君が代不起立、都の敗訴確定=停職取り消しと賠償命令-最高裁
出典:http://www.labornetjp.org/news/2015/0528nezu
出典:http://www.jiji.com/jc/article?k=2016060100709&g=soc
君が代不起立は、右翼や右傾保守が言うような不敬でもなんでもない。国家が強制的に国民・市民に押し付けるものではない。また、圧力をかけることでもない。不起立する市民自由・権利は憲法で確保されている。以下・・・レイバーネット文面引用。画期的判決!勝ったぞ!~東京高裁(須藤典明裁判長)が根津さん「停職処分」取り消し。5月28日、東京高裁は、根津公子さんに対する2007年3月30日に出された卒業式における「君が代不起立」停職6か月処分について、地裁判決を覆し処分取り消しの判決を出した。また根津公子、河原井純子さんに対する損害賠償についても地裁判決を覆し、10万円の賠償を都教委に課す判決を出した。
判決が言い渡される824号法廷に参集した弁護士、控訴人(根津さん、河原井さん)そして傍聴者42名のほとんどが、根津さんの処分が覆るとは思っていなかったのではないか。裁判が始まる数分前まで「また控訴棄却。判決いいわたしは30秒ぐらいかな」「都教委はすでに判決を知っているのではないか。だって石津弁護士も来ていないし、来ているのは見慣れない若い女性が一人だけだ。判決文だけもらいに来たのだろう。都教委はこの裁判を馬鹿にしているのか」など、そこかしこから悲観的で、悔しさのにじむ声が聞こえていた。
2時30分、左右陪審を従えた須藤典明裁判長が入廷してきた。また「棄却」と言い、そそくさと退散するのだろうとだれもが思った。しかし須藤裁判長はゆっくりと着席し、傍聴席を見まわし、おもむろに「主文読み上げ、判決要旨を述べます。静かに最後までしっかり聞くように」と述べたのだ。「え!どういうこと?」。勝訴するなど思いもよらないと、その時も信じて疑わない傍聴席は、不思議な雰囲気に包まれた。裁判長「主文、控訴人らの控訴に基づき、原判決中、控訴人らの敗訴部分を取り消す。根津さんに対する懲戒処分を取り消す」。「根津さん勝ったの。本当」まだ疑心暗鬼。法廷内も、なんとなくもやもや。
裁判長が判決要旨を読み上げる。そして10数分要旨に解説を入れながら読み上げる。まだ事態を飲み込めない傍聴席は裁判長の説明に食い入るように聞き入っている。私もしかりで、根津さん、河原井さん、そして弁護士の様子をうかがうも喜びの表情はなく、途中「棄却、・・・棄却・・・・棄却」と裁判長が述べるのを聞き、もしかして根津さんらの控訴が棄却されたのではと不安になる。
「根津は停職3ヶ月処分を受けたのち、『停職出勤』と称して鶴川2中、や立川2中などに赴き、『処分は不当』などとプラカードを掲げた。しかしこの行為が具体的に学校運営に妨害を与えた事実はない。また勤務を外されているのであるから、勤務の妨害などは当てはまらない。6ヶ月処分は均衡を逸した加重処分と言わざるを得ない。また停職期間の上限は6月とされており、残されているのは免職だけであり、多大な圧力を根津にかけることになる。以上述べてきたようにこの処分は、処分に値する十分な根拠もなく、裁量権の合理的な範囲を逸脱している。この処分は不当である」
「国旗・国歌法制化の国会審議で、内閣総理大臣、文部大臣が『学校における国旗・国歌の強制は、憲法が保障している思想・信条を侵害してはならない。処分は機械的、一律的にしてはならない』と答弁しているのを都教委は熟知していたにもかかわらず、国歌斉唱時に起立しなかった教職員に、職務命令違反として、1回目は戒告、2回目は給与1月の月額10分の1カット、3回目は6月の月額10分の1カット、4回目は停職1月、5回目は停職3月、6回目は停職6月の各処分を機械的に運用してきた。これは国会答弁に違反し、なおかつ被処分者は最終的に職を失う。憲法に保障されている思想・信条を侵害することになり、控訴人に多大な精神的圧力、損害を与えたことになる。東京都は損害賠償10万円を支払うのが妥当である。」
傍聴席から「勝訴したんだ!」「やったー!」と拍手が起きたのであった。
急遽行われた記者会見では、いつにもまして大手報道記者(NHK、読売、朝日、共同などほか)が集まり充実した報告がなされた。すでに共同通信、朝日新聞、NHKテレビ、東京新聞、地方新聞などがこの判決について報道していることは周知のことと思う。
最後に判決直後の根津さん、河原井さんの喜びの声を載せておく。根津さん「本当にうれしい。こんなことが起こるとは夢にも思わなかった。長い間闘ってきてよかった。この判決は今も不起立を続ける田中聡史さんや他の教員に対して、背中を押すのは確実だと思う。都教委はその人たちを懲戒免職にはできない。みなさんありがとう。」
河原井さん「本当に良かった。この裁判で都教委は根津さんと河原井を分断し運動を衰退させることを目論んでいたと思うが、その目論みを打ち破ったことがとっても嬉しい。しかし職務命令は合法とされた。そして減給処分前の戒告処分は合法とされた。これを打ち破らないと真の勝利とは言えない。しかし一歩一歩前進していると思う。今日、もしかしたらと思い“逆転勝訴”の垂れ幕を書いてきた。この垂れ幕を裁判所前で誇らかに掲げることができて満足です。」
勝利判決後、裁判所門前で、河原井さん手製“逆転勝訴”の垂れ幕が、岩井信弁護士によって掲げられた。
また「河原井、根津らの『君が代』解雇をさせない会」からサプライズで、根津さん、河原井さんに祝福と今後も抵抗を続けてくれることを願い、白バラが贈られた事を報告しておく。(解雇させない会・佐藤茂美)