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【閲覧注意】くねくね・足音・着物の少女・八尺様【怖い話】

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【閲覧注意】くねくね・足音・着物の少女・八尺様【怖い話】

Author:
haranharan
Posted date:
【閲覧注意】くねくね・足音・着物の少女・八尺様【怖い話】

くねくね

103 名前:餅持ちプラチナ : 04/08/08 22:39 ID:7Z6K7XkI 

これは小さい頃、秋田にある祖母の実家に帰省した時の事である。 
年に一度のお盆にしか訪れる事のない祖母の家に着いた僕は、早速大はしゃぎで兄と外に遊びに行った。 
都会とは違い、空気が断然うまい。 
僕は、爽やかな風を浴びながら、兄と田んぼの周りを駆け回った。 
そして、日が登りきり、真昼に差し掛かった頃、ピタリと風か止んだ。 
と思ったら、気持ち悪いぐらいの生緩い風が吹いてきた。 
僕は、『ただでさえ暑いのに、何でこんな暖かい風が吹いてくるんだよ!』と、さっきの爽快感を奪われた事で少し機嫌悪そうに言い放った。 

すると、兄は、さっきから別な方向を見ている。 
その方向には案山子(かかし)がある。『あの案山子がどうしたの?』と兄に聞くと、 

兄は『いや、その向こうだ』と 言って、ますます目を凝らして見ている。 
僕も気になり、田んぼのずっと向こうをジーッと見た。 
すると、確かに見える。 
何だ…あれは。 
遠くからだからよく分からないが、人ぐらいの大きさの白い物体が、くねくねと動いている。 
しかも周りには田んぼがあるだけ。近くに人がいるわけでもない。僕は一瞬奇妙に感じたが、ひとまずこう解釈した。 
『あれ、新種の案山子(かかし)じゃない?きっと!今まで動く案山子なんか無かったから、農家の人か誰かが考えたんだ!多分さっきから吹いてる風で動いてるんだよ!』 

兄は、僕のズバリ的確な解釈に納得した表情だったが、その表情は一瞬で消えた 
風がピタリと止んだのだ。 
しかし例の白い物体は相変わらずくねくねと動いている。 

兄は『おい…まだ動いてるぞ…あれは一体何なんだ?』 
と驚いた口調で言い、気になってしょうがなかったので、兄は家に戻り、双眼鏡を持って再び現場にきた。 

兄は、少々ワクワクした様子で、 
『最初俺が見てみるから、お前は少し待ってろよー!』と言い、はりきって双眼鏡を覗いた。 

すると、急に兄の顔に変化が生じた。 
みるみる真っ青になっていき、冷や汗をだくだく流して、ついには持ってる双眼鏡を落とした。 
僕は、兄の変貌ぶりを恐れながらも、兄に聞いてみた。 
『何だったの?』 
兄はゆっくり答えた。 
『わカらナいホうガいイ……』 
すでに兄の声では無かった。 

兄はそのままヒタヒタと家に戻っていった。 

104 名前:餅持ちプラチナ : 04/08/08 22:46 ID:7Z6K7XkI 


僕は、すぐさま兄を真っ青にしたあの白い物体を見てやろうと、落ちていた双眼鏡を取ろうとしたが、兄の言葉を聞いたせいか、見る勇気が無い。しかし気になる。 
遠くから見たら、ただ白い物体が奇妙にくねくねと動いているだけだ。 
少し奇妙だが、それ以上の恐怖感は起こらない。 
しかし、兄は…。 

よし、見るしかない。どんな物が兄に恐怖を与えたのか、自分の目で確かめてやる! 

