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取材の実践法~取材の実践的体系論の必要性

取材の実践法~取材の実践的体系論の必要性

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MaverickMaverick
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取材の実践法~取材の実践的体系論の必要性

取材の実践法~■ 取材の実践的体系論の必要性

これまで、どちらかといえば、私の経験やライター仲間の方法論を参考に、プロの取材法を書いてきました。

しかし、やはり、このテキストの実用性を高めるためには、そうした散文的な内容ではなく、「実践編」として、体系的にお話する必要もあると感じております。

つきましては、少し理論めいたり、分類めいたり、マニュアルめいた部分が出てきますが、実用面ではお役に立てることもあるかと思いまして、これから少し、まとめてみたいと思います。

■ いろいろな取材記事

一口に、取材記事といっても、いろいろな種類があります。 
その中で、我々ライターがよく手掛けるタイプの取材記事について、簡単にご紹介します。

<依頼記事>
 ライターが、クライアントの代理人として、取材対象となるその人しか書けないテーマ・体験・意見などを「本人に」まとめてもらう形式です。

初稿をいい意味で「丸投げ」することになりますので、一見、楽なように思えますが、実はこれがかなりのクセモノです。

執筆者本人の文章力に左右される部分が大きいのは当然として、それなりに文章が書ける人であっても、やはり、自分のことを表現するとなると、どうしても、自己満足や独りよがりに陥りがちとなり、得てして固く面白くない文章になりがちです。

我々は、当然、そこに手を入れて、加筆修正をするわけですが、そのリライト作業についても、クレームが来たり、物言いが付いたりして、思い通りに進まないというジレンマが生じます。

そういった意味で、依頼記事というのは、ライターにはお勧めできかねる形態といえます。

<対談形式や座談会形式>

複数の取材対象者を招いて、あるテーマにそって会話をさせ、それを再構成する仕事となります。

このタイプの仕事は、参加者のスケジュール調整や、相性などのアレンジが必要となりますが、会話が成立してしまえば、意外に楽に執筆することができます。

ただし、限られた誌面や文字数の中で、参加者全員の発言量のバランスをとりつつ、全体構成をまとめあげる必要がありますので、それなりに構成力が必要です。

「裏技」的ノウハウとしましては、参加者に台本とまではいかなくても、それぞれの立場から「コメントして欲しい内容」を「レジュメ」として渡して、それに沿った発言をしてもらうという手法があります(ほとんど、芝居の台本制作の作業と同じですが)。

この形態は、参加者の「質」によって内容が左右されるというデメリットがありますので、注意が必要です。


<インタビュー記事>
これは、今までの章で想定して語ってきたテーマなので、今更、
改めてのご説明は必要ないでしょう。

インタビューの面白いところは、一言で言って、聞き方によっては、同じ相手でも引き出せる話の内容や面白さが大きくことなってくるというところです。

つまり、インタビュアーの力量次第では、アクセントやリズム感のある面白い記事になります。

しかし、このことは逆にいえば、聞き手、つまり、我々ライターの「力量が如実に現れてしまう」怖さもあるということですので、やはり、最後はライターの人間性や面白み・筆力といった部分が問われてくることは、肝に銘じるべきでしょう。

基本的には、この形態がライターにとっては、実力養成及び各種の人脈作りなどにメリットが多いといえます。

<アンケートメール取材記事>
最近増えている記事の形式です。

実際に対話をしているような対談記事でも、実は当事者同士は顔を合わせていなかったとか、写真は別の日に撮影しているとか、そのような裏の事実があるのです。主に、音楽関係の雑誌の取材などで用いられることが多い手法です。

極端なことをいえば、ライターが一切、事務所から外に出ることなしに、パソコンとメールの送受信だけで、記事が仕上がってしまうという恐ろしいほどの利便性があります。

忙しい週刊誌などでは、よく用いられる手法ですが、窮余の策としては止むを得ないと思いますが、あまり、こうした便利な手法に頼りすぎると、ライター自身の『現場取材力』『筆力』の低下が免れないと思いますので、私はあまり、オススメしません。

さらには、その亜流として、電話インタビューというものがありますが、これもあくまでも限られた条件の中でのみ、成立し得る取材形式だと心得るべきでしょう。

その条件とは、1)取材相手と面識があること
       2)欲しいコメントが用意できていること
       3)時間にして10分以内で済ませること
などです。
つまり、取材対象と気の置けない関係になっていることが大前提となるわけです。

