【閲覧注意】前野さんですか?・午前3時の恐怖・夢のような恋【怖い話】
夢のような恋
その日は、日本三大祭りに数えられる夜祭りの日でした。私は親友二人と連れだって、祭りも終わりの頃に神社へお参りに行きました。
ふと見ると、着物を着た女の人が目に止まりました。
他に着物を着た女の人はいましたが、なぜか彼女だけに気持ちが高まります。
親友の二人に「あの人かわいいな!」
と言うと一人の親友は「あの人か?」
と言いましたが、もう一人の親友は「どの人?」
と言って見えなかったようです。
その帰り道に車を走らせていると親友の一人が
「あの人だ!」と叫び、僕もバックミラーで暗い山道に一人で立つ女の人が見えました。
もう一人の親友は見えなかったようです。
その夜に、一緒に女の人を見た親友とまったく同じ夢を見ました。
あの人の夢でした。
それから、僕の夢の中に、あの女の人が出てくるようになりました。
不思議と恐さはなく心地よい気分です。
目を覚ました時には彼女がいた気配がうっすら残っています。
気になってあの神社の神主さんに聞いてみると、夜祭りの日に好きな人を待っていて、亡くなった女の人がいたという話を聞きました。
彼女がそうだったんだ、と思いました。
夢の中であの人と一緒にいる時間は、いつも穏やかで幸せな気持ちなります。
夢であの人に会えることが楽しみです。
どうやら僕は、あの着物を着た女の人に恋をしているようです。
午前3時の恐怖
先日私の勤務する工場で大きな事故がありました。事故にあった作業員は、右腕の肩から先が切断され、右足も繋がってはいるものの回復は不可能で、切断を余儀なくされるほどの大きな事故でした。
彼は意識不明。緊急処置のおかげで一命は取りとめたものの、意識はなかなか戻りませんでした。
私は作業の責任者だったので、その夜は彼に付き添って病院で一夜を過ごしました。
関係先への連絡・報告がおわると、いつしか部屋の外のベンチで寝てしまいました。
深夜、部屋から人の声がして目が覚めました。
時計は3時を指していたことを覚えています。
そっとドアを開けてみると、なんと彼は起き上がってベッドに腰かけ、部屋の上の方を見ながら喋っていたのです。
様子がおかしく、誰かに向かってしきりに何か話してるんです。
携帯電話かと思いましたが、そんなものは持っていませんでした。
話の内容が気になり、もう少しドアを開けてみると
「はい……ええ、そうです」
「ここから先を引き裂けばいいわけですか…ええ」
「はい、だいぶ生えてきました。腕の上が、まだ」
「足も2ヵ月で生えてくるんですか?ありがとうございます」
「はい・・ええ、ちょっと待ってください。いま誰か見てる奴がいます」
背筋が凍りました。まさか自分のことを言っているのか。
私は恐る恐る彼の名前を呼んでみると、突然彼が話すのをやめました。
沈黙が流れたかと思うといきなり
「おい!」
と上を向いたままで言ったのです。
私はその場から逃げていました。
怖くて気が変にかなりそうでしたが、とりあえず宿直の看護師のところへ行き
今までのことを全部話しました。
「そんな夢を見られたのですか?」看護師は笑っていましたが、彼の意識が戻ったのなら確かめに行こうということになりました。
病室に戻ると彼はベッドで寝ていました。
さきほどの様子が嘘のようで、意識は戻らないままです。
現在彼は意識が戻って退院していますが、あの夜言っていたことはまったく覚えていないそうです。
前野さんですか?
「ここは前野さんのお宅ですよね?お子さんですか?」ボクが小学校の時のこと。夜、自分の部屋で宿題してたんだ。
すると机の横の窓を、誰かがこつこつ叩く。
カーテンを開けて、窓を開けたら青白い顔をした見知らぬ女の人がいた。
父は入り婿で、現在は母の姓を名乗っているけれど、前野っていうのは父の旧姓。
でもいちいち話すのが面倒くさかったから「違います」って答えた。
「そうですか」
そう言って、その女の人はすぐに行っちゃった。
ずっと後になって聞いたんだけど、父が母とお見合いして結婚したとき、実は父に付き合っていた人がいて、その人が自殺したらしい。
あのとき「そうです」って答えていたら、どうなっていたんだろう…。
それにボクの部屋、2階だったんだよ。