市川海老蔵への暴行事件を起こした伊藤リオン。やくざとなっていたが早くも破門状を叩きつけられていた
半グレは絶滅寸前!? 伊藤リオンに見る“極道転身”の茨道
2014年11月7日、仙台に本拠地を置く山口組系の有力組織から出された破門状には、意外な男の名前が記されていた。
元X會 若中 伊藤リオン 三十歳 東京都××区在住
右の者 平成二十六年十一月七日付けを以って『破門』致しました
右 念の為御通知申し上げます
山口組の最高幹部に名前を連ねる二次団体の幹部・X氏とは?
葉書の出し主は、山口組の最高幹部に名前を連ねる二次団体の幹部・X氏。伊藤リオンとは、市川海老蔵への暴行事件を起こした元関東連合のメンバーだ。ヤクザと半グレの関係について、仙台最大の繁華街・国分町で古くから働く飲食店関係者で、X氏を知る人物に話を聞く事ができた。
「Xさんは三十代にして要職を務める若手のホープ的存在。関東連合のリーダー格だった見立真一とは少年時代から付き合いがあったようで、交流が深かった。見立がフラワー事件で東南アジアに逃亡する前までは、元関東連合メンバーや配下の半グレ集団を引き連れて仙台に顔見せに連れてきていたくらいですから。震災の時にもXさんの立場を慮ったのか、関東連合は牛肉や米などの救援物資を送ってきたそうです。そうした関係があったにも関わらず、伊藤を破門したということは、よほどの事があったのでしょう」
葉書1枚に収められた文面は簡素ながら行間に怒りや決意が読み取れ、ただごとではない切迫感が伝わってくる。だが、その前に“半グレ”の代名詞的存在として悪名を轟かせた関東連合のメンバーであり、暴力団員ではなかったはずの伊藤が“本職”に転じていたことも興味深い。暴排条例による締め付けが厳しくなり、窮地に追いやられた都内暴力団の間隙を突く形で世間を騒がせてきたのが、他ならぬ関東連合だからだ。
なぜ伊藤リオンは破門になったのか?
「リオンはある商売で一山当てて、六本木にキャバクラを出したはず。つまり、金には困っていない。そんな彼が暴力団に入る理由があるとすれば、身に危険が迫っていたからではないか。それまで敵対グループや都内の暴力団にさえ存在を認められ、恐れられてきたリーダーの見立がいたので我が者顔でいられたのが、そうはいかなくなったんだと思いますよ」
◆「ヤクザとして使い物にならなかった」
リーダーの見立が海外へ高飛びしてからというもの、関東連合は内部統制がとれなくなった――そんな内情が報じられることもあった。事件を巡り、主要メンバーが見立に反旗を翻す暴露本を出版する一幕もあり、一枚岩とはいかないのだろう。そうした内圧に加え、警察や敵対勢力といった外圧から関東連合がもはや“半グレ”ではいられない、そんな事態が起きているようなのである。
「最初に暴露本を出した人物は非常に狡猾。資金があり、見立の右腕だったが、日頃の不満から見事に裏切った。内圧で四面楚歌になると、関東連合OBが仙台を頼っていった。関東連合の周囲を取り巻く外圧はそれまで以上になったとのことだ。彼らははしゃぎ過ぎた」(前出の関係者)
つまり、X會は市川海老蔵への暴力事件などで名が知られ、都内に様々な人脈と影響力を持つ伊藤リオンの実力を買ったわけではなかった。
ヤクザ社会に馴染めず破門、今後は非常に危うい
金銭面でも、我が身の可愛さが出て不興を買ったようだ。伊藤を知る六本木ホステスは、こんな話を打ち明けてくれた。
「本当のことを言うと損すると思ったようで、収入を過少申告していたみたい。『月収は50万円しかありません』なんて嘘をついてたみたいです。組よりもこれまでの暮らしや仲間を優先しているように見えました。それと、仙台の暴力団は相当躾に厳しいらしく、馴染めていない様子でした。六本木のキャバクラも、破門状が出たことで在京の暴力団の圧力により閉めたようです」
半グレの世界では名をなせても、ヤクザの世界では通用しなかった伊藤リオン。X會という後ろ盾を失った彼の今後は非常に危うい。