【洒落怖】海の魔物(海・中編)

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『海の魔物』

198 :あなたのうしろに名無しさんが・・・ :02/12/10 03:23

海に囲まれた千葉県は、昔も今も漁業が盛んな地域である。

海は多くの富を千葉に住む人々に授けてきた。

まさに恵みの海である。


しかし、海は富を授けるものだけではない。

優しいその顔の裏には、

人の命を奪う恐ろしいもうひとつの顔があるのだ。

特に漁師たちは、板一枚の下は地獄と言われたように、

大変危険な仕事であった。

近代整備の整った今でも、遭難する可能性がある海である。

当時の人力による船で海を渡る人々の気持ちは、

いかほどであっただろうか。 


当然、海に纏わる妖怪は沢山いる。

その最も有名なものは、『海坊主』ではないだろうか。

巨大な坊主頭の姿で突如海面に姿を現し、漁船を転覆させたり、

漁師を脅かしてみたりする妖怪であり、

広く全国で怖れられている、海の代表的な妖怪である。

お盆或いは、月末とか出る日が決まっていると言う地方もあり、

その日は漁師はみな仕事を休んだと言われている。


その正体は海で死んだ者の霊魂だとか、

魚が集まったものだとか言われているが判然としない。

しかし、現代でも『ニューネッシー』や、『カバゴン』、

『シーサーペント』など、

海のUMAと看板を書き換えて、

妖怪『海坊主』の子孫ともいえる怪物たちは健在である。


199 :あなたのうしろに名無しさんが・・・ :02/12/10 03:25

また、『船幽霊』も有名な海の魔物である。

これは文字通り、海で亡くなった人の怨霊であり、

生者を死者の仲間に引き入れるべく、

「柄杓を貸せ」と船上の人にねだる。

しかし、ここで柄杓を与えてはいけない。

貸したその柄杓は、たちまち数百の柄杓となり、

船に海水をいれて沈めてしまうのだ。

お墓の死者に柄杓で水をやる我々生者に、

柄杓の水をかける事で死者にしたてるのであろうか。

なんとも不気味な妖怪であるが、いまも水死者の怨霊は、

生者を黄泉の国に誘う事例はあるのだ。


心霊談などで水泳中に足が何者かにつかまれたので、

水中にもぐって見てみると、

溺死体が足をがっちりつかんでいたとか、

昔の服装をした亡霊がしがみついてきたとか、

その手の話は枚挙にいとまがない。

海は魔物の巣窟なのだ。

他にも、顔が坊主で体が亀の『海和尚』とか、

座頭姿で海上にぬーっと出て驚かす『海座頭』とか、

突如海上で船の行く手を阻む『海ふさぎ』や、

船の進行をはばむ『シキ幽霊』など、海に住む妖怪は大変多い。


これは海で仕事をする人々、海を移動する人々に、

いかに多くの妖怪・妖怪現象という奇妙なものが、

目撃されてきたかを裏付けている。

海という無限にすら感じる単調さに、或いは暴君とも言える荒々しさに、

人の心は『妖怪』というスケープゴートを設定したのだ。


『黒入道』は、千葉の沿岸に伝えられる妖怪である。

一説には、海で死亡した人間の魂が、

自宅に帰ってくるものと言われており、

深夜に妖しいものが、戸を「とんとん」と叩くものであるという。

その姿は黒づくめで人相すらはっきりしないが、

人の形をしているという。


海で死んだその家の主人が、懐かしくて帰ってくるのだが、

決して戸を開けてはいけないと言われている。

いくら懐かしくとも、

死者と生者の境目は分けなければいけないのだろうか。

この決め事は、イザナギの頃からの慣習である。

黄泉の国の住民は、この世に帰ってきてはいけないのだ。

『黒入道』のノックは、現世へのノックなのかもしれない。

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