演劇助成金の「え」の字!その2「何をすれば貰えるんですか?」~演劇助成金についての講座~

著者:
投稿日:
更新日:

前回は、「芸術文化振興基金」の助成を例として、実際にどういった劇団がどれくらいのお金をもらっているかを学んで頂きました。ああした一覧をみると、自分のところはどうだろう?を自然と考える事ができると思います。
※2017/12/19 提出書類に大切な予算書類の事書いてなかったので追加。

さて、興味は湧いたけど、実際にどうしたら貰えるの?という話

答えは簡単です。「申請書を作ってだす」これだけです。

しかし、これが、大変なのです!

実際、「うちは取れそう」と思った劇団でも、この申請書作成が間に合わずに、断念するケースは多々です。

どういった書類がいるのか?

もう、見てみた方が早いので、リンクをはります

募集案内(舞台芸術等の創造普及活動)をみると、細かい応募の要項が書いてあります。これを精読出来たら、かけます。

最終的には精読していただくのがいいのですが、まずは初歩講座なので、流し読み程度してください。難しかったら読むのやめてもいいです。各用紙の書き方もあるのですが、難しかったら、読まなくていいです。

現代舞台芸術創造普及活動 演劇分野 応募書類一式 はZIPファイルという圧縮ファイルになっています。これを解凍ソフトで解凍してください。

解凍とかわからないよーって方は、すいませんパソコンの使い方になるので、今回割愛させてもらいます。
中には、3つのファイルが入っています。

・pdfのファイルは、アンケートです。計4枚で、プリントして最後にえんぴつで書いて提出します。

・wardのファイルは、「チェックシート(2枚)」「申請書」「要望書」「個票(劇についての詳細をかくもの)」「団体概要」「団体概要別紙」「個人略歴」が一緒になっています。

・エクセルのファイルは、「予算」と「入場料詳細」が一緒になっています。

このうち、「団体概要別紙(活動が多くて書ききれない場合にかくためのもの)」と、「入場料詳細(入場料が沢山ある場合、または色々なところで公演する場合)」は、書かなくて済むことが多いですが、他の全ての書類は、書かなくてはいけません。
この書類について、詳しく書いていきますね。

【必要な書類】

・チェックシート(2枚)

これは、文字通りチェックシートで、基本は最後にこれを見ながらチェックしていき、提出書類に不備がないかみるものです。最後にする書類ですが、見ての通り物凄い項目があるし、間違いをみつけたらそれで他の書類も直さなくてはいけません。なので、これだけで、数時間の時間がかかるものです。

・申請書

これは、かんたんです。劇団住所、代表者、申請する劇の名前、担当者を書くだけです。

・個票

劇の詳細を書く紙です。申請する劇が2作品ある場合は、1作品づつ書きます※芸術文化振興基金は一年度2作品まで申請できることになっています。3作品は提出できません。
劇の内容を書く書類で、一番重要な書類でもあります。「企画意図」と、「社会に対する波及効果」「公演期間」「劇概要」等々、劇について詳しく書いていきます。

どれだけ良い劇であるか?これは助成金をもらうべき劇である!というアピールをしっかりしなくてはいけませんから。これには非常に時間を要すると思います。何日間もかかる可能性もあります。

・団体概要

団体に関することを書きます。住所や連絡先、団体役員、団体の目的、過去2年の実績と本年の活動について、活動あたりの予算、年間の予算や収支なども書かなくてはいけません。

ちゃんとした決算資料をつくってない場合、これに非常に時間がかかる可能性があります。

・個人略歴

主催者の個人略歴を書いていきます。アピールポイントでもあるので、しっかりと書きたいです、しっかり書くほど時間がかかります。

また、中核者として、もう一枚他の方の分を提出することも出来ます。そうしたら、その分だけまた時間がかかります。

・予算書類(エクセルファイル)

劇の収支予算を書きます。劇場がどこで、どれくらいの人が来る予定で、収入がどれくらいで。そして、経費はどれくらいかかるか?を書く最重要書類です。1週間以上かけたい書類です。
以上の物が、提出書類です。

嘘です!まだあります。

他に、様式は決まっていなくて、提出する書類があります。

・劇団規約

劇団に関する規約です。

規約って何?とかいう方!作らなくてはいけません。


それも、ただ作るのではなく、チェックリストにあるのですが、


「以下の項目が記載されていますか?

 □① 団体の名称

 □② 所在地

 □③ 設立年

 □④ 事業目的

 □⑤ 構成員

 □⑥ 意思決定組織(例:役員会・総会・代表者など)

 □⑦ 経理・監査

 □⑧ 発効日、改訂日」

これが入ってなくてはいけません。

平気でこれが入ってない規約を提出する団体がいますが。審査上プラスに働くことはありません。しっかりとこれを盛り込んだ規約をつくらなくてはいけません。

また、この規約の内容と、上記の団体概要の内容があってなくてはいけません。

連動したものです。

・A4一枚の資料

A41枚の資料。フリーの様式です。

ただ、黒一色で印刷と要項にかいてありますので黒で。

こういう要項に書いてある事を守らないのは、決して審査にプラスにはならないと思います。

以上を作り上げ、実績資料としてチラシ等を封入して、申請書一式完成となります。

はじめて助成申請をしようとしている皆さん、いかがでしょうか?

書類の多さに、驚いていたりするのではないでしょうか?

しかし、これをしっかりと書いて、提出するのが、「助成の申請」なのです。

初めて申請する団体は、この資料作成だけで3ヶ月くらいを考えなくてはいけないのではないでしょうか?

もちろん、並行して、次年度の実際の興行について、つまりは劇場おさえなど取り決めもしなくてはいけないという。

でも、それをしなくてはいけないのです。

また、実は上記の「例」として出した要項は、平成30年度分であり、毎年要項が変わります。全部変更とはいかないでしょうけど、色々な所がかわります。その要項発表は、毎年の提出時期である11月の1月前である10月頃です。

しかしながら、これだけの量の書類を、10月になって準備していたら間に合いません。なので、前年度要項でつくっておいて、最新の要項が出たら移し替えて、変更箇所はなおしていく、という作業が必要になります。

どうでしょう?辛くなりましたか?

実際、この作成が辛くて出せない方も沢山いるのです。
どうしてもお金がほしいから!と、要項発表から作り始め、直前まで頑張って、間に合わなくて泣いてしまう方も沢山なのです。

それが、助成金申請の世界です。

少なくとも、この講座を事前にみた人は、「ああ、こんだけ大変なんだ」と、事前準備をする気持ちになったと思います。それが、とても大事です。

前から前から準備をしていれば、間に合う可能性は出てきます。

準備をしたものが勝ちなのです。

以上、第二回目は「実際に申請とは何をしたらいいのか?」を、芸術文化振興基金の申請書を例として説明いたしました。

ちなみに、これが東京都の助成だったら、用紙とかは交付申請とかだいぶ感じがちがったり「財務諸表」という経理書類を添付しなくてはいけなかったり・・・など、色々違いが出てきます。

しかし、ベースとして、こうした書類づくり作業が必要なんだな、ということは今回の講座で見えたと思います。それが、今回の要です。

次回は、演劇助成金の種類などを説明出来たら良いかな、と思っています。

次回もよろしくおねがいします。

著者プロフィール
Sharetube