「シロサイ」と「クロサイ」は色で見分けられる?名前の由来と性格の違い【動物の謎】
動物園で4番目くらいに人気(なイメージ)のサイ。日本国内での飼育が多いのはシロサイですが、ほかにクロサイやインドサイといった種も存在しています。
サイは種ごとに特徴が大きく異ります。なかでもシロサイとクロサイに関しては「色」で見分けられそうですよね。
では実際に写真で見てみましょう。(フリー素材サイトから拝借)
まずはシロサイ。
動物園でよく見る風景…といった感じでしょうか。優しそうなお目目をしていらっしゃいます。
余談ですが、サイの角は人間の髪の毛と同じ性質…という話は有名ですね。
続いてこちらがクロサイ。
…シロサイとどう違うのかよく分かりません。なんとなく黒っぽいかな?とも思いますが…一目で判断するには色の違いは役に立たないような。
「シロサイ」と「クロサイ」の由来は?
ほとんど色の変わらないシロサイとクロサイ。ではなぜ両者に対照的な色の名前が付けられたのでしょうか。
これは、命名時にありがちな「言葉の誤認」が関係している…という説が有力のようです。
先に見つかったのはシロサイ
シロサイとクロサイに限って言うと、クロサイよりもシロサイのほうが先に発見されたと言われています。
シロサイ命名までのストーリーはこんな感じ。
初めてシロサイを撃ち落とした白人が
現地のボーア人に「あれは何という名前ですか」と尋ねました。
するとボーア人は答えます。
「(口幅の)広いサイですよ」
その言葉を聞いた白人はこう言いました。
「なるほど、白いサイなのですね!」
つまり「Wide(ワイド)」と「White(ホワイト)」を聞き違えたのです。
名前が分かると、白人は「新しい動物を仕留めましたよ」ということで学会に文献を送ります。
そのときに記載した名前が「White rhinoseros」。
これを直訳して「シロサイ」となったというわけです。
シロサイとよく似ているので…
シロサイもクロサイも、アフリカに生息する動物。しかも両者はよく似ています。
シロサイのあとに発見されたクロサイは、
「アフリカに生息するもうひとつのシロサイ」のように認識されたのでしょう。
とくに色が黒いわけではありませんが、
「白」と対称的なものに名付けるとすれば「黒」になります。つまり、クロサイの名の由来は「シロサイがシロサイと名付けられたから」。
名付け親はなんとも安易だなあ…と思ってしまいますが、事の発端はシロサイにあるということなのですね。
あまり知られていない説
シロサイの名をボーア人の言葉を聞き違えた説は有名ですが実はもう1つ、あまり知られていない説があります。
その昔、シロサイが初めて人間に発見されたとき白っぽい色をした泥の中で泥浴のようなものをしていました。当然、そこから出てきたサイの体には泥がまとわりついています。
※写真はイノシシ
ドロドロになったサイの様子を見て「なんて白いサイなんだ!」となったことから「シロサイ」と名付けれましたとさ…。
ただ、この説は現在では語れることはほとんどありません。
したがって、ほとんどウワサのようなものなのかもしれませんね。
シロサイとクロサイの見分け方
名前の由来が色の違いでないことはお分かりいただけたでしょうか。では、実際にどうやってこの2種を見分けるのでしょう。
それはずばり「口の形」です。
かつてボーア人が名付けた通り、シロサイは幅の広い口を持っています。
対して、クロサイの口は尖っているのです。
もう一度シロサイとクロサイの写真を見てみましょう。
上はシロサイ。地面にぺったりとつけられるくらい
大きくて幅広い口をしていますよね。「サイ」と聞くと、どちらかと言えば
このような口を想像するのではないでしょうか。
いきものの口のかたちは、食生活と深い関係があります。
シロサイは主に地面に生えている草を食べて生活しているからこうして広い口を持つことで、効率よく草を食することができるのです。
続いてクロサイ。
正面から見ても分かるくらいに尖った口をしています。なんとなく凶暴なイメージを抱かれそうな"キツい"顔ですよね。
クロサイの口が尖っているのは、
地面の草よりも低木に生える葉や木の実を食べることが多いから。
比較的狭い範囲に生える食べ物を取るときは、尖がらせたほうが効率よく口に運ぶことができるというわけです。
ところで、「黒」という色の印象や尖った口からシロサイよりもクロサイのほうが凶暴…と思われがちですが、
実際に目の前にするとシロサイのほうが迫力があります。
というのも、シロサイはクロサイに比べてサイズ感が大きいのです。
体全体の大きさも重量も、角の大きさだってシロサイが勝っています。
シロサイとクロサイの性格
前述の通り、見た目はシロサイのほうが迫力があるし怖いです。では性格的にはどうなのでしょう。
これは、みなさんのイメージ通りクロサイのほうが凶暴だといえるでしょう。
シロサイがまったく襲ってこない…ということでもありませんが、
クロサイはどちらかというと何も考えずに突進してくるタイプです。
相手が危険であるかというよりもまず、とりあえず突進しておけばなんとかなる…というイメージ(これは言い過ぎかもしれませんが)。
結論:色は変わらないが性格が違う
こうして比べてみると、シロサイとクロサイの違いは対称的とまで言わずとも、それほどややこしくないことが分かりますね。
なんとなく小柄で、口が尖っていて目が合っただけで鼻を鳴らして走ってくるサイは確実にクロサイと言っても過言ではないでしょう。