【洒落怖】大切な電話(不可思議・中編)

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『大切な電話』

38 :37:02/08/18 01:03

俺が大学2年の時の実話です。

その日のことは、十数年経った現在でもはっきりと覚えている。


その日、朝起きると、

『今日は絶対出かけちゃダメだ。大事な電話がかかってくるぞ』

と、何の根拠もないのに、なぜか強い確信が胸の内から沸きあがってきた。

なぜか分からない。

でも俺はその予感を信じて、大学の講義を自主休講し、

自分の部屋まで電話コードをのばし、かかってくるあてのない電話をじっと待っていた。


39 :37:02/08/18 01:07

お昼過ぎ、1本の電話がかかってきた。それは高校の同級生の女のコだった。

なんでも、今は東京に住み込みで働きに出ているが、

数日休みがとれたので帰省していて、ちょっと電話してみた、とのことだ。

その子とはあまり話しをしたことがなかったのだが、

電話で話しているうちに高校の思い出がよみがえってきて、

なんだか楽しい気持ちになってきた。

そんな雰囲気だったので、「せっかくだからこれから会おうよ」と誘ってみたが、

『今日はダメなんだ、でもまた連絡するね』という返事だった。

それからも、いろいろと高校の頃の出来事を言いあって、笑ったりした。


41 :37:02/08/18 01:11

なんとなく話題もなくなって、そろそろ電話を終わろうかという時、

彼女はこんなことを言った。

『ねえ、そういえば、B子ちゃんおぼえてる?あの子に電話したんだけど、

 なかなか繋がらなくて・・・』

B子というのは、俺と同じバレーボール部に入っていた同級生で、

俺とはまぁ仲が良かった女の子である。

『私、すぐに帰らなきゃいけないから、

Aクン(←俺)に伝言頼めないかなぁ』と言うのである。

別に断る理由もないので、すぐに「いいよ」と了承した。

『あのね、こう言ってもらえば分かると思うんだけど、

 B子ちゃんといっしょに書いた手紙、もういらなくなっちゃったから、

 捨てちゃっていいよって、それだけ』

「うん、わかった。伝えておくよ」と、俺は電話を切った。

はて、電話ならいつでもできるのに、どうして伝言頼むのだろう?と、ふと思ったが、

B子ともたまには連絡を取りたかったし、その口実が出来たので深くは考えなかった。


43 :37:02/08/18 01:16

1週間ほどたった夜、俺はB子の家に電話をした。

B子はすぐに電話口に出た。俺からの電話を少し驚いているようだった。

「こないだね、(仮にCちゃんとします)から電話があってね、伝言頼まれたよ」

『え?C・・ちゃん・・?』

「うん。ええと、いっしょに書いた手紙はもういらなくなったので、

 捨ててください、って」

俺は頼まれた通り伝言を伝えた。

・・・どうしたんだろう?B子から返事がない・・?

なんだか電話の向こうで、しゃくりあげる声がかすかに聞こえる。

・・・泣いてる?

「どうしたの?」

俺は心配になり声をかけた。

『あのね、Aクン、ヒクッ、私がCちゃんと仲が良かったのは知ってるでしょ』

いつもつるんでいたのは知っていたので、俺は「うん」と答えた。

『Cちゃんといっしょに書いた手紙ってね、ラブレターなの。

 ヒクッ、それね、Aクンへのラブレターだったの』

どういうことか飲みこめず、俺は何も言えなかった。

『あの頃私たち、Aクンが好きだったんだヨ。

 ヒクッ、でね、いっしょにラブレター書いたの。

 渡すつもりは最初からなかったから、

 将来結婚してください、とかね・・・書いてたの・・・

 それをね、卒業するとき、Cちゃんが私に持っててって言うから、

 私が預かったの・・・』

俺は何だか良く分からないまま、

「え?今Cちゃんて何してるの?」と、とっさに聞いた。

『・・・Cちゃん・・・Aクンしらなかったの?

 ヒクッ・・・Cちゃん高校卒業と同時に、

 急性○○病(病名は伏せます)で入院してたんだよ』


44 :37:02/08/18 01:17

B子はさらにこう続けた。

『先週、Cちゃん手術したの・・・でも・・・だめだったみたいで・・・』

そこからは、B子の泣き声で会話にはならなかった。


話はここまでです。

B子が言うには、あたしの電話は夜かければすぐに繋がるので、

きっとCちゃんはAクンと話しがしたくて、

B子の電話が繋がらないと嘘を言ったのだろうということだった。

俺はあのとき、Cちゃんと電話で楽しく話しができて、本当に良かったと思っています。

不思議な体験は、冒頭の予感の部分だけですが。(すみません)


後日談として、B子とはこれが縁(?)で結婚しまして、今年結婚10年目になります。

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