日本の漁船員が水爆実験で被曝した「死の灰」の本当の範囲はもっと広かった。

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アメリカのビキニ水爆実験で被曝した日本の元漁船員たちが日本政府に慰謝料を求める訴えを起こした。

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ア その実験で1954年3月、静岡(しずおか)県のマグロ漁船「第五福竜丸(ふくりゅうまる)」が被曝したことは知っているわ。

A 米国はその年の3~5月、太平洋のマーシャル諸島ビキニ環礁(かんしょう)の周辺で水爆実験を6回実施(じっし)したんだ。年末までに海域を航行していたとみられる漁船はのべ約1千隻(せき)。うち270隻が高知からの船だったんだ。米国政府は見舞金(みまいきん)200万ドル(当時の円換算〈かんさん〉で7億2千万円)を払(はら)って政治決着を図り、日本政府もマグロの放射能調査を年内で打ち切った。被曝の影響(えいきょう)をずっと調べるべきだったと元船員らは訴えている。

出典:(いちからわかる!)米国のビキニ水爆実験、元船員らが訴えたの?:朝日新聞デジタル

	

この記事で引用されている放射能の降った範囲はもっと広かった。

			

日米政府は第五福竜丸以外は被曝線量は大幅に低く、福島原発事故の放射線被曝者と同様に健康に影響はないとして漁船員の調査を放置してきた。

被曝線量が低いとする根拠に使われたのがこのアメリカ空軍によって作成された「死の灰」放射性降下物が降った範囲、放射線量を示す図である。これが最も広く流布し真正とされた有名な降下範囲の説明図である。ところがこの図は、実際の放射能が降った範囲を小さく示しているという指摘がアメリカで起こった。本当はもっと広い範囲だったという図版が隠されていたのである。
広く流布されている放射性降下物の範囲図。細長いことから「葉巻型」と呼ばれた。
この図版と日本の漁船が操業・通過した位置を比べてみると実に多くの漁船がその範囲に含まれ大きな被曝を受けていたことがわかる。言い換えれば被曝した漁船員たちの存在を過小に見積もるために、放射能の影響を過小に評価することを目的に長い間アメリカ政府は事実を隠蔽してきた、あるいは日本政府は正しい情報開示を求めてこなかったとも言えそうだ。

訴訟を起こした漁船員たちの求めに応えるためにも、当時の被曝放射線量をこれらの情報を用いて再現する必要がある。

ブラボー水爆実験の歴史を振り返ってみたというアメリカ人のブログには、昔から信じさせられてきた放射能の広がりに誤りがあると指摘していた。

最近、アメリカ国防脅威削減局(Defense Threat Reduction Information Analysis Center・DTRIAC)からブラボー水爆実験の歴史を振り返った最新報告(2013年1月)のPDFを取り寄せました。それは「キャッスルブラボー:伝説と伝承の50年(DTRIAC SR-12〜001)」という報告書で(機密扱いではないが)オンラインで簡単に利用できないようなのでここに掲載しました。

そこには1954年以降流布した放射性降下物の予測、放射能汚染の問題といくつかの「神話」の詳細な記録が取り上げられています。

最初にアメリカ空軍によって作成された放射性降下物の範囲を示した図面は最も広く普及したものですが間違っていたのが不運でした。このプルーム(原子雲)、放射性降下物の範囲は実際の範囲よりも小さく示されていることを報告書は解説しています。実際には、放射性降下物はこの図よりもさらに遠く、広くにひろがり最悪の事態を招いたのです。

出典:Castle Bravo revisited

Restricted Data
		 																
範囲の異なるブラボーのフォールアウト範囲図。左から軍事特殊兵器プロジェクト(Armed Forces Special Weapons Project・AFSWP)、海軍放射線防護研究所(Naval Radiological Defense Laboratory・NRDL)、およびランド研究所(RAND Corporation・RAND)によってそれぞれ制作された。









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Sharetube