【基礎講座】クール・スモーキングとは!?煙草の味と香りを楽しむために

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はじめに・・・注意

このページには、喫煙に関する事項が書かれていますが、喫煙を勧める内容ではありません。特に未成年は法律で喫煙が禁止されています。未成年の方は、もしこのページを読んでも、喫煙をしてはなりません。

本来の煙草は、たばこの味と香りを楽しむ嗜好品

ニコチンによる作用は、コーヒーや紅茶におけるカフェインと同様、二次的な目的に過ぎません。煙草の煙には、甘味を中心とした豊かな味と良い香りがあり、その美味しさは生涯を通して趣味として楽しめるだけの奥深さがあります。

 しかし、煙草から本来の甘味豊かな味と良い香りを引き出すには、ある程度の喫煙技術が必要であり、その技術を身に付ける事なく美味しい煙草を味わう事はできません。

 よく「煙草なんて美味しいもんじゃないよ。」と口にする喫煙者や元喫煙者を耳にしますが、そのような方達はこの技術を身に付けていない人達だと言えます。

 煙草の美味しい吸い方は、「クール・スモーキング」という言葉に集約されます。このページでは、「クール・スモーキング」の基礎知識と実践をまとめる事を目標としています。

ステップ1 基礎知識~煙草を美味しく吸うために~

1.煙草の味の出所

 煙草の甘味や香りは、煙草の葉の燃焼反応によって生じるものではありません。湿度を持った葉が、近くにある火種によって燻され、そこから葉に含まれる成分が気化して出てきます。この葉の成分が、煙草の味や香りの中心となる成分です。

 もちろん、燃焼反応によって生じるガスや、焦げる匂いなども煙草の味の大きな要素ではありますが、それらはあくまで副産物のようなもので、主役という訳ではありません。

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【煙草の着香】

•人為的な着香のない元々の煙草の煙は非常に多くの香気成分を持っており、天然の香料原料のほとんどが含まれていると言われています。そのため、同じ非着香の煙草であっても、熟成方法やブレンドによって様々な味と香りのバリエーションがあります。

•また、着香された煙草製品に於いても、煙草の天然の味と香りを生かしつつ、部分的に強化したり付け加えたりする手法が取られる事が大半です。ですから、着香煙草でも煙草本来の味と香りから大きく逸脱する製品は多くはありません。


【メンソールの流行】

•本来は特殊な脇役であったはずのメンソールが、近年紙巻煙草において流行するようになっ たのには、幾つかの原因があると考えられます。

•1) メンソールは特に喫煙技術なしで味わえるので、技術のない喫煙者でも楽しむ事ができます。特に近年は煙草の味を引き出す技術を知らない喫煙者が増えており、そうした喫煙者がメンソールに流れがちのようです。

•2) メンソールは、煙草本来の味と香りとは全く別に付加できるので、それらの薄さをカバーする事ができます。近年は健康志向の高まりで、低タール・低ニコチンの薄味の紙巻煙草が流行しており、こうした紙巻煙草においては、薄味とうまく組み合わせることのできるメンソールは重宝されています。

 2.温度

 煙草の葉の成分は、熱に対してあまり強くありません。高温で熱せられると容易に破壊され、たばこ本来の美味しさがなくなります。よって、煙草の燃焼温度はなるべく低くする必要があります。

 また、煙草の味を感じ取る人間の舌も、熱には強くありません。熱々のスープを口にすると味が分からなかったりするのと同じ事です。このことから、吸い込む煙の温度はなるべく低くする必要があります。 

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【吸引時の燃焼温度】

•紙巻煙草 :約820℃(770℃-870℃)

 葉巻   :約790℃(760℃-820℃)

 パイプ  :約600℃(550℃-660℃)


•よく煙草を低温で燃焼させた場合、有害な一酸化炭素がより多く発生すると言われています。また、その他の物質についても、温度の違いで発生量が変わってくる事が予想されます。

しかし残念ながら、燃焼温度の違いで、全体として健康リスクがどのように変化してくるのかは分かっていません。

3.湿度

 煙草の保管に最適な湿度は70%前後だと言われています。これは、室内の湿度としては高い方で、室内等に放置された煙草は大抵の場合、過乾燥になります。

 保管湿度が70%より高いと、煙草にカビが生えやすくなります。また、葉が水を吸い過ぎているので、喫煙時に気化する成分に水蒸気が多くなり、味と香りがやや薄くなります。

