<・・・この方は昭和の戦争ドキュメンタリー作品を数多く手がけられた第一人者> 戦没者230万人・・・兵士を「駒」扱い 愚劣な軍事指導者たち 半藤一利さんインタビュー

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「戦没者230万人」という数字を、私たちはどのように読み解けばいいのだろうか。昭和史の著作が多い「歴史探偵」こと作家の半藤一利さん(84)に聞いた

日本のような軍隊は古今東西にありません。人間をまるで、将棋の駒のように扱っている

 戦前の日本は近代国家の体をなしていなかった。「戦没者230万人」という数字はそのことを端的に示していると思います。国民を戦地に送り込むならば、国家は責任を負わなければなりません。いつ、どこで、どのように戦没したのか。確実に把握していなければならない。ところが、「戦没者230万人」という大枠のみが残り、具体的なデータは部分的にしか残っていません。厚生省(当時)は戦後、戦域別で戦没者数を算出しましたが、そこまで。死因までは分類できていない。230万人というざっくりとした数字も、私は過小評価ではないかと疑っていますよ。


 詳細が分からないということは道義的にはもちろん、軍事的にも非常に問題があります。前線に送り込んだ部隊のうち、戦闘に耐えうる兵士は何人なのか。あるいは戦傷、戦病者は何人いるのか。正確な戦力を測れずして、作戦を立てることはできません。そもそも、前線に送らなければならない武器弾薬、糧食、医薬品などを算出するためにも、絶対に必要です。それができていなかったのではないか。


 兵站(へいたん)を軽視した、あるいは無視したのが日本軍でした。「輜重(しちょう)が兵隊ならば チョウチョ、トンボも鳥のうち」というざれ言があります。輜重とは兵站部門のことです。そもそも、陸軍参謀本部や海軍軍令部のエリート将校にとって、兵卒はしょせん、1銭5厘(当時のはがき代)で集められる存在。作戦時には3日間分のコメ6合など25キロの荷物を背負わせ、前線へとおっぽり出した。食糧がなくなれば、現地調達しろと。降伏はありえないのだから、負け戦になれば玉砕しかありえません。敗残兵の消息など気にもとめなかった。


 これに比べ、米国の手厚さは語るまでもないでしょう。あるエピソードがあります。ブッシュ元大統領(第41代ジョージ・H・W・ブッシュ、第43代大統領の父)は戦時中に小笠原諸島の父島沖で撃墜されました。元大統領は救助されましたが、この時に捕虜になった同僚がいました。戦後、米軍の調査団が父島を訪れ、彼が埋葬された墓地を掘り返したんです。すると、遺骨の首は切断されており、日本軍に処刑されたことが明らかになった。一兵士に対するまで、その死をないがしろにしない。国家としての責任を果たしているんですね。


 日本軍は自己の実力を顧みず、攻勢の限界線をはるかに越えました。餓死者が続出するのは当然のことです。私は戦没者のうちの7割が、広義での餓死だと思っています。このような軍隊は古今東西にありません。人間をまるで、将棋の駒のように扱っている。


 海上を移動中に乗船が沈められ、死亡した陸軍将兵は18万人にも上ると見積もっています。これも補給軽視、つまりは人命軽視の表れです。開明的とされている海軍ですが、陸軍とそんなに違いはありません。レイテ沖海戦で、小沢艦隊はおとりになりました。基幹の空母4隻に搭載した航空機は定数をはるかに下回る100機余りしかなかったのに、整備員は必要もないのに定数を乗せた。帳簿上の員数合わせだけを気にする官僚主義としかいいようがない。


 軍の指導者たちは無責任と愚劣さで、兵士たちを死に追いやりました。特攻作戦も同様です。特攻隊員たちの純粋な気持ちを利用した。「日本的美学」などと言われるが、とんでもない。立派な作戦であるような顔をして、机の上で「今日は何機出撃」などと記していた参謀らを許すべからずです。


 集団的自衛権の行使について、容認する声があります。何を言ってんだ、と思いますよ。戦後の日本は平和だった。その権利を行使しなかったため、何か問題があったのでしょうか。


 太平洋戦争を巡り、これまで各国の将軍、提督たちを数多くインタビューしてきました。みんな、偉い人は生きているんですよ。戦争とはそういうものです。「戦没者230万人」の犠牲のうえに日本は成り立っています。その数が示していることは何か、考えてみるべきじゃないでしょうか。

出典:戦没者230万人:兵士を「駒」扱い 愚劣な軍事指導者たち 半藤一利さんインタビュー - 毎日新聞

	

軍人・軍属の戦没者は、直接の戦闘で亡くなった戦死者と、従軍中に病気などで命を落とす戦病死に大きく分けられる。総務省、厚生労働省などによると、戦没者230万人を戦死、戦病死などの死因別に分類した公的な記録は存在していないという。

	

(4)靖国に参拝した閣僚は「国の為に尊い命を捧げた英霊に感謝の気持ちを捧げた」というが、出征した日本兵の戦死者230万人のうち、約140万人が「餓死」している。実に死者の「6割」が戦死ではなく餓死。原因は補給を軽視したずさんな作戦。閣僚は英霊に「感謝」ではなく「謝罪」するべき。

	

毎日新聞【230万人はどのように戦死したのか】は必読。どの戦場でも戦死者の6~8割が「餓死」という世界でも例がない惨状。日本軍の「ブラック企業」体質は70年前から現在に一直線に繋がっている→

	

太平洋戦争の戦没者の230万人の60%は餓死だという。沖縄戦や本土空襲などの民間の戦死者は80万人とされている。何のため、誰のために死んだのか?「飢餓の島」の写真をシェア→

	

戦死者のうち餓死、戦病死が60%を占める。命中率11%の特攻に航空機だけで4000人が投入された。いったい敵と戦ったと言えるのか。戦後70年:数字は証言する データで見る太平洋戦争(1)230万人はどのように戦死したか? - 毎日新聞

	

⇓大戦当時の日本の総人口はほぼ7200万人。軍人軍属戦死者230万人、民間人80万人。戦死者は総人口の3%くらいなんだ。う~む

戦後70年:数字は証言する データで見る太平洋戦争- 毎日新聞

	

戦争への道は軍部の独走だけではない、現自民党の前身の政権政治家や高級官僚、安倍の爺さん岸等の責任は大きい、上手い手で戦犯にも成ってない!戦死者230万人:兵士を「駒」扱い 愚劣な軍事指導者たち 半藤一利さんインタビュー - 毎日新聞

	







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Sharetube