが大きな課題となっているはずである。
かわの・くにお ライター。和歌山県太地町のシー・シェパードの活動に詳しい 膨大なデータをもとに分析・編集するレポートは治安当局担当者、霞ヶ関の官僚らにも読まれ、SS対策を練る貴重な資料となっている。
イルカ漁に抗議するため和歌山県太地町に居座るシー・シェパードの悪質な行動を記録した写真がネットで拡散中
金のためならどんなことでもやるシーシェパードはヤクザより始末悪い。
映画「ザ・コーヴ」を思い出して胸くそ悪くなりました。
(悪意に満ちた嘘だらけの映像で,映画と呼んではいけない)
http://www.buzznews.jp/?p=3052