今さら聞けない「フリーランス」という働き方って!? フリーランスの税金事情!

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働き方改革が取り沙汰される今、会社に所属しないフリーランスと呼ばれる形態が脚光を浴びています。フリーランスの意味とフリーランスで働く場合に気になる税金諸事情をまとめてきます。

フリーランスとは!?

年功序列、終身雇用などの伝統的な「日本型雇用システム」の崩壊から、バブル崩壊後、様々な働き方が注目されています。その中でもよく耳にするのが「フリーランス」という形態。それではフリーランスとは何を指すのでしょうか。

フリーランスとは、特定の組織、企業に属さず、個人で業務を請け負ういわゆる個人事業主です。

一般的には、請け負う案件ごとに成果報酬を受け取るフルコミッション方式で、時給制や月給制と違い、時間的な拘束がなく、比較的自由に労働時間を調整できることから、自らの能力やスキルに合った働き方で、報酬を受け取ることができます。


フリーランスの語源は、中世ヨーロッパの傭兵団からきている言葉です。

どこの勢力にも属さない傭兵団を、戦いの度に雇って戦ったことから、近年の組織を離れて働く状態を指す言葉として用いられています。フリーランスのフリー(Free)は自由の意味ではなく、拘束されない状態を指します。


フリーランスで働く人たちの中には、個人で請け負う人、法人登記している人、またサラリーマンをしながら副業として業務を請け負っている人などがいます。

フリーランスとは、組織に属さない個人が業務を請け負う契約形態のことですので、受け取った報酬をどのように処理するかにより、税務上の職業分類が分かれますが税務上の職業種類としては個人事業主と考えられます。

フリーランスの仕事には

フリーランスと呼ばれる仕事には、多くの職種があります。

仕事を依頼する側にとっても、長期雇用の必要がなく、案件ごとの契約で業務を遂行できることは、人事コストなどの費用が抑えられるというメリットがあります。

フリーランスが活躍している一般的な職種の種類を以下に紹介します。

ライター系

WEBライター

ジャーナリスト

ルポライター

ブロガー

脚本家

小説家

翻訳家

コピーライター

編集者

デザイナー系

WEBデザイナー

グラフィックデザイナー

イラストラーター

インテリアコーディネーター

フラワーコーディネーター

ファッションデザイナー

ヘアデザイナー

メイクアップデザイナー

フードコーディネーター

カメラマン

ITエンジニア系 

コーダー

プログラマー

アプリケーションエンジニア

サーバーエンジニア

ゲームプログラマー

ネットワークエンジニア

販売系

販売スタッフ

販売代理店

コンサルティング

ヘッドハンター

エンタメ系

ミュージシャン

Youtuber

芸人

俳優・声優

作曲・作詞家

漫画家

芸術家

評論家

フリーランスの税金事情

サラリーマンの場合、各種税金や社会保険料などが、源泉徴収により給料から天引きされていますが、フリーランスの場合、全て自分で納めなくてはなりません。

気になる税金の種類をまとめました。

所得税

所得税は、年間の所得に応じて課税されます。個人事業を専任で営んでいる場合、1年間の事業所得が38万円を超えている人は納税の義務が発生します。

また、副業をしている場合、給与の他にフリーランスによる所得が20万円以上で確定申告が必要になります。


ここで気をつけなくてはいけないのは、所得と収入は違うということです。収入は自分に入ってきた金額ですが、所得はそこから必要経費と税務上の控除金額を引いたものです。


例えばフリーランスで年間200万円の収入があった場合、その200万円を稼ぐために取材費や交通費など50万円かかったとすると、この50万円が必要経費となります。

また税金控除額とは、生命保険や損害保険などの支払額と、年間に10万円以上支払った医療費及び法律上決められている控除額(専任個人事業主は38万円)のことを言います。


収入-(必要経費+控除額)=所得

住民税

住民税は、所得税の確定申告により、自分の住む(住民票のある住所)地方自治団体に報告され納付額が決まります。

住民税は都道府県民税と市区村民税の2種類の合計となりますが、それぞれに「所得割」「均等割」「調整控除」と言われる係数があり、これは各地方自治団体により異なります。

自身の住民票所在地の税務課に確認してみましょう。

事業税・消費税

個人事業主は、地方税法で決められた事業による所得が年間290万円を超えると、3~5%の税率で個人事業税がかかります。

納税額は課税対象となる事業の種類により税率が変わります。

納税は事業を営んでいる所在地の都道府県に納めますので、住民税と同様、所得税の確定申告により計算され、納付書が届きます。


ライター業の一部などは、地方税法で決められた事業には該当しないケースもあり、その場合、個人事業税はかかりません。お住いの地方自治体の税法などを確認してみて下さい。


一般的には買い物などで消費税を代金と一緒に払っていると思いますが、事業を営むと消費税を受け取ることになります。このため受け取った消費税は納税しなければなりません。

ただし課税売上高(消費税抜きの純売上高)が1,000万円に満たない場合は、納税の義務はありません

これらの計算は多少複雑になりますので、簿記、帳簿のわからない人は、税理士などに相談することをお勧めします。

国民健康保険・国民年金

一般的にサラリーマンの場合、社会保険に加入していますが、フリーランスとして独立した場合、国民健康保険へ加入しなければなりません。

各市区町村の窓口で手続きが可能で、保険料の計算方法や納付方法は、各市区町村によって違います。


年金制度も同様で、フリーランスとして働く場合、厚生年金に加入できませんので、国民年金に加入しなければなりません。国民年金保険料額は、一定の保険料額に、保険料改定率を掛けて算出されます。

