使えない部下をどうしたら戦力に!?上司としてのやらなければいけない教育方!
「使えない部下」の教育をどうしたらいいか、どの業種も、ゆとり、さとり、団塊、いつの時代もその時代を反映した世代名を襲名し、その対応に悩みます。「使える人」、「仕事が出来る人」だけでなりたっている会社なんてありません。最初はみんな新人として働きだし、初めから戦力となる人はいないのです。
教育の仕方、上司の使い方次第で、「使えない部下」は戦力に変わります。部下が使えないと嘆いているだけでは、何もかわりません。上司としてなにをやらなければならないのかをまとめてみました。
◆上司の常識と部下の常識の違いを認識する◆
世の中の風習なのか、いつの時代も世代のせいにして「さとり」「ゆとり」「新人類」などのレッテルを張り「使えない部下」と分類する傾向がありますが、それでは何も解決しません。理解できないのではなく理解しようとしていないのではないでしょうか。
そもそも「上司」と言われる人たちは何かしらの実績を上げて今の地位にいることでしょう。
営業会社なら数字や実績、クリエート部門なら成果物の評価など、もちろん勤続年数や経験で評価されている人もいると思います。
そのある一定の評価を上げた人たちの考え方と、新人や移動組など会社から評価を受けていない「使えない部下」では考え方や常識が違っていて当たり前です。
評価される考え方や常識を持っているからこそ、あなたは上司として会社の財産である人材の教育を任されているのです。
まずは部下たちの、それぞれの考え方を、良い悪いではなく客観的に把握することから始めてみましょう。
使えない部下と一括りにするのではなく、それぞれ考え方の違う「サンプル」として認識することが必要なのです。
◆部下のスキル、長短所などの個人スペックを把握する◆
使えない部下の教育と悩みとして「あれが出来ない、これが出来ない」と具体的な悩みをよく聞きます。しかし、まず根本的にその部下のスペックを知らなければ、出来ない仕事をわざわざ与えているのかもしれません。部下の長所、短所を知ることも大事ですが、それだけだと上司の主観的になる危険性もあります。
そこで、より具体的に何が出来て何が出来ないか、生活環境や生い立ちなど個人形成の理由、
社内はもちろん社外での他人の評価など、より詳細にその部下のスペックを把握します。
「使えない部下」という簡単な認識ではなく、そもそもどういう人間で何が出来て何が出来ないのか、トラウマなどのマイナス要素はないか、どんな特技や得意なことがあるかなどを把握することがその部下をどこでどう動かすかが見えてきます。
将棋の歩は成るとト金になります。手持ちの駒の動きを知らずに戦略は立てられません。
◆仕事の業務内容を細かく分けて適材適所に配置する◆
どんな仕事、業務内容でも準備から達成まで様々な工程があります。業務の一般的なフローのみならず「紙とペンを用意すること」「PCを立ち上げる」などの初歩的準備から最後の片づけや清掃などより細かく工程を列記します。
これにより、今まで自分が感覚や経験で行ってきた言動が業務マニュアルとして再認識できます。
使えない部下と思う要因のひとつにこの感覚、経験で培ってきた言動が理解できないことが多くあるのです。
業務の工程を具体化したら、それぞれの工程で誰が適任なのか吟味します。
前頁で作成した個人スペックを基に客観的に配置しなければなりません。これは最重要ポイントと考えなければいけないところですが、人材をまとめる要職としては腕の見せ所です。
◆それぞれの業務内容のマニュアル化と目的、目標の具体化◆
業務工程に人材を配置したら、それぞれの工程でその業務の目的の確認、目標値の設定、業務のマニュアル化を行います。目的とはその作業が全体の業務に及ぼす影響であるとか、なぜその作業が必要なのかを具体化します。
「使えない部下だ」「なぜ出来ないのか」と思っていたことが部下は「なぜやらなければいけないか」理解していない場合が多いからです。たとえば「コピーをとる」という単純作業も、その目的が「社内回覧」なのか「お客様に渡す」ものなのかでは違いがあります。
そうしたそれぞれの業務で、この目的と達成しなければいけない目標値を共有しましょう。