つまるところ、経験の浅いライターには、デメリットの方が多い形態といえます。

■ 取材者の基本スペックとは

これまで、取材する側としてのライターの「心構え」について、語ってきました。

では、ここで、ライターに求められる「基本スペック」を簡潔にまとめてみたいと思います。

1)最新の世の中の流れやニュースを見る目をもつこと
      
今現在、この瞬間、世間では何が話題になっているのか、あるいは、今、流行しているものは何か、といったことへの関心を常に強く持って、アンテナを高く張ることが大切です。

これは、ジャーナリストである以上、最低必要条件であることは明白ですが、いわゆる「時代感覚を養う」ことが、いい書き手=「取材での話題提供能力アップ」を導き、生き残っていく秘訣だと私は考えます。

2)事実関係の裏側を読む
     
物事には、必ず、「表と裏の顔」があります。

その因果関係をつかみ、そうなっている理由について、考え抜く力・深く取材調査する力を養う必要があります。

そうした「裏側まで観る思考法」を訓練することにより、あなたの文章には、いわゆる“説得力”が備わってきます。

たとえば、同じ五・七・五文字の俳句でも、訴求力や説得力の有無の差が歴然と現れるように、たとえ、わずかな文章であっても、あなたオリジナルの味わい・姿勢・調査力の深みというものが滲み出る文体となることでしょう。

3)真実を伝える。
      
ジャーナリストやライターの使命は、「真実を伝えること」だと私は信じています。

もちろん、中には多少の「嘘も方便」という大人の理屈も存在しますが、基本的には取材対象に、あなたが「事実に語らせる」ことにより、なるべく公平な文章を世に送り出すべきです。

すこし、余談になりますが、例の「耐震偽装事件」の際に、そのマンション販売の片棒を担いだ「ちょうちん」ライターがいました。

本人も、その欠陥マンションを購入した被害者だったわけですが、そうした部分とは別に、やはり、ライターとして、謝礼額の多さに基本を忘れ、物事の真贋を見抜けなくなったことにより、多くの消費者に多額の損失を蒙らせた責任の一端があることは、免れないと私は思います。

また、昨今は、「風説の流布」という犯罪もよく耳にするようになりましたが、我々の執筆物を取り巻く環境も、従来の紙媒体から、Webなどに進化している状況下では、いつ、その道義的責任が問われないとも限りません。

例え多額の謝礼・ギャランティがもらえたとしても、怪しい会社や経営者を褒め称えるような記事や本を書くべきではありません。
プロの物書きである以上は、お金に目が眩むような姿勢ではなく、真実を見抜く目と、公平な視点を常に堅持していただきたいと強く願う次第です。

4)自分の足と頭で取材する。
     
これも、「アンケート取材」の項で少し触れましたが、やはり、我々の職業は、「自分の足で稼いで、頭で勝負する」のが王道です。

最近は、ネットで検索して、どこかのサイトに掲載された文章をコピー&ペーストするだけで、極端なことをいえば、大学の論文すら、出来上がってしまう時代となっております。

しかし、そういう時代だからこそ、あなたがオリジナルの情報発信源となり、オリジナルの作品として、文章を発表することにこそ深い意味があるのではないでしょうか?

私は、つねに後輩のライターには、「人間臭くあれ、泥臭くあれ」
と説いてきました。

このやり方が、あまり、効率的ではなく、今の時代に合っていないことは、私としても自覚しています。

しかし、ライターという職業が、一種の表現者である以上、
そこにはオンリーワンのサムシングがなければ、ただの数字や
文字と羅列となんら、変わりがないということになってしまいます。

いくらラクだからとはいえ、世の中の、どこの誰とも知れぬ人間が書いた文章を、換骨奪胎して、さも、自分の文章という風に見せることが出来たとしても、そういう浅薄な化けの皮は、いずれ、あっさりとめくれてしまいます。

事実、そうやって、安易な誘惑に負けて、業界から「干され」潰れていった仲間を私は何人も見ています。

特に、盗作や無断引用などの非合法な行動は、一言で言えば、
天に唾する行為に他なりません。

皆さんが、今後、プロのライターとして、活躍していこうと心に決めておられるのであれば、決して、誘惑に負けないように心掛けてください。

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著者プロフィール
Maverick

I'm proud of the fact I was born in Japan.