「日本は20年で脱原発ができる」デンマークの島を自然エネルギー100%に変えた男が語る。

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「腐ったバナナ」と呼ばれ見捨てられたロラン島を、自然エネルギー100%、自給率600%へと奇跡的な復興に導いたLeo Christensen |レオ・クリステンセン(ロラン市議会議員)がエネルギーの初歩的な知識から日本の問題点、そして脱原発までの道筋まで、わかりやすく解説する。

Leo Christensen |レオ・クリステンセン

ロラン市議会議員

これまで視察や講演に数回来日し、日本のエネルギー事情にも精通。

心筋梗塞を患って自身の命が危険にさらされた時も、日本のことを心配していた日本想いの熱く優しい男。

――3.11以降、日本は原発の稼働を停止しましたが、その分はそっくりそのまま化石燃料にシフトしただけ。それでは根本的な解決にはなっていないと?

そうですね。日本は原子力からの脱却に向けて、どれくらいのスパンで、どんな割合でその比率を変えていくべきか。黒から白へ、その間に無限に存在する色を使って、どんなグラデーションを描くか。それを議論しなければならなりません。

まずは、節約の意味も込めて、今あるものを最大限利用できる仕組みに変えていくことじゃないでしょうか。日本はすでに潜在能力を秘めていると私は思います。

たとえば、日本は西日本と東日本でヘルツ数(電源周波数)が違いますよね。ヘルツ数が違えば電気を西から東へ、東から西へと送ることは不可能です。あとは、10の電力会社に分かれているために電気の融通が利きません。そういった仕組みによって日本はかなりの電力をムダにしていますね。

出典:「それでも原発を続けますか?」デンマークの「ミスター・エネルギー」が日本のエネルギー事情に切り込む – EPOCH MAKERS

	

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原発廃止うんぬんの前に、エネルギーのムダを減らそう。その原因は熱を捨ててしまうなどのシステムにある。

原発だってそうです。火力発電にも言えることですが、実は投入するエネルギー源の4割しか電力に変えられないことはあまり知られていません。残りの熱、そのほとんどはただ排熱として捨てられているのが日本の現状。金銭的にも、環境的にも、エネルギーの半分以上をムダにしているとも言い換えられる。

では、排熱はどうすればいいか? たとえば排熱で木材や木質チップを乾燥させたら冬場の暖房のために「貯めて」利用できるし、温室の熱供給としても直接使える。熱交換をすれば、夏場に冷房として機能します。

日本には「エネルギー=電力」と考えがちですが、熱供給としての利用は日本にとって大切なヒントになると思います。

出典:「それでも原発を続けますか?」デンマークの「ミスター・エネルギー」が日本のエネルギー事情に切り込む – EPOCH MAKERS

	

1973年のオイルショック以前は、日本よりもエネルギー自給率が低かったデンマーク。日本と同じように原発建設の機運が高まりましたが、国民の草の根運動によって再生可能エネルギーへと舵を切りました。

見渡す限りに広がった平らな大地、海岸線や農地に並ぶ風車の数々……。デンマーク南部に位置するロラン島は、沖縄本島と同じくらいの面積に約65,000人が暮らす島。風力発電でこの島のエネルギーを支える風車は個人所有のものが多く、「エネルギー自給率500%の島」*1としても知られます。

また、この島では風力発電だけでなく、水素やバイオマスといった新エネルギーの活用にも積極的。自然エネルギーの先進基地として世界中から注目を集めていますが、そんなロラン島でも、すべてが順風満帆に進んできたわけではありませんでした。

日本がオイルショックに見舞われた1970年代、デンマークでも石油価格が高騰し、経済が混乱に陥りました。その頃のデンマークのエネルギー自給率はわずか2%*2。日本よりもその水準は低く、主要なエネルギー源である石油や石炭のほぼすべてを海外からの輸入に頼っていました。

ここロラン島でも、主産業だった造船業が衰退し失業者が増加。財政が大幅に悪化した島は、原子力発電所建設地の候補にあがります。しかし、デンマーク政府は、市民の声を聞きさまざまな角度からエネルギー政策を検討した結果、1985年に新たなエネルギー計画を選択し、ロラン島も自然エネルギー活用への道を歩みはじめることとなりました。

出典:自然の力で、エネルギー自給率500%を叶えた島 ロラン島 - 世界の省エネ/マイ大阪ガス

	










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Sharetube