僕は、落ちてる双眼鏡を取って覗こうとした。 
その時、祖父がすごいあせった様子でこっちに走ってきた。 
僕が『どうしたの?』と尋ねる前に、すごい勢いで祖父が、 
『あの白い物体を見てはならん!見たのか!お前、その双眼鏡で見たのか!』 

と迫ってきた。 

僕は『いや…まだ…』と少しキョドった感じで答えたら、祖父は『よかった…』と言い、安心した様子で、その場に泣き崩れた。 
僕は、わけの分からないまま、家に戻された。 
帰ると、みんな泣いている。 

僕の事で?いや、違う。 
よく見ると、兄だけ狂ったように笑いながら、まるであの白い物体のようにくねくね、くねくねと乱舞している。 
僕は、その兄の姿に、あの白い物体よりもすごい恐怖感を覚えた。 
そして家に帰る日、祖母がこう言った。 
『兄はここに置いといた方が暮らしやすいだろう。 

あっちだと、狭いし、世間の事を考えたら数日も持たん…うちに置いといて、何年か経ってから、田んぼに放してやるのが一番だ…。』 
僕はその言葉を聞き、大声で泣き叫んだ。 
以前の兄の姿は、もう、無い。また来年実家に行った時に会ったとしても、それはもう兄ではない。 
何でこんな事に…ついこの前まで仲良く遊んでたのに、何で…。 
僕は、必死に涙を拭い、車に乗って、実家を離れた。 
祖父たちが手を振ってる中で、変わり果てた兄が、一瞬、僕に手を振ったように見えた。 
僕は、遠ざかってゆく中、兄の表情を見ようと、双眼鏡で覗いたら、兄は、確かに泣いていた。 
表情は笑っていたが、今まで兄が一度も見せなかったような、最初で最後の悲しい笑顔だった。 
そして、すぐ曲がり角を曲がったときにもう兄の姿は見えなくなったが、僕は涙を流しながらずっと双眼鏡を覗き続けた。 
『いつか…元に戻るよね…』そう思って、兄の元の姿を懐かしみながら、緑が一面に広がる田んぼを見晴らしていた。 

105 名前:餅持ちプラチナ : 04/08/08 22:46 ID:7Z6K7XkI 
そして、すぐ曲がり角を曲がったときにもう兄の姿は見えなくなったが、僕は涙を流しながらずっと双眼鏡を覗き続けた。 
『いつか…元に戻るよね…』そう思って、兄の元の姿を懐かしみながら、緑が一面に広がる田んぼを見晴らしていた。 
そして、兄との思い出を回想しながら、ただ双眼鏡を覗いていた …その時だった。 
見てはいけないと分かっている物を、間近で見てしまったのだ。 

足音

912 本当にあった怖い名無し sage New! 2005/07/18(月) 16:08:26 ID:5ax0zH+50
俺が昔住んでた部屋での話。 

初めは特に何事もなく普通に暮らしてた。 
今にして思えば時々夜に変な物音がしていたが、小さな音だったし、 
俺も特に気にしていなかった。 
俺がその部屋を借りてから1ヶ月くらいたったある夜、 
深夜2時頃に俺はトイレに行きたくて目が覚めた。 
とりあえずトイレに行き、用を済ましたんだが、 
深夜ということもあり、眠たくて便座に座ったままぼーっとしていた。 
その状態で1、2分後、トイレの外から変な音が聞こえだした。 
足音だ。しかし当然ながらこの部屋には俺しか住んでいない。 
俺は黙ってその音を聞いていた。足音は部屋をぐるぐると回っているようだった。 
不意に足音が止まった。ようやくおさまったかと思ったら、再び足音が。 
足音はトイレに近づいてくる。 
俺はトイレの中で震え始めた。震えが止まらない。 
しばらくして足音はトイレの前で止まった。もうトイレから出られない。 
そのまま5分くらいたったと思う。俺はもうずっと震えっぱなし。 
足音が去っていく。部屋の方へと向かい、今度は完全に足音が消えた。 
正直まだ出たくはなかったが、ずっとトイレにいるわけにもいかないし、 
トイレから出て、部屋へと向かった。 

