【閲覧注意】佐野レジャーランド・雄別炭鉱跡・中ノ沢病院【怖い話】
中ノ沢病院
赤城山の中腹、国道353号線からすこし北へ入ったところに、今は残骸をさらすだけの心霊スポット『中ノ沢病院』があった。現在では門と瓦礫の山だけだが、異様な雰囲気は相変わらずだ。
職場仲間の中田さんから、中ノ沢病院がまだ建物として残っていた頃、おそらく10年前くらいの話を聞いた。
いまから10年ほど前のある夜、中田さんは現在奥さんである彼女を連れて肝試しに中ノ沢病院へやってきた。
あくまでも軽いノリだったという。
そこは地元でも有名な心霊スポットで、同時に不良の溜まり場にもなっていた。
つまり近づくとロクなことがない、ということだ。
中田さんが訪れた時に人影はなく、重い空気が立ち込めていたという。
彼女もかなり度胸の座った人でまったく怖がっていなかったので、ふたりは荒れ放題の敷地内をずんずん進み、こともなげに病院の建物内へと入った。
内部も荒れ放題で、床には割れたガラスや医療器具が散乱していた。
しかし、それといって目を引くものもなく、病院内を一通り回ったら帰ろうということになった。
そのとき、すぐそばで床に落ちたガラスをジャリっと踏みしめるような音がした。
ジャリッ、ジャリッ・・・ 。
自分は立ち止まっているし、手をつないだ彼女も動いていない。
中田さんが手に持っていた懐中電灯が不意に消えた。
真っ暗の院内でジャリッという音だけが響き渡る。
あまりの恐怖に中田さんも彼女も声が出なかったという。
暗闇の中、何者かが自分たちのそばを動き回っている。
ジャリッ、ジャリッ・・・ 。
どのくらいの時間が経ったのだろうか。
中田さんと彼女は何者かの気配に怯えながら震えていた。
「ぎゃーーーーーーっ!!」
突然彼女が鋭い悲鳴を上げた。
それと同時に、彼女はつないだ彼の手を引っ張り、暗闇の中を無我夢中で逃げた。
それから、どこをどう走ったのか。
なんとか外へ出て車に乗り込み、明るい街中まで一気に車を走らせた。
彼女は泣きじゃくりながら話し始めた。
「裸のおじいさんがいたの。真っ暗だったのに、背の曲がった骨と皮だけのおじいさんが見えたの。」
「何かされたの?」
「私の手にかみついたの!」
ルームライトの薄暗さでも確認できるほど、彼女の左手には人間のものと思われる歯型がはっきりと残っていたそうだ。
10年経った今、歯型は消えているが、中ノ沢病院跡の近くには二度と行きたくないと話していた。
雄別炭鉱跡
目的地は、なにかと噂のある廃病院だった。その廃病院のある炭鉱跡へ向かう男4人の車が炭鉱へ到着したのは深夜1時頃である。
病院内に入ると、懐中電灯で照らす壁は落書きだらけだった。
不気味な絵や意味不明のメッセージのようなものもあり、気味が悪い。
院内のテラスのようなところにたどり着いた時、
「きゃああああーーー」
突然、甲高い女の悲鳴がした。
病院内に他の人間はいないはずだ。
男達は動揺して、全速力で走って廃病院を飛び出した。
玄関前の車寄せに出たところで、今のは何だったんだろうと玄関ホールを懐中電灯で照らしていると、誰もいないはずの院内からたくさんの足音がカツコツと迫るように聞こえてきた。
男4人でもこの状況は耐え切れず、一刻も早くこの場を去ることになった。
全員が車に乗り込んだ時、俺の携帯が鳴った。
携帯のディスプレイを確認すると『非通知』の表示が出ている。
出ようか迷っているとき、恐ろしいことに気づいた。
電波の表示が『圏外』になっていたのだ。
着信音が鳴り続いているあいだ、俺は狼狽した。
「早く出ろよ。」友達が急かした。
恐る恐る電話に出てみると、最初に聞こえたのは強風のような音。
ゴアァーという音の奥で誰かが話しているような声もする。
よく聞き取ろうと集中していると、突然、
「きゃああああーーー」
院内で聞いたのと同じ女の悲鳴が、その場にいる全員に聞こえるほどの大きな音で流れた。
俺はあまりの恐怖に、思わず電話を切ってしまった。
すると、今度は車に乗っていた全員の携帯が一斉に鳴り始めたのだ。
電話を取れる奴は誰もいなかった。
携帯はしばらく鳴り続け、市街地まで入ると突然鳴り止んだという。
その後、仲間は皆無事だが、俺は怖くなって携帯を解約した。
佐野レジャーランド
仲間のひとりが「手分けして施設内を散策してみようぜ。」
と言ったことに、哲也だけはかたくなに反対した。
「それだけはやめた方がいい。」
栃木県佐野市の山中にあるレジャーランドの廃墟。
ここは衝撃的内容で有名な『バトルロワイアル』の撮影場所としても使われたという話だ。
俺たちは5人で「冒険」に来ていた。
車で敷地内に乗り入れると、まず不気味な緑をたたえた池が目に入った。
その池を見下ろすように、廃墟は存在している。
施設内は荒れ果てているが、特にこれと言って変わったこともない。
哲也があまりに反対するので、仕方がなくその後も集団で行動した。
一通り施設内を回ってホールらしき場所へ戻った時、
「男の人がいろんな陰から見ている。」
哲也がつぶやいた。
周囲を見回したが、人がいる気配はしない。
哲也が指差している暗がりを見ても、人の姿は見えなかった。
哲也にしか見えないにしても、男が俺達を見ていたのか…。
帰りの車中で哲也は言った。
「あそこにはもう行かないほうがいいよ、囲まれちゃうから。とくに夜には。」