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【洒落怖】声魂(家・中編)

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【洒落怖】声魂(家・中編)

Author:
ankouankou
Posted date:
【洒落怖】声魂(家・中編)

『声魂』

189 :名無しさん@お腹いっぱい。:2000/08/07(月) 06:00
私本人が体験した話です。

今からちょうど10年前、私がまだ大学生だった頃のことです。
当時、私には一つ年下の彼女がいました。
彼女は霊感の強い子で、それまでにもさまざまな体験をしていました。
妙な音を聞く、街中でおかしな人影を見る、
金縛りにもよくあっていたようです。
特に嫌な場所(彼女が言うには、空気がよどんでいるらしい)
の側に行くだけで、頭が痛くなるほどでした。

その日、いつものように僕は彼女の家に泊まりに行っていました。
場所は渋谷区笹塚にあるワンルームマンションで、
甲州街道を渡り、商店街を抜けて左に折れて、
しばらく行った所にある白い建物です。
わずか4畳半ほどの狭い部屋で、入り口を入ると左側にキッチン、
右側にはユニットバスという、よくある間取りです。
部屋には窓が二つありました。
一つはバルコニーに面した大きな窓、
そしてもう一つ、問題の小さな窓が左側の壁面、
エアコンの真下に、ちょうど人の胸の高さのところにありました。

その日はいつもより早く就寝し、
大きな窓に添うように置いてあるベッドで二人寝ていました。
時間は覚えていません。僕はふと目が覚めたのです。
頭の上にある窓とエアコンの辺りから、
パシン、パシンと何度か音が聞こえており、その音で目覚めたのでした。
妙な目覚めの良さで、頭がすっきりしていたことを覚えています。
季節は冬ということもあり、部屋の内装の乾燥による音だと思って、
しばらくエアコンを見つめていました。

それが起きたのは、次の音が鳴り響いた時です。
突然、隣に寝ていた彼女が「ううぇ」と何度も唸りはじめ、
体を硬直させ、全身震え始めたのでした。
悪い夢にうなされているのだと思い、すぐさま彼女を起こそうと、
僕は彼女の体を揺り動かしました。
彼女は虚ろな、どこにも焦点のあっていないような目で
天井を見つめたまま、こう言い始めたのです。
「おぉ、女の、中年の女の声が・・・。
 『お前の子供が6才になったら、海で溺れ死にさせてやる』」
僕はなぜかとっさに思いました。
さっき自分の聞いた音は、乾燥による建材の音ではなく、ラップ音なのだと。

訳もわからず僕は彼女を抱き寄せて、お腹の中で叫んだのでした。
ただ頭の中にあったのは、テレビで聞いた『声魂』でした。
霊に襲われそうになった時、声にならずとも腹の底から
叫べば霊を追い払う事ができる、というものでした。
「彼女のところに来るんじゃない!来るのなら俺のところへ来てみろ!」
2度ほど叫んだと記憶しています。
2度目を言い終わったと同時に、最後の音が同じ窓のところから響きました。
パシンッ
次の瞬間、彼女がこう言ったのです。
「女が『クソッ、チクショウ』って言った・・・」

彼女はこの部屋に越してきてから何度か妙な体験をしており、
僕にはそれを話していなかったのです。
霊の通り道というのをどこかで聞いたことがありましたが、
何度か彼女はそれをこの部屋の中で体験していたのでした。
霊感の強い人間と一緒にいると、影響されるとも聞きます。
それまでの僕には、こうした体験は一度もありませんでした。
興味深いのは、彼女が1ヶ月ほど前に見てもらった占いのなかで、
「あなたの彼は、あなたを救う星の位置にあります」と言われていたことです。

現在、その白いマンションはまだ存在しています。

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著者プロフィール
ankou

怖い話を中心にしてまとめています。