【続き】
http://kowakowa.dreamlog.jp/archives/1062921243.html

着物の少女

772 本当にあった怖い名無し sage 2005/07/26(火) 18:17:06 ID:amlXWpEo0 
毎年夏、俺は両親に連れられて祖母の家に遊びに行っていた。 
俺の祖母の家のある町は、今でこそ都心に通う人のベッドタウンとしてそれなりに発展しているが、二十年ほど前は、隣の家との間隔が数十メートルあるのがざらで、田んぼと畑と雑木林ばかりが広がるかなりの田舎だった。 
同年代の子があまりいなくて、俺は祖母の家に行くと、いつも自然の中を一人で駆け回っていた。それなりに楽しかったのだが、飽きることもままあった。 
 小学校に上がる前の夏のこと。俺は相変わらず一人で遊んでいたが、やはり飽きてしまっていつもは行かなかった山の方へ行ってみることにした。祖母や親に、山の方は危ないから言っちゃダメと言われていて、それまで行かなかったのだが、退屈にはかなわなかった。 
 家から歩いて歩いて山の中に入ると、ちょっとひんやりしていて薄暗く、怖い感じがした。それでもさらに歩いていこうとすると、声をかけられた。 
「一人で行っちゃだめだよ」 
 いつから居たのか、少し進んだ山道の脇に、僕と同じくらいの背丈で髪を適当に伸ばした女の子が立っていた。その子は着物姿で、幼心に変わった子だなと思った。 
「なんで駄目なの?」 
「危ないからだよ。山の中は一人で行っちゃ駄目だよ。帰らなきゃ」 
「嫌だよ。せっかくここまで来たんだもん。戻ってもつまらないし」 
 俺はその子が止めるのを無視していこうとしたが、通りすぎようとしたときに手をつかまれてしまった。その子の手は妙に冷たかった。 
「……なら、私が遊んであげるから。ね? 山に行っちゃ駄目」 
「えー……うん。わかった……」 
 元々一人遊びに飽きて山に入ろうと思い立ったので、女の子が遊んでくれると言うなら無理に行く必要もなかった。 
 その日から、俺とその女の子は毎日遊んだ。いつも、出会った山道のあたりで遊んでいたので、鬼ごっことか木登りとかがほとんどだった。たまに女の子がお手玉とかまりとかを持って来て、俺に教え込んで遊んだ。 

本当にあった怖い名無し sage 2005/07/26(火) 18:18:04 ID:amlXWpEo0 
「健ちゃん、最近何して遊んでんだ?」 
「山の近くで女の子と遊んでる」 
「女の子? どこの子だ?」 
「わかんない。着物着てるよ。かわいいよ」 
「どこの子だろうなあ……名前はなんつうんだ?」 
「……教えてくれない」 
 実際その子は一度も名前を教えてくれなかった。祖母も親も、その子がどこの子かわからないようだった。とりあえず村のどっかの家の子だろうと言っていた。 
 その夏は女の子と何度も遊んだけど、お盆を過ぎて帰らなきゃならなくなった。 
「僕明日帰るんだ」 
「そうなんだ……」 
「あのさ、名前教えてよ。どこに住んでるの? また冬におばあちゃんちに来たら、遊びに行くから」 
女の子は困ったような何とも言えない顔をしてうつむいていたが、何度も頼むと口を開いてくれた。 
「……名前は○○。でも約束して。絶対誰にも私の名前は言わないでね。……遊びたくなったら、ここに来て名前を呼んでくれればいいから」 
「……わかった」 
 年末に祖母の家に来た時も、僕はやはり山に行った。名前を呼ぶと、本当に女の子は来てくれた。冬でも着物姿で寒そうだったが、本人は気にしていないようだった。 
「どこに住んでるの?」「今度僕のおばあちゃんちに遊びに来ない?」などと聞いてみたが、相変わらず首を横に振るだけだった。 
 そんな風に、祖母のうちに行った時、俺はその女の子と何度も遊んで、それが楽しみで春も夏も冬も、祖母の家に長く居るようになった。 
 女の子と遊び始めて三年目、俺が小二の夏のことだった。 
「多分、もう遊べなくなる……」 
 いつものように遊びに行くと、女の子が突然言い出した。 
「何で?」 
「ここに居なくなるから」 
「えー、やだよ……」 
 引越しか何かで居なくなるのかなと思った。自分が嫌がったところでどうにかなるものでもないとさすがにわかっていたが、それでもごねずには居られなかった。 


