【基礎講座】クール・スモーキングとは!?煙草の味と香りを楽しむために
はじめに・・・注意
このページには、喫煙に関する事項が書かれていますが、喫煙を勧める内容ではありません。特に未成年は法律で喫煙が禁止されています。未成年の方は、もしこのページを読んでも、喫煙をしてはなりません。
本来の煙草は、たばこの味と香りを楽しむ嗜好品
ニコチンによる作用は、コーヒーや紅茶におけるカフェインと同様、二次的な目的に過ぎません。煙草の煙には、甘味を中心とした豊かな味と良い香りがあり、その美味しさは生涯を通して趣味として楽しめるだけの奥深さがあります。しかし、煙草から本来の甘味豊かな味と良い香りを引き出すには、ある程度の喫煙技術が必要であり、その技術を身に付ける事なく美味しい煙草を味わう事はできません。
よく「煙草なんて美味しいもんじゃないよ。」と口にする喫煙者や元喫煙者を耳にしますが、そのような方達はこの技術を身に付けていない人達だと言えます。
煙草の美味しい吸い方は、「クール・スモーキング」という言葉に集約されます。このページでは、「クール・スモーキング」の基礎知識と実践をまとめる事を目標としています。
ステップ1 基礎知識~煙草を美味しく吸うために~
1.煙草の味の出所煙草の甘味や香りは、煙草の葉の燃焼反応によって生じるものではありません。湿度を持った葉が、近くにある火種によって燻され、そこから葉に含まれる成分が気化して出てきます。この葉の成分が、煙草の味や香りの中心となる成分です。
もちろん、燃焼反応によって生じるガスや、焦げる匂いなども煙草の味の大きな要素ではありますが、それらはあくまで副産物のようなもので、主役という訳ではありません。
【煙草の着香】•人為的な着香のない元々の煙草の煙は非常に多くの香気成分を持っており、天然の香料原料のほとんどが含まれていると言われています。そのため、同じ非着香の煙草であっても、熟成方法やブレンドによって様々な味と香りのバリエーションがあります。
•また、着香された煙草製品に於いても、煙草の天然の味と香りを生かしつつ、部分的に強化したり付け加えたりする手法が取られる事が大半です。ですから、着香煙草でも煙草本来の味と香りから大きく逸脱する製品は多くはありません。
【メンソールの流行】
•本来は特殊な脇役であったはずのメンソールが、近年紙巻煙草において流行するようになっ たのには、幾つかの原因があると考えられます。
•1) メンソールは特に喫煙技術なしで味わえるので、技術のない喫煙者でも楽しむ事ができます。特に近年は煙草の味を引き出す技術を知らない喫煙者が増えており、そうした喫煙者がメンソールに流れがちのようです。
•2) メンソールは、煙草本来の味と香りとは全く別に付加できるので、それらの薄さをカバーする事ができます。近年は健康志向の高まりで、低タール・低ニコチンの薄味の紙巻煙草が流行しており、こうした紙巻煙草においては、薄味とうまく組み合わせることのできるメンソールは重宝されています。
2.温度煙草の葉の成分は、熱に対してあまり強くありません。高温で熱せられると容易に破壊され、たばこ本来の美味しさがなくなります。よって、煙草の燃焼温度はなるべく低くする必要があります。
また、煙草の味を感じ取る人間の舌も、熱には強くありません。熱々のスープを口にすると味が分からなかったりするのと同じ事です。このことから、吸い込む煙の温度はなるべく低くする必要があります。
【吸引時の燃焼温度】•紙巻煙草 :約820℃(770℃-870℃)
葉巻 :約790℃(760℃-820℃)
パイプ :約600℃(550℃-660℃)
•よく煙草を低温で燃焼させた場合、有害な一酸化炭素がより多く発生すると言われています。また、その他の物質についても、温度の違いで発生量が変わってくる事が予想されます。
しかし残念ながら、燃焼温度の違いで、全体として健康リスクがどのように変化してくるのかは分かっていません。
3.湿度煙草の保管に最適な湿度は70%前後だと言われています。これは、室内の湿度としては高い方で、室内等に放置された煙草は大抵の場合、過乾燥になります。
保管湿度が70%より高いと、煙草にカビが生えやすくなります。また、葉が水を吸い過ぎているので、喫煙時に気化する成分に水蒸気が多くなり、味と香りがやや薄くなります。
逆に、余りに湿度が低いと、葉の成分が気化し難くなり、甘味の少ない煙になります。また燃焼温度も高くなりがちで、辛味の強い味になります。
【煙草の味と季節】•寒い季節に煙草を吸うと、煙が良く冷却されるので美味しく吸えます。また、湿度の高い季節では、自然と煙草の湿度が上がるので、わざわざ加湿せずとも煙草の味を保つことができたりします。
•ニコチンは、血管を収縮させ血流を弱めるため、体を冷やす効果があり、このためか、暑い季節の方が煙草を美味しく感じる人もいるようです。
4.紙巻煙草の巻紙ほとんどの市販紙巻煙草の巻紙には燃焼促進剤が含まれています。これにより、本来燃え難い性質を持った煙草の葉が立ち消えせずに燃え進み、容易な喫煙を可能にしています。ところが、この燃焼促進剤のため、紙巻煙草の燃焼温度は他の喫煙方法より高くなり、煙草本来の味を壊してしまいがちです。また、燃焼促進剤入りの巻紙が燃える味と匂いは、煙草本来の味と香りを阻害する大きな要素になっています。
非喫煙者が嫌う「タバコの悪臭」と呼ばれる匂いは、主にこの巻紙が燃える匂いが原因です。
出典:87"
【アンモニア説のウソ】•紙巻煙草の悪臭の原因は、煙草に添加されたアンモニアであるという話が良く出てきますが、これは誤りです。
•紙巻煙草を解して中の葉だけを燃やした場合、紙巻煙草の悪臭はしません。また逆に、巻紙だけを燃やすと目や鼻にしみる「タバコの悪臭」がします。巻紙の煙は酸性の反応を示し、アルカリ性であるアンモニアが含まれていない事が分かります。
•(参照:ある高校理科教師の実験)
•また薬品無添加の葉巻は、熟成の過程でアンモニアを発生させるので、買ったばかりの葉巻ではアンモニア臭い事が良くありますが、これに火を着けて吸っても悪臭を放ちません。
•アンモニアは煙草の熟成過程や、喫煙時の燃焼反応によっても発生しているのですが、これが「タバコの悪臭」の原因になっている訳ではないのです。