お疲れ様 「トワイライトエクスプレス」大阪発の最終列車が札幌駅に到着 26年間の歴史に幕

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札幌-大阪間を結ぶ豪華寝台特急「トワイライトエクスプレス」の大阪発の最終列車が13日午前、JR札幌駅に到着した。ホームは、満足そうな表情で下車する乗客と鉄道ファンであふれた。札幌発の最終列車は午後にJR大阪駅に到着する予定で、1989年7月の運行開始以来、26年間の歴史に幕を下ろす。


大阪発の最終列車

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大阪発の最終列車は12日午前にJR大阪駅を出発。約22時間かけてほぼ定刻通りの13日午前9時55分に、札幌に到着。


子どもと2人で日本一長い列車の旅を終えた仙台市宮城野区の会社員、高橋秀樹さん(47)は「最終列車に乗れてとてもうれしい。車内では乗車記念のカードが配られ、満喫できた」と笑顔で話した。


20年間乗務してきた阿部昭博車掌(53)は「心からもてなす気持ちで乗務してきた。憧れのトワイライトの最終列車に勤務できたことを誇りに思う」と振り返った。


トワイライトエクスプレスは車体の老朽化に加え、来年3月開業予定の北海道新幹線の在来線での試験走行時間を確保するため廃止が決まった。JR西日本は今後、団体専用の臨時列車としての活用を検討している。

出典:<トワイライト>大阪発の最終列車、札幌駅に到着



最後の勇姿をファンはそれぞれの思いで見つめた

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 12日、昼下がりのJR札幌駅。青い機関車が引く深緑の列車が4番線に現れた。響き渡るシャッター音。大阪と札幌を結ぶ寝台特急「トワイライトエクスプレス」のラストランを、ファンはそれぞれの思いで見つめた。

出典:トワイライト最終便、札幌駅出発 ファンそれぞれの思い


とある家族も最後の日を見送った

 出発までまだ2時間以上ある正午前、札幌市東区の主婦関谷碧(みどり)さん(33)は、長男葵(あおい)君(4)と札幌駅にやって来た。高校生の時、京都への修学旅行で乗った思い出の列車。22時間の間に刻々と移り変わる景色。徐々にぬるむ気温。「今度は家族で」と思っているうちに最後の日を迎えてしまった。「せめて葵と一緒にラストランを見送ろうと思って」。


 午後1時半。埼玉県川口市在住の会社員男性(53)は、妻(53)と列車の到着を待っていた。「旅行会社にお願いしたら、取れちゃったんです。しかも、フランス料理のディナーまで」。トワイライトの旅は2度目。1度目は大阪から乗った。「日本海の夕日を見ながら食事を楽しみ、目が覚めたら、朝日に輝く内浦湾。車内にいながら別世界に行けるのが魅力です」

出典:トワイライト最終便、札幌駅出発 ファンそれぞれの思い







「走るホテル」の雄姿を見るファン3500人であふれる

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 大阪―札幌間1500キロを22時間かけて走る人気寝台特急「トワイライトエクスプレス」の最終便が12日、JR大阪駅を出発した。四半世紀以上にわたって親しまれたJR西日本の看板列車で、地球470周分、約1900万キロを走った。10日と11日発は悪天候を見込んで運休したが、ラストランは予定通り。「走るホテル」の雄姿を見送ろうと、ホームには約3500人のファンがあふれた。

出典:「トワイライトエクスプレス」最後の雄姿 最終便が出発






「Twi(トワイ)ラスト」と彫ったはんこ

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 大阪発の最終便には車掌が3人乗り込み、13日未明予定の青森駅着まで乗務する。職場の先輩に「Twi(トワイ)ラスト」と彫ったはんこを託された。記念の乗車証明書などに押し、乗客に渡すつもりだ。

出典:「トワイライトエクスプレス」最後の雄姿 最終便が出発



トワイライト乗務歴20年の車掌さん


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 「この緑色の制服に袖を通すと気が引き締まる」と話すのは、トワイライト乗務歴20年の荻野政宏さん(58)。7月に早期退職する。「トワイが終われば自分も降りようと思った。乗れなかったお客様の分までこの列車を見送りたい」


 車内放送を担当する船曵(ふなびき)文徳さん(54)は、午後10時過ぎの「おやすみ放送」が最後の仕事になる。号泣するのでは、と自分でも心配だ。乗務を前に、「列車に『ありがとう』と言うつもりです」と話した。