775 本当にあった怖い名無し sage 2005/07/26(火) 18:19:16 ID:amlXWpEo0 
「どこに行っちゃうの?」 
「わからないけど。でも明日からは来ないでね……もうさよなら」 
 本当にいきなりの別れだったので、俺はもうわめきまくりで、女の子の前なのに泣き出してしまった。女の子は俺をなだめるために色々言っていた。俺はとにかく、また遊びたい、さよならは嫌だと言い続けた。そのうち女の子もつうっと涙を流した。 
「……ありがとう。私、嬉しいよ。でも、今日はもう帰ってね。もう暗いし、危ないからね」 
「嫌だ。帰ったら、もう会えないんでしょ?」 
「……そうだね……。あなたと一緒もいいのかもね」 
「え?」 
「大丈夫。多分また会えるよ……」 
 俺はさとされて家路についた。途中何度も振り向いた。着物の女の子は、ずっとこちらを見ているようだった。 
 その日、祖母の家に帰ったらすぐに、疲れて寝に入ってしまった。そして俺は、その夜から五日間、高熱に苦しむことになった。この五日間のことは、俺はほとんど覚えていない。 
一時は四十度を越える熱が続き、本当に危なくなって、隣の町の病院に運ばれ入院したが、熱は全然下がらなかったらしい。しかし五日目を過ぎると、あっさり平熱に戻っていたという。 
 その後、祖母の家に戻ると、驚いたことに俺が女の子と遊んでいた山の麓は、木が切られ山は削られ、宅地造成の工事が始まっていた。俺は驚き焦り、祖母と両親に山にまでつれて行ってくれと頼んだが、病み上がりなのでつれていってもらえなかった。 
 それ以来俺は女の子と会うことはなかったが、たまに夢に見るようになった。 
 数年後聞いた話に、宅地造成の工事をやった時、麓の斜面から小さく古びた社が出てきたらしいというものがあった。工事で削った土や石が降ったせいか、半壊していたという。何を奉っていたのかも誰も知らなかったらしい。 
その社があったのは俺が女の子と遊んでいた山道を少し奥に入ったところで、ひょっとして自分が遊んでいたのは……と思ってしまった。 
 実際変な話がいくつかある。 


776 本当にあった怖い名無し sage 2005/07/26(火) 18:20:40 ID:amlXWpEo0 
俺の高校に自称霊感少女がいたのだが、そいつに一度、 
「あんた、凄いのつけてるね」 
と言われたことがあった。 
「凄いのってなんだよ?」 
「……わかんない。けど、守護霊とかなのかな? わからないや。でも、怪我とか病気とかあまりしないでしょ?」 
確かにあの高熱以来、ほぼ完全に無病息災だった。 

 さらにこの前、親戚の小さな子(五才)と遊んでいたら、その子がカラーボールを使ってお手玉を始めた。俺にもやってみろと言う風にねだるのでやってみると、対抗するかのようにいくつもボールを使ってお手玉をした。何度も楽しそうにお手玉をした。 
あんまり見事だったので後でその子の親に、 
「いやー、凄いよ。教えたの? あんな何個も、俺だってできないよ」 
と言うと、親はきょとんとして、「教えてないけど……」と答えた。 
もう一度その子にやらせてみようとすると、何度試してみてもできなかった。 
「昼間みたいにやってみて」 
「? なにそれ?」 
と言う感じで、昼のことをおぼえてすらいなかった。 
何と言うか、そのお手玉さばきは、思い返すとあの女の子に似ていた気がしてたまらない。 