確定申告の種類

確定申告とは

確定申告とは、法人や個人事業主もしくは給料以外に一定の収入があった場合に、管轄税務署に対して、その年の納税額を確定させる届け出のことです。

申告を行う前年の1月1日から12月31日までの1年間で(法人の場合は決算日より起算)得た所得を申告します。会社からの給料だけで生計を立てている場合は、会社で申告をしていますので必要ありませんが、給料以外に年間38万円以上収入があった場合、必ずしなければなりません。

フリーランスとして働くには、必ず覚えておかなければなりません。

もし申告をしなければ申告漏れとして税務署からペナルティーを受けることになり、無申告加算税が課せられます。

マイナンバー制度により、取引先やクライアントが申告していれば、免れないことですので、必ず確定申告をするようにしましょう。

白色申告と青色申告

個人事業主が確定申告をする場合、白色申告青色申告という2種類の申告方法があります。

白色と青色の申告の違いは、記帳や申告の難易度と税制優遇の違いです。

青色申告では原則として複式簿記で記帳を行うことが義務付けられていますので、専門的な知識が必要です。

これに対して白色申告でも記帳が義務化されていますが、単式簿記ですので帳簿付けや申告は比較的簡単です。

青色申告には赤字を3年間繰り越せたり、特別控除があったりと税制上の優遇制度がありますが、白色にはそれがありません。

フリーランスで事業を行う場合、その事業規模や継続年数などで、青色、白色どちらが自分に向いているか考えましょう。

事業を始めた当初で、これまで経理経験がないのであれば白色から始めるのが無難です。


個人事業主として働く場合には、まず税務署に「開業届」を提出します。

このとき、「所得税の青色申告承認申請書」を提出しておくと、青色申告を行うことができますので、税務上有利になります。

「所得税の青色申告承認申請書」の提出期限は開業した年の3月15日まで、あるいは開業から2カ月以内です。期限を過ぎるとその年の確定申告は、青色申告はできなくなりますので注意しましょう。

申告書の保存期間

白色申告や青色申告で作成した帳簿は、確定申告の時に全てを提出するわけではありませんが、定められた期間の間、原則として書面で保管しておく義務があります。

白色申告の場合は、法定帳簿(収入金額や必要経費を記載した帳簿)が7年間、任意帳簿(法廷帳簿以外の帳簿)、伝票や書類(領収書や請求書など)は5年間です。


青色申告の場合は、帳簿類(仕訳帳や総勘定元帳など)、決算関係書類(貸借対照表、損益計算書、棚卸表など)、現金預金取引等の関係書類(領収書、請求書、預金通帳など)が7年間、その他の書類(見積書、注文書、納品書など)が5年間となります。


帳簿の種類について

フリーランスで働く場合、通常の業務の他にも、確定申告にむけて経理処理も自分でしなければなりません。

売り上げの管理はもちろん、領収書の管理などの費用計算も個人事業主には必須事項です。これら経理上の管理のためには、適切な帳簿の種類と付け方を知る必要があります。

帳簿の名称

経理上の帳簿には様々な種類があり、つけるべき帳簿は確定申告の方法により異なります。

確定申告上の帳簿の種類は「法定帳簿」と「任意帳簿」に分けられます。

法定帳簿とは収入金額や必要経費を記載している帳簿のことで、保存期間は7年です。

任意帳簿とは業務に関して作成した帳簿で保存期間は5年と定められています。


青色申告での「複式簿記」をつける場合は、主要簿と補助簿があり、主要簿には「仕訳帳」「総勘定元帳」の2種類、補助簿には。「現金出納帳」「預金出納帳」「売掛帳」「買掛帳」「経費帳」「固定資産台帳」があります。


白色申告などの「単式簿記」ならば、そこまでの種類は必要ありませんが、「損益計算書」(売り上げがいくらあったか、売るためにいくらかかったかをまとめた表)、「貸借対照表」(資産や負債、資本を一覧にしてまとめた表)は、付けられるようにしておきましょう。

伝票の管理

青色申告は、先に述べた様々な帳簿があり、経理の知識を必要としますが、白色申告の場合は、難しく考えることはありません。「損益計算書」「貸借対照表」は、確定申告の提出する雛形になっていますので、それほど専門的な知識がなくても作成することができます。

しかし申告時になって、何の準備もなく作ることは出来ませんので、日々、経費として認められる領収書やレシート、売上や仕入れなどの伝票は管理しておきましょう。

表計算ソフトや経理ソフトを使うと、後々申告時にも便利です。


帳簿付けは、複雑な名称と種類の多さに、慣れないと大変な作業だとは思います。

しかしフリーランスとして独立して仕事をするならば、売上の大小にかかわらず一人の経営者。

帳簿付けにより利益率や経営上の問題点も見えてきますので、各種類の帳簿はマネジメントの基本データとなります。

適切な帳簿付けは、フリーランスとして成功するための最低限のマネジメント能力です。

フリーランスの未来

フリーランスという言葉は、認知度も挙がってきましたが、会社に勤めている場合と比べると社会的信用も低く、収入も不安定だと思う方も多いでしょう。

しかし、年間1万件ほどもある企業倒産や、終身雇用が崩壊した今、自分の能力と努力次第で自由な時間と経済を手に入れることができるフリーランスは、これからもますます増えていくことでしょう。


独立開業者の9割が廃業すると言われる世の中ですが、フリーランスという独立形態は、人件費や資産などの固定経費が少なく、経営リスクが低いのが特徴です。

人間関係に悩むことも少なく、自分のマネジメント能力次第で、サラリーマンの何倍も稼ぐことは不可能ではありません。

フリーランスは、新たな働き方の選択肢のひとつとして考える時代に来ているのだと思われます。

著者プロフィール
Sharetube