久留米看護師連続保険金殺人事件(吉田純子)まとめ
平成10年1月24日、看護師の吉田純子(当時33歳)は、看護学校の同級生だった堤美由紀、池上和子、石井ヒト美と共謀して、池上の夫で平田栄治さん(当時39歳)を騙して睡眠薬入りのビールを飲ませて熟睡させ、静脈に空気を注射して殺害した。吉田らは、この殺害で保険会社から保険金3500万円詐取した。
久留米看護師連続保険金殺人事件 概要
四人は同じ看護師学校の同窓生で、学生時代からの顔見知りだった。吉田は福岡の貧しい家庭の生まれで金銭欲が強かった。
彼女は十代の頃から周囲の人間を言葉巧みに操り、金を巻き上げていた。
堤、石井、池上はそんな彼女の詐欺のターゲットとなり金を搾り取られた挙げ句、共犯として犯罪に荷担させられるようになった。
彼女らは事件後に吉田と同じマンションにそれぞれ部屋を購入しており、召使いのように扱われていた。
三人の中で吉田と一番深い関係にあったのは堤で、レズビアン関係にあったという。
吉田と堤は同じ病院に勤務していたが、二人が急接近したきっかけは、堤が男性関係のトラブルを吉田に相談したことだった。
吉田は架空の「先生」をでっち上げ、彼にトラブル解決を依頼するという名目で堤から金を詐取した。
そしてその後も自分の後ろにいる「先生」をことあるごとにちらつかせ、堤を従属させていった。
堤を従属させた吉田は、肉体関係まで迫るようになった。
なお、他二人に対しても、吉田は堤の時とほぼ同じような手口で近づいている。
吉田は夫婦関係に悩んでいた二人に対し、偽のトラブルをでっち上げ、その解決を「先生」に依頼するという形で金を巻き上げ、更に恩を売ることで取り巻きとして以降の犯罪に荷担させた。
吉田は他の三人や同僚から多額の金を詐取していたが、贅沢な生活と借金返済のためになお多額の金を必要としていた。
1998年1月23日、四人は最初の殺人を実行する。
被害者は池上の夫だった。
吉田は池上に、夫が妻子の殺害を計画していると思い込ませた。
池上はそれ以前にも夫の女性関係のトラブルを吉田に「解決」してもらっていたため、夫が自らと子供達を殺そうとしていると思い込んでしまった。
四人は当初、被害者の食事に睡眠薬とカリウム製剤を盛って殺そうと考えた。
しかし、被害者の体調に変化は現れなかった。
カリウム製剤を注射し、殺害する計画を立てた。
計画は1月21日に実行された。しかし、この時は途中で被害者が目を覚ますなどして失敗する。
1月23日、四人は再度計画を実行する。
妻の盛った睡眠薬と酒により眠っていた被害者に、四人はカリウム製剤と空気を注入した。
被害者は死亡し、保険金3450万円が支払われた。そのほとんどは吉田の手に渡った。
池上は子供達を養護施設に預け、吉田の下で暮らすこととなった。
第二の事件は1999年3月27日に起きた。
被害者は石井の夫だった。
吉田は石井に夫が金銭トラブルを抱えていると吹き込み、保険金で解決するしかないと思い込ませた。
手口は第一の事件と類似しているが、今回はカリウム製剤は使っていない。
被害者は妻に盛られた睡眠薬と酒で眠らされ、チューブを使って胃に直接酒を流し込まれた。
急性アルコール中毒による死亡を狙ったものだったが、被害者はなかなか死に至らず、業を煮やした吉田は空気注射を指示した。
容態の急変した被害者は救急車で運ばれ、病院で息を引き取った。
保険金3300万円や被害者の退職金は、やはりほとんどが吉田の手に渡った。
発覚
久留米看護師連続保険金殺人事件 逮捕者
4人の関係
久留米看護師連続保険金殺人事件 / 被害者
平田栄治(ひらた・えいじ)さん[39]池上和子の夫。睡眠薬入りのビールを飲ませて熟睡させ、静脈に空気を注射して殺害した。久門剛(くもん・つよし)さん[44]石井ヒト美の夫。
