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【解説①】映画「メメント」テディはなぜ殺されたのか?時系列で振り返る【ネタバレ】
殿堂

【解説①】映画「メメント」テディはなぜ殺されたのか?時系列で振り返る【ネタバレ】

Author:
tolawotolawo
Posted date:
【解説①】映画「メメント」テディはなぜ殺されたのか?時系列で振り返る【ネタバレ】
	
クリストファー・ノーラン監督の話題映画「メメント」。

筆者は単純に面白い!と感じましたが、どうやら賛否両論あるようです。

時間の流れが逆さまになっているのが本作の特徴。
しかし時系列に並べるとストーリー自体は非常につまらない…というもの。

いや、これはおそらく時系列がややこしいからおもしろいのでしょう。
ストーリー云々ではなく、ストーリーがストーリーとして成り立つように
ジグソーパズルのように組み立てていくのがおもしろいのです。

テディ殺しのきっかけを時系列で見る

というわけで、今回は難解映画「メメント」のネタバレを
時系列を整理しながら解説していきます。
(すべてを説明するには膨大な量になってしまうので2記事に分けて…)

まず、時系列を整理するためには2つのストーリーを分断して考える必要があります。
本編113分のなかで、1番初めに持ってくるべきはモノクロで写るシーンです。

本編ではカラーシーンとモノクロシーンが交互に映し出されるのですが、時系列としてはモノクロ→カラーという流れ。

つまりカラーでは時間を遡りつつ、あいだには結末へ繋がるきっかけが随所で入れ込まれているのです。
さらに、時系列を整理する前に知っておきたいことは以下の4点。

・主人公レナードは何者かに妻を殺された
・妻を助けようと犯人を射殺したが、もう1人の犯人(ジョン・G)に殴られ気絶
・そのときの衝撃で記憶障害になる
・妻と時間を失われたことから、復讐するためジョン・G探しをしている

ここからは時系列で解説してみますが、今回はモノクロのシーンにとどめています。

本編冒頭でレナードがテディ(ひげ面の男)を射殺するシーンからスタート。
テディを殺すきっかけがここで分かるのですが、いわば「メメント」の核となる部分です。
レナードのジョン・G探しがはじまる前のストーリー。

モーテルで目覚めるレナード

初めに映し出されるモノクロシーン。
自分がどこにいるのかは不明だが、モーテルであることは確か。
記憶障害で10分以上の記憶を維持できないレナード。しかし生活に必要な行為は体が覚えている。

レナードが習得した"日常"は、メモに残して整理すること。
太ももに貼られた「SHAVE(剃れ)」のメモを見つけて洗面台へ向かう。
紙や体に書き留めることで、記憶ではなく記録して生きているのだ。

電話がかかってくる。もちろん相手のことは知らないが、相手はレナードのことをよく知っていると言う。

保険調査員としての過去

レナードは、正体の分からない電話の主に"サミー"という人物の話を持ち掛ける。 レナードには保険調査員として勤務していた過去がある。 そのとき初めに調査したのが"サミュエル・ジャンキス(通称サミー)"という58歳の男だった。

サミーは交通事故により、数分間の記憶が維持できない記憶障害を発症した。
仕事ができなくなったために妻が保険金の受給を申請。レナードはジャンキス夫婦の家を何度も訪れていた。
調査を重ねるうち、レナードはサミーの記憶障害に違和感を感じはじめる。

①数分前のことは忘れているが、妻へのインスリン注射の手順は覚えている
②忘れているはずのレナードを見る目が、知っている人を見ているようだった

この2つの疑問によって、レナードはサミーが記憶障害を偽っているのではないかと疑いはじめる。
そしてサミーにあるテストを受けさせ、機能的な記憶障害ではなく心因性であることが判明した。

保険会社は、心理的な病気には保険金を払うことができない。
サミーの妻に「嘘をついているようだ」とは言わなかったが、
妻は「心の病なら治るはずだ」とサミーの記憶を取り戻そうとしていた。