今もたまに夢に見るし、あの最後の言葉もあるし、ひょっとしてあの子は本当に俺にくっついてるのかなと思ったりする。ちなみに女の子の名前は、なぜか俺も思い出せなくなってしまっている。 
不気味とかそういうのはなく、ただ懐かしい感じがするのみである。 

以上、まとまらないが、思い出を書いてみた。 

八尺様

908 :1/1: sage 2008/08/26(火) 09:45:56 ID:VFtYjtRn0 
親父の実家は自宅から車で二時間弱くらいのところにある。 
農家なんだけど、何かそういった雰囲気が好きで、高校になってバイクに乗る 
ようになると、夏休みとか冬休みなんかにはよく一人で遊びに行ってた。 
じいちゃんとばあちゃんも「よく来てくれた」と喜んで迎えてくれたしね。 
でも、最後に行ったのが高校三年にあがる直前だから、もう十年以上も行って 
いないことになる。 
決して「行かなかった」んじゃなくて「行けなかった」んだけど、その訳はこ 
んなことだ。 
春休みに入ったばかりのこと、いい天気に誘われてじいちゃんの家にバイクで 
行った。まだ寒かったけど、広縁はぽかぽかと気持ちよく、そこでしばらく寛 
いでいた。そうしたら、 
「ぽぽ、ぽぽっぽ、ぽ、ぽっ…」 
と変な音が聞こえてきた。機械的な音じゃなくて、人が発してるような感じが 
した。それも濁音とも半濁音とも、どちらにも取れるような感じだった。 
何だろうと思っていると、庭の生垣の上に帽子があるのを見つけた。生垣の上 
に置いてあったわけじゃない。帽子はそのまま横に移動し、垣根の切れ目まで 
来ると、一人女性が見えた。まあ、帽子はその女性が被っていたわけだ。 
女性は白っぽいワンピースを着ていた。 
でも生垣の高さは二メートルくらいある。その生垣から頭を出せるってどれだ 
け背の高い女なんだ… 
驚いていると、女はまた移動して視界から消えた。帽子も消えていた。 
また、いつのまにか「ぽぽぽ」という音も無くなっていた。 

909 :2/9: sage 2008/08/26(火) 09:46:59 ID:VFtYjtRn0 
そのときは、もともと背が高い女が超厚底のブーツを履いていたか、踵の高い 
靴を履いた背の高い男が女装したかくらいにしか思わなかった。 
その後、居間でお茶を飲みながら、じいちゃんとばあちゃんにさっきのことを 
話した。 
「さっき、大きな女を見たよ。男が女装してたのかなあ」 
と言っても「へぇ~」くらいしか言わなかったけど、 
「垣根より背が高かった。帽子を被っていて『ぽぽぽ』とか変な声出してたし」 
と言ったとたん、二人の動きが止ったんだよね。いや、本当にぴたりと止った。 
その後、「いつ見た」「どこで見た」「垣根よりどのくらい高かった」 
と、じいちゃんが怒ったような顔で質問を浴びせてきた。 
じいちゃんの気迫に押されながらもそれに答えると、急に黙り込んで廊下にあ 
る電話まで行き、どこかに電話をかけだした。引き戸が閉じられていたため、 
何を話しているのかは良く分からなかった。 
ばあちゃんは心なしか震えているように見えた。 
じいちゃんは電話を終えたのか、戻ってくると、 
「今日は泊まっていけ。いや、今日は帰すわけには行かなくなった」と言った。 
――何かとんでもなく悪いことをしてしまったんだろうか。 
と必死に考えたが、何も思い当たらない。あの女だって、自分から見に行った 
わけじゃなく、あちらから現れたわけだし。 
そして、「ばあさん、後頼む。俺はKさんを迎えに行って来る」 
と言い残し、軽トラックでどこかに出かけて行った。 