 逆に、余りに湿度が低いと、葉の成分が気化し難くなり、甘味の少ない煙になります。また燃焼温度も高くなりがちで、辛味の強い味になります。

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【煙草の味と季節】

•寒い季節に煙草を吸うと、煙が良く冷却されるので美味しく吸えます。また、湿度の高い季節では、自然と煙草の湿度が上がるので、わざわざ加湿せずとも煙草の味を保つことができたりします。

•ニコチンは、血管を収縮させ血流を弱めるため、体を冷やす効果があり、このためか、暑い季節の方が煙草を美味しく感じる人もいるようです。

4.紙巻煙草の巻紙

 ほとんどの市販紙巻煙草の巻紙には燃焼促進剤が含まれています。これにより、本来燃え難い性質を持った煙草の葉が立ち消えせずに燃え進み、容易な喫煙を可能にしています。ところが、この燃焼促進剤のため、紙巻煙草の燃焼温度は他の喫煙方法より高くなり、煙草本来の味を壊してしまいがちです。また、燃焼促進剤入りの巻紙が燃える味と匂いは、煙草本来の味と香りを阻害する大きな要素になっています。

 非喫煙者が嫌う「タバコの悪臭」と呼ばれる匂いは、主にこの巻紙が燃える匂いが原因です。

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target="_blank">アンモニアは煙草の葉から発生

【アンモニア説のウソ】

•紙巻煙草の悪臭の原因は、煙草に添加されたアンモニアであるという話が良く出てきますが、これは誤りです。

•紙巻煙草を解して中の葉だけを燃やした場合、紙巻煙草の悪臭はしません。また逆に、巻紙だけを燃やすと目や鼻にしみる「タバコの悪臭」がします。巻紙の煙は酸性の反応を示し、アルカリ性であるアンモニアが含まれていない事が分かります。

•(参照:ある高校理科教師の実験)

•また薬品無添加の葉巻は、熟成の過程でアンモニアを発生させるので、買ったばかりの葉巻ではアンモニア臭い事が良くありますが、これに火を着けて吸っても悪臭を放ちません。

•アンモニアは煙草の熟成過程や、喫煙時の燃焼反応によっても発生しているのですが、これが「タバコの悪臭」の原因になっている訳ではないのです。

5.肺喫煙と口腔喫煙

 煙草の煙を肺に入れるのが肺喫煙で、現代の紙巻煙草の主流の吸い方です。一方、煙を口から喉にかけてしか入れず、肺には入れない吸い方が口腔喫煙で、葉巻やパイプで主流の吸い方です。今のように軽い紙巻煙草がなかった昔は、紙巻煙草においても口腔喫煙が主流だったようです。

 肺喫煙では、ニコチンの吸収効率は高いですが、肺には味覚も嗅覚もないため、煙草の味と香りを楽しむには不利です。一方、口腔喫煙では、ニコチンは口腔粘膜から僅かずつしか吸収されませんが、味と香りは楽しみやすくなります。

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ステップ2 クール・スモーキングの基本動作

 ステップ1での基礎知識をまとめると、煙草の味と香りは、燃焼温度・煙の温度を下げてやる事により良くなります。この低い温度で喫煙する事が「クール・スモーキング」と呼ばれる上手な吸い方となります。

 クール・スモーキングでは、火種を如何に小さく維持するかが課題となり、その達成のために以下のような吸い方が適していると言われています。

1.息を使わない

 呼吸の力=肺の筋力で煙草を吸うと、吸う力としては強過ぎになる事が多く、火種周辺の空気の流れが速くなり、火種が大きく且つ高温になってしまいます。ですから、呼吸の力で吸って、煙を直接肺に入れるような吸い方は、避けた方が良いでしょう。

2.弱く、ゆっくり、少しずつ

 火種を小さく弱く維持するためには、なるべく弱く、ゆっくり、少しずつ吸うのが良いです。呼吸は鼻で行いながら、それとは別に口の中の動作だけで、煙を口内に導き入れるイメージです。