電話の相手からの情報

サミーの話を中断させ、紙にメモしていた【事実5:麻薬に接触】を体に刻もうとする。すると電話の主の話を聞き、なにやら急いで調査書を探り始める。

「警察が『家の外に麻薬があった』と。盗難車で犯人の指紋も残っていたようだ。保険調査で知り合った警察に資料をもらったが、数ページが抜けている。警察は車の中身をあえて追わなかったようだ。」と電話主に話す。

さらに「車の麻薬が納得できない。車にあるのになぜ家に押し込む?わざと置いて行ったのか?」と妻が殺された日の犯人の行動を振り返る。

見知らぬ電話の主と話を進めていくうち、新たな事実が発覚。【事実5:麻薬に接触】のメモを【麻薬の売人】に書き換えた。

サミーの妻

レナード自身の記憶障害については警察は責められないと話す。

かつてサミーの妻も懸命に夫と向き合っていた。
サミーの妻はレナードのオフィスに訪問し、「仕事のことは忘れて。本当のことを聞きたい」とすがった。

ところがレナードは
彼女に「肉体的には記憶をつかさどることができる」と話したのだ。

夫が嘘をついていると断言したわけではないが、本来なら記憶できる
つまりはサミーが嘘をついていると(あくまで間接的に)告げたということになる。

明かされない電話主の正体

サミーと妻の話をしているとき、腕に刻まれた【電話には出るな】の文字を見つける。

すかさず「誰だ?」と訊ねるが、途端に切電。
しかしその後何度もかかってくるため、フロントへ電話は部屋に繋がないよう頼む。

電話に出ないレナードの部屋に、1通の封筒が届く。

「電話に出ろ」のメッセージと、中にはレナードが笑顔で写る写真
そしてもう1度電話の主と話をはじめる。

レナードは「誰も自分を信じてくれない」と話す。それがサミーを信じなった罰であることも。

ジャンキス夫婦の愛

レナードの言葉を聞いたサミーの妻は、彼女なりの最後の賭けに出た。

15時のインスリン注射の時間を何度も繰り返し、サミーに打たせる。
サミーは妻を愛していた。記憶障害が嘘なら、妻が時間を偽っていることを指摘するはずだ。

しかしサミーは、妻が告げる15時を何度も繰り返した。
少しの疑いも持たず、今日初めての15時を妻と過ごしていた。

やがて妻はインスリン過剰摂取による昏睡状態に陥り、死に至った。
サミーは当然、妻が起きない理由が分からなかったのだ。

電話主が教えた犯人

レナードは電話の主から
妻殺しの犯人がヤクの売人であることを教えられる。

その名を「ジミー」と言い、麻薬で近づく作戦を決行しようとしていた。

フロントへ向かうと、ひげ面の男が。ギャメル刑事だ。
記録に残すため写真を撮り、愛称である「テディ」と綴った。
テディから向かうべき住所のメモを受け取り、1人で現場へ向かう。

しばらくすると1人の男が現れ、テディの名を呼ぶ。ヤクの売人、ジミーだ。
彼が妻を殺した。銃口を向けると、ジミーは「車に20万あるから殺すな」と懇願。
しかしレナードは首を絞めて殺す。
写真に撮って記録に残し、ジミーが着ていた服に着替える。
※写真が鮮明になるにつれて、モノクロだったすべてがカラーへと変わっていきます。


ジミーが大金を車に積んでいたこと、死に際にサミーの名を呟いたことに困惑するレナード。

やがてテディが現場に到着すると
レナードは、ジミーがなぜ20万円も持っていたのかと問い詰めた。するとテディは真実を打ち明ける

テディが明かした真実

「俺が麻薬を売ると言ったから20万円車に積んでいた。
取引に使っていたモーテルのフロントがレナードのことを知っていた。

サミーの話は誰でも知っている。お前が会った人すべてに訊ねて、だんだんと話ができる。
サミーは自分を慰めるだけの作り話だ。サミーは詐欺師で、彼に女房はいなかった。
糖尿病はお前の妻だ。そしてお前の妻は殺されていない」と。

