【魚漢字】回らない寿司屋で恥をかかないための再学習(メニューにあるもの)

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覚えやすいように、漢字の成り立ちの由来と共にご紹介します。

鮪(マグロ)

マグロ

「鮪」は、中国では「魚の名。蝶鮫の類」のこと。日本では「マグロは広い範囲を囲むように回遊すること」から、魚へんに有(広い範囲を囲むという意味)の鮪を「まぐろ」と読む(国訓)。「マグロは魚の中の魚でここに魚有り」という説もある。訓読みが「まぐろ」、音読みが「イ(呉音・漢音)

鯒(こち)

こち


コチの漢字は最初、魚へんに「伏」という字であった。これは室町中期の国語辞書『下学集かがくしゅう』(1444年)に載っており、コチの特徴である平らな姿から「伏せる」という意味の「伏」が当てられた。その後、国語辞書『節用集せつようしゅう』(1474年)に初めて魚へんに「甬」の「鯒」の字が登場し、現在もこれが使用されている。「甬」は「鐘の柄え」を意味し、コチが「鐘の柄のような形」であることに由来する説がある。他にも、「甬」は「桶」のへんを省略した字で、コチの形が「細長い筒型の桶」のように見えることに由来する説もある。

鰤(ぶり)

ぶり


漢字の「鰤」のつくり「師」は年寄りの意味を表し、年をとった魚・老魚の意味がある。また、冬は特においしいので「師走しわすの魚」ということも表している。

鯵(あじ)

あじ


「アジ」という名前は、単純に「味のよい魚」だからアジになったという。漢字の「鯵」は魚へんに「喿」の字の写し間違いであるとする説がある。つくりの「喿」は「生臭い」という意味。他にも、アジの一番おいしい季節が旧暦の3月なので、数字の「参」が使われたという説。「おいしくて参ってしまう」の意であるとする説。「参」には「多くのものが入り交じる」という意味があり、群集する魚であるから「鯵」になったという説がある。

鯖(さば)

さば


「鯖」とは本来、魚や鳥獣の肉などを混ぜて煮た料理の名前。また、淡水魚の一種を指した字でもあった。青々とした「サバ」を表すのにふさわしいことから、サバに「鯖」の字が当てられた。また、サバの語源は、江戸時代の『大和本草やまとほんぞう』という資料に「此この魚牙小ナリ。故ゆえニサハ(狭歯)ト云いう」とあり、「狭歯さば」→「サバ」となったといわれている。歯が小さかったことからサバのことを「小歯」とも書かれていた。また、多数で群れをなすことから、多いことを意味する古語「サハ」が濁音化したとする説もある。

鮃(ひらめ)

ひらめ


「ヒラメ」の名前は、体が平たいことに由来する。昔、漢字表記は「平目」と書いていたが、やがて魚へんに「平」の「鮃」と書くようになった。「鮃」の漢字も名前と同様に「平べったい魚」という意味。他にも、眼の位置に着目して、「眼の側ひら」→「ひらめ」となったという説もある。


鱚(きす)

きす

漢字の「鱚」は、魚へんに「喜」と書き、「キス」の読みのうち「キ」を表す漢字「喜」を組み合わせてできた。「キ」の音を持つ漢字はいろいろあるが、めでたい漢字を選んだとされる。また、「鱚」は江戸時代から見られる漢字である。キスの漢字には「鼠頭魚」もあり、これはキスの頭がネズミの頭に似ていることに由来する。


鱸(すずき)

すずき

漢字の「鱸」は、魚へんに「ロ」の読みを表す「盧」を組み合わせたもの。「盧」は「ならぶ」という意味を表し、「えらの並び方に特徴のある魚」という意味がある。他にも、「盧」には「黒い」という意味があり、「鱗がすすけた黒い色をしている」ことを表す字でもある。

烏賊(いか)

烏賊

いか


イカは一般的には「烏賊」と書くが、魚へんに「ユウ」の音を表す「尤」を組み合わせた「魷」もある。「烏賊」の字は、イカが死んだふりをして水面に漂い、これを捕ろうと舞い降りてきた烏からすを逆に捕まえて食べたという中国の伝説によるもので、「烏にとって賊のような生物」という意味で「烏賊」となった。しかし、実際はイカがカラスのような鳥を食べることはない。他にも、イカは危険を察知すると、烏のように黒い墨を吐いて逃亡する習性に由来するという説もある。


鱈(たら)

たら

漢字は魚へんの「鱈」「鰔」と「大口魚」がある。「鱈」は「雪のように白い肉の魚」に由来する。また、雪の降る冬の季節に大量に獲れることから「雪の魚」=タラとなった。中国ではタラを「大口魚(だいこうぎょ)」や「大頭魚(だいとうぎょ)」というが、字の通り、それぞれ「口の大きな魚」「頭の大きな魚」に由来する。


タラは非常に貪欲で何でも食べることから、「腹いっぱい食べる」という意味の「たらふく(鱈腹)」の語源となったといわれている。同様に「やたら(矢鱈)」もタラに由来する言葉である。


鮎(あゆ)

あゆ

「鮎」の字は本来「ナマズ」を指すが、神功じんぐう皇后が天皇の戦勝を占ったとき、年魚あゆが釣れたと『日本書紀』に記されたことから「占いに使った魚」=「鮎」となったといわれている。漢字表記には、川の岩についた藻を食べるため独特な香りがするので「香魚」、1年で一生を終えるため「年魚」、泳いでいると口が銀色に光るため「銀口魚」など様々な表記がある。

鰈(かれい)

かれい


漢字の「鰈」は「葉っぱのように平たい魚」という意味。現在ではヒラメ(鮃)とカレイ(鰈)で別々の漢字を用いて区別しているが、昔は区別していなかった。江戸初期の辞書『倭爾雅わじか』(1694年)では「比目魚ひもくぎょ」をカレイと読ませており、その際、カレイとヒラメは区別していない。


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Sharetube