3.熱々のスープ

 煙を口内に入れる動作というのは、スプーン一杯の熱々のスープを恐る恐る口に入れる動作、或いは、ストローでジュースを口内にゆっくりと入れる動作などと表現されます。

 要は、舌や口内の動作で、口内の容積を広げ、その負圧によって煙を口内に導き入れる訳です。これを、なるべくゆっくりと行って下さい。

4.煙は甘い

 上記の吸い方で、煙に甘味を感じる事ができれば、上手に吸えている証拠です。逆に、辛味を強く感じるようであれば、強く吸い過ぎです。もっとゆっくり、弱く吸って下さい。

【煙の辛さの原因】

•1) 燃焼温度が高過ぎて、甘味が破壊される。

•2) 煙の温度が高過ぎて、口内が低温火傷のようになる。

•3) 煙草が乾燥し過ぎていて、甘味成分が気化されない。

•4) 煙草が乾燥し過ぎていて、燃焼温度・煙の温度が高過ぎてしまう。

ステップ3 肺喫煙と口腔喫煙

 煙を肺に入れる肺喫煙は、現代の紙巻煙草だけで主流の吸い方で、より古典的な喫煙方法である葉巻やパイプでは、昔も今も口腔喫煙が主流です。

 このステップでは、この二つの喫煙方法についてまとめます。

1.口腔喫煙

 上記ステップ2において、一旦口に入れた煙草の煙を、舌で押し出すようにして、口外に出すのが口腔喫煙です。舌を使う事により味が分かりやすく、また、ゆっくりと煙を出して顔に煙を纏わり付かせる事により、香りを楽しむ事ができます。

 慣れれば、喉の奥の食道と気管が繋がっている部分を通して、鼻から煙を抜く事もでき、それによっても香りを楽しめます。この場合も、煙はほとんど肺には入りません。

 一般市販の紙巻煙草では、燃焼促進剤のために煙が非常に強い刺激を伴っていますので、この吸い方で顔の周りに煙を漂わせると、かなり鼻や目にしみる事があります。その場合は、肺からの息を使って、煙を遠くに出して下さい。

 口腔喫煙では、ニコチンは口腔粘膜から少量が吸収され、穏やかに効きます。


2.肺喫煙

 ステップ2の吸い方で一旦口内に溜めた煙を、口から煙草を放した後に、改めて口から息を吸って肺に入れるのが肺喫煙です。肺には味覚も嗅覚もありませんから、味と香りを楽しむには不利な吸い方ですが、肺の吸収効率の良さにより、ニコチンは瞬時に強力に効きます。

 通常は口腔喫煙が主流の葉巻やパイプにおいても、ニコチンの効きが足りないと感じる場合は、途中で肺喫煙を織り交ぜると、ニコチンの効きを強める事ができます。

 また、口に溜めた煙の一部を先に出してしまい、残った一部だけを肺に入れれば、ニコチンの効きを自由にコントロールする事ができます。

注意

•葉巻やパイプによる喫煙では、ニコチンやタールの量は紙巻煙草よりも圧倒的に多くなります。一方、紙巻煙草の煙に含まれる有害物質の内、どれが煙草の葉に由来し、どれが燃焼促進剤入り巻紙に由来し、どれが添加物に由来するのかは判明していません。ですから、煙草の葉単体の煙で、どれだけの有害物質が含まれているのかは不明です。

•従って、紙巻煙草よりも圧倒的に多くニコチンやタールを含む葉巻やパイプ等で肺喫煙をする事は、健康リスクを格段に上げてしまう可能性もあります。

•葉巻やパイプでの肺喫煙は、なるべく避けた方が良いでしょう。

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ステップ4 煙草の種類別詳細

 紙巻煙草、葉巻、パイプ等の煙草の種類によって、クール・スモーキングに関する詳細部分が異なります。このステップでは、それらについて煙草の種類別にまとめます。
1.紙巻煙草

 (1)燃焼促進剤入りの巻紙

 一般に市販されている紙巻煙草では、巻紙に燃焼促進剤が含まれています。この巻紙が燃える事で生じる煙は、非常に刺激が強く、目や鼻にしみ、いわゆる「タバコの悪臭」の元凶となっています。また、この煙に邪魔され、煙草本来の味と香りが分かり難くなっています。

 更に、この燃焼促進剤により、他の種類の喫煙方法に比べ煙草の燃焼温度が上がっており、それによっても煙草の味と香りが分かり難くなっています。

 こうした紙巻煙草において煙草本来の味と香りを楽しむには、なるべく昔ながらの濃い味の銘柄を選ぶのがポイントになります。巻紙の燃える味と匂いに負けない豊かな味と香りを持った銘柄が適しているという事です。また、昔から生産されている紙巻煙草は、最近の軽い紙巻煙草に比べると燃焼促進剤の量が少ない傾向があり、その面でも有利です。

