[日本国憲法] 選挙後の安倍政権と「日本会議」改憲シナリオ
「3分の2」。この数がこれほど注目される参院選があっただろうか。その理由はもちろん、改憲勢力が3分の2以上の議席数を獲得すれば、憲法改正の国会発議が可能になる条件が衆参両院で整うからである。だが、憲法論議は盛り上がらない。「任期中に改憲を成し遂げたい」と言う安倍晋三首相が、選挙期間中に憲法を語らないことも影響していると見られる。
参院選で改憲を争点化すると年頭記者会見で明言
安倍首相は今年の年頭記者会見で改憲について「参院選でしっかり訴えていく。その中で国民的な議論を深めていきたい」と争点化を明言した。
【平成28年1月4日】安倍内閣総理大臣 年頭記者会見14:37〜「憲法改正については、これまで同様、参議院選挙でしっかりと〜」
(記者)幹事社の西日本新聞の山口です。どうぞよろしくお願いします。(中略)
それと、改めて参議院選の争点についてはどのように考えていらっしゃいますか。
(安倍総理)
(前略)憲法改正については、これまで同様、参議院選挙でしっかりと訴えていくことになります。同時に、そうした訴えを通じて国民的な議論を深めていきたいと考えています。
出典:平成28年1月4日 安倍内閣総理大臣年頭記者会見
3:03〜 「最大の争点は経済対策であります〜」 平成28年 総理の演説・記者会見など 記者会見
安倍首相が選挙カーの上に姿を見せると拍手が湧き起こる。当の主役は「最大の争点は経済対策であります。民進党、共産党は共通の政策がありません」と一気にまくしたてた。そして雇用の増加、有効求人倍率や最低賃金の上昇など、数字を挙げてアベノミクスの成果を強調。最後は「無責任な人たちに子どもたちの未来を、日本の平和と安全を託すわけにはいかないんです!」と声を張り上げた。演説は約20分間。結局、改憲については触れずじまいだった。
参院選後に改憲議論を本格化させる考え
安倍晋三首相は十九日、インターネット動画中継サイト「ニコニコ動画」の党首討論会で、改憲について「参院選の結果を受け、どの条文を変えていくか、条文の中身をどのように変えていくかについて、議論を進めていきたい。次の国会から憲法審査会を動かしていきたい。自民党の総裁としてぜひ動かしたい」と秋の臨時国会から、衆参両院に設置されている憲法審査会で、具体的な改憲項目の議論を与野党で進めたい考えを示した。
参院選2016「ネット党首討論」 2016-6-19 フルバージョン(コメ付)1:04:21〜 参院選で与党が改憲の争点化を避けている〜
参院選で与党が改憲の争点化を避けていると野党側が批判したのに対し、首相は「(改憲は)自民党結党の精神。選挙で争点とすることは必ずしも必要はない」と反論。「私たちは党草案を示しており、何も隠していない」と強調した。
日本会議の百地教授「大事なのは憲法改正の体験、達成感」
首相は在任中の改憲に意欲を示している。首相の自民党総裁としての任期が切れる二〇一八年九月までに改憲の国民投票を終えるためには、来年秋の臨時国会で原案を審議し、発議する必要がある。そのためには、今年後半から国会で議論を始め、来年前半の通常国会までに原案をまとめる必要がある。
日本会議の改憲論の理論的支柱、百地章・日本大学教授。昨年、「安保法制は合憲だ」と主張する数少ない憲法学者のひとりとして、安倍政権の憲法解釈を支持したことで、注目された