出典:「トワイライトエクスプレス」最後の雄姿 最終便が出発


トワイライトの運行は1989年

 トワイライトの運行は1989年からで、約116万人が利用した。JR西は車両を当面保管し、団体専用臨時列車としての活用を検討する。


 名称は2017年春から山陰・山陽地方などで運行する新しい豪華寝台列車「トワイライトエクスプレス 瑞風(みずかぜ)」に引き継がれる。

出典:「トワイライトエクスプレス」最後の雄姿 最終便が出発


走る厨房、こだわりの味

 深緑色の車体がJR大阪駅のホームに滑り込んでくると、食堂車「ダイナープレヤデス」の神野(かんの)友哉料理長(42)らが深いお辞儀で出迎えた。発車まで40分。大量の食材を積み込み、冷蔵庫の限られたスペースに納めていった。


 食堂車の大半はテーブル席が占め、厨房(ちゅうぼう)は長さ5メートルほど。その中に調理台があり、食器棚やオーブンがぎっしり並ぶ。シェフはほぼ同じ位置でランチやディナー、最後はスタッフのまかない食まで作る。皿を並べるにも苦労する狭さなので、シェフやウェーターの息がぴったり合わないと料理は冷めてしまう。


 ホテルの飲食部門から転職し、トワイライト初乗務は2006年1月。05年末のJR羽越線脱線事故や大雪の影響で1カ月ほど運休し、再開した初日だった。キャンセルでほとんど乗客がおらず拍子抜けしたが、列車酔いを我慢しながら狭い厨房で四苦八苦した。


 トワイライトで食べられるディナーはフランス料理。作り置きではなく、ほぼ全て車内で調理する。肉もフォアグラも塊のまま積み、厨房で切って電熱器で火を通す。持ち込むのは、時間をかけて作るソースぐらい。「出来たてのおいしさを提供するのが、トワイライトのこだわりです」


 ディナーのコース作成を昨春、上司から引き継いだ。メニューは2~3カ月同じなので、その間はずっと市場にある魚や野菜をリストアップし、コースを組み立てる。この1年で4通りを考案し、ローストビーフなどの新メニューも加えた。車両が揺れても崩れず、それでいて華やかな盛りつけも研究した。


 昨年12月、札幌発の列車。ディナーでテーブルを回っていると、「覚えてますか?」と年配の母娘に呼び止められた。「秋に食べたメニューに感動して、また食べに来たんです」。前回に2人が乗った10月も神野さんが調理し、あいさつを交わしていた。2人から「今回も素晴らしかった」と絶賛されたのがうれしく、「よく切符が取れましたね」と笑い合った。


 9年間乗り続け、今は列車の揺れを全く感じずにぐっすりと眠る。車窓から風景を見れば、場所も分かるようになった。琵琶湖が見えたらランチの用意、富山に着いたらディナーの最終準備にかかる。


 この日の最終乗車は上司に強く願い出た。人生の4分の1をトワイライトと共に過ごし、4年前に結婚した妻も食堂車のスタッフだった。「もう一生見られない景色になるので、最後はしっかり見ておきたい」。特に、厨房の窓からは見えない日本海側の景色を味わいたいという。

出典:「トワイライトエクスプレス」最後の雄姿 最終便が出発



〈トワイライトエクスプレス〉 1989年7月に団体専用列車として誕生し、後に週4日運転の臨時列車になった。車両はJR西が所有し、JR東日本、北海道と共同運行してきた。定員130人で個室寝台や2段式寝台を備え、最上級の「スイート」の寝台料金は1室2人利用で5万2440円(乗車券、特急券は別)。展望の良いサロンカーや本格フレンチが楽しめる食堂車が人気で、約116万人が利用した。JR西は引退後も車両を当面保管し、団体専用臨時列車としての活用を検討する。名称は2017年春から山陰・山陽地方などで運行する新しい豪華寝台列車「トワイライトエクスプレス 瑞風(みずかぜ)」に引き継がれる。






「おつかれさま」トワイライト

 ホームは12日朝から鉄道ファンらでごった返した。午前11時50分、深緑に黄色の線が入った車両がゆっくりと動き出すと、鉄道ファンらは一斉に拍手をしながら「お疲れさま」と見送った。

出典:トワイライト「お疲れさま」大阪駅から最終運行

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Sharetube