また、上司はわかっていると思い込んでいることを部下が出来ないと、やはり「使えない部下」と思ってしまいます。
コピー機の使い方やコーヒーサーバーの使い方から事務用品の置き場所など、もう一度具体的にその業務を行うためのマニュアルを作りましょう。
思い込みを抑止することになりますし再教育にもつながります。
◆業務進捗の確認と修正◆
業務が開始されたら結果を出るまで待つのではなく、必ず途中で進捗状況を確認しましょう。仕事をしているのは機械ではなく人間です。「言ってある」「教えてある」から、出来て当たり前ではありません。出来ないのは「使えない部下」だからではなく教育の途中放棄かもしれないのです。
寝坊するかもしれません。病気になるかもしれません。二日酔いで起きられないときもあるでしょうし、身内に不幸があるかもしれません。
予期せぬことは起こり得るリスクなのだと、準備しておかなくてはいけないのが上司です。
「コピーをとる」ように指示してあるからといって、自然に手元に届くと思っているのは楽観的過ぎます。本当に作業をしているか、遅れはないか、わからないことはないかなど確認し、目標に届かないようであれば、人員を増やすか変える、方法を変えるなどの対処が必要です。
業務の遅延や目標値の未達を「使えない部下」のせいにするのではなく、自らのマネジメントにより管理することは上司、管理職としての責務なのです。
◆達成or未達成の要因をオープンにする◆
細かく分けた業務内容のそれぞれの終了時に、その目的、目標の達成可否を確認します。ほとんどの場合、その業務全体の終了をもって最終結果だけで評価することが多いと思いますが、細かい作業毎に評価を共有することでチームワークや達成感に差が出ます。
売り上げを達成できた要因には「コピーをとる」ことも「来客にお茶を出した」ことも重要な要因の一つで、その積み重ねが大きな達成を成し遂げた結果に繋がったことを共有するのです。
「使えない部下」と言われていた人たちは、他のスタッフからもそう思われ、自分でも自信を無くして開き直っている人もいます。
人は誰もが良く思われたい願望を持ちます。小さな自信が存在価値を高め、次の仕事の意欲に変わります。それこそが人材教育なのです。
◆褒める、叱るのタイミングとは◆
人材教育で難しいのは叱る、叱るタイミングです。当然ながら叱られてうれしい人はいません。でも思い返してみてください。誰しも子供の頃、親や大人に叱られた鮮明な記憶があるのではないでしょうか。
叱られた記憶は思いのほかインパクトがあります。
大人になっても同じことで、いつも怒られているとあまり記憶に残りませんが、ここぞというときに叱られた記憶は印象に残ります。
「使えない部下だ」「なんで出来ない」といつでも苦い顔で接するよりも、これだけは譲れないと思うところでキチンと叱るメリハリや一貫性が大事なのです。
自分が叱ったことを相手が覚えていないなら印象を残せていないということ。褒める数を増やして印象的な叱った記憶を残せる人が理想の上司、先輩なのではないでしょうか。
いくら「使えない部下」と思っていても、人間何かしら褒めるところはあります。
アイドルに詳しいとか、爪がきれいとかなんでもいいのです。叱る印象を残すためなのですから。
◆使えない部下は使えない上司が作る!?◆
これまでの各節での内容はいかがでしたか。「そこまでするの」とか思いましたか。そうなんです。しかしこれでもまだ教育の一例に過ぎません。
そもそも新人社員は「使われる」ために部下になったわけではありません。自らの生活や目的のためです。
「使えない部下」というのは、人材教育が出来ない「使えない上司」が作ったレッテルなのかもしれません。「使えない部下」は「使うことが出来ない上司」が作っているともいえます。
部下を持つということは、その部下を教育し、円滑に業務を動かすことも大事な仕事です。
「使えない部下」を教育し戦力になれば、業績も上がり、上司・管理職としての評価も上がります。
「部下が使えない」「新人がダメだ」と嘆く人の多くは、感情的に投げやりになってはいないでしょうか。
冷静に現状を分析し、対策を練るプランニング力があれば、どんな戦力であっても、一定の成果は上げられるものです。
「使えない部下」を戦力にするには、上司の人材マーケティング力が不可欠なのです。