幸福感の50%には遺伝が影響している!幸福遺伝子とは?

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『幸せがずっと続く12の行動習慣』(ソニア・リュボミアスキー著)という本をご存じですか?

世界15カ国で翻訳されたベストセラーです。幸福を研究してきた著者がまとめた「幸福度の高め方」が書かれています。この本によると、どうやら幸福度の50%には遺伝的要因が影響しているらしいのです。

幸福感の50%を占めるのは遺伝子?

幸福感に影響する遺伝子は1つではありません。幸福遺伝子に関する研究はいくつもあります。2016年にも、ベイラー医科大学など17カ国、140の研究機関によって、30万人のゲノムデータが分析されました。その中で、主観的幸福に関係する遺伝子変異が報告されています。幸福感の50%が遺伝子によって決定づけられているというのも納得です。

さて、その中でも最も有名な幸福遺伝子はセロトニントランスポーター遺伝子(5-THH)ではないでしょうか。セロトニンは「幸せホルモン」といわれています。脳では神経伝達物質として働き、不安や痛みを抑えたり、睡眠にも関わっていることが知られています。ノルアドレナリン(別名、怒りのホルモン)やドーパミン(快楽ホルモン)とともに三大神経伝達物質の一つです。このセロトニンを司る遺伝子、それがセロトニントランスポーター遺伝子なのです。

幸福遺伝子、5-THHとは?

5-THH遺伝子は、セロトニンを運ぶセロトニントランスポーターというタンパクに関係しています。このタンパクの働きが強いほど幸せを感じるのです。遺伝子には型があって、LL(long-long)型、SS型(short-short)、またはSL型の三つがあり、人は両親から1つずつを受け継いでいます。そして、L型を持つ方が効果的にセロトニンを運べることが知られています。

ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのジャン - エマニュエル氏の研究では、2,500人を対象に幸福満足度が調査されています。その結果、LL型を持つ人の69%が「とても満足、または満足」と答えたのに対し、SS型を持つ人では38%にとどまっています。また、L型を1つでも持っている人は、全く持っていない人に比べて「とても満足」と答えることが8.5%も多くなっています。

日本人は幸福を感じにくい?

ジャン - エマニュエル氏の研究から、幸せを感じやすいのは、LL型、LS型、SS型の順なることがわかりました。実は、日本人にはLL型を持つ人が圧倒的に少ないのです。ほとんどの人がS型を所有しているといわれています。

だからこそ、セロトニンが活性化するようにしたいですね。セロトニンは朝、太陽の光を浴びることで分泌が促されます。セロトニンが多く分泌されるののは日中で、夜はメラトニンという睡眠ホルモンに変わります。早朝、日光を浴びることでこのスイッチが切り替わります。規則正しい生活送ることはよい睡眠にも繋がり、早寝早起きの好循環になります。また、ウォーキングやサイクリング、ヨガなど適度なリズム運動を行うことも効果的です。リズム運動はセロトニン神経を鍛えるといいます。食事も大切です。必須アミノ酸であるトリプトファンはセロトニンの原料です。乳製品や大豆製品などに多く含まれます。このほかにも、ビタミンB6やマグネシウムなども重要です。ビタミンB6はトリプトファンからセロトニンを合成する際に必要です。まぐろやレバー、にんにくなどに多く含まれています。食事でカバーすることが難しければ、サプリメントもあります。

幸福感の40%は私たちの行動が決める!

『幸せがずっと続く12の行動習慣』によると、幸福感の10%はすぐには変えられない環境によります。ですが、残りの40%は「行動」なのです。セロトニンの量が幸福感に大きく関わりがあることは確かです。遺伝子を変えることは難しいですが、行動を変えて、セロトニンの量を増やすことはできます。規則正しい生活、適度な運動、バランスのよい食事を心がけることは、幸福への近道かもしれません。

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Sharetube