910 :3/9: sage 2008/08/26(火) 09:48:03 ID:VFtYjtRn0 
ばあちゃんに恐る恐る尋ねてみると、 
「八尺様に魅入られてしまったようだよ。じいちゃんが何とかしてくれる。何 
にも心配しなくていいから」 
と震えた声で言った。 
それからばあちゃんは、じいちゃんが戻って来るまでぽつりぽつりと話してく 
れた。 
この辺りには「八尺様」という厄介なものがいる。 
八尺様は大きな女の姿をしている。名前の通り八尺ほどの背丈があり、「ぼぼ 
ぼぼ」と男のような声で変な笑い方をする。 
人によって、喪服を着た若い女だったり、留袖の老婆だったり、野良着姿の年 
増だったりと見え方が違うが、女性で異常に背が高いことと頭に何か載せてい 
ること、それに気味悪い笑い声は共通している。 
昔、旅人に憑いて来たという噂もあるが、定かではない。 
この地区(今は○市の一部であるが、昔は×村、今で言う「大字」にあたる区 
分)に地蔵によって封印されていて、よそへは行くことが無い。 
八尺様に魅入られると、数日のうちに取り殺されてしまう。 
最後に八尺様の被害が出たのは十五年ほど前。 
これは後から聞いたことではあるが、地蔵によって封印されているというのは、 
八尺様がよそへ移動できる道というのは理由は分からないが限られていて、そ 
の道の村境に地蔵を祀ったそうだ。八尺様の移動を防ぐためだが、それは東西 
南北の境界に全部で四ヶ所あるらしい。 
もっとも、何でそんなものを留めておくことになったかというと、周辺の村と 
何らかの協定があったらしい。例えば水利権を優先するとか。 
八尺様の被害は数年から十数年に一度くらいなので、昔の人はそこそこ有利な 
協定を結べれば良しと思ったのだろうか。 

911 :4/9: sage 2008/08/26(火) 09:49:15 ID:VFtYjtRn0 
そんなことを聞いても、全然リアルに思えなかった。当然だよね。 
そのうち、じいちゃんが一人の老婆を連れて戻ってきた。 
「えらいことになったのう。今はこれを持ってなさい」 
Kさんという老婆はそう言って、お札をくれた。 
それから、じいちゃんと一緒に二階へ上がり、何やらやっていた。 
ばあちゃんはそのまま一緒にいて、トイレに行くときも付いてきて、トイレの 
ドアを完全に閉めさせてくれなかった。 
ここにきてはじめて、「なんだかヤバイんじゃ…」と思うようになってきた。 
しばらくして二階に上がらされ、一室に入れられた。 
そこは窓が全部新聞紙で目張りされ、その上にお札が貼られており、四隅には 
盛塩が置かれていた。 
また、木でできた箱状のものがあり(祭壇などと呼べるものではない)、その 
上に小さな仏像が乗っていた。 
あと、どこから持ってきたのか「おまる」が二つも用意されていた。これで用 
を済ませろってことか・・・ 
「もうすぐ日が暮れる。いいか、明日の朝までここから出てはいかん。俺もば 
あさんもな、お前を呼ぶこともなければ、お前に話しかけることもない。そう 
だな、明日朝の七時になるまでは絶対ここから出るな。七時になったらお前か 
ら出ろ。家には連絡しておく」 
と、じいちゃんが真顔で言うものだから、黙って頷く以外なかった。 
「今言われたことは良く守りなさい。お札も肌身離さずな。何かおきたら仏様 
の前でお願いしなさい」 
とKさんにも言われた。 

