【閲覧注意】二棟の荘・押入れの壁・2階に誰か居る【怖い話】
2階に誰か居る
後ろを振り返ると、髪の毛が長く赤い服を着てジーパンをはき、顔は髪のせいで見えませんでしたが、血だらけのような人が立っていました。私は格安の一戸建てを見つけてそこに住むことにしました。
最初は快適に過ごしていたのですが、日がたつにつれて妙なことに気づきました。
2階から話し声が聞こえるのです。2階に行って見ても、もちろん誰もいません。
一人住まいなのですから当然です。足音が聞こえたこともありました。
間違いなく2階に誰かがいる。
私は2階に行って一部屋ずつ確認して回りました。
窓は閉めてあるし、人が外から入ってきた形跡はない。
その時、天井から「ドンドンッ」と叩く音が聞こえました。
天井裏に誰かいるのか?見ると天井にぽつんと扉があります。
不動産屋からはこんな所に扉があるなんて全く聞いてなかったし、あまりにも目立たないので、私も気づかなかったのです。
そこからまだ叩く音が聞こえます。
とても怖かったのですが、勇気を振り絞って開けるみることにしました。
開けると中から階段が出てきて、階段を上がって中に入ると、カビくさいニオイがしました。
広さは4㎡ぐらいで物置になりそうです。
前の住人が置いていったものなのか、ホコリまみれの人形とダンボールが何個も置いてありました。しかし誰もいません。
その時突然、誰かが後ろにいる気配を感じました。
長い髪の毛。赤い服。ジーパン。血だらけの顔……。
私は階段を転がるように下りて逃げました。
さらに2階から1階へ下りている時、天井裏の階段をドスドスと下りてくる音が聞こえました。
追いかけてくる……!
その夜は友達の家に泊まり、次の日友達についてきてもらって自分の家に戻りました。
家のドアを開けるときにちらっと2階の窓をみると窓越しに私を見ている女性がうっすらと見えました。
私はすぐに引越しを決意しました。
押入れの壁
私はある体験から、壁を背にして寝られなくなった。かれこれ20年前、私は中学生で押し入れを改良して寝ていた。
押入れの中は窮屈だったが、小さい机と電気スタンド、マンガや玩具を並べ、狭いながらもお気に入りの部屋だった。
その頃の私は怖いもの好きで、肝試しや怖い話などに夢中になったが、本当は極度の怖がりだった。
そのため、寝るときはいつも電気スタンドの明かりをつけたまま。
中学2年の夏休み、蒸し暑い日の深夜だった。
パンツ1枚の状態で布団を掛けて寝ていたが、あまりの寝苦しさに足で布団をはいだ。
これで涼しくなったと思ったが、何かがおかしかった。
布団を掛けていた時よりも寝苦しく、胸も苦しい。
私は壁に背を向けて左半身を下に寝ていた。
押入れは一人が横になるのが精一杯で、電気スタンドの明かりが狭い押入れを照らしている。
ふと、照らされている自分の胸元を見ると、何かが見えた。
自分の両脇から、真っ白く細長い手が「にゅっ」と飛び出し、私の脇を「ギュ~ギュ~」と押していたのだ。
「キリキリキリキリ・・・」
今度はそんな音が聞こえ、その音に合わせて、真後ろの壁が見えるところまで首をねじ曲げられた。
その壁の中には、真っ白い顔で長い髪の女性が半分埋まった状態でいた。
女性が「ニッ」と笑った瞬間、フッと意識が飛び気絶してしまったようだ。
目が覚めたのは次の日の昼過ぎ。
怖い夢を見たと思いながら、ふと自分の両脇を見ると……
締め付けられたような手形がくっきりと胸に残っていた。
わたしは押入れを片付け、その夜から電気を消して、部屋の真ん中で寝るようになった。
隣の部屋からは「あの子も大人になった」なんて話している両親の声がした。
二棟の荘
俺がチラシを配っていたその日は、雨が上がったばかりで肌寒かった。靴はびしょびしょに濡れて、配布しなければならない件数はまだうんざりするほど残っていた。
おまけに、ここは「荘」が二棟並んで建っている。
集合ポストじゃないと、いちいち階段を昇り降りしなくてはいけないので、面倒くさいのだ。
階段を昇り切った所でふと横を向いてみると、隣の「荘」の部屋が丸見えだった。
その部屋の中に、何かがぶら下がっていた。首吊りかも!
すぐに警察に電話して荘の外で待っていたのだが、もしかしたらまだ生きているかもしれないと思い、その部屋に向かった。
鍵はかかっていなかった。
玄関からすぐに、宙に浮いている男の後姿が見えた。
俺は恐る恐る男に近づいたが、やはり死んでいた。
俺が軽く触れただけで、ブラブラと揺れた。
急に怖くなった俺は部屋から出ようとした。
その時、男の右手が突然動いて、向かいの「荘」の正面の部屋を指差した。
俺は叫び声を上げて部屋から飛び出した。
しばらくして警察が来たので、一緒に部屋に入った。
死体は元のままだった。
「発見した時はどのような状態でしたか?」
俺は警察官から尋ねられ「今と同じ状態でした」と答えた。
まさか、死体があっちを指差しました、なんていえない。
あとで聞いた話では、向かいの荘の部屋からも数日後に首吊り死体が見つかったそうだ。
寂しく死んだ男が、同じ死に方をした人間を早く見つけさせてあげたかったのだと思う。