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【洒落怖】赤道付近の日付変更線(海・中編)

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【洒落怖】赤道付近の日付変更線(海・中編)

Author:
ankouankou
Posted date:
【洒落怖】赤道付近の日付変更線(海・中編)

『赤道付近の日付変更線』

545 :オキ :03/02/01 03:34
「俺が死んだら骨の半分は海にまけよ」 
と、少々はた迷惑な遺言を残している、自称海の男の父。 
今回は、父が海の男になりきれない弟に、
彼が初の長期航海に出る前に話していた内容から。 


548 :オキ :03/02/01 03:47
弟は学歴を、全く父と同じ様に進みました。 
同じ高校、同じその上の専攻課、
(西日本では少々有名な水産高校で、
 その上に専門学校の様な学部が二年ある)
船酔いの酷い弟が、そのように自分と同じ道を歩むなど
夢にも思わなかった父は、毎日嬉しそうでした。 


552 :オキ :03/02/01 04:12
それは、弟が遠洋漁業の研修航海で、
海外(目的地はハワイ)に出かける数日前のことでした。
父が弟に、何事か真剣に語っているのです。
「ハワイに着くまでに、日付変更線を赤道ら辺で越えるだら。
 その時甲帆(船の甲板での作業。もしくは、夜ならみはり等)
 の係りになりそうだったら、
 仮病でもいい、絶対に船外にでるな。 
 お前は船酔いが凄いけん、先生もゆるす」 
弟は不思議そうに、「なんで」と聞いていましたが、
父は「いいけん。お父さんの言うことをきけ」と、強く言っていました。 
赤道付近が、夜半になると波が荒くなると聞いたことはあるのですが、
日付変更云々は聞いたことがありませんでした。 

私はその時、なんか変な男同士の話だなぁと思っただけでしたが、
妙に心に引っかかっていました。 
サボリや仮病の大嫌いな父が、そんな話を弟にしていることを。


559 :オキ :03/02/02 03:29
そして、弟が帰ってくる日がやってきました。
弟は日に焼けて、少したくましくなっていたような気がします。 
そして語りだしました。

父に言われた事を妙にインプットはしていたが、
何か小細工をしてサボる前に、弟は赤道付近の荒波にもまれて、
日付変更線を越える間、船内で嘔吐と戦いつつグッタリしていたそうです。 
だから、甲板の仕事をする事もなかったと。 
ただ・・・
「その時、甲板勤務に就いてた三人が、その後揃って学校を辞めた」
と、弟は少し悲しそうにいいました。 
一人は弟の親友でした。 
その親友になにかしらの理由を聞いたのは、
弟が船酔いからさめた、ハワイ付近に近づく一日前だったそうです。


561 :オキ :03/02/02 04:01
「お母さんがたいへんな病気になったけん、
 早く帰ってお母さんの面倒を見ないけん」
弟は思い詰めた口調の親友を案じて、
まず先生に「そんな連絡があったのか?」と聞きました。 
先生の返事は、「ハァ?そんな連絡は今の所ないぞ」ということでした。 
弟が親友にそう伝えて話してみても、
彼は「早く、早く帰らな。心配だ」と言うばかりで、
その後の研修も、ずっと上の空だったようです。 

あとの二人はというと、その日付変更線を越えたあと、
疲れたように、先生に「日本へかえりたい」と訴えていたようです。 
先生が喝を入れたり、なだめすかしてみても、
そればかりを懇願していたとか。 

それだけいうのなら、
ハワイから直接日本へ返してあげれは、と思うのですが、
彼らの船員手帳なるものは、
普通の旅券とは違って手続きがややこしうえに、 
やはり、他の生徒達の手前もあるのでしょう。 
すぐに帰国というわけにはいかなかったようです。


562 :オキ :03/02/02 04:26
そして帰港。 
帰りの日付変更線では何事もなく、
むしろ穏やかに帰途につくことが出来たそうです。 
(この時はまだ弟も、この三人と日付変更線を関連付ける事に対しては、
 半信半疑だったみたいです) 

その後、弟がやはり日付変更線に関して、不思議というか怖く思ったのは、 
件の親友の母の訃報が、帰港二日前に船に届いた事。
そして、あの日甲板勤務をしていた三人が揃って、
自主退学の道を選んだ事。 
他の二人に関しては、弟も挨拶や少々言葉を交わす程度の仲だったので、
何も聞かずじまいだったそうです。


564 :オキ :03/02/02 04:43
私は弟の話す事実も不思議に思いましたが、
もっと感じたことがあったのです。 
「なぜ父はあんなことを・・・?」 

そんな出来事を熱心に語る弟に対して、父が口を開いた話・・・ 
弟の体験より、もう少しガクブルと言うか、眉唾でした。 
弟じゃなくて良かったと思ってしまいました。 

父は言いました。
「海にはそんなことがある。俺もたまたまそうじゃなかっただけだ。
 それでも何があったかを知りたいとは思わん。
 自分から、出来るだけそこに近づかん事だ」 

それは、海に対して父が思う、とても重たいものだと感じました。


567 :オキ :03/02/02 05:14
弟の話は大筋であっていると思いますが、細かい描写(特に日時の関係)は、
記憶を探りつつの、若干創作な部分もあります。 
(何せ10年近く前に、テンパリ気味の弟から聞いた話なので) 

弟の友人の事に関しては、私の記憶が強い事もあり、
あっていると思います。 
弟が友人にかける言葉もなく、
(あの日何があったのかを聞いてはみたいものの、
 友人の母一人子一人という家庭環境を思うと、そんなことは聞けないと。
 友人もその話はせず、むしろ避けていたようです) 
悲しい顔をしていた事は、今でもはっきり覚えています。 

この父の話を聞きたい方も、もしかしたらいらっしゃるかもしれませんが、 
弟の話以上に記憶が曖昧で、順序だてて書くことができません。 
日付変更線に関する話が他にあるのか、実は私の方が聞きたいのですが、
やはり、この父と弟からのものしかしりません・・・ 

父の話は今からだと、40年以上前の事で、
私の中でも電波か?と思う所もありますが、
あの日、父が弟に話していた真剣なようす、弟の体験と悲しい顔。 
それを考えるとやはり、赤道付近の日付変更線にはなにかがあるのかな、
という気持ちになるのです。

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著者プロフィール
ankou

怖い話を中心にしてまとめています。