“背水”ソニー、復活の芽は？　「PS4」ついに日本発売

　不振にあえぐソニーが背水の陣だ。ソニー・コンピュータエンタテインメント（SCE）は22日、新型の家庭用ゲーム機「プレイステーション（PS）4」を日本で発売した。電機事業の赤字に苦しみ、大リストラまで断行して巻き返しを図るが、いまやゲームは「スマホで楽しむ」が主流。PS4の売れ行きも「不透明」と市場の見方は厳しい。

　PS4は昨年11月以降、欧米など56カ国・地域で発売され、販売台数は初年度の目標を30万台上回る530万台に達した。日本のファンを取り込み、販売の上積みを目指すのがねらいだ。

　SCEは東京・銀座で22日午前0時に発売記念イベントを開催し、事前に購入手続きを済ませた客にアンドリュー・ハウス社長らが商品を手渡した。購入第1号となった男性は「気分がいい。うれしい」と喜びを爆発させた。スマートフォンやタブレット端末との連携機能などを搭載しているのが特徴で、価格は4万1979円。

　海外市場で好調なPS4も日本では、ゲームを楽しむ手段は専用機よりスマホが主流。成否は読み切れず、ソニー再建の行方は依然として描き切れていない。

　「より強固に成長してくれる」。平井一夫社長は6日の記者会見で、日本でのPS4発売を前に期待感を表明した。平井氏はこの会見でパソコン事業からの撤退とテレビ事業の分社化を発表。ゲーム、スマホ、デジタルカメラの画像センサーを3本柱と定め、経営資源を集中させる戦略を鮮明にした。

　だが、世界5位にも入っていないスマホは消耗戦の様相が濃く、ゲーム事業も安泰ではない。スマホでの利用が急増し、日本ではすでに専用機の市場規模を上回った。この流れはいずれ海外にも波及するとみられ、「期待よりリスクを意識する」（市場筋）との声もある。

　14年3月期で1100億円の連結最終赤字に転落する見込みのソニーは世界で計5000人を削減するが、大手証券アナリストは「今回の構造改革は小規模で中途半端だ。止めどなく繰り返すことになるのではないか」。PS4は救世主になれるか。