自ら命を絶つことは、是か非か。どう考えますか?

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自殺はだめなのか、そうでないのか

自殺のニュースが相次いでいますが、デザイナーのケイト・スペードさんが亡くなったと聞き驚きました。2017年には好きだったリンキン・パークのチェスターも亡くなり、バンドはどうするんだろうとも考えていました。また、幼い頃から「自営業」「経営者」が多い環境で育っているので周囲でも無縁ではない話で。自分で命を絶つことに善悪があるのか、どんな思いがあるのか、物心ついたころから自然と自分のテーマとなっています。

このところ驚いたニュース

●ケイト・スペードはフェミニンな色使いのバッグや財布が有名で、可愛いデザインが魅力です。チェスターは天才肌のボーカリスト。先日は財務省でも続きましたし、いつまでも減らないいじめや過労自殺…。有名人のほかにも世界中で、ひっそりと命を絶っていく人がたくさんいるのです。

日本の自殺件数や、自殺率はどれくらい?

人数

警視庁の発表人数です。ちょっとグラフが見づらいのですが、2017年が21,321人です。2000年から2010年辺りからみると減ってきてはいます。「シニアガイド」というサイトよりお借りしています。

年齢層別の人数はどうなってるの

40代が一番多く、次いで50代。社会や家庭での責任も重いのに合わせ、そろそろ色々な病気も増えてくる年代です。逆に正規の職に就けず、お金や老後の不安を感じてのケースもあるかもしれません。先がうっすら見えてくる年代です。

死亡率にすると、また違って見える

死亡率にするとグラフが変わり、50代が多くなります。40代の自殺者数が多いのは、元々人口が多い世代だからかもしれません。そして70、80代が多くなります。実は高齢者のかたが多いのですね。寂しい結果となりました。引き続き「シニアガイド」よりお借りしています。

どんな理由が多いのか

●家族問題

男性2,327人、女性1,314人

家庭内の問題では詳しい内容がわからないのですが、男性も多いです。


●健康問題

男性7,122人、女性5,023人

こちらはあまり差はないですね。死に向かう病気に絶望したり慢性の疼痛を耐えるのに疲れたなど、それぞれの理由がありそうです。


●男女問題

男性514人、女性287人

これはちょっと、どんな理由かよく想像できなかったです。


●学校問題

男性293人、女性91人

いじめなどでしょうか。若い世代になるのでなおさら痛ましいです。逃げられるのなら逃げてほしいと思います。


●経済、生活問題

男性3,658人、女性424人

●勤務問題

男性1,906人、女性253人

ここから男性の人数が大きく増えます。家庭を支えるためどんなに辛くても働き続けるストレスは大きいでしょう。先程のように、満足な収入が得られないまま年をとっていき、生活や老後の不安からもありそうです。


「エキサイトニュース」より。自殺は7割が男性だそうです。

●生活や勤務の理由が特に多い所から、家庭では大黒柱としての役割を背負い、社会では重い責任を持つ世代に目立つので、背負うものが大き過ぎるのかもしれません。人によっては物凄いストレスを感じているのではと思いました。病気の理由だと同じ位ですが、女性はコミュニティが比較的広く話しが好きでそこで支えになるのでしょうか。男性は1人でため込んでしまうのでしょうか、この違いは気になります。

メンタルの病が原因のことも

「死にたい」、「生きていても仕方がない」、「死んで楽になりたい」と自死についてあれこれ考え、思い悩むことを希死念慮といいます。

出典:希死念慮をもつ人への良い接し方、悪い接し方とは?

「サイコセラピー研究所」より
1つには、うつ病をはじめとする精神疾患の重症度が挙げられます。先ほど、自殺を考える人のほとんどは精神科で診断がつくレベルのうつ状態にあるとお話ししましたが、WHO(世界保健機関)が公表しているデータによれば、自殺者の実に約97%が、何らかの精神障害の診断がつく状態であったことが分かっています。


 そのうちの約3割を占めるのが、うつ病を含む気分障害。次いで、薬物やアルコール依存などの物質関連障害、統合失調症、パーソナリティー障害の診断が多くなっていて、これらが自殺に関連する4大精神疾患といわれています。また、これらは主たる診断の統計で、重複診断も含めると、自殺者の約7割がうつ病の診断がつく状態であったというリポートもあります。

出典:医師が語る 自殺する人と、踏みとどまる人の違い|ヘルスU...