テディは、混乱するレナードにさらに追い打ちをかける。

「今日ジミーを殺したこともどうせ忘れる。
なぜならすでに真犯人は殺したから。
俺はあの事件の担当をしていた。お前を信じて、犯人への復讐を認めた。
ジョン・G探しに協力し、お前を後ろから殴ったもう1人の犯人を見つけた。お前の手で殺し、そのときの写真も撮った。」
レナードは当然ショックを受ける。妻は"あの事件"で殺されたのではなく、
それによって記憶障害に陥ったレナードが、知らぬ間にインスリンを過剰投与していたということだった。

その事実を受け入れられないレナードは記憶を偽り、
存在しないはずのサミーの妻として投影した。
やがて彼の中で嘘が真実となり、レナードの妻は"あの事件"で殺されたことになっていたのだ。

しかし、レナードはやはり受け入れられない。
ジョン・Gがすでに自分の手によって殺されたのなら、この先を生きていく意味がなくなってしまう。

レナードにとっては妻がすべてだった。
その妻を殺した犯人に復讐することもまた、彼のすべてだったのだ。

生きる意味を奪われてはいけない。
どうせ数分後にはすべて忘れているのだ。
ジミーの死体写真と、本物のジョン・Gを殺したときに撮ったレナードの写真も燃やした。

そしてレナードは新たなジョン・G探しをはじめる。
テディの写真に【やつのウソを信じるな】と書き込んだ。

自分自身を殺させたテディの嘘

この物語で重要なのは、結局全員が嘘をついているのだということです。
今回整理したモノクロシーンにおいては登場人物が少ないですが、本編全体ではもっとたくさんの嘘つきが登場します。

最後の最後でテディを殺した理由が解き明かされました。
しかし同時に、テディが1年間レナードに嘘をつき続けていたことも分かるでしょう。

テディは、事件後記憶障害になったレナードを"利用"していたのです。
警察官であることの真意は分かりませんが、おそらく麻薬取引と何らかの関わりがあるはず。

麻薬取引では常に大金が動きます。
そこにジョン・G探しをしている、10分以上記憶を保てない男はイイ道具になるのです。

レナードを利用したテディの理想はこんな感じではないでしょうか。

レナードに電話で「ヤクの売人でジョン・Gという奴がいる」と吹き込む
 ジミーと、麻薬と20万円を交換する約束を交わす
 麻薬の取引を理由にジミーを廃屋へ呼ぶ
 ジミーはテディから麻薬を買い取るつもりで廃屋へ訪れる
レナードはジミーが妻殺しの犯人だと思い込んで絞殺
 テディはジミーの車から20万円を奪う
レナードはジョン・Gに復讐して満足


この通りにいけばテディは手を汚さず報酬を得られるし、
レナードは念願のジョン・G殺しが叶います。こうして2人とも満足して終える予定だったはずです。

しかし、レナ―ドに殺されそうになったジミーは大金の存在を告白してしまいました。

レナードは当然おかしいと気付きますよね。
直後にテディに問い詰めていますが、テディは簡単に麻薬の取引を暴露します。

これもやはり"すぐに忘れるから大丈夫"という確信があってのことなのでしょう。

テディの「1年前に殺したのに忘れた」という言葉があるということは、
ジョン・Gへの復讐はジミーが2人目であるとも限りません。

おそらくテディはこの1年の間に何度もレナードを利用して、
それらしい情報を吹き込んではヤクの売人を殺すよう誘導していたのです。


これまでのジョン・G探しは、すべてテディの目論見のうえで成り立っていました。

しかしこれからのテディ殺しに関してだけは、レナードの嘘によって作り上げられていくのです。

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著者プロフィール
tolawo

フリーランスライター活動中…。 まとめを含む記事の執筆、書き起こしなど。立派な実績はありませんので書きまくって腕磨きます。お仕事はTwitterから。