" もはや人権侵害を続けても何らの責任も問われないという事態ではない。" ガザ紛争・イスラエル指導者・司令官がいよいよ戦争犯罪に問われる可能性浮上(伊藤和子) - 個人 - Yahoo!ニュース

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報告書は、公平中立に双方の人権侵害を調査するという使命に基づき、ハマスのロケット攻撃や、「協力者」の処刑などについても国際人道法違反があると指摘している。

とはいえ、パラグラフ59~502まで列挙されている、ガザに関する事実認定のうち、多くをしめているのは、イスラエルによる空爆、地上戦による人命の犠牲、本来攻撃してはならない目的物への攻撃による民間人の殺害などである

国連が昨年のガザ紛争について事実調査報告書を公表

スイス・ジュネーブの国連欧州本部で現在開催中の国連人権理事会に来週、昨年夏、多くの人の命を奪った中東・ガザ紛争・侵攻に関わる人権侵害についての国連調査団報告書が提出される。


2014年7月8日に始まり、1カ月以上続いたイスラエル軍のガザ侵攻。


「境界防衛」(Protective Edge)作戦と名づけられたガザ侵攻では2000人以上のパレスチナ人が殺害され、このうち500人は子どもだったという。

昨年のガザ紛争の最中に、国連の人権理事会は事実調査団を任命、「紛争にあたり、紛争両当事者において戦争犯罪などの国際人権・人道法違反があったか否か」について調査をするよう命じた。

イスラエルはこの調査にまったく応じず、調査は困難を極めたが、ついに、国連調査団(Commission of Inquiry, COIという)が調査報告書を完成・公表したのである。来週月曜日の討議を控え、国際社会では大きな関心が寄せられている。

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調査報告書は何を認定したのか。

調査団の事実認定(Finding)は、イスラエル、ハマス双方に重大な国際人権法・人道法の違反があり、そのうちのいくつかは、戦争犯罪を構成する可能性がある、というものである。

報告書は、公平中立に双方の人権侵害を調査するという使命に基づき、ハマスのロケット攻撃や、「協力者」の処刑などについても国際人道法違反があると指摘している。

とはいえ、パラグラフ59~502まで列挙されている、ガザに関する事実認定のうち、多くをしめているのは、イスラエルによる空爆、地上戦による人命の犠牲、本来攻撃してはならない目的物への攻撃による民間人の殺害などである。

犠牲者数はガザの住民のほうが桁違いに多く、まさにワンサイドゲームが展開されたのを反映した調査報告書となっている。

英語で書かれた報告書は、家族、愛する夫や妻や、小さい子どもたちを一瞬にして失った人々の証言に満ちており、改めてその犠牲に胸が痛む。 

特に、避難所とされた国連の学校や発電所、救急車など、本来絶対に攻撃してはならない場所が攻撃されたことに関する調査団の判断は重要である。


あれは人生で最悪の日でした。絶対忘れられない。戦争ではなく、地獄でした。幼い娘は殺されるようなわるいことは何もしていなかったのに・・・“It was the worst day in my entire life. I will never forget it…This was hell, not war... My young daughter did not deserve to die.” "

ガザには安全な場所はありません。私たちは学校は安全だと思っていたけれどそうではなかった。正義はどこにあるのでしょう。私は夫を殺されました。 “There is nowhere to be safe in Gaza. We thought that the school would be a safe place for me and my family. This was not the case. There is no way for me to get justice, I lost my husband.”


