原発汚染土と同様なウラン残土を110万個のレンガにして再利用、要注意放射性廃棄物拡散
環境省は8000Bq/kg以下の除染土を公共事業で再利用することを決めたが、かつてはウラン採掘で出た残土をレンガにして販売したことがありその放射能は0.35μSv/hと高かった。
汚染は終わっていない。3月末時点で確認されている指定廃棄物は12都県で約17万トン。また福島県内での除染処理によって集められた汚染土等は、2千万立方メートルに及ぶ。最終処分場は素案すら発表されていない。そんな中、環境省は恐るべき計画を打ち出した。『環境エネルギー政策研究所』所長の飯田哲也さんが指摘する。
「3月に発表した、8000ベクレル以下の除染土を公共事業に利用する計画で、覆土などをしたうえで再利用しようというものです。汚染が拡散される恐れがあります」
小さくして、閉じ込めて、人間社会から隔離する。それが放射性物質を扱う際の大原則だが、環境省の計画はこの真逆を行く、と飯田さん。
「目前の問題に追われているうちに場当たり的な対応しかできなくなっている。再利用しか出口がないとして、そこで突破を図ろうとしています」
出典: 除染土を公共事業に利用する計画で汚染が拡散される恐れ|週刊女性PRIME [シュージョプライム] 冒頭の直売場を訪れるまで、私は石尾さんが組んだ視察団(約10人)に加わり、技術センターとその周辺施設にいた。視察団と機構の両者が各施設の放射線量を測定したところ、残土からは最高で毎時0.9μSv、レンガからは最高0.35μSvという値を検出した。
一方、地元で30年以上の反核運動を続ける市民団体「核に反対する津山市民会議」メンバーの石尾禎介さんは、「機構のこのやり方は受け入れられない」と憤る一人だ。
アトムワールドの入口。ウランレンガの花壇
茨城県の原研機構本部の駐車場や隣接するアトムワールド(PR館)の花壇などに1万個が受け入れられた。
簡易的な換算では空間線量が0.35μSv/hの場合、放射線を出すレンガに含まれる放射能は約1532Bq/kgだが、原研機構はレンガ表面の線量が0.22μSv/h、放射能濃度が570Bq/kgで規制基準を下回るという。
財団法人原子力安全技術センターによる物性確認試験で、製品のレンガは、その放射能濃度が0.57ベクレル/グラムであり、規制対象となる濃度(74ベクレル/グラム)を下回っていることから、原子炉等規制法の対象外です。なお、この放射能濃度は、国際原子力機関(IAEA)が定めている規制を必要とするレベル(1ベクレル/グラム)や、文部科学省が定める「ウラン又はトリウムを含む原材料、製品等の安全確保に関するガイドライン」(平成21年6月)の対象となるレベル(1ベクレル/グラム)と比較しても半分程度の値です。また、レンガ表面の放射線量率は平均0.22マイクロシーベルト/時であり、花崗岩(みかげ石、高いもので0.2マイクロシーベルト/時)程度の値です。
「0.1μSvは年間で一般人の被ばく上限である1ミリSvに相当するので、原子炉等規制法に基づき厳重に保管されます。それを上回るレンガが一般流出できるのは規制法の対象外だからです。この危険なものを、一般社会にばら撒いてはいけない」
安全と危険。両者の見解はまったくの平行線だ。
いずれにせよ、規正法の対象であれ対象外であれ、放射線は放射線だ。安全とは誰も断定できない。
http://homepage2.nifty.com/kasida/environment/frame-renga.htm
危険なだけでなく多くの矛盾を含む原発汚染土の再利用、偽装誘発の恐れ、有償引き取りも議論。
http://mainichi.jp/articles/20160705/k00/00m/040/087000c
東京電力福島第1原発事故に伴う除染で出た汚染土について環境省は、放射性セシウム濃度が1キロ当たり8000ベクレルを上限に道路の盛り土など公共工事で再利用する方針を正式決定したが、同省の非公開会合では農地の除染基準との整合性も課題となった。一方、公開会合では汚染土の再利用に「インセンティブ(特典)」が必要との議論も出ており、専門家は「偽装リサイクルの恐れがある」と指摘する。【日野行介】
汚染土は、全国であつれきを生んだ震災がれきより放射能濃度が高い。環境省の公開の会合では利用者へのインセンティブが議題に上り「使う動機づけがなければ普通は通常の土を使ってしまう」との発言も出た。こうした議論を熊本一規・明治学院大教授(環境政策)は「経済的メリットを与えて引き取らせる『逆有償』になる危険性が高い」と懸念する。再生資材を装い、逆有償取引で廃棄物を押し付ける事件は、土壌埋め戻し材「フェロシルト」や鉄精製時に排出される「スラグ」などで後を絶たない。熊本氏は「逆有償で引き取らせれば、その後不法投棄される危険性もある。再利用は汚染の拡散につながる」と批判した。
放射能濃度を巡る主な基準
2012年1月全面施行の放射性物質汚染対処特別措置法は8000ベクレル超の廃棄物を「指定廃棄物」として国が処理し、それ以下は一般の廃棄物と同様に処理することにした。8000ベクレルは原子炉等規制法に基づく一般人の年間被ばく線量の上限値1ミリシーベルトから導いた数値。100ベクレルと8000ベクレルの違いを環境省は「再利用」と「廃棄処理」の違いと説明していた。