どう乗り越える?ペットロス。思い出になっても最愛のパートナーであるために
筆者宅には甲斐犬とポメチワがいるのですが、今日、犬と川沿いを散歩していたら、年配のご婦人に話しかけられました。「あら、甲斐でしょ? うちにも去年までいたの。15歳で、夏の暑い日に死んでしまって…」
と、お話しながら涙ぐみはじめられました。
数ある和犬の中でも、飼い主との親和性が抜群に高い甲斐犬。
実際、わが家の甲斐犬も話を理解しているのではないかというほど「空気を読む」犬で、これまでにないほど「パートナー感」を感じます。
きっと、このご婦人の甲斐も彼女の最高のパートナーで、見送った時はどんなに辛かったろうかと、こちらまでじんわりしてしまいました。
それでも、愛するペット達とは必ずいつか別れの日が来ます。
子供の頃から犬や小動物、鳥をずっと飼ってきた筆者も、何度もペットとの別れを体験してきました。
世の中には、愛情深いあまり「失うことが怖くてもう動物を飼えない」「犬がいなくなってから暫く、うつ状態になって何も手に付かなかった」という人もいます。
でも、悲しむなとは言いませんが、思い出に引き摺られて飼い主がいつまでも悲しんでいることこそ、ペット達にとっては悲しいことだと思うのです。
今回はペットロスに陥らない、もしくは立ち直ることについて考えてみました。
もしかしてペットロスかも? 症状判定チェック
ペット保険の「アイペット」の調査によると、ペットを失ったことにより不調になった人の内、53.3%、実に半分以上が「ペットロス無自覚」だったそうです。ペットロスという言葉は知っていても、まさか自分がそんなことになっているとは思わない人も多いということですね。
愛するパートナーが旅立ったあと、いつまでも不調が続く、ふいに涙があふれだす……そんな人は、ペットロスかもしれません。
下記の症状に多く当てはまる、もしくは、ひとつだけだがとても当てはまるという人は、ペットロスの可能性が。もしかして? と思う人は、チェックしてみましょう。
□突然悲しくなり、涙が止まらなくなる。
□無気力でなにもやる気がしない。
□倦怠感や疲労感が抜けない。
□食欲不振、もしくは過食気味になっている。
□幻聴や幻覚が見えたり聞こえたりする。
□外出できなくなった。
□自分や、ペットに関わった人を責める気持ちがわいてくる。
□不眠、胃腸の不調など、体調に不調がある。
もし、これらの中のいくつかに当てはまるという人は、ペットロスの可能性が。
だとしても決して落ち込む必要はありません。それだけなくしたペットへの愛情が深かったということです。
ただ、もしも死んだのが自分で、自分のペットがこんな状況になったなら? と考えてみてください。
やきもきして、「いいんだよ! 悲しまないで!」と叫びたくなりませんか?
心を通い合わせたあの子も、きっとそう思っているはずです。
自覚することがまずは大切。自覚をしたなら、一歩一歩、ロスから立ち直って、「大丈夫! いつかまた会おうね!」と、先に虹の橋で待っているあの子に笑って祈りを飛ばせるようになりましょう。
1.彼らとは生きている時間が違う、という事実を受け入れる。
子供の頃からいろいろな動物を飼い、何度も小さな死を見てきました。その度に思うのは、「彼らとは生きている時間が違うんだ」ということ。
人間にとっては、人生のひと時を何年も一緒にいた相棒に、先立たれてしまうことが辛くて仕方ありません。でも、犬やネコはせいぜい15年ほど、小動物ならハムスターで2~3年、リスで長くて7年が寿命。それでも、彼らはまさに「天命をまっとうした」のです。
飼いはじめた頃は仔犬だった愛犬が、2年もすれば中身は立派な青年で、5年ほどで中年になり、7歳でシニアの入口。外見はいつまでも可愛らしい彼らですが、中身はあっという間に老いて、私達よりずっと早く虹の橋へと駆けていってしまいます。
そんな彼らの「一生」を見届けられたのだから、悲しむことはないはず。
それよりも、そうして早く早くと駆けて行ってしまう彼らに、その日、その時、精一杯愛情を注げたか? 楽しい思い出を作れたか? を、考えて過ごすべきです。
「うん、やり切れた。あの子は、うちに来て幸せだったはずだ」と思えたら、ペットとのお別れも納得できるのではないでしょうか。「だめだった、もっとああしたらよかった、全然お世話できなかった」と思うなら、悔やんでそこに立ち止まるのではなく、もう一度、その後悔を次の家族に向けてみてはどうでしょう。愛情は連鎖していきます。「あの子にできなかったこと」を、次の子に渡してあげたら、きっと天国の「あの子」も喜んでいるはず。悔やんで、ただ「もうペットは飼わない」と思うなら、あなたから「愛情」はそれ以上生まれません。
それに、ペットロスから立ち直った方の中には「あの子の生まれ変わりのような気がする」と新しい家族を迎える人も多くいます。
立ち止まらなければ、もしかしたらもう一度、最愛のパートナーとめぐり合えるかもしれませんよ。
2.なくしたパートナーを知る人達と存分に語り明かす。
ペットロスになってしまったなら、一人で落ち込まず、友人や家族と楽しいことをしたりおいしいものを食べたり、とにかく気を紛らわすことが大事です。ペットロスになる人は、自分を責める傾向があるようですが、命を舐めてはいけません。
あなた一人がどうしたって、天命には逆らえないのです。
それよりも、ペットを知っている人たちと、その思い出をたくさん話して、「楽しかった」「会えてよかった」「あの時間は一生の宝物だった」と、出会いに感謝できるように気持ちを持っていきましょう。
だって、実際、「じゃあ会わなければよかったの?」と聞かれたら、多くの人が「そんなことはない」と言うのではないでしょうか。
実際、これだけの生命体がひしめく地球上で、同じ場所に同じ時間に生きた奇跡といったら、天文学的な数字です。それでもその子はあなたのところに来た。そんな運命の出会いを否定する意味がどこにあるでしょうか。
それよりも、「さっさと行っちゃって、薄情なんだから」くらいの気持ちで、自分を責めるよりは、逝ったパートナーに文句のひとつも言うくらいの気持ちでいた方が、きっとあの子もうれしいですよ。
「うん、ごめんね。その代わりずっと見守りながら待ってるからね!」 という、あの子の声が聞こえる気がしませんか?
3.ペットロスのカウンセリングを受けてみる。
それでもどうしても立ち直れない時は、プロの力を借りてみましょう。ペットを失ったあとの心のケアはもちろん、高齢の犬を飼っている飼い主さんの心のサポートもしてくれる「日本ペットロス協会」http://www5d.biglobe.ne.jp/~petloss/や、
ペットの供養とともにカウンセリングもしてくれる僧侶の「塩田妙玄」さんhttp://myogen.o.oo7.jp/を始め、「ペットロス カウンセリング」で探せばたくさんの専門家がいます。
まったくそのペットの事を知らない第三者にだから話せることや、第三者の意見だからすっと心に入ることもあるでしょう。
ペットロスになっている間、思っているのは大好きなパートナーのことかもしれません。
でも、飼い主の悲嘆が、体の不調が、パートナーにとってどんなに辛いことかも考えてみてください。
先に走っていったあの子を、「かわいそうな子」にするのか、「死んでなお、最高のパートナー」とするのか。それは、今まだ生きている飼い主にしかできない最大の供養であり、
甲斐性だと思うのです。