出典:国連ガザ事実調査報告書(2015)

これは、国連事実調査報告書の一節、イスラエルによる地上戦が開始され、連日居住地でも続く攻撃・空爆から逃れるために、国連(UNRWA)が運営する学校に避難した民間人に対し、イスラエル軍が攻撃を行った際に、攻撃を体験し、家族の命を奪われた人々の証言だ。

調査報告書によれば、この紛争中、30万人の民間人が避難所と指定された国連(UNRWA)が運営する学校・850か所に避難。イスラエルはこのことを熟知しつつ、避難施設を攻撃したことになる。

意図的な民間人攻撃や無差別攻撃は許されない。紛争中でも民間人は保護されなければならず、無辜の市民を攻撃対象としてはならない。これは、ジュネーブ第四条約をはじめとする国際人道法に基づく確立されたルールだ。これに反する民間人殺害は戦争犯罪に該当する。

調査団長のMary McGowan Davisは、米・ニューヨーク州で 判事・検事として24年間にわたり刑事裁判の分野で活躍してきただけあり、報告書の内容は刑事事件の判決のように手堅く、説得力のあるものであり、「被害を避ける措置をとった」「攻撃は意図したものではなかった」などのイスラエルの反論を証拠に基づいて退け、国際人道法違反を結論付けている。

国連の学校への攻撃については、被害者のみならず国連関係者が証言をしており、国連事務総長のもとに別途実施された調査団(Board of Inquiry- 国連施設が破壊された際に事務総長が設置・派遣する調査団) からの情報にも依拠している。


もう一点注目されるのは、イスラエル軍上層部が、空爆・市街戦において、住民が居住するエリアであっても全面的に破壊攻撃するという攻撃ポリシーを採用しているとし、「多くのケースで個々の兵士は軍規に従って行動しているが、軍規そのものが戦時国際法に違反している」と言及し、国際法上の義務に反する司令官の責任に言及している点である(640パラ)。

これは、戦争犯罪が個々の兵士の責任にのみ帰することが出来るものでなく、司令官の刑事責任に及ぶことを示唆している。

出典:ガザ紛争・イスラエル指導者・司令官がいよいよ戦争犯罪に問われる可能性浮上(伊藤和子) - 個人 - Yahoo!ニュース

	

歴史を変える一歩になることを期待

パレスチナ占領地、そしてパレスチナをめぐる紛争においては、国際人権・人道法に対する重大な違反が数十年間、絶え間なく繰り返されてきた。

こうした違反行為に対する不処罰に終止符を打つことは、パレスチナ及び周辺地域に住む人々の人権を保障するために不可欠である。そして、紛争の平和的解決に向けての本質的な前提条件でもある。

また、発足後、「アフリカだけを処罰し、大国の人権侵害を容認している」とそのダブルスタンダードを批判されてきた国際刑事裁判所に とっても、真に公平に重大な人権侵害を裁く機関といえるのか、その真価が問われる正念場でもある。

小さな一歩が紛争が絶えないこの地域の歴史と未来を変える結果をもらたすのか、今後のICC検察官、そして、国際社会の動向を注目していきたい。

ヒューマンライツ・ナウでも、来週の国連人権理事会の討議にエントリーしており、(発言順が廻ってくれば)発言する予定である。

残念ながら、日本政府は常にこの問題で、不処罰の終焉に対して、消極的な立場に終始してきた。

日本政府にはこうした深刻な人権問題へのセンシティビティをもってもらいたいと切に願う。

出典:ガザ紛争・イスラエル指導者・司令官がいよいよ戦争犯罪に問われる可能性浮上(伊藤和子) - 個人 - Yahoo!ニュース

	

国連人権理事会は理事国に人権劣悪国家多数。各国から批判が出てるようですね。ガザ紛争では不公平だとしてアメリカとイスラエルが怒ってます。結局、途上国+共産国が数の力で勝ってるだけじゃないでしょうか。

	

アムネスティ講演会『パレスチナの人権を考えよう~ガザ紛争から一年、パレスチナの今~』◆元国連人権高等弁務官事務所パレスチナ副代表・髙橋宗瑠氏「今、アメリカは変わりつつある。黒人たちはパレスチナ人との類似性を見出している」

	

20150725 UPLAN【第Ⅰ部・講演】ガザ紛争から1年~国連はなぜ解決できないのか~ さんから

	
	

「裁かれない」と言いますか、既に国連人権委員会はガザ紛争の件でイスラエルを叩きまくっています。イスラエルが人権員会を脱退検討するまでに。

	




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Sharetube