NIKKEI STYLEから
●自殺してしまう理由のなかに「希死念慮」があります。死にたい気持ちがなかなか消えない状態とのことです。また、うつ病や薬物、アルコール依存、統合失調症、パーソナリティー障害などがあると、何かのきっかけで自殺に繋がる事もあるそうです。これは考え方とか一時的なものではなく、心の病になりますね。今はずいぶんと理解も進みましたが、人によっては実は命に関わる重い病気でもあります。統合失調症は詳しくないのでわからなかったのですが、うつ、依存症はストレスの存在が欠かせないと思います。上手く消化できず耐えるか紛らわせることで、心が病気になっていくのでしょうか。

自殺の扱われかた、宗教別に少し

■キリスト教
①生命は神からの賜物であって、人間がそれを神の御旨に反して絶つことはゆるされない。

②しかし、自ら生命を絶たねばならないほど苦しんだ挙句に死んだ人々を、神が救いたいと望まないはずがない。


③教会は、苦しみの果てに自殺した人々が永遠の救いに到達できるように祈る。

出典:入門講座(28) 自殺とキリスト教 - 片柳神父のブログ「道の途...

片柳神父のブログ「道の途中で」より
●カトリックでは基本的に自殺は禁止になっていますが「自己犠牲」として選んだ場合は自殺と考えていないようです。
■仏教
仏教においては、人間の死に方は問題ではないと考えています。それよりも問題なのは、未練を残してこの世を去ることです。極端な話、未練がないのなら自殺してもOK、と考えるのが仏教のスタンスです。

仏教にはお馴染みの輪廻転生の概念があります。同じ自殺でも、現世で苦しみを解決した自殺と、しなかった自殺なら、来世でもその苦しむのは解決しなかった自殺です。キリスト教のように自殺自体を罪とするスタンスとはかなり異なることに気づきます。

出典:自殺は禁止しているのはキリスト教…では仏教はどうなっている...

仏教とキリスト教の違いを解説しているサイトから
●はっきり否定も肯定もしてませんし、解釈も難しいですね。ただし輪廻転生があるので、また生まれかわって自殺した原因を断ち切らないといけないみたいです。仏教には宗派が多いのでそれぞれで違うかもしれません。
■スピリチュアル
しかし、それは、課題をやりおえて死を迎えた場合であって、自殺というのは、その途中で強制終了したようなものですから、苦しみの感情から、抜けられないことが少なくありません。 

たとえば、飛び降りて自殺した霊が、自分がすでになくなっていることが分からないまま、まだ死ねていないと思い込んで、何度も飛び降りるという行為を繰り返している、とか、そういう話を、聞いたことがある方もいると思います。

出典:なぜ、自殺をしてはいけないのか?: スピリチュアル ティーチ...

「スピリチュアルティーチング」さんより。比較的地に足の着いた考えをする方のようです。
●ブームの続いているスピリチュアルの考え方では、人生は学びと修行の場で生まれてくる前に課題を決めてくるそうです。それを放棄するので「悪」とされているようです。江原さんも「石にかじりついてでも、生き抜いたほうがいい」という事を仰っているみたいです。どちらかといえば、自殺=悪とするのはキリスト教、スピリチュアル寄りの考え方になるようですね。

安易に止めても効果はなにもない

■反対派の意見
自分が死ねば親や兄弟、友人が楽になると思いますか?自殺することによって、色んな人間が多かれ少なかれ「地獄を味わう」んですよ。自分が「地獄を味わっている」から、それと同等(親だったらそれ以上でしょう)の「地獄を味あわせる」ことができますか?

出典:自殺を選択するという事。反対意見をくださっても構いません...

●確かに周囲の後悔や自責の気持ちはすごいでしょうね。
自殺する勇気があるなら人間なんだってできるんじゃないか?まだまだ可能性があるんじゃないか?

人間、生きている限り可能性は無限大だと思います。

出典:自殺反対者、否定者に問いたい。 - 私は肯定派だ。だが、自分...