 (2)火種と舌との距離

 火種と舌との距離が短く、煙が良く冷却されない点も、紙巻煙草の不利なポイントです。ですから、キセルや長いシガレットホルダーに紙巻煙草を挿して吸うと、この問題が解消され、煙草の甘味を感じ取りやすくなります。

ヒント

•紙巻煙草で、先の方だけ少し吸って、直ぐに消してしまう人が結構います。吸い進むと味が落ちるからです。この「吸い進むと味が落ちる」現象は、燃え進む先にタールが蓄積してくる事に加えて、吸い進んで長さが短くなると、火種と舌との距離が短くなり、煙が良く冷却されなくなる事が大きな原因だと考えられ、長いシガレットホルダー等を使い、煙を冷却してやると解消される事が多いです。

 (3)辛い煙草

 両切り煙草や古典的銘柄を吸ってみて、辛味ばかりで甘味を感じない場合は、吸い方がまだ強過ぎると考えて間違いありません。辛い煙草というのは存在せず、辛い吸い方をする喫煙者がいるだけだと考えるべきでしょう。

 (4)口腔喫煙 or 肺喫煙

 現代の紙巻煙草では肺喫煙をする人が圧倒的に多いですが、今のように軽い紙巻煙草がなかった昔は、紙巻煙草でも口腔喫煙が主流だったようです。また、口腔喫煙の方が味と香りは分かりやすいという事を考えると、味と香りを目的に紙巻煙草を吸うのであれば、口腔喫煙も選択肢としては十分あり得ます。事実、特にパイプ愛好家が紙巻煙草を吸う際は、パイプと同じように口腔喫煙する人がかなりいます。

 健康リスクを考慮すると、紙巻煙草における口腔喫煙は、もっと見直されるべきかも知れません。

 (5)加湿

 特に、ビニール包装が施されていない「旧三級品」や、製造されてから長い期間が経過した紙巻煙草は、乾燥が進んで味が辛くなりがちです。その場合は、適度に加湿してやると甘味が復活して美味しくなる事が多いです。特に「旧三級品」は、その傾向が強いです。

 加湿方法については、チャック付きのビニール袋に、ミカン1個分の皮と一緒に入れて、数時間放置すると良い加湿具合になると言われています。また、タッパの中に、少し濡らしたティッシュと一緒に入れておくという手もあります。ただし、過加湿の状態で数日放置すると、カビが発生する場合があるので注意して下さい。

 (6)手巻きで巻き直す

 手巻き煙草用の巻紙には、燃焼促進剤の入っていない種類があります。こうした巻紙を使って、解した市販紙巻煙草の葉だけを巻き直すと、その煙草が本来持っていた味と香りが良く分かるようになります。

 手巻き煙草を作る技を知っていると何かと得をします。

 (7)灰はなるべく落とさない

 火種の先に成長してくる灰は、なるべく落とさないようにするのが良いと言われます。灰がラジエターの役割を果たしたり、空気の流れを阻害したりするので、火種の温度や煙の温度が下がるからです。

 ただし、あまり長く残しておくと、灰を下に落としてしまう事もありますから、程々にしておいて下さい。


•市販の紙巻煙草は、何時でも何処でも手軽に楽しめる喫煙方法として登場した比較的新しい喫煙形態ですが、煙草本来の味と香りが最も楽しみ難い煙草製品だとも言えます。本来の味と香りが楽しみ難いので、元々は二次的な目的であったニコチン摂取という部分だけが着目されるようになり、それ故に、効率的にニコチン摂取ができる肺喫煙が主流になってきたのだろうと思われます。

•そういう意味で紙巻煙草は、最も煙草らしからぬ煙草製品だとも言えます。

•肺喫煙は、煙草による健康被害の主原因の一つでもあり、紙巻煙草による肺喫煙が煙草の楽しみ方の主流になっている現代の状況というのは、非常に歪んだ形と言えるかも知れません。

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2.手巻き煙草 (1)巻紙

 クール・スモーキングを優先した吸い方をするのであれば、燃焼促進剤の入っていないスロー・バーニングの巻紙を使用するのが基本かと思われます。更に、無漂白の巻紙であれば、巻紙の燃える匂いと味は最小限に抑える事ができます。

 ただし、燃焼促進剤の入ったフリー・バーニングの巻紙でも良質の物であれば、巻紙の燃える匂いと味は許容範囲に収まる事もあり、且つ燃焼速度の違いは煙草の味にも変化をもたらすので、それを目的にフリー・バーニングを選択するのも悪くありません。

