脳にいい勉強法
「頑張らないで」目標に到達する究極の勉強法
勉強というと、受験生が徹夜して、歯を食いしばって頑張るイメージがあるかもしれません。お母さんが、受験生の邪魔にならないようにそっと戸を開けて、夜食を置いていく。そんなものには目もくれずに、なぜか深夜放送のラジオを聴きながら、必死に参考書を読んだり、問題集を解いたりしている。そんな頑張る姿が勉強だと思っている人も少なくないのではないのでしょうか。しかし、はっきり言ってそれは大間違いなのです。先に種明かししてしまいますと、勉強法の最大のコツは「頑張らないこと」なのです。徹夜で歯を食いしばってやる受験勉強は最悪なのです。
理由は簡単です。頑張るということは本当はやりたくないことを無理やりやっているわけですから、好きでやっていることと比べて効率がいいはずがありません。
また、イヤなことを無理やりやろうとすると、脳が拒絶反応を起こし、そこから抜け出そうとして、IQが思いっきり下がります。IQが下がった状態で勉強しても身につくはずがありません。
頭がいいとはどういうことか、本当は誰もわかっていない
結論から申し上げましょう。いままであなたが正しいと思っていた勉強法は、すべて間違いだと思ってください。
いきなりこのような断定をするには、もちろん理由があります。では、なぜこんなことを言いきれるのでしょうか。正しい勉強法を身につけて、あなたが目的を叶えるための、第一歩となります。
ところで、みなさんはどのような目的でこの記事を見たのでしょうか。
資格試験のため、受験勉強のため、脳の老化防止のため‥‥いろいろな理由があると思いますが、どの理由も突き詰めていけば「脳の働きを良くする」、すなわち「頭がよくなる」、ためと言い換えられるのではないでしょうか。
では、頭がいいとはどういう状態のことを言うのでしょうか。これはいくつか説が分かれるところだと思います。
まず真っ先に思いつくのが「ものしり」な人でしょう。知識量が多い人は頭がいいと呼ぶことも多いものです。実際、学校の試験などでも知識を問う問題は多いですし、圧倒的に知識量が多ければ、おそらく日本のどの大学でも合格してしまうことでしょう。
また「頭の回転が速い人」も頭がいいと表現されることが多いようです。既存の知識を駆使し、最適な判断を最短時間で行える人は、周りから見ても頭がいい人に見えることでしょう。
「一を聞いて十を知る」という言葉がありますが、これぞまさに頭の回転の速さを形容した言葉に違いありません。
ただ私が考える頭がいい人とはちょっと違います。
まず「ものしり」ですが、これは機械には絶対に勝てません。人間が収集できる情報量には限界があるからです、
これは脳に限界があるという意味ではありません。脳に記憶すべき情報が多すぎるという意味です。情報は世界で氾濫していますし、日々、更新されていきます、そうした溢れんばかりの情報をすべて記憶することなど不可能だということです。
例えば、日本の国会図書館には現在、約630万冊の本があるといわれています。仮に、猛スピードで1日に100冊読めたとしましょう。それでも、全蔵書を読むのには6万3千日=訳172.6年かかる計算になります。日本の国会図書館の本をすべて読破できる人間はいないのです。
これは日本の国会図書館だけの話で、海外の本は含まれていません。さらに、今後も毎日たくさんの本が出版され、国会図書館に納本されることでしょう。
また、情報というのは本になっているものばかりではありません。私たちがふだん見聞きできるものだけでも、新聞、雑誌、テレビ、ラジオといった報道メディア、インターネット、口コミなどなど情報には際限がありません。
これらをすべて記憶するころなど不可能なのですから、ムリなことはできるだけやらずに済ませるほうが賢いというものです。
幸い、インターネットの普及のおかげで、グーグルやヤフーの検索エンジンにキーワードを入れるだけで全世界のさまざまな情報が、自宅で手軽に収集できるようになりました。機械にできることはできるだけ機械にやらせて、人間は人間の脳にしかできないことをやった方がいいのです。
また、知識というのは使ってこそ価値があるものです。単に知っているだけでは何の役にも立ちません。英語の教科書に載っている英単語を1千語暗誦できても、英語圏の人とその単語を使ったコミュニケーションはできなければ意味がありません。隣のおじさんが食べた1年分の夕飯のメニューを暗誦できても意味が無いのと同じです。
では、「頭の回転が速い人」はどうでしょうか。
こちらは一見、本当に頭がよさそうに見えますが、実はこれだけでは不十分です。頭の回転だけでは「過去の経験による現状の最適化」しかできないからです。現状の最適化も機械で行うことが可能です。状況によっては時間がかかりますが、正確さでいえば、人間は機械には勝てません。
では、どういう人が頭がいいのでしょうか。
それは「これまでだれも考えつかなかった新たな発想を生み出せる人」、あるいは同じことですが、「これまでの方法では解決できないような未知の問題に突き当たった時でも、解決策を思いつくことができる人」です。問題解決能力と言い換えてもいいでしょう。
正しいと思っていたことをすべて疑え
さて、ここで冒頭の過激な表現を思い出してください。私は、「いままであなたが正しいと思っていた勉強法は、すべて間違いだと思ってください」と言いました。
「そんなバカな。自分の意見だけが正しくて、人の意見はすべて間違いだと言うのか」
そう目くじらを立てないでください。私は自分の意見だけが正しくて、人の意見はすべて間違いだなどとは言っていません。「これまで正しいと思っていたことをすべて疑ってみてください。そのためにはまず一度、すべて間違いだと思う必要があります」と言いたいのです。