●生きていれば、大きな可能性があるかもしれません。
良い経験も悪い経験も、神が与えてくれた人生を豊かにするための贈り物だとプラス思考で考え、自分自身を成長させるの大切なものとして受け入れていきましょう。

出典:神は乗り越えられる試練しか与えない!!人生を楽しむ6つの...

●こちらは「セレンディピティ」というサイトから。どん底でも成長する機会だと思える、その余裕があればよいのでしょうね。
●反対派の意見は周囲の人が一生苦しみ後悔をして悲しみ続けるから、または死ぬ気があるなら何でもできるはず、さらに神は乗り越えられる試練しか与えないから試練も贈り物で成長の機会ですといった、前向きに生きるか、周囲に迷惑をかけないでというものが多いですね。
■肯定派の意見

心苦しかったですが、ツイッターから引用させて頂きました。

死んでほしくない
親しい人が悲しむだろう

私の命は他人を満足させる為に存在している訳ではない
誰かの自殺を止めて満足するあなたは、その後にある生き地獄の事など考えもしないだろう
自分の目的さえ達成されれば、残された者の苦しみなど知ったことではないのだ
私と何も変わらない

●自分が悲しみたくないから、自殺は我慢してほしいのだ感じてしまいますよね。

そもそも「自殺=悪」みたいな発想を止めるべき。この社会は、苦しみから逃れる手段が自殺しかない人たちがいることを認めるべき。その上で、自殺しか手段が無い人たちのために安楽死を用意すべき。社会の限界を認めるべき。苦しんでいる人たちへの人助けだよ。

●どん底を味わい、ぎりぎりまで追い詰められた人の言葉ですよね。

「自分を大切に」なんて言われても、大切にする仕方なんて知らないし。
うざ。
どーせ自分なんかどうなっても消えてなくなっても誰も気にしないし。

という方は、大切にする方法をお伝えしていますのでご連絡ください。

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●考え癖はなかなか直りませんから、難しいでしょうね。
●どん底で絶望を味わい気力の尽き果てた人達と、大丈夫だ、頑張れ!という人の間には埋まらない溝があるようです。きっと分かり合えないでしょうね。どちらの側も自分勝手と言えない事もないですが、止めるなら自分の生活を捧げる位の行動を起こして、救ってあげてよ、と思ってしまいました。

安楽死の導入

現在、スイス、オランダ、ベルギー、ルクセンブルクのヨーロッパ各国のほか、アメリカのニューメキシコ、カリフォルニア、ワシントン、オレゴン、モンタナ、バーモントの6つの州で安楽死が認められている。



北欧やベネルクス3国など「北の欧州」のリベラルな社会では、「個人の自由を最大限尊重し、人生は自己決定に委ねられるべきだ」というのが常識になっている。こうして売春やドラッグ(大麻)が合法化され、安楽死が容認されるようになったのだが、その流れはますます強まっている。

出典:【橘玲氏 特別寄稿】日本人の7割以上が安楽死に賛成している...

「みんなの介護」より。介護のサイトらしく尊厳死と一緒に語られています。
●安楽死ができる条件は国、さらにアメリカは州によって違いますが、認めているのはヨーロッパが多いですね。「個人の自由を最大限尊重し、人生は自己決定に委ねられるべきだ」という考えは、なんて成熟しているのだろうと思います。さらに海外で安楽死が合法へと進んでいくのは、キリスト教が自殺=罪としていることからの逃げ道で、日本で進まないのは切腹のような「恥をさらすより死」という、文化的な背景もあると分析されています。

あなたはどう考えますか?

自殺を選んでしまう理由は病苦、メンタルの病気、経済的な問題などが目立ちました。命を絶ってしまうほど苦しい思いをしながら生き続けることは、どれだけ苦しいのだろうと思います。個人的にはその人の命はその人のもの、追い詰められ、救いも得られず悲しい選択をした人を責められないし、最後の幕の引き方を選ぶ権利はあると思っています。

そして止めたい人は安易に止めないで欲しいとも思います。止めるからには、自分の生活やお金を犠牲にして本気で救う覚悟を持っているのですよね?と聞きたいです。


日本でも法整備が進み、その権利が認められれば、1人で悲しい選択をせず堂々と幕を引けるのかもしれないなあと感じました。

著者プロフィール
Sharetube