 (2)両切り or 吸い口付き or フィルター入り

 味が最も濃くなるのは両切りですが、煙が最も冷却されるのはフィルター入りでしょう。一方、吸殻に燃え残る葉が一番少ないのは、長めの吸い口付きという事になろうかと思います。

 色々試してみて、自分に最適のパターンを見つけて下さい。

 (3)口腔喫煙 or 肺喫煙

 手巻き煙草は、自分で巻くというだけで、基本的には市販紙巻煙草と同じ喫煙方法ではあるのですが、市販紙巻煙草よりも口腔喫煙をする人の割合が多いようです。市販紙巻煙草よりも煙草本来の味や香りを楽しみやすいので、ニコチン補充よりも味と香りを優先する愛好家の割合が多くなるからだと考えられます。

 また、市販紙巻煙草のように故意にニコチン・タール値を下げた銘柄は非常に少なく、且つ1本の喫煙時間もかなり長くなるので、口腔喫煙でも十分なニコチン補充が出来ているとも言えます。

 (4)加湿保管

 手巻き用の煙草(シャグ)は、開封直後は適度な湿度になっている事がほとんどですが、喫煙の度にパッケージを開閉していると、やがて乾燥が進み、味が落ちてきます。ですから、パウチの中に加湿器を入れたり、チャック付きのビニール袋に詰め替えたりした方が、乾燥の進行を抑える事ができます。

 (5)吹き戻し

 スローバーニングの巻紙には燃焼促進剤が入っていないので、煙草本来の味を邪魔することが少なく、美味しい喫煙が出来るのですが、それだけに燃え難く、喫煙途中で立ち消えする事が多いです。そのために、時々は吹き戻しをしてやり、火種を維持する事も必要になります。

 吹き戻しは、口腔喫煙で煙を口外に出す動作を、煙草を咥えたまま行うだけで良いです。この時も、火種を大きくし過ぎないように、弱く少しずつ行って下さい。

 また、「消えても、また着火すればイイじゃん。」という大らかな気持ちでいる事も大切です。

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3.キセル (1)キセルの全長

 キセルを初めて吸う人は、全長が短いキセルを選びがちです。けれども、全長の短いキセルは、煙の冷却性能が低く、辛味の強い味になりがちです。特に、弱く吸う技術が身に付いていない初心者だと、辛いばかりで美味しく吸う事ができません。最初に選ぶキセルは、少なくとも20cm前後の物が良いでしょう。

•江戸時代の花魁は、位が高いほど長いキセルを用いたと言われています。キセルは長ければ長いほど、味がマイルドで甘くなります。位の高い花魁ほど、甘くてマイルドな味を楽しんでいた訳です。

•今でも全長30cmほどの朱色の「花魁煙管」が販売されています。

 (2)材質

 「羅宇(らう、らお)」と呼ばれる中間部分は、竹製の物が一般的ですが、全金属製の「延煙管(のべきせる)」という種類もあります。味は、竹製の物がややマイルドになりますから、最初の1本は竹羅宇のキセルが良いでしょう。

 (3)加湿

 キセル用の代表的刻み煙草銘柄「小粋」は、パッケージの密封度が甘いので、購入時にはパリパリに乾燥している事がほとんどです。ですから「小粋」は、喫煙前に必ず加湿して下さい。加湿方法は、「小粋」のパッケージの裏面に記載されています。加湿後は、再び乾燥しないように、なるだけ密封保管して下さい。

 キセル用として販売されているもう一つの銘柄「宝船」は、パッケージの密封度が高いので、事前に加湿する必要はありません。けれども開封後は、乾燥が進みますので、手巻き用のシャグと同様の方法で加湿保管して下さい。

 (4)甘味

 キセルで刻み煙草を吸うと、余計な巻紙を燃やしませんから、煙草本来の甘味を十分に堪能することができます。逆に言えば、キセルで刻み煙草を吸って甘味が感じられないようだと、吸込みが強過ぎて、燃焼温度が高過ぎている証拠です。もっと弱く少しずつ吸って、燃焼温度を下げて下さい。

 (5)吹き戻し

 刻みが少し太い手巻き用のシャグをキセルで吸う場合や、刻み煙草をきつめに詰めて吸う場合などでは、火種が維持できずに途中で立ち消えする場合があります。その場合は、少し吹き戻しをすると良いでしょう。