912 :5/9: sage 2008/08/26(火) 09:50:22 ID:VFtYjtRn0 
テレビは見てもいいと言われていたので点けたが、見ていても上の空で気も紛 
れない。 
部屋に閉じ込められるときにばあちゃんがくれたおにぎりやお菓子も食べる気 
が全くおこらず、放置したまま布団に包まってひたすらガクブルしていた。 
そんな状態でもいつのまにか眠っていたようで、目が覚めたときには、何だか 
忘れたが深夜番組が映っていて、自分の時計を見たら、午前一時すぎだった。 
(この頃は携帯を持ってなかった) 
なんか嫌な時間に起きたなあなんて思っていると、窓ガラスをコツコツと叩く 
音が聞こえた。小石なんかをぶつけているんじゃなくて、手で軽く叩くような 
音だったと思う。 
風のせいでそんな音がでているのか、誰かが本当に叩いているのかは判断がつ 
かなかったが、必死に風のせいだ、と思い込もうとした。 
落ち着こうとお茶を一口飲んだが、やっぱり怖くて、テレビの音を大きくして 
無理やりテレビを見ていた。 
そんなとき、じいちゃんの声が聞こえた。 
「おーい、大丈夫か。怖けりゃ無理せんでいいぞ」 
思わずドアに近づいたが、じいちゃんの言葉をすぐに思い出した。 
また声がする。 
「どうした、こっちに来てもええぞ」 
じいちゃんの声に限りなく似ているけど、あれはじいちゃんの声じゃない。 
どうしてか分からんけど、そんな気がして、そしてそう思ったと同時に全身に 
鳥肌が立った。 
ふと、隅の盛り塩を見ると、それは上のほうが黒く変色していた。 

913 :本当にあった怖い名無し: sage 2008/08/26(火) 09:51:23 ID:VFtYjtRn0 
一目散に仏像の前に座ると、お札を握り締め「助けてください」と必死にお祈 
りをはじめた。 
そのとき、 
「ぽぽっぽ、ぽ、ぽぽ…」 
あの声が聞こえ、窓ガラスがトントン、トントンと鳴り出した。 
そこまで背が高くないことは分かっていたが、アレが下から手を伸ばして窓ガ 
ラスを叩いている光景が浮かんで仕方が無かった。 
もうできることは、仏像に祈ることだけだった。 
とてつもなく長い一夜に感じたが、それでも朝は来るもので、つけっぱなしの 
テレビがいつの間にか朝のニュースをやっていた。画面隅に表示される時間は 
確か七時十三分となっていた。 
ガラスを叩く音も、あの声も気づかないうちに止んでいた。 
どうやら眠ってしまったか気を失ってしまったかしたらしい。 
盛り塩はさらに黒く変色していた。 
念のため、自分の時計を見たところはぼ同じ時刻だったので、恐る恐るドアを 
開けると、そこには心配そうな顔をしたばあちゃんとKさんがいた。 
ばあちゃんが、よかった、よかったと涙を流してくれた。 
下に降りると、親父も来ていた。 
じいちゃんが外から顔を出して「早く車に乗れ」と促し、庭に出てみると、ど 
こから持ってきたのか、ワンボックスのバンが一台あった。そして、庭に何人 
かの男たちがいた。 

914 :7/9: sage 2008/08/26(火) 09:52:24 ID:VFtYjtRn0 
ワンボックスは九人乗りで、中列の真ん中に座らされ、助手席にKさんが座り、 
庭にいた男たちもすべて乗り込んだ。全部で九人が乗り込んでおり、八方すべ 
てを囲まれた形になった。 
「大変なことになったな。気になるかもしれないが、これからは目を閉じて下 
を向いていろ。俺たちには何も見えんが、お前には見えてしまうだろうからな。 
いいと言うまで我慢して目を開けるなよ」 
右隣に座った五十歳くらいのオジさんがそう言った。 
そして、じいちゃんの運転する軽トラが先頭、次が自分が乗っているバン、後 
に親父が運転する乗用車という車列で走り出した。車列はかなりゆっくりとし 
たスピードで進んだ。おそらく二十キロも出ていなかったんじゃあるまいか。 
間もなくKさんが、「ここがふんばりどころだ」と呟くと、何やら念仏のよう 
なものを唱え始めた。 
「ぽっぽぽ、ぽ、ぽっ、ぽぽぽ…」 
またあの声が聞こえてきた。 
Kさんからもらったお札を握り締め、言われたとおりに目を閉じ、下を向いて 
いたが、なぜか薄目をあけて外を少しだけ見てしまった。 
目に入ったのは白っぽいワンピース。それが車に合わせ移動していた。 
あの大股で付いてきているのか。 
頭はウインドウの外にあって見えない。しかし、車内を覗き込もうとしたのか、 
頭を下げる仕草を始めた。 
無意識に「ヒッ」と声を出す。 
「見るな」と隣が声を荒げる。 
慌てて目をぎゅっとつぶり、さらに強くお札を握り締めた。 

