ヤクルト・今浪選手 『橋本病』について
今浪隆博
・北海道日本ハムファイターズ (2007 - 2014)・東京ヤクルトスワローズ (2014 - )
・走攻守にバランスが取れ、内野全ポジション
守れる万能型。外野手として起用。
今浪選手は体調不良を理由に現役を退くと説明。取材で
「引退しますといいました。今の僕の体では戦えないというのが大きい。病気とまず戦っていかないといけいない。試合に出るにつれて、体の不調が出てくる。医者に診てもらっても数値は正常といわれるが、自分は正常ではないと感じることが多かった。そういう人間が1人でもいると周りに迷惑をかける。申し訳ないなという気持ちもあり、もっと早く言うべきだった。戦力外というタイミングで言えた。区切りが付いた。病名は甲状腺機能低下症、橋本病です」と話した。
橋本病とは
橋本病は、バセドウ病と同じく甲状腺の病気の一つですが、甲状腺ホルモンが高くなることもあり、バセドウ病と間違えられることがあります。橋本病は「慢性甲状腺炎」ともいわれますが、この炎症は細菌が入り込んで化膿するといったものではなく、「自己免疫」の異常が原因で起きます。甲状腺にリンパ球がたくさん集まり、甲状腺機能低下症の症状がみられます。自己免疫疾患の一つです。
女性に多く(男性の10〜20倍)、また45歳から65歳で多くみられます。
甲状腺機能低下症とは
甲状腺機能低下症とは、血液中の甲状腺ホルモンが不足した状態をいいます。 甲状腺腫があるだけでほかに身体的にまったく異常がない場合には、橋本病であることにまったく気づかないことも少なくありません。また、甲状腺腫が大きいからといって機能低下するとは限りませんし、甲状腺腫は目立たないのに著しい甲状腺機能低下が見られることもあります。症状は次のようなものがあります
* むくみ
- 皮膚の乾燥
- 寒がりになる
- 食欲がないのに体重が増える
- 脈がゆっくり静かになる
- 無気力になり頭の回転が鈍くなる
- 月経の異常
などで、心臓病・腎臓病・肝臓病と間違われることもありますが、無気力になったり、逆にいらいらなどの症状が見られ、更年期障害や老化現象と間違われることもあるようです。
甲状腺ホルモン過剰
橋本病は、慢性の炎症で、時々炎症が強くなって甲状腺からホルモンが漏れ出ることがあり、血液中の甲状腺ホルモンが過剰になります。過剰になると、「発汗」「動悸」「体重減少」などの症状がでます。しかし、バセドウ病と違って、炎症が治まると、甲状腺機能は数カ月で正常な状態に戻ります。
悪性リンパ腫になる可能性も
悪性リンパ腫は、全身のリンパ節が腫れてくる病気で、甲状腺だけに発生することがありますが、非常に稀なことです。
治療
甲状腺機能低下症になった場合の治療は体で分泌できない分の甲状腺ホルモンを甲状腺ホルモン薬で補います。甲状腺機能が正常の場合には治療の必要はなく、甲状腺機能低下があれば甲状腺ホルモン剤(チラーヂンS®)の服用が必要となります。また、甲状腺機能低下は治る場合もあり、一生内服が必要とは限りません。チラーヂンS®には副作用はほとんどありません。服用すると約1〜2か月で甲状腺ホルモン値が正常になり、自覚症状がとれます。内服を続ければ健康な方と全く変わらない生活をおくることができます。
服用を中止してしまうと、機能低下の状態に逆戻りしてしまい、また少量から服用を始めなければならなくなります。
出典:慢性甲状腺炎(橋本病) 隈病院