 吹き戻しは、口腔喫煙で煙を口外に出す動作を、キセルを咥えたままで行うと出来ます。この際も、火種を大きくし過ぎないように、弱く少しずつ行って下さい。大きく吹くと、火種が火皿から飛び出してしまうこともあり危険です。

 また、江戸時代には、キセルに詰めた煙草は最後の最後までは燃やし尽くさないのが「粋」だと言われていたようで、燃え残りがあっても気にしない大らかな心でいる事も肝要です。

 (6)口腔喫煙 or 肺喫煙

 キセルになると、口腔喫煙で楽しむ人の割合がかなり大きくなります。代表的な刻み煙草「小粋」は、ゆっくり吸うと非常に甘く、この甘味を味わうには口腔喫煙の方が適しているからです。

 キセルで肺喫煙する人は多くはありませんが、ニコチンの効きに不足を感じるようであれば、多少は肺喫煙を混ぜても良いかもしれません。しかしながら、キセル用刻み煙草も、葉巻やパイプ煙草同様、市販紙巻煙草とは比べ物にならないくらい多くのニコチン・タールが含まれています。

 肺喫煙は程々が良いでしょう。

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4.葉巻

 (1)吸うペースと強さ

 一般的なサイズの葉巻を吸う時は、1分間に1回ほど口にするくらいが適当なペースだと言われます。

 また、火種のある先端が鉛筆のように尖ってくるようだと早く吸い過ぎ、もしくは強く吸い過ぎで、逆に断面の中央部が凹むように燃えている場合は、遅過ぎ・弱過ぎだと言われます。最初に火を着けた時の形状のままで燃え進んでいくのが理想的なペースで、それで美味しい味と香りを楽しむ事ができます。

 (2)灰はなるべく落とさない

 紙巻煙草と同様に、火種の先に成長してくる灰はなるべく落とさない方が良いと言われています。理由は紙巻煙草と同様です。

 太い葉巻ですと、2cmくらいまでなら落ちる事なくキープできます。

 (3)その他

 葉巻に関する情報は、ネット上で検索していただければ、意外に見つかります。その他の詳しい事項に関しては、ご自身でお調べになる事をお奨めします。

 葉巻は趣味性が強い分野なので、ご自身で色々と調べるのも楽しみの一つでしょう。

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5.パイプ喫煙

 (1)最も難しく最も美味しい

 数ある喫煙方法の中でも、喫煙技術としては最も難しいと言えるのが、パイプ喫煙です。クール・スモーキングが出来なければ舌焼け(舌や口腔内の低温火傷)に見舞われ、まともに喫煙する事すらできません。

 けれども、上手に喫煙できた場合は、最も低温で喫煙する事ができ、煙草の味を最も引き出すことができます。

 (2)その他

 パイプ喫煙は、煙草類の中では最も趣味性の高い分野です。ですから、その他の細かい事項に関しては、ご自身でお調べ下さい。自分で色々やってこその趣味・ホビーです。

 手間をかけて煙草を吸うのが、一番美味しいのです。

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ステップ5 まとめ

 煙草の煙には本来的に、甘味を中心とした複雑な味と、芳しい良い香りがあります。最近流行の軽い紙巻煙草では、燃焼促進剤入りの巻紙のため、それが分かりにくく難くなってはいますが、注意深くクール・スモーキングすれば、ある程度は煙草の甘味を感知できるものです。

 ですから、煙草の煙が「辛い」とか、「甘くない」「美味しくない」と感じたら、まずはご自身の喫煙技術を疑って下さい。又は、煙草が乾燥し過ぎているかも知れませんので、その場合はご自身で加湿して下さい。

 極端な言い方をすれば、

「世の中に不味い煙草は存在しない。美味しく吸えない下手糞な喫煙者がいるだけだ。」

という事です。

 この言葉を胸に、日々精進していただければと思います。


 近年の煙草税の大幅な値上げにより、私たち愛煙家の懐は益々寂しい状況になりつつあります。ですから、満足できる喫煙を確保しつつ、燃やしてしまう煙草代を節約する事は、非常に重要になってきています。

 煙草代の節約と言うと、少々物悲しい話題のように感じられますが、数々の節約方法を追い求めていくと、自然と美味しい煙草に巡り会えたりもして、それはそれで楽しかったりします。ここはぜひとも前向きに考えて、無駄がなく効率的で、尚且つ美味しい喫煙を目指して、積極的に楽しむのが良いと思います。

著者プロフィール
Sharetube