915 :8/9: sage 2008/08/26(火) 09:53:50 ID:VFtYjtRn0 
コツ、コツ、コツ 
ガラスを叩く音が始まる。 
周りに乗っている人も短く「エッ」とか「ンン」とか声を出す。 
アレは見えなくても、声は聞こえなくても、音は聞こえてしまうようだ。 
Kさんの念仏に力が入る。 
やがて、声と音が途切れたと思ったとき、Kさんが「うまく抜けた」と声をあ 
げた。 
それまで黙っていた周りを囲む男たちも「よかったなあ」と安堵の声を出した。 
やがて車は道の広い所で止り、親父の車に移された。 
親父とじいちゃんが他の男たちに頭を下げているとき、Kさんが「お札を見せ 
てみろ」と近寄ってきた。 
無意識にまだ握り締めていたお札を見ると、全体が黒っぽくなっていた。 
Kさんは「もう大丈夫だと思うがな、念のためしばらくの間はこれを持ってい 
なさい」と新しいお札をくれた。 
その後は親父と二人で自宅へ戻った。 
バイクは後日じいちゃんと近所の人が届けてくれた。 
親父も八尺様のことは知っていたようで、子供の頃、友達のひとりが魅入られ 
て命を落としたということを話してくれた。 
魅入られたため、他の土地に移った人も知っているという。 
バンに乗った男たちは、すべてじいちゃんの一族に関係がある人で、つまりは 
極々薄いながらも自分と血縁関係にある人たちだそうだ。 
前を走ったじいちゃん、後ろを走った親父も当然血のつながりはあるわけで、 
少しでも八尺様の目をごまかそうと、あのようなことをしたという。 
親父の兄弟(伯父)は一晩でこちらに来られなかったため、血縁は薄くてもす 
ぐに集まる人に来てもらったようだ。 

916 :9/9: sage 2008/08/26(火) 09:54:54 ID:VFtYjtRn0 
それでも流石に七人もの男が今の今、というわけにはいかなく、また夜より昼 
のほうが安全と思われたため、一晩部屋に閉じ込められたのである。 
道中、最悪ならじいちゃんか親父が身代わりになる覚悟だったとか。 
そして、先に書いたようなことを説明され、もうあそこには行かないようにと 
念を押された。 
家に戻ってから、じいちゃんと電話で話したとき、あの夜に声をかけたかと聞 
いたが、そんなことはしていないと断言された。 
――やっぱりあれは… 
と思ったら、改めて背筋が寒くなった。 
八尺様の被害には成人前の若い人間、それも子供が遭うことが多いということ 
だ。まだ子供や若年の人間が極度の不安な状態にあるとき、身内の声であのよ 
うなことを言われれば、つい心を許してしまうのだろう。 
それから十年経って、あのことも忘れがちになったとき、洒落にならない後日 
談ができてしまった。 
「八尺様を封じている地蔵様が誰かに壊されてしまった。それもお前の家に通 
じる道のものがな」 
と、ばあちゃんから電話があった。 
(じいちゃんは二年前に亡くなっていて、当然ながら葬式にも行かせてもらえ 
なかった。じいちゃんも起き上がれなくなってからは絶対来させるなと言って 
いたという) 
今となっては迷信だろうと自分に言い聞かせつつも、かなり心配な自分がいる。 
「ぽぽぽ…」という、あの声が聞こえてきたらと思うと… 

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haran