トランプ大統領パリ協定離脱はコーク兄弟の石油マネーの勝利。

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化石燃料企業から約11億円以上の選挙資金を受けた共和党の上院議員が画策。

化石燃料の利益から1000万ドル以上の選挙資金を受け取った共和党の22人の上院議員は、先週ドナルド・トランプ大統領に米国のパリ気候変動協定からの撤退を促す手紙を送った。

この2ページの手紙には、ケンタッキー州の上院院内総務ミッチ・マッコネル、オクラホマ州のジム・インホーフェ、テキサス州のテッド・クルズを含む、石炭/ガス/石油に富んだ州の多数の共和党大物が署名した。

ガーディアンは、 22人の上院議員はわずか5年で石油、ガス、石炭から合計で$ 1069万4284ドルのお金を受け取ったと計算した。

出典:Paris Exit Was Victory Paid and Carried Out by Republican Party for the Koch Brothers

	

手紙を送った共和党上院議員の大半は、気候変動の原因が人間活動とは思っていない。

コロンビア大学の地球研究所所長で経済学教授のジェフリー・サックスは、トランプの最近の気候変動協定からの退場について話した。


「これはデビッドとチャールズのコーク兄弟の2人が20年間のペイ(資金提供)の勝利だ」とサックスは言い、”彼らは買い取った。共和党のトップを購入した。トランプは気候変動条約離脱の道具だ”。

注目すべきは、この手紙の共和党署名者の大半は、人間活動が気候変動に寄与しているという考えを支持していないということである。

ニュース専門の放送局MSNBCに出演中、マサチューセッツ州のエドワードJ.マーキー民主党上院議員は、共和党員の同僚が気候変動の科学を信じていない理由を説明した。

「この米国の保守党は、コーク兄弟によって運営(資金提供)されており、石炭産業の資金提供を受けている」とマーキー氏は語った。「彼ら」の一人、オクラホマ州検事総長スコット・プルーリット は- 清浄な空気や清潔な水、煤、水銀の問題について実際にEPA(米国環境保護庁)を19回訴え - アメリカEPAの長官になる、と主張した。

出典:Paris Exit Was Victory Paid and Carried Out by Republican Party for the Koch Brothers

	

トランプ大統領とアメリカの影の支配者コーク兄弟、そして気候変動協定への影響。

共和党の最大の後援者コーク兄弟はアメリカで2番目に大きい個人企業のオーナーで温暖化懐疑論者に多額の寄付。

 温暖化対策が「アメリカ・ファースト」につながるならば、トランプ氏の変わり身も期待できる。だが、そう簡単には目先を変えられそうもないのが、コーク兄弟(Koch brothers)の存在だ。Charles とDavidの同兄弟は、米国で二番目に大きな個人企業である「America Koch Industries」のオーナーで、共和党の最大の後援者として知られる。

同社は、オランダ系移民の息子であるフレッド・コーク(Fred Koch)が1927年に設立した石油精製を軸とする企業だ。現在は、テキサス、アラスカ、ミネソタに大規模な製油所を所有するほか、全米に4000マイルに及ぶパイプライン網を展開している。父親の時代から反共主義でならし、最近では共和党の中で、ティーパーティー・グループを支援、リベラル派との対立を続けてきた。


 フォーブス誌によると、兄弟の保有資産額は800億㌦(約8兆円強)で、昨年だけでも年間120億㌦を増やした文字通りの億万長者(Billionaire)である。同時に、共和党への企業献金トップの座にある。


 これまでも多額の資金を温暖化懐疑論者や議員に寄付してきた。今回の大統領選挙では約9億㌦の資金を用意したという。ただ、実は、同兄弟とトランプ氏の関係は微妙ともいわれる。実際、兄弟が大統領選挙で当初支援したのは、トランプ氏ではなく、ルビオ氏ら他の候補者だった。


 トランプ氏はかつて、共和党議員がコーク兄弟に寄付を求めて日参する様子を、ツィッターで批判したこともあった。ビジネスマンとしてのスタンスの違いが、両者の間に距離感を生み出してきたのかもしれない。だが、共和党の候補者争いから本選挙への展開で、両陣営をつないだのが、副大統領候補になったマイク・ペンス氏だった。


 ペンス氏はインディアナ州知事時代から、コーク兄弟の信頼を受け、継続的に献金を受けてきた。いわば「コーク兄弟の小飼政治家」だ。州知事としては、ゲイの結婚や人権擁護に反対を表明してきたほか、中絶禁止など共和党の伝統的な保守政策を推進してきた。


出典:トランプ次期米大統領 米国の温暖化対策への影響と「影の支配者」との関係は?(藤井良広)

 トランプ米大統領は1日午後(日本時間2日未明)にホワイトハウスで会見し、地球温暖化対策の国際ルール「パリ協定」から米国が離脱すると発表した。190カ国以上が合意し、147カ国・地域が締結している協定は、世界2位の温室効果ガス排出国である米国の退場で大きな転機を迎えることになる。

 トランプ氏はホワイトハウスで演説し、「(協定は)米国の経済を弱らせ、労働者をくじき、主権を損ねる。米国を他国より常に不利な立場に置くものだ」などと指摘。中国やインドを名指しして両国の対策が米国に比べて不十分だと述べ、「離脱して再交渉するときだ」と各国に再交渉を呼びかけた。

 トランプ氏は、パリ協定がもっぱら他国の利益になるとし、再交渉して目指す新たな合意の条件として「米国の産業、労働者、国民、納税者にとって公平であること」と述べた。

 協定に基づきオバマ前政権が掲げた温室効果ガスの削減目標「2020年に05年比で26~28%減」も取り消す。途上国の温暖化対策として約束した国連の「緑の気候基金(グリーン・クライメート・ファンド)」への拠出金も即座に停止する。ただ、協定の親条約である国連気候変動枠組み条約にはとどまるとしており、パリ協定の枠外から温暖化対策の国際交渉に今後も関与していく意向とみられる。

 協定の規定では、正式な離脱は発効3年後の2019年11月4日から可能で、手続きにさらに1年かかる。このため米国の離脱は次期大統領選後の20年11月以降となる。その間、米国は形式上は協定にとどまることになるが、20年からの協定実施に向けた詳細なルール作りなど今後の国連の交渉では、米国の発言力が失われるのは必至だ。パリ協定の順守を表明している中国や欧州連合(EU)の指導的な立場がより強まるとみられる。

(朝日新聞デジタル 2017年06月02日 05時37分)

出典:トランプ大統領、パリ協定から離脱を表明 地球温暖化対策に大きな転機

	





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