人間の差別意識を暗示?エイリアンとわがまま男の悲劇「第9地区」映画の見どころ【ネタバレなし】
2010年に日本で公開され、一躍人気作品となった映画「第9地区」。エイリアンと人間の共生という斬新なテーマで、アカデミー賞4部門にノミネートされました。今までの「未知で恐ろしい」というエイリアンへの印象を封印させるとともに、アパルトヘイト政策を背景に描いています。さらにドキュメンタリー風の映像を挟むことで、より現実的なストーリーになっています。
※一時は続編も噂されていましたが、今のところ(2018年5月)そのような発表はないようです。
映画「第9地区」のあらすじ
出典:第9地区 (吹替版)
動画 |
そして現代、難民として隔離されたエイリアンたちだが、次第に地区内の人間との差別化が激しくなってゆく。
事の重大さを考慮した結果、エイリアンらを支配する超国家機関「MNU」によって第10地区への移住計画が決定した。
そこで重要な任務を任されたのが、主人公ヴィカスだ。
初めての大仕事に気合を入れるヴィカスだが、自身の不注意により謎の物体に接触してしまう。
間もなく体に異変が表れはじめ、彼は自分の"左手"がエイリアンそのものになっていることに気付くのだが…。
物語のキー:"エビ"の能力と計画
出典:第9地区 (吹替版)
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主人公のヴィカスはひょんなことからエイリアン化してしまいますが、
それを食い止めるためには「エビ」の力に頼るしかありません。
ヴィカスは、悲劇に見舞われるまでエビの能力を知らなかったのです。
自分たちのDNAにだけ反応する武器を作り、動かなくなった母船を再始動させるために研究を重ねるエビたち。地球でもっとも賢いのは人間ですが、そこから1歩出ればちっぽけなものである…ということを思い知らされる存在に注目しましょう。
見どころ①侵食されていくヴィカス
出典:第9地区 (吹替版)
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その恐ろしい変化は手にはじまり、次第に背中へと広がってきます。
しかも、神経が通っているためにしっかりと痛みを感じるのです。
愛する妻に知らされぬまま恐怖や孤独と闘う姿は、苦しくもあり切なくもあります。
見どころ②MNUの"表と裏"
出典:第9地区 (吹替版)
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ところが、表向きはエイリアンのためを謳っているものの
本当の目的はまったく別のところにあることに気づかされます。次第にMNU職員であるヴィカスすら知らない計画が明るみになり、
同時に第10地区がどれだけ酷い場所であるかを知らされることになるのです。
見どころ③人間の身勝手さ
出典:第9地区 (吹替版)
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ヴィカスをはじめとするあらゆる人間たちが、エビたちを好き勝手に利用しようとしているのです。
一度は受け入れたが、人間に害があるため追放する…。
どちらが上に立つかで優劣が決まってしまう世界も悲しいものです。
私たちからほど遠いエイリアン"エビ"たちへの差別を描くことで、現実の世界に起こる深刻な差別問題を明示しているのかもしれません。
おすすめ度【★★★★☆】
★…題材はおもしろく興味を惹きつけられる★…MNUがとことん悪者
★…終始CG映像が楽しめる
★…主人公が最低すぎる(星0.5)
☆…ひたすら主人公にイライラする