堤さん堤美由紀の母親。
吉田純子の生い立ち
生い立ち吉田純子は1959年に福岡県柳川市(旧山門郡三橋町)で生まれました。
父親は自衛官だったようですが、吉田純子が幼いころ除隊し自動車修理の仕事をしています。商売はうまくいかず貧しかったようです。そのため、母親が内職をしたり、家政婦として働いたりして家計を助けていたようです。兄弟としては、4歳年下の弟がいます。
吉田純子の小中学校時代は特に素行が悪かったわけではなかったようですが、子供のころから見栄を張る虚言癖があったようです。
弟は成績優秀で、スポーツマンで母親に可愛がられたようですが、姉の吉田純子は成績が悪く母親に怒られていたようです。母親は娘の吉田純子に厳しく、いたずらをすると容赦なく体罰を与えたようです。
父親は短気で気に入らないことがあると女房に当り散らしていたようです。一方、母親は子供たちに、稼ぎの少ない夫の愚痴をもらしていたようです。そのため、子供たちは父親にはなつかなかったようです。
75年、吉田純子は私立佐賀女子高校衛生看護科に入学。一人で奨学金制度の書類をそろえて手続きをしたそうです。
78年、吉田純子は虚偽の妊娠カンパで金を集めるという詐欺行為をおこなっています。このため、2ヶ月の停学処分を受けています。
79年、吉田純子は聖マリア看護専門学校(現聖マリア学院短期大学)入学。ここで、後の共犯仲間となる池上和子、石井ヒト美、堤美由紀と出会っています。もちろん、リーダー格は吉田純子です。
久留米看護師連続保険金殺人事件の起訴事実
(1)吉田純子、堤美由紀両被告が97年、同僚看護師から500万円を詐取(詐欺罪)(2)吉田、堤、池上和子の3被告が98年、池上被告の夫に睡眠剤入りのビールを飲ませ、静脈に空気を注射して殺害。保険金約3500万円を詐取(殺人、詐欺罪)(3)吉田、堤、池上、石井ヒト美の4被告が99年、石井被告の夫に洋酒や睡眠薬を飲ませ、鼻からチューブで大量の洋酒を注入して殺害。保険金約3300万円を詐取(殺人、詐欺罪)(4)吉田、池上、石井の3被告が00年、預金通帳を奪う目的で堤被告の母を襲撃(強盗殺人未遂、住居侵入罪)(5)吉田、池上両被告が01年、夫殺害などを警察に相談しようとした石井被告を脅す(脅迫罪)
主犯・吉田純子被告に死刑判決
福岡県久留米市の看護師ら4人による連続保険金殺人事件で、殺人、詐欺罪などに問われた主犯の元看護師、吉田純子被告(45)の判決公判が24日、福岡地裁で開かれ、谷敏行裁判長は求刑通り死刑を言い渡した。谷裁判長は一連の犯行を「金銭欲に基づき、医学知識を駆使して完全犯罪をもくろんだ凶悪な犯行」と指摘。吉田被告が共犯3人の相談に乗って信頼を得ると同時に弱みを握り、虚言を繰り返しながら操っていたと認定した。
すでに吉田被告と最も親密だった元治験コーディネーターの堤美由紀被告(44)には無期懲役(求刑・死刑)、1件にかかわった元看護師の石井ヒト美被告(46)には懲役17年(求刑・無期懲役)が言い渡され、両被告とも控訴中。池上和子元被告(求刑・死刑、死亡時43歳)は判決前に病死して公訴棄却になっている。
判決によると、吉田被告は堤被告、池上元被告と共謀し1998年1月、池上元被告の夫に空気を注射して殺害。99年3月には、石井被告を加えた4人で石井被告の夫の鼻から大量のウイスキーを流し込んで殺し、計約6800万円の保険金を詐取した。
このほか、堤被告の母親に対する強盗殺人未遂や別の看護師に対する詐欺、自首しようとした石井被告への脅迫事件にもかかわった。
死刑執行
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