【閲覧注意】いわく付き物件・うねうね・インターネットの恐怖【怖い話】

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アパート・マンションの不動産の仕事をしているといろいろな出来事に遭遇する。


「大変なことになっているからすぐに来てくれ」

マンションの管理人から連絡があった。

半年前に私の勤める不動産会社の本社が買い取った部屋で何かあったらしい。


行って見ると、ゴミ捨て場に仏壇と骨壷がボコボコになって捨ててある。

4人暮らしの一家で、奥さんがベランダから自殺した部屋の住人が捨てたらしい。


これは一体、どういうことだ!?


三週間後、新聞記事に夫の写真が掲載されていた。

「妻をベランダから落として死亡させ、火葬したあと、遺骨をトイレで流し、不倫相手と保険金で結婚」


本社からはこんなお達しもくる。


大田区のある公園の近くにあるメゾネットのタイプのマンションで12年空いているお部屋があります。

しかし、絶対に行かないほうがいい。


借り手が現れて案内するのは私の役目なのだが。

うねうね

静かだった海面がいきなり光を発してしぶきをあげ始めた。 

私の趣味は海釣りだが、船に弱いため堤防釣りや磯釣り専門だ。

その日も早朝から支度をして出かけた。

私のお気に入りの場所は険しい崖になっていて、人があまりこない絶好の穴場だった。

しかしこの日はなぜか不調で何も釣れなかった。

夕方になって、今日はあきらめて帰ろうと思っていたとき、その異変がおきた。


はじめは何事が起こったのかと驚いたが、海面を見ているとどうやらイカの大群のようだった。


手ぶらで帰るのもシャクなので、とりあえず糸を垂らしてみたら、すぐに食いついてきた。リールを巻いていると思っていた以上の力で引っ張られた。

これは大物だ!


しかし、イカにしては力が強すぎる……。疑問に思った私は、もう一度海面をのぞいてみた。

それは、イカではなかった…。

うねうねとうごめいていたのは、何百、いや何千という青白い人の手だった。


私の投げ入れた糸に向かって手がどんどん集まってきて、最初の何倍もの力で引っ張られる。

とうとう私は釣り竿を離してしまった。

釣り竿にものすごい数の手がからみついていき、竿はみるみる海中に引きずりこまれた。

乾いたツバを飲み込み、私は恐怖でしばらく動くことができなかった。


この日の出来事はだれにも口外しなかったが、その崖は自殺の名所で、地元の漁師の間では有名であることを知った。

インターネットの恐怖

1990年頃のインターネット環境といえば、インターネット発祥の地アメリカのものでさえ、今では考えられないようなお粗末なものだった。

その頃アメリカの大学に留学していた私は、毎日山のように出される課題レポートの作成に追いまくられていた。

レポートはパソコンを使って仕上げるため、大学には50台程のコンピュータが整備されているラボがいくつもあった。

学生はここで夜通しレポートを作成するわけだ。


ここのパソコンはインターネットに接続されていたが、コンテンツは研究者の学術研究の成果発表ばかり。

もちろん検索エンジンなどはまだない。URLはページ制作者本人から口頭で教えてもらうのだ。


その日も私は相変わらずレポート作成に忙しかった。

簡単な夕食を済ませ、パソコンの前に座ってデスクトップに目を向けた。

すると、そのフレームに鉛筆でURLが書かれていた。

学生がメモ代わりにでもしたのだと思った。

少し気になったのと気分転換を兼ねて、私はそのURLをブラウザに入力した。


しばらくすると、信じられないページが立ち上がった。


そこには薄暗い部屋の床に血だらけで倒れている男の写真があった。

私は目をそむけ、吐き気さえ催した。


よく見ると、画像の下に文字が書かれている。

「A guy in Miami, aged around 30, Killed by me today」

(きょう私がマイアミで殺した30代の男)

殺人者が自らの犯罪を自慢するサイトだった。


これは決して見てはいけないものだったんじゃないのか。

我に返ると、すぐにパソコンの前を離れて一目散に寮へ帰った。

もちろんこのことは誰にも話さなかった。


翌朝、私は再度パソコンデスクに向かい、昨夜の出来事が何かの間違いであることを願って、同じURLを開いた。


そこには左乳房に大きなナイフが刺さった全裸の女性がいた。

口、鼻、耳から血が流れている。

「A bitch in Miami, aged around 30, Killed by me today」

(きょう私がマイアミで殺した30代の女)


「インターネットで犯人が殺人の画像を掲載しているんです!」

すぐに警察に相談した。

しかし、まだインターネットがあまり知られていない頃だ。

なかなか理解してもらえず、上手いとはいえない私の語学力のせいもあって、相手にしてもらえなかった。


私は説得をあきらめて再度パソコンに戻り、URLを入力してみた。

数時間前まであった画像はすでになくなっている。

その代わりに、私の住所と電話番号がメッセージとともに書かれていた。


「You are the next star on my Web.」

(君は私のサイトの次の主役だ)


私はすぐに航空チケットを手配し、2日後に帰国した。


あれからもう20年。インターネットは驚くほど進歩した。

もちろん、あの恐怖のURLを今も覚えている。

恐る恐る入力してみたが、現れるのはいつも「Not Find」の文字。

私はうまく逃げ切れたのだろうか。









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Sharetube